宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編   作:謎のks

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ここから先は独自設定のオンパレードとなります。アレだと思ってもほくそ笑むでオナシャス!


※e4のギミックについて
様々な憶測が飛び交った中から作者は「作中の方法」でやり、クリアしました。
確証はないですが、少なくともダメージは通りやすくなったと感じました。
皆も試してみてね! …え? 遅すぎる? イベ終わった??


ごめんねごめんねぇ~~~!!!


ではどうぞ。


宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-4 後編

綺麗だと思った。

 

 

その髪

 

その顔立ち

 

その身体

 

 

艶やかな、それでいて純粋な

 

彼女の全てが 私には好意的に思えた。

 

 

 

 

…ああ、愚かだ。

 

私は愚かにも…愛してはいけないのに

 

愛してしまったのだ…彼女を

 

 

 

 

 

―”忌むべき存在”の彼女を

 

 

 

 

 

肌は灰色だ

 

目は虚ろだ

 

時折口から牙も見える。

 

正に「化け物」だ。

 

 

 

 

…それでも、そんな彼女が「愛おしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今にしてみれば、それが私の最初の罪だったのだろう…

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「ぐっ…なんという硬さだ!?」

 

口惜しむように長門が口にする。

 

目の前には、紅海最奥に佇む「戦艦」…敵艦隊旗艦が、疎ましそうに一行を睨みつけていた。

 

 

 

…………………………………………………

 

―敵艦隊・接敵―

 

クラス「姫」出現…

 

 

   戦艦

戦 艦 仏 棲 姫

 

 

 

『コナクテ……イイ…ノニ』

 

彼女がそう言うと、備えつけられた巨大な深海艤装が、うねうねと不規則に動きながら砲火を爆ぜた。

 

その脅威を退けたのは、長門の背後から軌跡を描きながら放たれた46cm三連装砲の弾丸。

 

その持ち主は、長門と同じあの日本の誇る大戦艦であった。

 

 

 

○スエズ運河決戦艦隊(水上打撃部隊)

 

第一艦隊

あきつ丸(旗艦)

長門

大和

ウォースパイト

ザラ

隼鷹

 

第二艦隊

矢矧(旗艦)

朝潮

叢雲

北上

妙高

プリンツ

 

 

 

「長門さん、お怪我は?」

「…ああ、助かった、大和」

 

唐傘を差し、優雅に振る舞う大和。

彼女こそ、かつての大日本帝国の真の切り札。

様々な、強力な深海の姫をその主砲で屠っていった正に「決戦兵器」。

 

「それにしても…噂以上ですね? あの「姫」の尋常じゃない硬さは…」

「ああ、今の私の主砲もヤツには届かなかった…」

 

そう、主力戦艦の長門、彼女にまさかの改二が実装されたのだ。

 

様々な用途が可能となり、戦闘能力も大幅に上がった…正に鬼に金棒、敵なしであった。

 

…だが、そんな彼女であっても、敵旗艦にかすり傷を付けることで精一杯だった。

 

まるで巨大なエスカルゴ(カタツムリ)のような深海艤装に跨り座る戦艦仏棲姫。その姿を捉えることは容易であったが、肝心の損傷(ダメージ)を誰一人与えられなかったのだ。

 

彼女の周りに展開する障壁は、従来の姫のものと一切の違いは見当たらなかった、のにだ。

 

人によっては、この窮地を無理矢理に力で押し通る提督もいるだろう…だが、それは持久戦を意味する。

 

泊地艦隊にはそんな時間は無かった…資材の問題ではない。仲間として迎えていた空母棲姫が、何らかの理由かは分からないが「殺意を漲らせた姿」となってしまった。

 

恐らく今回の目的地…欧州、地中海の何処かに彼女はいる。一刻も早く彼女を救出しなければならない…そのためには

 

『モウ…帰リナサイ……帰ッテヨ…』

 

戦艦仏棲姫…障害となる彼女を倒す必要があった。

 

…その鍵を握るのは

 

 

 

 

・・・・・

 

「紙ぃ? それがどうしたぁ?」

 

提督が不可思議そうに矢矧に訪ねた。

矢矧は自身の思うところを提督たちに伝えた。

 

『彼女が消えようとした一瞬、私には何かを伝えようとしていたように感じたわ…残念ながら、聞き取ることは出来なかったけど…』

「ほうか…」

『でもその後、この「紙」が上から降ってきたの。これは彼女のメッセージよ』

 

