ヒトときどきモンスター モンスターときどきヒト 作:くりぃむパン
今更感丸出しですが、タグに不定期更新付けておきました。
――――――――火番谷サイド―――――――――
私こと火番谷 翔は、ある日、不幸にも暴走トラックに跳ねられ…………ることはなく、そのトラックが突っ込んだビルの上から降ってきた鉄骨に全身を打ち抜かれ、死に至った。
その後、俺は謎の空間で『神』を名乗る者に転生を勧められ、ここ、『モンスターハンター』の世界の転生に成功した。
そう、ここまではよかったのだ。ここまでは。
問題はその先にあった。
なんと、俺を出迎えたのは、広大な森、どこまでも澄み渡る蒼い空、そして、涎を垂らしながらこちらを睥睨する
「のおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「グオオオオアアアアアアァァァァァ!!!!!」(待てやこの人間がアアアアァァァァァァ!!!!!)
おお、リオさんの言ってることが解ったよ、これは転生の特典かな?
って、まさかこれだけとか言わねーだろーなあのエセ神!
とりあえず全力で走るが、こちらは1メートル65センチちょっと、あちらは頭から尻尾までが少なくとも10メートルはありそうな化け物だ、あっという間に距離をつめられる。
(やべぇッ!!)
とっさに横に飛ぶが、リオさんは縦だけではなく、翼もあるため横にも長い。いくらなんでも人間の跳躍力では逃げ切れない。
が、ただ地面を蹴っただけなのに、俺は横に一瞬で5メートル近くも吹っ飛び、リオさんの突進の直撃を食らうことを避けられた。
「げぶし!!!」
まぁ、受身が取れずに急角度から地面に激突したケド。
「いってええええぇぇぇぇぇ…………」
「グォア!!!!!?」
声と一緒に、何か相当に硬い物が砕け散る音が聞こえた。
音のほうを振り返ると、粉々に砕け散った相当に硬そうな、破断面以外が黒光りしている岩と、首を90度横に曲げ、頭の上にオホシサマをぐるぐる回しているリオレウスがいた
「…………………喜んでいいのだろーか?」
まぁ、結果として命が助かったワケだし、常識に考えれば喜ぶべきところなのだろうが……
あれだ、突進してきたときとの緊迫感のギャップがすごすぎるわ。
「起きる前にトンズラこかせてもらおー」
相当にカッコ悪いこの場面だが、このとき、俺はこのことの一部始終が監視されており、しかもそれがとんでもない勘違いをされていることに気づいていなかった。
――――――――――王立書士隊サイド―――――――――――
「見たか?」
相棒の言葉に無言で頷く。
「末恐ろしいもんだな、防具はおろか、武器すら持たずに火竜を退けるとはなぁ」
…………果たしてそうか?
俺の目には、逃げ回った課程でああなったように見えた。
が、いちいち訂正する気にもならないし、回避時の身のこなしを見ると、本当に装備無しでリオレウスを退けようとしていたのかもしれない。
「うーむ、リオレウスの観察を続けるか彼を観察するか困るなー」
そこにはある程度同意したいところだが、さすがに上からの命令を無視すると、減給される恐れもある。
「よし、お前、リオレウスを観察してろ、俺はさっきの奴を追う」
「おい」
俺の思惑も知らず、こいつは早くも責務をほっぽり出そうとしている。
まぁ、俺も彼に興味はあるが、減給を上回るほどではない。
「えー、だって面白そうじゃん。
まぁ、元古龍観測所の隊員サマには、どの道逆らえねーケドよー」
そう、俺は元々古龍観測所の隊員だ。
が、どうもこのごろ、古龍の目撃情報がめっきり減ってしまっている。
たしかに、そもそもが目撃情報が少ないのだが、それでも年に2、3回ほどはあった。
しかし、去年はドンドルマに出たラオシャンロン一体のみ。2年前に至っては1体も出なかった。
そして、今年も冬が近づいているというのに、目撃情報が一個も無かった。
故に、古龍観測所を抜け、王立書士隊に入隊した。
「それじゃ、アンタが行くのか?『異端』さんよ」
「………皮肉が言いたいだけなら帰ってもらって結構だが?」
そう、普通ならば、王立書士隊から古流観測所に行くものだ、しかし、俺はその真逆の異動をしたのだ。
奇異な目で見られることはおろか、異端扱いされても文句は言えないだろう。
まぁ、そんなことはどうでもいいのだが。
「って、おいおいおいおいおいいおいおい、あれみろ、あれ!」
「ッ!!?」
相棒の声を聞き、空を振り仰ぐと、蒼い空を切り裂く、黄色い影が、ようやく目を覚ましつつあった監視対象の目の前に飛来した。
「ゴオオオオオオォォォォォァァァァァァォォォォォォッッッ!!!!!!!!!」
「あれはッ!?」
「………轟竜、ティガレックス」
そう、それは、飛竜種の中でも古い体型《ワイバーンレックス》を残している、比較的謎も多いモンスター。竜盤目 竜脚亜目 レックス科 飛竜種 轟竜 ティガレックスだ。
「って、どーすんの、コレ。カオスもいいとこでしょー」
「………ああ……」
目の前では、双方を敵とみなした両者が噛み付きあっていた。
しかし、先ほどのダメージが残っているのか、縦横無尽に走り回るティガレックスに翻弄されていた。
だがしかし、そのまま黙ってやられる王者ではなかった。ティガレックスが離れた一瞬を見逃さず、空へと飛び上がり、ティガレックスに火球を浴びせかける。
状況を不利と感じたのか、ティガレックスは崖に向って突っ走り、崖を飛び越えて滑空しながら逃走すると、己の縄張りを死守した王者が、勝利の咆哮を上げた。
「グオオオオオオアアアアアァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」
「………どーする?」
「………お前はリオレウスの監視を続けろ、俺はティガレックスを追う」
「はいはい、興味深いっつーんでしょ?
