聖闘士星矢LC<冥王神話>―成層圏からの来訪者―   作:海人

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今回は、暗黒鯨座(ブラックホエ―ル)暗黒烏星座(ブラッククロウ)のバトルを予定しています・・・けどタイトルが・・・詳しくは後書きにて。




6話:鯨と蟹、烏と魚・・・

イチカSIDE

 

「床に転がってんのはあんたのお仲間……じゃないよな、クソ坊主」

 

マニゴルド様の言葉にクソ坊主ことオッサンは当たり前の事のように言葉を返す。

 

「天罰を受けたのだよ。この者達は人々を誤った道へと教え導いていた罪人なのだからな」

「……天…罰?」

 

今、あのオッサンは何を言った?

 

「…これが…?酷ェよ。皆…全身の骨が砕けてんじゃねェかよっ…」

「酷い?これはこの者達の行いの結果だよ。人々を誤った道へと教え導いた罪のな」

「……誤った道ってなんだよ」

 

俺の呟く声が聞こえたのかオッサンは機嫌よく語る。

本能に忠実な欲望こそが人間の真実なのだと。この場に倒れ伏した者達はその真実を人々から遠ざけた罪人だと。

 

「ふざけた事言ってんじゃねえぞ、オッサン!!」

 

何かがキレる音を自覚すると同時にこの場に漂う霊魂をオッサン目掛けて向かわせる。これを見たオッサンは少し関心したような表情を顔に出すが直ぐに嘲笑を浮かべ口を開く。

 

「ほう、貴様()積尸気の使い手か、だが未熟だな。【ホーリースパウト!!】」

 

その言葉と共にオッサン目掛けて行った霊魂達の姿が消え失せた。

 

「なっ?」

「霊魂が、浄化されてる?」

 

目の前の光景に驚く俺とこの光景が何を意味するのかを理解したマニゴルド様の声を聞きオッサンは嘲笑を浮かべたまま口を開き……告げた。

 

「効かぬ、効かぬ。積尸気の技はこの暗黒鯨座(ブラックホエ―ル)には通用せん!!」

「うそだろ?」

「やってくれるぜ…ッ」

 

その言葉と共にオッサン……暗黒鯨座(ブラックホエ―ル)暗黒聖衣(ブラッククロス)をその身に装着させ、驚く俺と舌打ちするマニゴルド様の目の前から姿を消し……

 

 

 

 

突如としてマニゴルド様の目の前に現れ床へと叩きつけた。

 

 

 

 

 

「マニゴルド様!?」

 

教会の床へと叩きつけられ動かなくなったマニゴルド様を尻目に暗黒鯨座(ブラックホエ―ル)はアルバフィカ様へと視線を向ける。

 

「次は魚座(ピスケス)、お前の番……」

 

そう言いかけ、俺とジョーカを見て驚いた表情を隠しもせずに言葉を洩らした。

 

「この子供…生きていたのか?」

 

その言葉に俺とジョーカは顔を見合わせ考え込む。暗黒鯨座(ブラックホエ―ル)の言葉が真実なら、もしかしたら記憶を無くす前の俺を知っていることになるのだから。

 

「イチカ知り合いなのか?」

()は知りませんって、ジョーカじゃないんですか?」

「俺も知らねえよ!」

 

アルバフィカ様の問いかけにそう答えるしかなく、ジョーカも心当たりがないらしく否定の言葉を返す。だが何かを思い出す様な表情を一変させ……ジョーカめがけてマニゴルド様に浴びせた先程の技をしようと駆け出す…

 

「見つけた以上、生かしておく訳には……」

「俺を無視済んなよ、オッサン」

 

…がその行動は両足を使い暗黒鯨座(ブラックホエ―ル)の胴体をマニゴルド様が挟む事で中断する羽目になった。

 

「なっ? 貴様ッ!!?」

「【蟹爪(アクベンス)!!!】」

 

驚く暗黒鯨座(ブラックホエ―ル)を尻目にマニゴルド様がそう叫ぶと共に挟んだ両足が胴体を砕く音を響かせ絞めつけ床へとその身を沈ませた。

 

「バカな…この私が、若造の蟹座(キャンサー)如きにッ!!」

 

そう呻く暗黒鯨座(ブラックホエ―ル)は俺では無くジョーカに視線を向け、無念の感情を隠そうともせずに吐きだすように言葉を紡ぐ。

 