そう言うと矢矧は、紙に書かれた言葉を読み上げた。

 

『「ソレデモ進ムナラ「L」ヲ叩ケ」…だそうよ?』

「Lぅ? なんやそら??」

「何かの暗号でしょうか?」

 

提督と吹雪が話し合っていると、蒼龍がふと目に付いた「海域の地図」を指さした。

 

「ねぇ? 普通にあの「マスの目」のことじゃない?」

 

蒼龍の言っているのは、海域の深海艦隊予測邂逅ポイント。

 

アルファベットのAから順番にポイントごとに振られている、地図における記号のような役割を果たしている。(ボス「マス」とはこのこと)

 

この場合のLマスとは、スエズ運河への海路、紅海のちょうど中流…そこにはある深海の「姫」がいるとのこと。

 

「うーん…何が出るか分からんけど、くうさんが残してくれたもんやし、いってみるかよ!?」

「まだ彼女が残したと決まったわけでは…」

『いいえ、私も提督に賛成よ? …噂ではこの先の姫は、とんでもなく「硬い」らしいから』

「ギミック解除になるかもってこと? …ん? 硬い? 強いじゃなくて??」

『そう言われてるらしいけど、事実確認は出来ていないから何とも言えないわ?』

「おっしゃ! いっちょやってみるかよ!! …ってこの場合どうしたらえいのん?」

「ええ…」

『提督、私から意見具申させてもらっていいかしら?』

「お? なんや矢矧、えいアイデアがあんのや?」

『そうね…ちょっとルール違反になるかもだけど、この際細かいことはナシにしてくれるなら…?』

「おぉ? 真面目なオマエが珍しい……ん! えいよぉ! 責任はオレがとるき、やってみぃや!」

「し、司令官…;」

「泥船に乗った気分ってこういう感じなんだねぇ…?」

「人が真面目に話しゆうに、何やのん…」

 

こうして、矢矧の立案のより「ボスマス、Lマスを同時に叩く」作戦が開始された。

 

ボスはあきつ丸を旗艦とした、テンプレートな主力戦艦水上打撃部隊が組まれる…では「Lマス」は…?

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

ここは、紅海の中流…

 

付近の人里から離れた場所の岩陰に、静かに身を潜める一人の「姫」がいた。

 

『…サテ、ト…?』

 

彼女が手をかざすと、ホログラムが出現した。

 

そこには、何かの割合(%)が表示されていた…

 

『供給率80%…フム、悪クナイ』

 

彼女は満足そうに画面を見つめる。

その傍らに、スマートフォンでネットの情報を収集する。

 

『フゥン、e4ノギミックハe1トe2ヲ叩ケバ良イ…カ? フフンッ、ソレハドウカナァ?』

 

まるで嘲笑うような顔で、彼女…「集積地棲姫」は誰に対してでもなく呟いた。

何故、集積地はこのような場所に居るのか…それは彼女が「陸上型」であることが関係している。

 

そもそも陸上型の本質は(所謂、研究からの推測に過ぎないが)深海艦隊の「本拠地」として機能している。

 

単体の戦闘能力も凄まじい彼女たちだが、一旦海域の陸地や島に居を構えると、そこが深海群にとって城…「本殿」と化すのだ。

 

将は、兵が如何に強くとも守るべき「城」が無ければただの暴徒となる…艦娘や深海棲艦にとって守るべきものが「鎮守府」か「陸上型」かの違いになるだけ…

 

尤も、それに当てはまらない事象も数多くあるが、根拠はある。

 

それは、海域上の陸上型を倒せば、付近の深海棲艦(鬼、姫クラス含む)の戦闘力が著しく低下する…ということ。

 

加えて、陸上型は補給艦が運んだ物資等を「吸収」し、それを「蓄える」…そのエネルギーが海域の「核」となっている深海の姫に送られているのだとしたら…?