行くのは構わないけど、行き際にリオに察知されたら、殺されるの俺だからね?」
それ以前にティガレックスが飛び去ったのは崖下なのだが、普通はそこを突っ込むべきではなかろうか?
まぁいい、もとより俺は、
――――――――――――――火番谷サイド――――――――――――――
うあーびびった、転生初日に即死とか、転校初日にクラスメイトにボコられるより精神的にも、身体的にもキツイ。
どうやら、転生の特典で、身体能力が強化されているようだ。しかし、それも微弱な物で、人間が訓練や、特訓しだいでは手に入る程度の物だった。
ついでにモンスターの言葉もわかるようになっている。これだけが特典とは正直思いたくないが、実際、それぐらいしか見て分かる特典が無い。(どうせなら説明くれればいいのに…………)
っつーわけで、俺は今、絶賛野宿中だ。食料は、その辺にいたアプトノス君(中型)を、木と、鉱石を割って作った即席槍で狩って、石を叩いて出した炎(後で知ったのだが、これ、クルペッコの火打石だったらしい。どんだけご都合主義だよ……………)で、焼いて食べている。
水は、今俺がいる洞窟から少し行ったところに川があるので、そこで飲む。(見た感じは綺麗)
排泄は、今は便意を覚えないため、今は保留。
いろいろ考えてると、肉がこんがり焼けてきて、どこからともなく『上手に焼けましたー!』とか聞こえてきそうなぐらいによく焼けてきたので、火から放す。
ともかく、人里に下りるか、最低でも街道に入らなければ、安心して眠る事もできない。
そんな事を考えながら、肉に喰らいつく。
………実はこの肉、とんでもない罪悪感が存在する。
先に、モンスターの声が分かる事は説明したが、無論、アプトノス君の声も聞こえてしまった。
『先に逃げろ!』だの。『父ちゃーーーん!』だの聞こえてくるとムチャクチャ罪悪感がパネェ。
(まぁ、一切遠慮せず殺してお肉を剥ぎ取りましたが)
とまぁ、俺が悠々自適な惨殺ライフをしていると、遠くから低い遠吠えのようなものが聞こえてきた。
「ッ!!!?」
あわてて肉を頬張ると、骨を地面に埋め。火を消す。
これら一連の行動は、臭いをモンスターに悟られないため、そして、野生動物は火を恐れるとか言う言葉があるが。仮にリオレウスの縄張りで焚き火など焚こうものなら、ガン飛ばしてるに等しい行動な上、甲虫系統のモンスターも火に集まってくるので、デメリットしかないので、これも消す。
(俺は今ここにいない、俺は今ここにいない。空気となるのだ!俺!)
自己暗示を繰り返していると、洞窟の外から何か重いものが着地した音が聞こえた。
この洞窟は今俺がいるところは広いものだが、入口はそうたいしてして広くない。
イヤンクックぐらいなら入れそうだが、リオレウス級では入る事は適わないはずだ。
しかしまぁ、ナルガクルガやティガレックスぐらいなら入れそうだが…………(フラグ建設完了)
ズシーン ズシーン ズシーン
(あああ……………しくじった、この世界って悪い意味でご都合主義なんだなぁ………)
洞窟の出口から顔をのぞかせたのは、MH2から参上した、ティガレックスさんであった。
ここで取れる俺の選択肢
1・このままやり過ごす
これはまぁまぁの案だ、洞窟は暗いし、俺は今、死んだ当初に来ていた服を着ているのだが、(穴や血は無い)黒と灰色で構成されているので、保護色となり、気づかれにくいだろう。
2・一瞬の隙を見て逃げる
これがなぁ……相当どころか今世紀最大の博打なのだが、成功すればまず確実に逃げられる。
3・謝る
何を?
