宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編   作:謎のks

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はい、皆様おまちかねのe7でございます。

欧州を救うため、提督たちは遂に今作戦「ラストダンジョン」に挑みます。

果たしてその結末とは…?


それでは…どうぞ!!

※言うほどでもないですが、オリジナル要素、展開多めとなっております。ご了承を。



宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-7

「---! 今日からよろしくな?」

 

 

 

―――――

 

 

 

「やったな! ---!! また俺たちの手柄だってよ!」

 

 

 

―――a――

 

 

 

「ごめんな---。…つらい思い、させちまったな?」

 

 

 

――?――――

 

 

 

「---! お前は俺たちの誇りだ!!」

 

 

 

――――――――h――――り――――?――

 

 

 

 

 

………誇り…!

 

 

 

 

 

彼女にとって、彼らは「誇り」だった。

彼女にとって、彼らは「生き甲斐」だった。

彼女にとって、彼らは「愛し子」だった。

 

短い艦命だったと自覚しているが、それでも悔いはない…ない筈だった。

 

仄暗い闇の中、彼女は想起する…自身の過去を

 

唐突過ぎる別れを…

 

 

 

「お前はここで沈まない! 俺たちが! 沈ませない!! だから…沈むな! ---!!」

 

 

 

……ああ

 

 

 

「やめろ! 離せ!! 俺はこいつと…あぁ、---…ッ!」

 

 

そうか…沈むのか………私は……

もう思い残すことは無い…充分戦った。

 

だから…そんな顔をするな…これは必然なのだ。

 

 

 

私も……還る…の…だ……あの…空へ………

 

 

 

 

 

 

 

― ホントウニ?

 

本当に…私には、悔いはないのか…?

 

私にはまだ…やり残したことが………

 

 

 

 

― ソウカ…なラ、カエろウ。

 

ワタシをヒツヨうとしていル、カレらのモとヘ…!

 

 

 

そノジャマヲスルもノハ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユ ル サ ナ イ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

「西方再打通! 欧州救援作戦」

 

LAST STAGE E7

 

「ドーバー海峡沖海戦/北大西洋海域」

 

欧州救援作戦、いよいよ最終段階!

 

北部大西洋に展開、敵戦力軍を撃破! 最深部にて敵主力と交戦、これを撃滅せよ!!

 

 

〇ドーバー海峡決戦艦隊(空母機動部隊)

 

〇第一艦隊

 

榛名(旗艦)

照月

蒼龍

飛龍

加賀

サラトガ

 

〇第二艦隊

 

速吸(旗艦)

朝潮

五十鈴

アイオワ

北上

 

 

 

 

ドーバー海峡。

 

それは、イギリスとフランスを隔てる、別名「英仏海峡」。

 

その幅は、直線距離34kmと短く、その昔は陸橋が二国間を繋いでいたという…。

 

遠泳スポットとしても有名で、多くの人々がチャネルスイマーを目指して、その過酷な環境に挑んだという…。

 

その海峡、及び周辺の海域は、今や深海群の手中に落ちてしまった。

 

提督たちは荒れ果てた欧州を救うべく、その元凶たる姫に、戦いを挑むのだった。

 

しかし、欧州を統べる姫。その王宮へ向かう道のりは、これまでのどんな海域よりも険しいものだった。

 

 

 

 

『イヒヒヒャ! 待ッテタヨォ! 遊ボ! 遊ボ!!』

 

そう彼女たちに狂い笑いを向けるのは「潜水新棲姫」。

E1で対峙した彼女だが、今度はこの海域における道中の潜水艦たちを纏める存在として目の前に現われた。

 

自慢の深海魚雷で「先制雷撃」をかますと、第二艦隊の北上に損害が出た。

 

「に”ゃーーー!?」

 

大井が見たら発狂は確実の光景。魚雷が刺さりはしたがそれでも中破判定で耐えてくれた。

 