 

『マァ、コノママイケバ、充分時間ハ稼ゲルダロウ?』

 

集積地はそう言って、買ってきたのだと思われるハンバーガーを一口かじる。

 

『アムッ、ムグムグ…』

 

彼女が本殿であるか、果たしてそれは分からないが、彼女が戦艦仏棲姫に細工を施していることは明白であった。

 

『…ンー、イマイチダ。コノ前食ベタ宿毛ノサラトイウ女ガ作ッタヤツノガ一番美味カッタ…「本場ノ味」トイウノカ?』

 

集積地はそう言うと、寂しそうに空を見上げた。

 

『ハァ…』

 

ため息を一つ吐くと、遠くから聞き慣れた音が近づいて来るのが判った。

 

『来タカ…ソウカ』

 

少しだけ、和らいだ表情になると、集積地は海に身を乗り出しその足を海面に浮かべる。

 

揺蕩う水面に重心を預けると、そのまま待ち人の到来を待つ。

 

遠くの空からは、これも見慣れた「艦載機」が…

 

『ソロソロダト思ッテイタ…「加賀」』

 

艦載機の後に続くように、水面を滑りながら近づく人影。

 

「…やっぱり、アンタがそうなが?」

 

加賀と彼女の率いる「支援艦隊」は、集積地に近づくと核心を衝くように言った。

 

『サテ、ナ…? ボクヲ倒セバ、解ルンジャナイカ?』

「…はぁ、何でアンタらぁは、そうやって何にも話そうとせんが? イラつくち。」

 

頭を掻きながらぼやく加賀に対し、集積地は終始不敵な笑みを絶やさない…少し嬉しそうなのは気のせいか? と加賀は思った。

 

『ヤルコトハ同ジダ…ソウダロウ?』

「まあ、そうやね? …アンタら、準備はえい?」

「ポイッ!!」

「綾波、いつでも行けます!!」

 

駆逐艦二人の頼もしい言葉に頬を緩ませると、凛とした声で開戦を告げる。

 

「ウチらが爆撃で足を止める。その隙に突撃する…いつものことやきって、調子に乗られんで?」

「「はいっ!(ポイッ!)」」

「えい子や? …サラ!」

「Aye, aye, sir! 派手にやっちゃいましょう!」

 

お互いの行動を確認し合うと、そのまま二人の航空母艦は弓を引く。

 

集積地は手製の「大篭手」を着用すると、そのまま戦闘態勢に移る。

 

『サア…「返リウチ」トイコウカ!!』

 

スエズ運河をめぐる戦いの裏で、もう一つの戦いの幕は、切って落とされた…。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

『………ッ!?』

 

戦艦仏棲姫が、その身に違和感を感じたのは一瞬。

 

それから、力が無くなったかのように彼女の周りの障壁は点滅を繰り返し始めた。

 

「! 今が勝機だ!! やるぞ!!!」

「了解であります! …全艦、砲撃戦用意! 殲滅するであります!!」

 

長門の号令と、あきつ丸の砲撃戦の合図に、連合艦隊に緊張が走る。

 

第二艦隊旗艦矢矧は、自身の策案が功を奏したことに、胸の内で安堵していた。

 

「…ふぅ」

「矢矧ぃ♪ そんなカタい顔しちゃダメだよぅ?」

 

矢矧の肩をポンと叩くのは、ドイツ海軍きっての武勲艦…重巡「プリンツ・オイゲン」。

 

幸運艦としても知られる彼女は、現在派遣されているドイツ海軍組の中でも実力が抜きんでていた。

 

が、それをひけらかすような真似はせず、むしろ朗らかに相手に接する「良い意味でらしくない」艦娘である。

 

「Flaggschiffはデンッて構えて、ヨ・ユーでいなくちゃ! そう、ビスマルク姉さまみたいに、ね!」

「…ふふっ、そうね? 助言ありがたいわ、感謝ね? プリン」

「そう? Danke! 感謝っ! ね?」

 

明るく振る舞う彼女は、艦隊のムードメーカーを買って出ていた。因みに「プリン」と言うあだ名は彼女が言い出したもの。

 

「ニホンは凄いね! Prinzも可愛らしく言えるなんて! …え、「Pudding」なの? うーん…いいや、気に入っちゃったし、プリンって呼んで!」

 

…と言う訳で、誰彼構わず「プリン呼び」させたガールが誕生したのだった。

 

「さて、これからどう動くべきか…」

 

矢矧はその眼を鋭く光らせ、これからの状況を冷静に観察する。

 

矢矧はその身を「第二水雷戦隊旗艦」に置いたことがある、名だたる水雷戦隊旗艦を務めた軽巡たちに負けず劣らずの実力者である。

 

神通が「特攻で道を拓く」、阿武隈が「連携で敵を撹乱させる」のに対し、矢矧の戦闘スタイルは「耐える、予測する」。

 

