次が最後になるかも?
提督たちに、深海の潜水艦。その槍が迫ろうとしていた。
「うぅ…妖精さん! ダメコンをお願い!!」
「ミィ!!」
損傷を受けたとさすくも丸の損壊場所に、数十匹の妖精たちが群になって急いだ。
「くっそー!」
明石は船を巧みに操り、魚雷を逃れようとする。
右往、左往、ジグザグに動きながら回避行動を取る。
「大人しくしていた方が身の為だがね?」
総督が言うと、魚雷が迫る…後数センチで、木っ端微塵になろうとしていた………その時。
『ダメーーー!!!』
同じく海中に潜む小さな影が、障壁を張り立ち塞がる。
ズゥン!!
「なんや? 爆発しとるぞ?」
「あれは…?」
明石が操舵しながらソナーの反応を見る。
「この反応…もしかして「新棲姫ちゃん」!?」
その言葉に、思わず振り返る二人。
そう、潜水新棲姫が潜水艦群ととさすくも丸の間に立ち、襲い来る無数の魚雷から守ってくれているのだ。
『ヴゥ……』
『………』
潜水棲姫は、自身の改良型である新棲姫を見つめる。
健気に何ものを守ろうとするその姿に、心を揺さぶられる感覚になる…それは以前、どこがで見たことがあるような、または経験したことがあるような…
彼女がそう考えていると、裏切りの粛清と言わんばかりの無数の「槍」が彼女を串刺さんとする
『……アーァ、モットミンナト……アソ、ビ………タカ…タ………ッ』
『…!!』
爆発が襲い、障壁が砕かれる…泡と共に、彼女は深海に「沈んで」いった…
「新棲姫ちゃん、
「そんな…あの阿呆!」
「…ホント、馬鹿ですね?」
明石の絶望的な報告に、二人は各々の言葉で彼女の轟沈を悔やんだ。
その時、総督の怒号が辺りに木霊した
「どうした!! 攻撃が止んでるぞ! 潜水!!」
潜水棲姫は水面に顔を出すと、震える声で言った。
『…出来マセン』
「何ィ……!?」
『私ニハ…彼ラヲコレ以上攻撃スルコトハ……出来マセン』
何と、潜水棲姫が
訳が分からない展開になってきた…総督も意表を突かれていた。
「貴様…正気か!?」
『ハイ…彼ラヲコレ以上傷ツケタクナイト、私ノ中ノ何カガ言ッテイマス』
深海側から怒鳴り声に聞こえるうなり声が響いた。
深海提督も「貴様何言ってるぅ!?」と驚きと怒りの混ざった声を上げた。
「それが何を意味するか、理解しての発言だな?」
『承知ノウエデス…』
「…分かった。では…これより「裏切りモノ」を粛清する!」
そう言うと、総督の後ろで控えていた深海駆逐艦群が対潜行動を取り始める。
「戦艦、お前は奴らをやれ」
『!?』
「出来んとは…言わせんぞ?」
『………ッ!!』
総督の言葉に促されるままに、せんちゃんは魔獣に備え付けられた砲を宿毛艦隊に向ける。
「オマエ…」
『………』
「何や知らんけんど、オレらを守ってくれたがやろ? …ありがとう。なんかはっちゃんが守ってくれゆうみたいやにゃぁ?」
『!』
「全く貴方は、もう何も言いませんが、こちらに集中してください」
「おう! …さて、どうするかにゃぁ?」
前方に深海群、後方に深海潜水の大群。
正に八方塞がり、これ以上ない程の絶体絶命……だが
― Attend!
制止を求める声と共に、爆音に乗せ砲弾が深海群に着弾する
『■■■■■■■■■■■-----!!!?』
「おぉ!?」
「…何モノだ」
総督が振り向いたその先にいたのは…
淡い金髪
同じく淡い碧眼
そして帽子…上にポンポンの付いたフランスの水平帽に似ていた。
玲瓏で壮麗なその容姿は、混沌とした戦場で一層際立っていた。
「君は、まさか…!」
「オマエは…誰!?」
「司令官!?」
提督が暢気していると、謎の女性が提督側に声を掛けた。
「…Je suis vraiment ravie de vous rencontrer amiral. 」
「じぇ、じぇ…え?」
「ウフッ…お会いできて光栄です、amiral. 私は戦艦「リシュリュー」。貴方の味方です」
「りしゅりゅー? …あ! e4の子かえ!?」
欧州救援作戦。その第四海域の突破報酬(戦艦仏棲姫の場所)が、フランス、いや欧州において(性能面では)最強であるリシュリュー級戦艦の一番艦。
「まじでか!? でもオマエまだ作戦終わってないぞぉ?」
「Oui. ですが今は緊急事態です。事を重く見た運営鎮守府は、特例として「私たちを」増援艦隊として遣わしてくれました」
「おぉ! …ん? 「たち」??」
「今に分かります。…さて、覚悟は良いかしら?」
リシュリューの砲撃の続けざまに、艦載機の航空爆撃が深海群を襲う
ズウゥウン!!