「うぅ…防御力は無いんだっでばぁ」

『イヒ! イヒヒ! 面白ーイ!』

「ねぇ、アタシたち急いでるからさぁ、後にしてくんない?」

『ヤダ! 遊ブッテ約束シタモン! 今スグ遊ンデクレナキャヤダ!!』

「えぇ〜それ神通がしたんでしょぉ〜? アタシら関係ないし…」

『イイモーンダ! ソレナラ勝手ニ遊ブカラ。ヨーシモウ一発ー!』

 

深海魚雷を装填し、発射。まるで積み木を積み上げて崩す遊びのように楽しげに笑う。

げっ、とする北上だったが彼女の前に

 

 

ぬっ

 

 

『!?』

 

と巨大な壁の如く現れたのは、サラと同じくUSAが誇る「アイオワ級戦艦・アイオワ」である。

彼女が庇ってくれたおかげで、魚雷は不発に終わった。

 

……ポフッ

 

「Oh! 危なかったネ? キタカミ、大丈夫ですかぁ?」

「ふひー助かったぁ。サンキュー「アイ」、今度何か奢るよ〜?」

「Wow! じゃあまたマミーヤに行きたいデス! meはアソコの料理 very like ネ!」

 

たゆたゆと自慢の胸部装甲を揺らしながら、海兵隊風のアメリカンガールは喜びを表現した。

金髪蒼眼、絵に描いたような米国美人だが、その実はニッポーンの事に興味深々。

提督からは「アイちゃん」と呼ばれている彼女。そんな彼女が泊地に来てから、もう一年以上は経過している。

おかげで「これでmeもニッポーン人ネ!」などとグラーフみたいなことを言う始末。

 

「Thank…woops! ごめんなさい、えっと「ドーモ=アリガトーゴザマス」。こんな感じ?」

 

お辞儀をしながら笑顔で回答を求めるアイ。北上は「あ〜まいいんじゃない?」と適当に答えた。

 

「むー、キタカミ「スゴイ=シツレイ」ネ?」

「はいはい…ん?」

 

『アワアワアワワ…』

 

見ると、アイに圧倒されたのか潜水新棲姫はガチガチに固まってしまった。

 

「Oh! pretty girl!!」

 

アイは新棲姫を掬いあげると、そのまま抱きついた。

 

「ニッポーンの友好表現は、こうやって抱きついて「ヨーシヨシヨシ」すると良いってadmiralが言ってたヨ!」

「う〜ん、それは一部の動物好きの話じゃない?」

「そうなの? でもすごくfunな気分ネ!(ナデナデ)」

『イッ!? イタイ! ヤメッ、ヤァ…モォ!』

 

無理やり拘束をほどくと、新棲姫は海中に戻っていった。

 

「Hey? what's wrong?」

「痛いってさ、えっと「いっつぺいん」だよ?」

「really? oh,shit! ごめんなさいネ?」

 

新棲姫は海面に顔を出すと、ジト目でこちらを見つめ口で泡をブクブク吹かせていた。

 

「ありゃ〜」

『もうIowa! 失礼なことしちゃ駄目よ?』

 

通信からサラの窘める声が聞こえる。

 

「ホントにごめん! I'm sorry!」

『…ッベー!!』

 

舌を出してふて腐れると、そのまま潜って何処かへ行ってしまう潜水新棲姫。

…が、一度だけ浮上し、振り向きながら大きく片手を振る。その顔は笑顔だった。

 

「また遊びまショー! Bye!」

「または嫌だなぁ〜?」

 

アイは笑顔で手を振り返し、北上はもうこりごりだと顔をしかめるのだった。

 

 

 

「もうIowaったら、調子に乗って…」

「いーじゃんサラさん! 私はアイちゃんのああいう元気なところ、好感持てるなぁ!」

「ふふっ、確かにHiryuとは気が合いそう…はぁ。」

「どうしたが? 気分が悪うなったが?」

「いえ! そういうわけじゃなくて…私たち(アメリカ艦)が欧州…いいえ、イギリスを救う事になるなんて…感慨深いなって?」

 

サラはそう言って、紅くなっている「畏怖すべき」空を見上げる。

彼女たちの国、アメリカのルーツはイギリスにある。

今でこそ世界経済の担い手として巨大になったアメリカとイギリスが兄弟のような間柄だと知っている人は、少ないかも知れない。

 