相手の出方を伺い、少しでも動きがあれば、そこから先、そのまた次を予測し、そこから敵の「パターン(弱点)」を導き出す。

 

その耐える姿勢は、史実の耐久性を思わせ、それを活かせる戦法が予測なのであろう。

 

「皆、お願い……!」

 

果たして、勝負の行方は…

 

 

 

 

―敵艦発見!攻撃開始!―

 

 

 

敵は、水上打撃連合艦隊…奇しくも「殴り合い」の形になったが…

 

旗艦のギミック解除された今、基地航空隊の爆撃が―――

 

 

 

『………シツコイ人』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イ…ッ!

 

 

ブオォン……!

 

 

「な、何だと…!」

 

長戸が驚愕した理由…それは、先ほどまで消えかかった障壁が、稲妻と共に復活したこと…!

それによって、基地航空隊の攻撃が意味の成さないものとなってしまった。

 

『下ラナイコ…駄目ネ?』

 

一筋縄ではいかない…肌で感じ取った第一艦隊。

 

「くっ! …ならば砲撃でやるまで!!」

 

長門が改装された主砲を、連続射出…徹甲弾が敵艦にクリーンヒット!

 

『■■■■■■■■■■---!!?』

『邪魔ナノヨ…!』

 

…しかし、戦艦仏棲姫には、まるで効いておらずそのまま反撃を繰り出された。

 

「! 長門さん!!」

「うおおおあ”っ!」

 

強力な砲撃だが、長門はそれを拳で何とかうち返した。…その時

 

「ぐ、くっ…こんな、ものか…侮るな?」

『………ピクッ…』

「…?」

 

大和は戦艦仏棲姫が、僅かに眉間を動かしたことに気付き、違和感を覚えた。

 

「この長門…この程度では……沈まんぞ?」

『………ッ!!』

 

不敵な笑みを浮かべた最中、長門に向かって集中砲火をする戦艦仏棲姫。

 

「な”っ!?」

「ウォースパイトさん!」

「分かったわ! 迎撃する! open fire!!」

 

二人はそれに対して攻撃、交わる砲火がまるで花火のようだった。

 

「すまん、二人とも…。」

「are you all right?」

「ああ…しかし大和、今のは?」

「はい、私も同じ考えだと思います。」

「…うむ、この事柄は矢矧に伝えよう。」

 

二人は通信で、矢矧に伝える…感じたままに、ある違和感を。

 

 

 

 

・・・・・

 

「分かったわ…ありがとう、大和。長門にもよろしくね?」

 

報告を聞き、通信を切ると矢矧は考えを巡らせた。

 

(なるほど…だとしても、迂闊に動く訳には…)

 

矢矧は思いながら、戦艦仏棲姫を見やる。

 

第二艦隊を挟んでいるため、表情をあまり見れないが、それでも向こうに「苛立ち」のようなものを感じた。

 

「何か、決定的な何かがあれば…」

 

すると矢矧は、敵のある法則を見出す…それは

 

ドォンッ!!

 

『! (クルッ)』

(…? 方向を変えた?)

 

そう、敵が自身の死角…背後の方角には絶対に攻撃を受けない(受けさせない)ということ…

 

(! そうか! 弱点は…)

『…退キナサァイ』

 

矢矧が思い悩んでいると、向こう側から攻撃を仕掛けてきた。

 

ズゥン! と響く轟音は、殺弾として真っ直ぐに矢矧に着弾しようとしていた。

 

「ちょっと矢矧! 危ないわよ!?」

 

すぐさま反応し、矢矧を窮地から救ったのは…

 

「っと…! あ、ありがとう、叢雲」

「全く、旗艦がこんなんじゃやってられないわね? ま、無事で良かったけど?」

 

皮肉を言いながら優しく安堵するのは特型駆逐艦「叢雲」。吹雪の妹なのだが全く似つかない…だが実力は折り紙つきで、改二も実装されているほど。

 

「ホント、少し注意が逸れていたわ、気をつけなくちゃ。」

「無理もないと思うけどね? …あんな事があった後じゃあ…?」

「そうね? …! 叢雲!」

「落ち着きなさいって、分かってるわよ?」

 

言うと叢雲は、身を翻し華麗に砲弾を避けてみせた。

 