『な”、な”んだあぁ~~~!?』
深海提督が驚くと、艦載機は持ち主のところへ戻っていく。
「! 貴女は………!!」
雲龍が瞳を向けたその先にいたのは
「…お久しぶりです。姉さん」
「天城!」
雲龍型航空母艦、その二番艦「天城」が現れた。
立て続けに攻撃が止まない。次に潜水艦群に向かい対潜行動をとる影が
ドオォォオン!!!
『gygygygy!!!?!??!』
「…」
思わず庇護欲を掻き立てられるその容姿、大きなリボンを揺らし爆雷を構えるその姿は、時雨、江風には馴染みあるようだ。
「あれ!? 山風の姉貴! 来てたのかヨ!!?」
「…江風、うるさい」
「山風! 君も来てくれたんだね!」
「うん…アタシも、戦う……」
短く自身の戦意を伝えるのは改白露型「山風」
そんな彼女の後ろから出てくるのは、彼女が率いる駆逐隊の随伴艦のようだ
「やれやれ、もうちょっと声張ったらどうだい?」
「…アタシには無理」
「くはっ! そうかい? まぁ無理は禁物さね? 悪いね」
「別に…」
山風の横で飄々と笑うのは、サイドテールに眼鏡の駆逐艦。
「うぇい!? もしかすて「天霧(あまぎり)」ちゃんですか!!?」
「お~ぅそうだよ? ま、これからよろしく頼むよ「大統領」?」
「オレ提督なんですけど!?(興奮)」
「知ってるよん? 面白いねぇアンタ! 改めてよろしく!」
続々と新たな駆逐艦娘が顔を連ねる。
「…うぃっす」
「ど、どうも…」
「ナニィ!!!! 「藤波」に「沖波」だとぉーーー!!!!!」
「…とりあえず落ち着いてください」
「でも先生、これ「大漁」…」
「今ンなことゆうとる場合かっつぅのおおおおお!!!!!」
「はい(´・ω・`)」
「藤波が来たからには、やるよ。もち!」
「わ、私も…お役に立てるか分かりませんが」
「そんな気張らんでえいよ! とにかくこれからよろしゅうにゃぁ?」
「…はい!」
続いて出てきたのは、黄色の羽織を着た見目麗しい少女。その佇まいは、歴戦の勇士を思わせる。
「…ご機嫌麗しゅうございます、司令。神風型五番艦「旗風」御身の窮地に馳せ参じました」
「おお! ありがとう! 恩にきるわぁ!!」
「ふふっ、とんでもございません。これからは私もお供させていただきます。どうぞ何なりとお申しつけ下さいませ?」
優雅に一礼し、朗らかに笑う旗風。
「おう! …って危ない!?」
提督が見やる先には、駆逐隊より左舷側からの潜水艦、その雷撃が発射されようとしている姿だった
「! 遊撃…!?」
「させません!」
敵潜水艦に対して先制対潜。
沈んでいく敵を倒したのは、駆逐艦の少女の平均的な大きさより一回り小さい幼子だった。
「ふぅ…はっ! いけない!? 司令、おはようございます! 択捉型海防艦「択捉」! 参上しました!」
「うわぁ…オレこんなに、明日死ぬんやない?」
「現実見てください!? 今がその死ぬかも知れない時ですよ!!?」
徳田がそう言うが、提督は内心は大丈夫だろうと思っている。
潜水艦群に対する対潜駆逐隊。彼女たちがいればなんとかなるだろうと。
「ここは……アタシたちに任せて!」
「任せるわ! ホンマにありがとう!!」
だが、援軍はこれで終わらない。
総督が苦虫を噛み潰したような顔をしていると、せんちゃんに向かって雷撃が迫る。
ドゴオォォォオオン!!!