サラが思いに耽っている隣、同じく静かに考えている緑衣の空母がいた。

 

「…」

「蒼龍さん?」

「えっ!? 何? 敵襲!? 見張ってるよ! ボーっとしてないよ!!?」

「おいおいぃ蒼龍よぉ? 少し落ち着けぃよぉ? リラーックスぅ。」

 

照月とノリちゃんが、蒼龍に話しかける。彼女はまるで耳に入っていなかったように少し取り乱す。

 

「…あ、何だ照月ちゃん? どしたの?」

「いえ、さっきからボーっとしてるなぁって?」

「…あぁ、やっぱりそう思う?」

「まーぁなぁ? どぅした? 何か不満でもぉあるかいぃ?」

「不満なんて、逆に嬉しいくらいだよ! 久しぶりの最終海域だし…んー、でも…?」

「でも?」

「…私なんかに、「その子」を何とかできるのかな…って。」

 

蒼龍は、泊地の執務室にて艦隊の応援に徹していた。

それは決して彼女が後輩や仲間に出番を譲っていたわけでなく、逆に自分では役に立てないと卑下する心情の表れでもあった。

 

現在の泊地の空母は、軽空母込みで「22隻」。正規空母だけでも10以上はいる。

 

何の取り柄もない自分よりも、戦歴も練度も十分な娘が戦った方が、泊地も安泰だと本気で思っている。

 

…そんな彼女に出撃命令が下ったのは、くうさんの発した一言である。

 

 

 

・・・・・

 

『ウチは、蒼龍さんが良いと思うんす。』

 

「…え? 私??」

『そうっすよ? 適役っすから。』

「いやいやくうさん、オレらぁにも分かるように話してや?」

 

提督がそう言うと、せんちゃんが説明する。

 

『我々モ自分ガ何者カハ知ラン。ダガ、オ前タチノ考エガ正シイノナラ…』

 

 

彼女は―――

 

 

「…ほうか」

(…やっぱり、ね?)

 

二人の話を聞き、神妙な面持ちになる一行。

 

「その…「彼女」に蒼龍さんを合わせて、どうするんですか?」

『そりゃ…話を聞いてもらうんす。』

「えぇ…」

「オレが言えんことやけど、それもどうなのよ?」

『ナンダ? 快諾シテクレルト思ッタノダガ。』

「いやぁ…それとこれとは」

『あの子は多分、「勘違い」してるだけだと思うんすよ? だから…蒼龍さんが、こうビシッと』

「貴女方のような温厚性があるならまだしも…その彼女って」

 

吹雪が口を濁すのも無理はない。

欧州を陥落させた姫…彼女が二人のように話を聞いてくれるとは、とても思えなかった。

 

「…どうな、蒼龍。やってみるか?」

「わ、私に振るの!?」

「オマエのことやき当たり前よぉ。…んで? どうなん?」

「う、うーん…」

『蒼龍さん、お願いします! あの子を見てると、こっちまで可哀そうになって…』

『私カラモ頼ム、彼女ノ魂ヲ、救ッテヤッテクレマイカ?』

「………分かった。微力で良ければ、力を貸すよ?」

 

こうして、欧州を救うドーバー海峡決戦艦隊。その中に蒼龍が組み込まれることとなった…

 

 

 

・・・・・

 

「はぁ…」

「私は、蒼龍さんなら大丈夫だって思いますけど?」

「アハハ、照月ちゃんお世辞上手くなったねぇ。」

「違いますよぉ! 私は蒼龍さんを」

「照月ぃ、それ以上はアイツの仕事じゃあねぇかい?」

 

ノリちゃんが見やる方向から、黄色の振袖を揺らし近づく人影が…

 

「もう蒼龍! いつまでウジウジしてんの!!」

「飛龍…」

「アンタを信じてくれてるから、くうさんはアンタにその子を託したんだよ? 分からない? 蒼龍にしかできないんだよ!?」

「……でも」

「ねえ、提督はさ? いつも「昔はむかし、今はいま」って言ってるよね?」

「えっ!? 何で…」

「それってさ、言い換えれば「過去の栄光」とかも関係無いんじゃないのかなぁ?」

「! 飛龍…」

「私は、私はだよ? 蒼龍がどんなに自分に自信を持てなくても、そこから」

「待って」

 