「叢雲、流石ね!」

「ま、当然ね? あんな牛みたいなバルジぶら下げた奴の砲撃なんて、止まって見えるわ?」

「それは……あはは?」

 

矢矧が苦笑いしていると、向こうから殺気の混じった視線が刺さった。

 

『……………ッ!!』

「(! やはり、そう…だとしたら)叢雲、ちょっと良い?」

「え? 何よ? 耳?? もうっ……………アンタ、それ本気で言ってる?」

 

矢矧の考えが伝わると、叢雲は呆れたように聞き返した。

 

「本気よ? 貴女にしか頼めないと思ってる。」

「何よそれ? …まぁいいわ、やってあげる。」

「ねえねえ? 何話してるの? はっ、まさかこれがニホンの「ガールズトォクゥ〜」というアレなの!?」

「なわけないでしょ…」

「丁度良かった! プリン、貴女にも頼みたいことがあるの?」

「ガッテン! プリンの本気見せたげるぅー!!」

「それ涼風のセリフでしょ…?」

 

矢矧の予測は確信となり、それは彼女たちの戦いの最終段階を表していた。

 

 

 

 

・・・・・

 

―我、夜戦ニ突入ス!―

 

 

月明かりの下、スエズ運河を巡る戦いは、遂に最終フェイズを迎えようとしていた。

 

立ち塞がるのは、今作戦最強の壁「戦艦仏棲姫」。

 

随伴艦は居なくなり、残るは彼女一隻(ひとり)…だが、ここからが山場。

 

彼女を倒さなければ、この先には進めない…しかしその装甲は、容易く砕けるものではなかった。

 

宿毛泊地艦隊にとっても、正に一瞬を制する戦いであった。

 

夜戦…その一番槍となったのは矢矧。艤装に備え付けられた「20.3cm連装砲」が爆風を上げた。

 

「てえぇっ!」

 

ズドゥン!!

 

『……グッ…!?』

 

ようやくダメージらしい呻き声をあげる戦艦仏棲姫。負けじとすぐさま砲を構えた…

 

「ハッ、構えるだけにどんだけ時間かかってんのよ? 私だったら秒で返してるわね!」

 

ピクッ

 

照準を叢雲に向ける。叢雲は挑発を続けた。

 

「そんな牛みたいなモノぶら下げてるから、しょーがないんでしょうけど? 今時さぁ装甲だけの戦艦とかどうなのぉ? ホントダサいわねぇ〜? 恥ずかしくないのぉ??」

 

……ギリッ…!

 

相手のプライドを巧みに逆撫でしていく叢雲。余裕さえ感じられた戦艦仏棲姫の顔がみるみる内に激情に駆られていった…。

 

「あら、怒らせちゃった? ゴメンなさいねぇ〜私ったら本当のことばかりぃ? ま、否定はしないけどね! 流石に低速過ぎるし〜?」

 

 

…ブチィッ!!!

 

 

嫌味ったらしく言ってのけた叢雲に、遂に怒髪天を衝く戦艦仏棲姫。

 

『a”a”a”aaーーーーー!!!』

 

これでもかと、深海艤装から砲弾が雨あられと降り注いだ。

 

「うぉっと!?」

 

波がうねうち、バランスが保っていられない程の鉄の雨。その一弾(ひとつぶ)は、無慈悲にも叢雲に着弾しようとしていた。

 

「ッ!?」

「叢雲!」

 

ドンッと叢雲を押しのけ、矢矧は自身が身代わりとなって弾幕をその身に受けた。

 

ズゥン ドガァン ガァン!!

 

「! 矢矧!?」

 

…弾幕が収まると、硝煙があがる。その中から矢矧は…「大破」の状態で出てきた。

 

「矢矧! アンタ段取り違うわよ!?」

「ご、ごめん…私が言ったことだけど、貴女が沈むんじゃないかって思ったら、つい…」

「つい、じゃないでしょ!? あぁ、服も艤装もこんなに…私なら避けられたのに、無茶しないでよね?」

「それなら大丈夫よ? 「私を沈めたいなら、魚雷5〜6本ぐらい撃ち込まないと、ダメ」よ?」

「ホンットにアンタは、吹雪じゃないんだから……まぁでも?」

『g"ua"a"a"aaaaaa!!!』

「アイツ…完全にコッチに夢中ね?」

「ええ、先ずは「クリアー」。次は…北上さん! お願い!」

「あいさー! いくよ朝潮!」

「了解! 突撃します!!」

 

二人は闇夜に紛れ、戦艦仏棲姫の死角から砲撃をぶちかました…!

