忘れられてるかな…
「守矢神社と言うと…早苗がいたあそこ?何かまずいの?」
「まずいというか…なんというか…」
言葉を濁らせるグラン。
「はっきり言ってくれないと、困るんだけど」
「ええ…そう…そうよね…それはわかってるの……わかってるんだけど…」
言いつつ、うつむく。
「…グランお嬢様は、以前、錬金術の触媒欲しさに守矢神社に喧嘩売ったことがあるんです」
「ああ、そう言うこと」
「優夜!?」
「すみません、お嬢様。言わなくてはいけないかと思いまして」
「そりゃあそうだけど…」
「まあ、それはどうでもいいよ。守矢神社にいるんでしょう?行きますよ。あ、霖之助さんは戻ってくださって大丈夫です。地図ありますから」
「え?でも…」
「お店、あんまり長く空けているわけにもいかないでしょう?」
「…そう、だね」
「私は一緒に行くわよ。監視、ありすに頼まれちゃったもの。『放っておいたら、絶対に何かやらかすわ!!ドールはそう言う人種なのよ!!』ですって」
「あはは、ありすらしい」
××××
SIDE:ドール
しばらくして、私たちは、さとりからこいしちゃんという子の写真をもらい、グランの瞬間移動で守矢神社に行った。…地図、必要なかったな。
「…変わってないな」
「何が?」
「全部。多少ぼろくなった程度で、あとは全然変わってない。大事にされてるんだね、ここ」
「ふーん、そう」
興味なさそうに、そっぽを向くグラン。…いや、違う。これは興味がないんじゃない、興味がないふりをしてるんだ。
では、何のために?
私だったら、ふった話に相手が生返事なんてしたら、興味ないんだと判断してその話をやめる。
でも、興味がないなら聞きゃしないだろうと思って、いろいろと話し出す人もいるだろう。…それを狙ってるのかな?
「……」
「…」
「……」
「…」
「………」
どうやら、当たってたみたいだ。この沈黙、無意識の沈黙じゃなくて意図的な沈黙だろう。話し出すのを待ってるのかな?
でも、私はいいヒトじゃありません。察してわざわざ昔話してあげるほど、お人よしじゃありません。詮索しないで。
じゃあ、どういうふうに動くかというと…
無 視 す る 。
だってこっちはNとありす優先ですし。ぶっちゃけグランはどうでもいい。早くあの2人に会いたい。だから、無視してこいしちゃんとやらを探す。
「え…あ、ちょっと…」
「駄目ですお嬢様。彼女、察してます」
おいコラ2人とも聞こえてんぞ。猫の聴力なめるんじゃない。
全く、私の昔話なんか聞いて何が楽しいんだ。
それはどうでもいいや。早く探さないと。
~少女探索中~
「んー…こっちにもいないかあ」
「お姉さん、誰か探してるの?」
「へ?」
背後から、声をかけられる。
振り向いたら、そこには1人の少女がいた。
歳は、たぶん、さとりと同じくらい…いや、ちょっと下くらいかな。
薄く緑がかった灰色の髪をセミロングにしていて、瞳は綺麗な緑色。
袖に黒いレースが付いた黄色い服を着、ラナンキュラスが刺繍された緑のスカートと、紫のハートが付いた黒い靴を履いている。
かぶっているのは、黄色いリボンがまかれた黒い帽子。大人っぽい、やや背伸びをしたデザインに見えるが、全体的に落ち着いた色合いだからか、とてもよく似合っている。
そして…左胸に、2本の管がついている、閉じた紫の目があった。
…間違いない。この子だ。
「ええと…古明地こいしちゃんで合ってるかな?」
「?私を知ってるの?」
「知ってるというか、探し人は君だよ。君、真っ赤な鎖を持っていったでしょう?」
「うん。この鎖が欲しいの?」
言いつつ、こいしちゃんはあかいくさりを取り出した。
「そう。それが欲しいの」
「ふうん。じゃあ、どうぞ」
「え、こんなあっさり…いいの?」
「うん。それ、なんか変な力出してたから、前に本で読んだ『神様をつなぎとめる鎖』かなって思って持ってっただけだもん。検証終わったからもういいの」
うわ、勘がいいなこの子。
というか、検証って何やった。
「んー…まあ、中らずと雖も遠からず…かな。それじゃあ、貰うね」
これで、あの2人に会える。
××××
「ちょっと、お2人さん。あかいくさり手に入ったから紅魔館とやらまで連れてって」
「ひゃ!?あ…そ、そう。わかったわ。じゃあ、私の手をつかんで」
瞬間移動のために、優夜はグランの右手、私はグランの左手をつかむ。
「…言っておくけど、フランは本当に強いわ。だから、本気でやってちょうだい。何かが壊れるとか気にしなくていいから」
「わかってるよ」
向こうから言ってくれるなんて、ありがたい。
最初から、全力投球するつもりだったけど、物を壊さず戦闘するのって苦手なんだよね。
それに、ちょうどストレスもたまってたことだし…
…お望み通り、
だって、気にするなって言ったのは、そっちでしょう?
××××
悪魔の妹の妹は、のちに語る。
あんなこと言わなきゃよかった。
彼女は、1番上の姉よりも悪魔で、2番目の姉以上の破壊の申し子だったと。