『gugyaaaaaaaaaa!!!!!』
『!? ナニ!!?』
魔獣にクリーンヒットした雷撃を放った本人は、海面に浮上してきた。
「(ザパァ)…っぷはぁ! …アレ〜? 私何でここに??」
「んん?? お、おーい! オマエも艦娘かやぁ?」
「ん? カンムス?? ん〜そうみたいだねぇ?」
「え? なにそれ??」
「見たところ外国の艦娘のようですね? お名前は分かりますか、お嬢さん?」
「ん。「ルイージ・トレッリ」…だとぉ、思う? あ、ルイで良いよ〜?」
イタリアの潜水艦娘「ルイージ・トレッリ」改め「ルイ」。彼女は特に助けた風でもないようだが、敵意もないので軽々と艦隊の援軍に加わった。
「おぅ、可愛いにゃぁ?」
「ん? ナニナニぃ? ルイに一目惚れってヤツぅ〜? でもそれ「ロリコン」って言うんだよ?? ダメ大人だよぉ〜?」
「おじさんは紳士だから良いんだよ! イエスロリコンノータッチ!」
「こんな時に何言ってんだアンタ!?」
続々と集まる増援艦隊。形勢は提督側に傾きつつあったが、総督はこの展開も読んでいたのか平静であった。
「(…やはり、ヤツは危険か)」
総督は提督たちの隙を突き、深海群によって宿毛艦隊の「頭」を狙わんとしていた。
「! 司令官!! 敵前方より砲撃が来ます!!」
「!! うわっ!?」
吹雪が叫ぶ。提督たちが前を向いている最中、総督が合図を降ろす……
「させないよ!」
砲撃阻止の声が聞こえると、深海群を壊滅させんと艦載機の大群から爆撃の雨が降り注ぐ!
ヒューー…………ズウゥウン!!!
「ぐぅ…ッ!?」
『どわあぁぁぁあ!?』
黒が炎に包まれると、深海群の殆どが沈んでいく。
「た、助かった…? って今のはまさか!?」
提督が驚いていると、向こうからある二人が近づいてきた。
「提督!」
「てーとく! たっだいまー!!」
「飛龍! 蒼龍!?」
欧州の最深部、ドーバー海峡からまさかの帰還を果たした飛龍と蒼龍。
…しかし、ここで疑問が
「オマエらぁ、良かったけんどどうやって帰ってきたぁ!?」
「ん〜? それは…ナイショ★」
「にひひー! 後で教えたげる!!」
ボロボロになっていた二人だが、艤装の燃料と弾薬は補充済みだったようだ。
「提督! 欧州救援作戦、決戦艦隊は無事任務を完遂しました!」
「ほうか! ……ほうか、やったら皆ぁ無事なんやにゃぁ?」
「もちろん! …あ! そうだ! 向こうで新しい「仲間」が出来たんだぁ!!」
「え? それって…?」
二人は空を仰いだ。提督もつられて見上げる。
そこには、見慣れない「青い」艦載機が、持ち主のところに戻っていった。
「!? なっ……」
それを見て総督は驚愕の表情。蒼龍は朗らかに言った。
「私たちの泊地がピンチだって言ったら「自分も何かしたい」って、ついてきてくれたんだ!」
そこにいたのは、航空甲板が弓となった得物を携えた赤髪の女性…凛とした騎士のような高潔さが滲み出ていた。
総督が動揺を隠せない様子で女性に声を掛けた。
「君は……キミは、まさか………!?」
「…
― Ark Royal !
彼女の名は、イギリス海軍において特別な意味がある。
蒼龍たちと共に中型空母の完成形と称される誉れ高き「方舟」。
イギリス王室御用達の戦果上等のエリート…それが「アーク・ロイヤル」である。
「おおぉ!!」
提督がただただ感嘆の声をあげると、アークは提督を見やった。
「…貴方が、Admiral?」
「おう、オマエが…?」
「…そう、私がArk Royal.「鐘の音」は確かに届いた…これからはこの海の平穏のため、この身は貴方がたと共にあると誓おう!」
「おう! よろしゅう頼むわ「アーク」!」
「! …フフッ、ああ! こちらこそ!!」
欧州より最後の援軍が駆け付けた。これにより、形勢は完全にこちら側のモノとなった。
「……………フ」
「ん?」
「…ッフ、フフフ! フハハハハハハハハハハ!!」
「!? 貴方、まさかまだ隠し玉が…!!?」
徳田が警戒するが、総督はお手上げと言った風に嗤う。
「いや、もう「種切れ」だ。まさかここまでとは! まさか”封印”を施した状態でこれ程までとは!!」
「…? (何を言ってるんだ?)」
徳田が訝しむと、提督は最後通告を行う。
「言うてもイカンと思うけんど…どうにゃ? もうアンタだけでも逃げた方がええんやないの? オレらぁは深海のモンは倒さな思いゆうけんど、それでも」
「それでも「慈悲」を見せる、と? フハハハッ! 笑止! 笑止千万よぉ!!」
総督が嗤いながら指を鳴らすと、海面を揺らし浮上する巨大な「怪物」が現れる…!