 

『ナ”ッ!? グッ、ヴウウゥゥゥ!!?』

 

彼女を守る障壁が震える。その時、ひび割れる様な音が

 

ピキッ パキッ

 

『!!?』

「よし、第二段階クリアー…後は撃ち込むだけ!! 妙高さん! プリン!!」

「了解! 行きましょうプリンちゃん!」

「はーい! 魚雷発射管、よぉく狙ってぇ……よーし、発射ぁー!!」

 

艤装に取り付けられた、ありとあらゆる魚雷が一斉に夜闇の海に消えた。……………程なくして、崩壊寸前の壁を槍が貫いた。

 

『キャアアアアア!!?!?』

 

重音が静寂の空間を響き渡り、彼女の悲鳴が、只虚しく木霊した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

アラ…ソウナノ……? コレデ……終ワリ…? マタ…私、何モ………ナニモ………ッ!

 

 

「…吹雪、ちょっとえいか?」

「え? はい……あぁ、可能だと思います。」

「ほうか、やったらよろしゅうしちょいてや?」

「…分かりました!」

「? なに?」

 

 

吹雪がパソコンの前で、何やらを設定し始める。

 

すると、沈む寸前の戦艦仏棲姫の前に、ドローン型の飛行物体が、そのまま何かの光を投射し始める。

 

「準備できました!」

「おう」

 

そのまま、パソコンの前に移動する提督。すると…

 

 

………ソの…笑顔………な…ニ…?

 

 

「…ごめんなぁ? 急いじょるからち、オマエにひどいことばぁして?」

 

 

………

 

 

「でも、オマエも疲れたやろ? …もう休んでもええんやで? ここには、オマエの「敵」はおらん。そういう事よ?」

 

 

……! そうカ…違うノね? 敵はいナイ…のネ……?

 

 

「そうよぉ? オマエは頑張った! それはここにいる誰もが分かっちゅうき! …早よう寝ぇや? 美人さんが台無しになるで?(ニカッ)」

 

 

…そうか、ソう…………そうよね?

 

 

 

――Merci, ”mon amiral”

 

 

 

そう朗らかに告げると、彼女は月光と共に、海の中へ消えていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「なるほどねぇ? 正に愛の告白ってやつだねぇ?」

「お? 何のことよ??」

「ダメですよ蒼龍さん、司令官そういうの全然気づかないニブチンなんですから?」

「ひどうない? ねえひどうない??」

「何にしても、これでe4はクリアしました! これにより、前段作戦は終了となります!」

「ぃよし! とりあえず何とかなったね?」

「おう! この調子で…って言いたいけんど?」

 

前段作戦終了の吉報に沸く提督たちであったが、すぐに静まった。

 

これより始まる「後段作戦」…それは、どれもが高難易なものとなるであろう…

 

何より、「戦艦仏棲姫」の強さは、従来の最終海域のボスと遜色ない強さだった……詰まる所、彼らの思うことは

 

 

―この先、どのような”化物”が潜んでいるのか。

 

 

まだ見ぬ欧州に思いを馳せ、宿毛泊地艦隊は、いよいよスエズ運河を抜け「地中海」へと向かうのだった。

 

 

 

 

― wait till next e5 -




〇宿毛泊地メモver.3

〇大和
超大型戦艦「大和型戦艦」の一番艦。
優雅な雰囲気の持ち主だが、その主砲の破壊力は泊地…いや「全鎮守府」でも一、二を争う。
決戦艦隊の切り札であるが、その分資材消費もハンパないのでご利用は計画的に?

よく食べる(冷蔵庫空になる位)。因みに好物は提督の作る「鯨のから揚げ」

〇プリンツ・オイゲン
ドイツの誇るAdmiral Hipper級三番艦。
幸運艦としても知られ、武勲もあるが普段の態度からその片鱗は見られない。
朗らかラッキーッガールは、他人には「プリンちゃん」と呼ばせたいようだ。

〇叢雲
吹雪の妹の特型駆逐艦。
ツンケンした態度だが、その実は仲間思い。所謂ツンデレ。


―艦娘の一言―(蒼龍)

「何だろ…嫌な予感じゃないけど、妙な胸騒ぎが…?」
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