4・闘う
勝算無し、却下。
5・諦める
こんなところで二回も死んでたまるか。はい、論破。
と言った感じだ、まぁ、3から5まではふざけたため、1か2しか実用案は無いが、それでどうにかするしかない。
とりあえず、2を選択する。
まぁ、仮に見つかっても、周囲は深い森だ、木にぶつけるなりなんなりとしていれば、いずれ向こうも諦めるだろう。
なぜ1を選択しないかだと?
そりゃ、見てる皆は気楽でいいかもしれないけどさ、こちとら心臓どころか胃の内容物全てをぶちまきかねないレヴェルの緊張感を持っているのだ。
別に死んでもいーよ、って奴ならいいかもしれんが。こっちはなにがなんでも生きてやる精神でやっているのだ。
のんきに洞窟で寝転んだりできるワケが無い。
それに、ヘタすれば、この洞窟がティガの巣の可能性だってありうる。
いや、確かに空からの入口は無いが、それでも贅沢を言わなければ十分暮らせる。
故に、俺はティガがそっぽを向いているときに進み、こっちを向いたときは岩に隠れるかくれんぼを繰り返し、遂にティガの荒い息が聞こえる位置まで来た。
さぁ、ここからだ、まずは隙を作らねばならない。
1・小石
2・そっぽむいた瞬間
うーむ、2は気づかれる可能性が高すぎる気がするな。
では、タイミングを見計らって石を投げ、この場から逃走しよう。
あ、因みに、俺がこんなに近くにいるのに、匂いで気づかれていないのは、おれ自身が火薬草をちぎったものを体に振り掛けているから、鼻がきかないんだと思います、ハイ。
一度ティガがこちらをチラリと見る。少々訝しげにこちらを睨んだ後、向こうを向く。
今だーーーーーーーーッッッ!!!!
足を振り上げ、石を握った腕を、後ろから全力で前へ!
そのとき、運命のいたずらが、彼の腕を滑らせた!(ジョジョのナレーション風)
軌道をはずれた石ころは、吸い込まれるようにティガへと突き進み、その目にめり込んだ。
つまり、
おまけに、目にブッ刺さったせいで、怒らせてしまったらしい。
「グオオオオガアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!?」
いや、まて、冷静になればこれはチャンスだ。
奴は今、怒りで何も見えていない。隙を見て、端から逃げれば、逃げ切れるかもしれない。
潰れた目は、ティガから見た左目。こっちから見れば、右が死角のはずだ。
苦しみのたうつティガの手が、地面に叩きつけられ、踏み潰される心配が無くなった瞬間、岩の陰を飛び出す。
うまいッ!ティガの左に回りこんだッ!左目は死角になっているッ!!(何ワゴンさんだっけ?)
しかし、瞬間、奴の右目が大きく見開かれ、俺を視認する。
禍々しく発達した腕が振り上げられる。
あれ?これって死ぬんじゃね?
冗談抜きで、このままでは死んでしまう。
嫌だ。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
あの神絶対コロス。コロスコロス殺してやる……………………
せめて二回目は苦しまずに済むように、意識を手放そうとした俺の視界に、黒い、野球ボール大の物体が飛び込んできた。
それは、俺とティガの間を引き裂くように爆発し、暴力的なまでの光を飛び散らした。
「うぉあッ!!?」
「ゴアアアアオオオオオォォォォォォォッッッ!!!!?」
続いて聞こえる風を切る音、苦しむティガの声を、俺は、光を直視した目を押さえながら聞いた。
その中、不意に腕を掴まれ、思わず叫びかけた。
「―――ッ!!?」
「大丈夫だ、走れるな?」
それは、落ち着いたふうの、男の声だった。
ようやく状況を理解しつつあった、先ほどのは閃光玉で、今俺の手を引いているこの人は……
あるときは、大自然より、大衆のため、素材を持ち帰り、また、あるときは、人の手の入っていない秘境に赴き、調査をする。そして、あるときは、人命を賭け、誇りを賭け、強大なモンスターに立ち向かい、他の人からは『英雄』とすら崇められる存在―――――
―――――――――ハンターだ。
to be continued―――――――
次回予告
「俺はシャドだ、シャド・クルーガー」
「肉、食うか?」
「どうしてこうなった」 「酒の金」
「………シャド君よ、我輩はこの地方からの早期撤退を推奨するぞ」
「どこって………ドンドルマだろ」