飛龍の言葉を遮り、蒼龍は静かに、そして優しく笑う。

 

「…ありがとう。そうだよね? 提督も皆も、信じてくれてるんだよね?」

「そうだよ!」

「分かった。ここでやらなきゃ、「二航戦」の恥だよね!」

「そうとも! やっと分かったかコノヤロー!」

 

首元に腕を回すと、そのまま引き寄せ蒼龍の頭をぐりぐりする飛龍。

 

「い、痛いよ飛龍…」

「もう忘れないようにしてんの!! うりうりココがえいのんか~?」

「もうっ笑わせないでってばぁ! うふふ…」

 

二人の仲睦まじいやり取りを見て、ホッと胸を撫でおろす照月。

 

「…良かった。」

「ハハァ! やっぱこうでなきゃなぁ~?」

「…私たちも、頑張らないとね?」

「! …あぁ、そうだなぁ?」

 

蒼龍の挑む姿を見て、照月もまた決意する。

 

2年前の戦い…自分を救ってくれたであろう彼らと共に

 

自分もまた、彼女を救おうと…。

 

 

 

 

 

『さあ、こっちっすよ?』

 

第二艦隊に指示を送りながら先頭を行くのはくうさん。

彼女はボスまでの水先案内人を買って出てくれている。(もちろん手は貸さない方向で)

 

…さて、ここで気になるのは艦隊の編成。

 

今回、第二艦隊のメンバーは五十鈴を始め対潜哨戒に優れた娘で構成され、装備は対潜並びに対空を重視している。

あらゆる状況に対応することを前提にしたこの編成は、こと最終海域においては「あり得ない」ものであった。

 

それでも何故この編成なのか…それは、道中の過酷さにあった。

 

『あっ来るっすよ?』

「も、もう!? 対潜用意! 急いで!!」

 

先ずは潜水艦。欧州でも度々見かけたが、この海域には正にうじゃうじゃといた。

旗艦代理・五十鈴の号令に、先制対潜で敵を駆逐する。

 

『■■■■■■■■■■■■---!!?』

『はい次ー』

「え、ええ!? は、榛名さん!」

『了解です! 照月ちゃん? 対空戦闘用意です!』

『わっかりましたー!』

 

次に敵空母の空襲。

くうさんとは別個体の空母棲姫が、艦隊に爆撃を仕掛ける。

照月の対空カットインで蹴散らし、そのまま戦場を駆け抜ける。

 

『また来るっすよー?』

 

一行の目の前には、敵水雷戦隊。その旗艦は駆逐性姫。

 

『ヤラセハ…シナイヨッ!』

「うぅ…」

「もう来ると思うけんど?」

 

戦闘突入かと思いきや、ここで思わぬ助っ人が…

 

 

- 支援艦隊が到着しました! -

 

 

「さあ行くわよ! 葛城!!」

「はい! 瑞鶴先輩!! …攻撃隊! 全機発艦!!」

 

瑞鶴率いる道中支援艦隊か、敵艦隊に爆撃をお見舞いする。

 

『グッ!? …痛イ、ジャナイ…カッ!』

「そのまま走り抜けて! 加賀さん!」

「瑞鶴…ありがとう。」

「お礼なんていいって! ほら!!」

 

道中支援の旗艦を務める瑞鶴。彼女がまだ入りたての頃を思い出し、感慨に浸る加賀。

 

「…また稽古つけちゃる!」

「え!? そ、それは勘弁!!」

 

瑞鶴に見送られ、艦隊は海域の最深部を目指す。

 

ボンッ ボンッボンッ

 

「うわぁ!? なんか小っちゃい弾がぁ!!?」

 

『キャハハッ キャハッ!』

 

「げぇ!? pt!!?」

 

ptとは、「pt小鬼群」のこと。

最近になって活動が確認された、どの艦種にも当てはまらない、読んで字の如く小鬼の群れ。

 

戦艦や空母の攻撃が、あまりの小ささに当たらないのが特徴。

更に雷装地が異様に高く、狙われたら最後、中破か下手したら大破になってしまう。

 

「やばっ!? 第二艦隊! 砲撃用意! 目標はpt! 迅速に倒して!! 早く!!!」

 

ドォン! ズゥウン!!