『urrrrrrrrrrrruroooooooooooo!!!!』
空気が震え、心臓に直接響くような、鼓膜を突き破る轟音で吠える怪獣。
せんちゃんの魔獣の、ちょうど二回りは大きいであろう巨大生物に、総督は跳躍しその方に飛び乗った。
「お前をこのままにしておけば、いずれ私の最大の障害となる…今回はその計測も兼ねていたのだが…」
総督は艦隊に、呪詛を唱えながら最大の殺意を向けた。
「…充分だ。お前は「今」も、私と私の理想の最大の敵となる!!」
「…ほうか。しゃあないか、それじゃあ」
「オマエらぁ! 準備はえいか!! いっちょやったれや!!!」
「おーーーーーうッ!!!」
宿毛泊地始まって以来の最大の戦いは、遂に終幕へと近づいていた…
それに相対するは深海群の「総督」
果たして、勝敗は…天下はどちらのモノになるのか……
「- 偽りの平和を望む者たちよ。我が”理想世界”の礎となり…」
”シズメッ!!!”
その結末を知るのは、神以外にはいない…
to be continued
〇おまけ「秋刀魚祭り2017 その5」
― 宿毛泊地、秋刀魚祭り会場 ―
提督「秋刀魚焼けたぞぉー!」
「うぇーい!! (むしゃりむしゃり)」
提督「こらこらそんながっつくなや、まだあるきゆっくり食べや!」
照月「おいしぃ~」
ノリちゃん「秋と言やぁやっぱ秋刀魚だよなぁ~?」
磯風「…」
照月「どしたのいそちゃん?」
磯風「私の秋刀魚の霊圧が…消えた(ズゥゥ~~ン)」
自分で焼いて食べようとして、見事に焦がしたようです。
照月「じゃあ私の分けたげるよ!」
磯風「おお! 心の友よ!!」
どこのジャイ〇ンですか
ウォー様「はーい! 大根をおろしたものはここにたくさんあるわよ~!」
吹雪「ウォースパイトさん、そんな無理しなくても…」
ウォー様「違うの…何かが「すりおろさなきゃ」ってささやくの…」
吹雪「病気ですか!?」
赤城「一航戦、赤城! すります!!」
吹雪「赤城さん!?」
全く、真面目にやって…ん? 誰か訪ねてきたようですねぇ?
中国人の皆さん「うぃーっす!」
ツ級『シャ~♪』
ほっぽ『サンマ! サンマ♪』
吹雪「司令官、あの人たち…?」
提督「オレが呼んだがよ? 皆ぁで食べた方がえいやろ?」
吹雪「そうですね? ふふっ♪」
くうさん『そうそう! 今日は無礼講っすよぉ!!』
吹雪「くうさん!? いやいいんですけど、秋刀魚食べすぎじゃないですか?」
秋刀魚の串焼きが、両手に10本ぐらいですかね
くうさん『なんすかぁ!! 秋刀魚祭りなんだから食わなきゃ損っしょ!?』
吹雪「いやそうですけど…」
しゅうちゃん『…フトルゾ(ぼそっ)』
くうさん『てめええええええええ!!!!!######』
しゅうちゃん『フハハハハハハハハハ…(ぴゅー)』
吹雪「こんなに楽しそうにしてくれているなんて…」
提督「おう! また来年やろうにゃぁ?」
吹雪「…はいっ!」
こうして、無事に秋刀魚祭りは終了しました。
日本の秋の風物詩、秋刀魚祭りはこれからも我々を楽しませてくれることでしょう!
※…あ、皆さん。秋刀魚漁は完遂してますか? 作者はまだなのでギリギリまで頑張りまぁーす!
秋刀魚祭り2017 (秋刀魚)缶…じゃなくて完。