「これは練習だから先に相手のスペルが2発当たったほうが負け。これでいいな?」
「はい」
「ああ、いいぜ!」
「よし…始め!」
「いっくよー!空符『パーフェクトスカイ』!」
ドールの前に扇状に広がる、小玉、鱗弾、へにょりレーザー。
両脇と真ん中にへにょりレーザー、その間に小玉と鱗弾。小玉と鱗弾はクルクルと回転していて、空を連想させられた。
そんなに量が多いわけではないから、操作するのは苦ではない。
…かつて出会った、シグという名の少年をイメージしたスペル。
「…よっと!これはへにょりレーザーだけ気を付ければ大丈夫そうだな」
(うーん、やっぱりこれくらいのやつじゃ避けられちゃうかあ…)
「今度はこっちだ!」
大量の星弾を打ち出す魔理沙。
どうにか躱すドール。
「そこだ!星符『ドラゴンメテオ』!」
(しまった………!)
星弾を避けたことでスキができた。
上空からのレーザー。
「………はっ!!!」
なんとか躱した。
「くう…神話『舞い上がる純白の炎竜』!」
真っ白い大玉と、それを取り囲む真っ白い炎弾が魔理沙に発射される。
(1、2、3、4、5…)
「?なんだこりゃ?」
楽に躱す魔理沙。
(6、7、8、9、10…!チャージ完了!)
「せいっ!」
右腕から炎…いや、白い炎弾を引き連れた竜の形をした炎を飛ばす。
…かつてともに戦ってくれた伝説のポケモン、レシラムを模したスペル。
「んなっ!?」
魔理沙はどうにか躱した…のだが、どうやら竜の形をした炎が引き連れていた炎弾が2~3個当たったらしい。
すかさず、ドールはこのスペルの仕上げ…クロスする真っ白い2本のレーザーを撃った。
「!」
魔理沙はとっさで避ける。…というか、「クロスするレーザー」である以上、正面安地とわかりやすいのだが。
「…やるじゃないか。行くぜ!魔符『ミルキーウェイ』!」
くるくると、らせん状に広がる弾幕。
「避けるの難しいなあ…よし、彼岸花『地上で燃える死者の花』!」
扇状に広がる、緑色のへにょりレーザー。数は10~20ほど。
「うわ、へにょりは2~3本だけでもきついってのにこの数は鬼畜だろ!」
「うん、私も操作大変。」
(………ん?これ…
魔理沙は避けつつ考える。いつの間にかへにょりレーザーの色が枯葉のような茶色になり、少し細くなっていた。
(落ち着け私…さっき、あいつが言ってたスペル名何だった…?)
とりあえずドールの目の前のがら空きのスペースからはずれておく。
それを見たドールは、髪を数本引き抜いた。
「…汝、我が
ドールがそう告げると、髪はうねうねと動き、やがて絵本の妖精のような形のものが2体できた。
髪でできた妖精は、ドールの左右に分かれた。
次の瞬間、へにょりレーザーが途切れ、大量の白い水滴弾が放射状に撃ち出された。
「うお!?…いや、これ自機狙いか。ならチョン避けでいけるな」
異変解決数は10回超え、百戦錬磨の魔理沙には、楽に看破されてしまった。
「しっかし、チョン避けすればいいとはいえ…この数はきついな」
「だよね~」
「うっし、蹴散らすぜ!恋符『ノンディレクショナルレーザー』!」
「!」
魔理沙の周囲の使い魔から、5条のレーザーが発せられる。
「う…回転までするの…?」
5条のレーザーは、時計回りに回転していた。
(待って…魔法陣の数は10…てことは…)
「…増える?」
「当たりだぜ♪」
残った魔法陣からも5条のレーザーが撃ち出される。
今度は反時計回りだ。
「魔理沙もなかなかいやらしいスペカ考えるねえ…」