 

『イ”ーッ!? イ”ーーッ!!』

 

何とかptを巻いた一行は、そのまま彼女の元へ…

 

『………』

 

出迎えたのはせんちゃん。一行は深く息を吐き、安堵した。

 

『よし! ゴール!! 皆お疲れっしたー!』

「ぜぇ…ぜぇ……や、やっと、着いたの…?」

「し、死ぬ…とんだチキンレースだよ……」

「皆ぁようやった! 少し休むかよ? 速吸、補給しちょいて!」

「はい! 皆さん艤装をこちらに! それから速吸のお茶もどうぞ!!」

 

明るくお茶を振る舞うのは給油艦「速吸(はやすい)」

補給物資で燃料、弾薬を補充し、持参した水筒のお茶で一行の心を癒す。

 

「はいっ! 榛名さんどうぞ!」

「あ、ありがとうございます。…榛名、戦えます!!」

 

榛名にお茶と、艤装に燃料等を補給する速吸。

補給を受けながら、各々が休息をとる中、せんちゃんが通信越しに提督に確認をとる。

 

『我々ハアクマデオ前タチヲ迎エイレタ、ソレダケダ』

「おう」

『良シ…デハココマデダ。コノママ行ケバ彼女ガ見エルハズダ』

「おう、すまんにゃぁ? 無理言って?」

『ナニ、我々モ…』

「え?」

『イヤ…私ハモウ行クガ、空母棲姫、オ前ハドウスル?』

『ウチは…やめとくっす。行ったら何言われるかわかんねーし?』

「? それって??」

『来てるんすよ? ウチらの提督。』

「!?」

『ソウイウ訳ダ。デハナ?』

 

そう言うと、せんちゃんは多くを語らずに奥に消えていった。

 

『あっウチは協力しないんで、一応。』

「……えぇ?」

 

遂にその姿を現わすのか、深海の提督。

そして、欧州を落とした諸悪の姫。その正体とは?

 

補給を済ませた提督たちは、まっすぐに彼女が鎮座する最深部へと急ぐ。

 

果たして、そこに待っているものとは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

 ウミノウエデ

 

 モエルヤミ

 

 ウミノナカデ

 

 

 

 ― モ ガ ク カ ゲ ―

 

 

 

 

 

 

―敵中枢部・到達―

 

クラス「姫」出現…

 

 

 

 女 王 降 臨

 

 

 

 航空母艦

欧 州 棲 姫

 

 

『コンナトコマデ…キタノ……?』

 

『バカナノ…?』

 

 

 オロカナノッ!?

 

 

ドーバー海峡の境目、白い絶壁が見える海流に、彼女は居た。

 

その立ち姿は、英国の「女王」の風貌と言ったところか?

 

どちらかと言えば、イギリス(グレートブリテン島)側に寄り添うように…まるで何かを守るように

 

「あれが…欧州をやった…?」

 

榛名は少し呆気に取られていた。

欧州を、引いては世界を墜としかねない彼女は、一見は威圧が凄まじかった。…だが

 

『………ッ!』

 

その貌は、深い悲しみと憎悪に満ちていた。

それは、ナニモノかに裏切られ、絶望と悲哀に染まったモノ…世界を憎む悪そのものだった。

 

まるで…一年前のあの「姫」を見ているような…そんな気分だった。

 

「貴女は…」

『………………フフ………』

 

『ハハハハハハハ! フハハハハハハハハハハハ!!』

 

「!?」

『ホントニ…フハッ! 馬鹿ジャナイノ!? オ前タチハ何デ! 何シニ!! 此処マデ来タトイウノ!!?』

 

