??SIDE
あれはもう何年も前の事・・・ISが世界に発表されておらず幸せだったあの頃の一幕。
「一夏、何をしてるんだ?」
「箒、これって何?」
そう言って一夏が指さすのは神棚に置かれた鞘に納められずに紅い刃身がむき出しになって柄のところに見たことのない文字が書かれた札が貼られている日本刀だった、たしかこれは昔お父さんが話してくれた……
「篠ノ之神社に奉納されている宝剣だ、私も近くで見るのは初めてだけどな」
そう言うと目を輝かせ神棚に足を進ませ、とうとう手を伸ばせばすぐに触れる場所まで近付いていた。
「……触っていいかな?」
「駄目だ」
この剣には在る謂れが語られている、と言われている。内容は確か……
「一度くらい良いだろう」
私が謂れを思い出そうとしている間に一夏はそう言って紅い刀身に右手で触れていた。
一夏SIDE
……■■■はいけない■■だった。
……■■■■すらいない■■だった
そんな言葉がふと頭の中に浮かんだ。
「…夏! 一夏!!」
どこからか自分の名前を呼ぶ声が聞こえて……気付いたら目の前に泣き出しそうな顔をして自分の両肩を両手で掴む箒の姿があった。慌てて大丈夫と言おうとして……
「2人とも何をしているのかしら?」
この場にいない人の声がして、俺達は慌てて声がした方へと振り向くと……
「「雪子叔母おばさん!?」」
…そこには和服を着た女性、箒の叔母さんである『篠ノ之雪子』の姿があった。
「2人が居なくなったってみんなで探してたのよ」
「「……ごめんなさい」」
どうして此処にいるのかを尋ねると……俺と箒の姿が見えなくなったので家族総出(束さんや千冬姉も含む)で探している途中で、この辺りを調べていたら箒の声が聞こえて此方に来たそうだ。
それで俺達は事情を説明すると少し驚いた表情と納得した表情をしながらも説教を受ける羽目になった。
「まあ、一夏君の気持ちも分かるけどね」
実を言うと私も触ろうとした事があって怒られたのよと語るのを聞き呆れている箒が居たのだがそれは無視しようと思った。
「この刀って何なんですか?」
箒の話じゃ『篠ノ之神社に奉納されている宝剣』らしいけどどういった経緯で奉納されたのか分からないんだよな……と言うか箒も知らない筈だ(…多分)
「この刀はね、江戸時代……徳川泰平の時代に現れた妖怪を倒す際に使われたとされる剣なの」
その剣の名を俺が知るのと、その剣に纏わる伝承を知るのはこれから少し時が経ってからの事になるのを……この時の俺は知らずにいた。
「この刀の名前はね……■■と言うのよ」
??SIDE
織斑姉弟が帰った篠ノ之神社では1組の男女が話し合っていた。
「……それで、本当なのか?」
「ええ、一夏君は確かに触れた・・・そうよ」
女性は一夏と箒を見つけた『篠ノ之雪子』
男性の名は箒の父親であり篠ノ之家現当主である『篠ノ之柳韻』
2人の会話の内容は先程一夏が触れた刀についてだった。
「訳が分からん」
何も知らない一般人には会話の内容が理解できないだろうが……『篠ノ之』であり伝承を知る2人には理解出来ているのだ。
……だからこそ分からない。
「やっぱり?」
「ああ、■■に触る事が出来るのは伝承通りならば……」
彼の口から洩れた言葉はとある2つの家名と自身の家名。そして一夏はそのどれにも当てはまらない事を知っているから……
……もう1つの…
……あり得ない可能性が思い浮かぶ。
「もしくは……」
久々のISサイド(と言っても本編ではありませんが)のお話となりました。さて次回『黒歴史』を挿みオリジナル編開始します。