魔理沙の真正面にレーザーが来ると消えるが、配置された6色の小星弾が向かってきて、そこそこ鬱陶しいスペルである。
(魔理沙が普通に撃ってくる星弾もなかなか鬱陶しい…)
「…魔理沙、忘れちゃいけないよ?私のスペルはまだ終わってない」
そう告げて、ドールはさらに使い魔(模造妖精)を追加し、水滴弾を撃つのを止め、黄緑色の細いレーザーを5条、撃ち出した。
「おっ…そっちもレーザーか」
「レーザーだけじゃないよ♪」
ドールは言って、真っ赤な楕円弾をレーザーとレーザーの間に撃ち込む。
「おっと、これは…楕円弾とレーザーの隙間に入ればいけるな」
言いつつ、魔理沙は大星弾の列を撃ち出す。
「う……鬱陶しいなあ…地味に避けるの大変なんだけど…被弾覚悟ならいけるけどさ」
傍から見たらカラフルで美しい勝負なのだが、やってる本人たちはその美しさに見とれる暇はない。やって分析程度である。…余裕があれば、見物しつつ戦うやつもいるのだろうが。
「う~…えい!」
ドールは叫んで、赤い楕円弾を撃ち止め、やや太めの黄緑色のレーザーを5条、使い魔とともに撃ち出した。
「このスペルのレーザー、全部扇状だな。へにょりやさっきのみたく間に何かあるとかじゃないとすぐ避けられるぜ?」
「うん、知ってる。…後ろ、注意」
「は?」
ばん、という音がして、レーザーの先端が破裂し、大量の赤いへにょりレーザーが撃ち出された。
「なっ!?」
魔理沙は迷わずレーザーの隙間に突っ込み、へにょりレーザーを回避する。
「…グレイズ」
少し不満そうに、ドールがつぶやいた。
「なるほどな…。さっき思い出したが、このスペル名、
そう。
1番最初の緑のへにょりレーザーは、前の花の後に生えた葉。
真っ白い水滴弾は、彼岸花の球根。
黄緑色の細いレーザーと真っ赤な楕円弾は、茎とつぼみ。
そして、黄緑色のレーザーとその先端から出てきた赤いへにょりレーザーは、成長しきった茎と花。
「私、彼岸花好きなんだ♪私の誕生花だからね♪」
(待てよ…これが花だろ?ってことは…)
黄緑のレーザーは、細い茶色のへにょりレーザーになった。
「やっぱり、枯れた茎か」
外側2本は外側、内側3本は内側に向けて曲がっていく。
隙間には、茶色の点弾が等間隔で撃ち込まれる。
「これは…虫か?」
「うん」
へにょりが細いから、点弾を避けるのは楽だ。パターン化している。
だが、へにょりが曲がるスピードも考えないと、下手すれば当たる。
「めんどくさいな…」
「…スペル、終了」
ぱん、とへにょりが破裂した。
米粒弾が飛び出す。
しかし、それと同時に点弾が消えた。
「んな!?ほんとにめんどくさいスペルだなこれ!」
魔理沙は、点弾があった位置に飛び込んで米粒弾を躱した。
「とっとと方を付けるぜ!恋符『マスター…」
「そう来ると思ってた!」
そういうと、ドールは左腕を振り上げた。
「チャージ完了!神話『舞い降りる漆黒の雷竜』!」
上空に打ち出されたのは、真っ黒いバラ弾に取り囲まれた、漆黒の竜の形をした雷。
…ドールにとって特別な人とともに戦った伝説のポケモン、ゼクロムを模したスペル。
「なあ!?」
後ろに飛びのき、躱す。
(…待てよ、これ……ドールが2回目に使ったやつと似てる…ってことは…)
「気づいたかもしれないけど、手遅れだよ!」
ドールは仕上げに、クロスする真っ黒いレーザーを放った。
魔理沙の位置は、ドールの正面からわずかに左にずれている。
「しまっ………!」
避けようとしたが、それより先にレーザーに直撃した。
「がっ……!」
「そこまで!」
ドールちゃんは技作るときは今までに見たものを技にすることが多いです。