欧州棲姫の発した言葉は、決して嘲笑ではない。

それは、絶望に屈した「諦めの境地」の言動…何をしても、足掻こうとも、この現実を覆すことは出来ない。そういう意味が込められているように感じた。

 

「…私たちは、この欧州の海を救いに来ました!」

『ソレハ誰ノタメダ? ニンゲンタチノタメカ!?』

 

何の為、ではなく「誰の為」と彼女は言う。

 

そうだ、と旗艦が肯定すると、何だそれはと、更に笑いが止まらない欧州棲姫。

 

『クハハハ! 下ラナイ!! ソンナコトヲシテ何ニナル!? ヤツラガオ前タチニ謝意ヲ表ストデモ思ッタカ!!?』

「私たちは、そのようなことは望んでいません! 「助けたい」から! 助けるんです!!」

『ダカラ! ソレガ「馬鹿」ナンダヨ”オ”オオォ!?』

 

まるで自暴自棄の子供のように、乱暴な口調で誠意を否定する。

 

『オ前タチニハ出来ナイ! モウ終ワリ何ダヨ!? 何デソレガ分カラナイ!!?』

「それは…」

 

『そうだそうだぁ! お前たちはもう終わり何だぞぉ!!』

 

…海域に響き渡る、この緊迫した状況に不釣り合いな濁声。

 

それは、彼女たちが「提督」と称する人物…なのだか

 

『ぴょこっ)な”ぁーはっはぁ! よく来やがったなぁ! おジャマ虫どもぉ!』

 

欧州棲姫の肩に露見したのは、人ではなく、ネズミぐらいの大きさをした丸く黒い塊。

 

…まっ○ろくろすけ、と言った方が分かりやすいか?

 

「も、もしかして貴方が…?」

『そう! オレ様こそが深海の提督サマだぁ! どうだぁ? 驚いただろ〜う!?』

「え、えぇと…?」

「Oh my god! 深海のadmiralは「ホコリ」だったのね!?」

「いやぁ〜なんか緊張感なくて、逆にありがたいわぁ?」

「まw まっww ………まぁっwww!!?」

「ちょっとちょっと飛龍、笑い過ぎだから。」

「私も思いました! アレ絶対ま○くろだよね!?」

「照月ぃ……分かっていても、口に出すんじゃ〜あんねぇ!!」

 

各々が深海の提督に突っ込む中、関係ないと言わんばかりに黒玉が続けた。

 

『まずはここまで来たことは褒めてやる! 長かったよなぁ? 辛かったろうなあぁ?』

「はぁ…?」

『だがここまでだぁ! お前たちはオレ様のかわいい手下どもが「今度こそ」倒す! な”ぁーはっは!!』

『……(ギロッ)』

『ひぃっ!? え、えーと彼女の手下であるオレ様たちが倒しますです;』

『…フンッ(プイッ)』

『…コホン、気を取り直して…戦艦ん!』

『…ハッ』

『遂にこの時が来た。おジャマ虫どもはここから、()()()逃すんじゃないぞぉ!!』

『御意…必ズヤ、勝利ヲ!』

 

『…(パチンッ)』

 

欧州棲姫が指を鳴らすと、彼女を守る騎士の如く整列する深海群。

 

そして、海中より現れた自身の艤装…クジラ型の航空甲板に乗り込んだ。

 

『証明シテヤルヨ! 何モカモ!! モウ終ワリダッテナア”アアアア!!!』

 

悲鳴にも似た絶望の咆哮を轟かせ、敵艦隊は狙いを定める。

 

宿毛泊地艦隊もまた、戦闘態勢をとる…

 

 

ここに、欧州を掛けた「世紀の一戦」が、幕を上げた…!

 

 

 

 

- 敵艦発見、攻撃開始! -

 

先ずは「基地攻撃隊」の爆撃。

 

ヒューーー………ズゥゥン!!!

 

『■■■■■■■■■■■■■----!?!?』

「……?」

 

続いて、航空爆撃。

 

「ここは、譲らんちゃ!」

 

ピシュー……ブウウゥゥン

 

ボガァァアアン!!!

 

…最後に、決戦支援艦隊―

 

 

― 支援艦隊が到着しました! ―

 

 

「翔鶴さん! 行きましょう!!」

「はい! 赤城さん!! 航空隊! 発艦!!」

 

ゴオオォォォオオ……

 

ドゴオオォォン!!!

 

(…おかしいな、なんで……?)

 

蒼龍は内心訝しんでいた。

敵に攻撃が「当たり過ぎている」…おかげで、残りの敵は欧州棲姫と戦艦棲姫だけになってしまった。

 

『…フフ、フフフ………!』

「まさか…!?」

 

蒼龍の疑問が確信に変わった時、宿毛泊地の執務室が大きな音を立てて開かれた。

 

「大変ですっ! 提督!!」

「大淀さん!?」

「どうした!?」

「今、運営鎮守府より緊急の伝令が…あぁっ、どうしましょう!?」

「落ち着きや!? どうしたっちゅうが!」

「は、はい………たった今「坊ノ岬沖」周辺に、し、深海棲艦の大群が…」

「ええぇ!!?」

「そ、そのまま、沖縄に向けて進路を…っ!」

 

大淀が震えながら告げたのは、おおよそ信じがたい報告であった。

提督は平静を保ちつつ、当たり前のことを聞いた。

 

「なんでよ! 沖縄は運営さんとこの艦娘が哨戒して守りゆうがやろ!?」

「そ、それが突然連絡が途絶えて…入れ替わるように「彼ら」が…」

「………」

 

絶句だった。

 

その場にいたものも、通信で事情を聞いていたモノも、誰もが思った…

 

「してやられた」……と。

 

『クク…ク…ハハハハハ! 馬鹿ミタイ!!』

「貴女…まさか「これ」を!?」

『ソウ! オ前タチハマンマト罠ニハマッタトイウワケ!! ドウスル?! 戦力ノ大部分ガコノ欧州ニ在ル今!! オ前タチニ何ガデキル!?』

「!? くっ!」

 

榛名は旗艦として(間に合うかどうかはともかく)急ぎ日本へ戻ろうとすると

 

『おっとぉ! そうはいくかぁ!!』

 

深海提督の目が光る、すると有象無象の深海群が一行を取り囲んだ。

 

「い”ぃっ!? まだこんなにいるのぉ!!?」

『な”ぁーはっはぁー! 正に袋の鼠というワケだぁ!!』

『……ッ…………』

「く、くっそぅ…」

「……っ!」

『言ッタハズダ…モウ終ワリダト、無駄ナンダトナア”アァァァ!?』

 

「くっそ! 大淀! 運営さんは何て!?」

「はっ、はい! まだ連絡は…」

「よし! オレらだけでも動こう! 佐世保のが近いけんど、しのごの言いよったら間に合わん!!」

「大淀さん! 皆を集めて、緊急会議を!!」

「わ、分かりましたっ!!」

 

最悪の展開になってしまった…だか彼らは急ぐ。

 

もう二度と、あの場所が戦地にならないように…

 

果たして間に合うか、そして蒼龍たちの運命は…

 

wait till next 「EGO」

 




〇宿毛泊地メモver.3

〇アイオワ
アイちゃん。昨年の春イベントより実装される。
日本(ニッポーン)に興味深々のアメリ艦。

〇速吸
給油艦。スポーツ漫画のマネージャーみたいとよく言われる。
主に最終作戦で起用される。それでもあんまり使わないって人も多いのでは?(作者もだが)


―艦娘の一言―(大淀)

「ここまで全く動きを見せなかったなんて…向こうにはどんな切れ者が!?」




・・・・・

―次回、緊急展開―

敵の壮大な「囮作戦」にまんまと掛かってしまった提督と艦娘たち。

敵が沖縄に向かう前に、艦隊は坊ノ岬で防衛線に望む。



―――だが、そこで待っていたのは…?


「-偽りの平和を望む者よ」

「我が”理想世界”の礎となり…」



  沈めッ!!



宿毛泊地提督の航海日誌

EGO(エマージェンシー・オペレーション)

「再劇、坊ノ岬沖海戦」

勝つのは「正義」か、「悪」か、それとも…?
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