「あの島の…子供を……見つけたと…言うのに……」

「あの島?」

 

そう呟くジョーカの表情からは困惑しか見られず本人には何の事かは理解していない事が分かった。

 

「間違いない、貴様はッ!??」

 

ジョーカに顔を向け何かを言おうとした瞬間、暗黒鯨座(ブラックホエ―ル)は目を見開くのと同時に背中にカラスの羽が突き刺さり……物言わぬ躯と化した。

 

 

マニゴルドSIDE

 

「カラスの羽?」

「喋り過ぎは美しくないな、アレグレ」

 

何処からともなく聞こえる声に辺りを見渡すと同時にイチカが小さく呟いた。

 

「・・・このオッサン、アレグレって名前だったのか…」

「驚くのそこ!?」

 

イチカの言葉にツッコミを入れるジョーカ、何気に息がピッタリだなと思いつつも声の主の姿は見つからずにいた。

 

「どこから言ってやがる?」

「マニゴルド下がっていろ」

 

そう言い放ち右手に握る無数のピラニアンローズを十字架と百合の花が描かれたステンドガラス目掛け放った。

 

 

 

 

 

「私はあんな無様耐えられない……この暗黒烏星座(ブラッククロウ)のリュゼにはね」

 

 

 

 

 

砕かれたステンドガラスの方に視線を向けると十字架に腰を下ろし右手にピラニアンローズを掴む男の姿があった。

 

「・・・ピラニアンローズを掴んでるだと!?」

魚座(ピスケス)、君には一度会ってみたかったんだ」

 

驚く俺を無視し暗黒烏星座(ブラッククロウ)を名乗った美人はアルバフィカ相手に語りかけていた。

 

「何故ならこの世にある美しいものは全て私を引き立てるためにあるのだから……君はこの地上で最もその役目にふさわしい」

 

……この言葉を聞き俺とイチカは同時に呟いていた。

 

「阿呆か…」

「ナルシストって言葉を人の形にしたのがアレなんですね」

 

イチカは呆れたを通り越して可哀そうなモノを見る目で見ているが……俺はそれよりも恐れている事があった、そしてそれが現実のものとなった事を次のアルバフィカの言葉で確信してしまった。

 

「マニゴルド、2人を頼む。あのよく喋るカラスは私が仕留める」

 

やべえ、アルバフィカが軽くキレてやがる……

 

「受けろ!!!ロイヤルデモンローズ!!!!!!」

「ふふふ、ブラックフェザーディフェンス!!!!!」

 

放たれた毒薔薇は暗黒烏星座(ブラッククロウ)の周囲に現れた烏の羽で防がれ、逆に周囲の羽の一部がアルバフィカの体を傷付けその傷口から少しずつ血が滲みだし始める。

 

「羽で防いだ?」

「・・・便利だな、その羽」

「そう思うだろう、この羽は攻撃に転じれば刃物のように敵を裂き、防御に転じれば空気の層で有害物を遮断する」

 

今度のイチカの呟きは聞こえたのか上機嫌に説明し始めた。

 

「分かるかい、魚座(ピスケス)の薔薇は私には通用しないのさ」

 

そう語る暗黒烏星座(ブラッククロウ)の言葉に驚愕の表情を顔に出してるイチカを見てふとある事(・・・)を教えていなかったなと思い出していた。

 

「後厄介なのは君の毒の血だけ」

 

いやいや、イチカもそうだが暗黒烏星座(ブラッククロウ)のヤツもなんか勘違いしてないか? 

 

「まあ、それもすぐに厄介じゃなくなる」

 

そして次の言葉に俺の頭の中から今までの疑問を考える余裕が一切無くなった。

 

 

 

 

 

―――――招待してあげるよ…黄泉比良坂にね―――――

 

 

 

 

 

その瞬間、目の前の景色が教会から俺が見慣れたある場所へと変わった。

 

「なんだよここ…? 俺達さっきまで教会にいたのに……」

「マニゴルド様、ここってひょっとして…」

 

驚くジョーカと此処が何処なのか気付いたイチカの声に答える……正確に言えばこの状況を現実と認める為の言葉を吐き出す。

 

「間違いねえ、この世とあの世を繋ぐ死界への入り口、黄泉比良坂だ」

「死界!?」

 

何回か連れて来たイチカと違って……まあ、一般人が何回も来る方が可笑しいわな……始めて来たジョーカの驚くを見ているとイチカが暗黒烏星座(ブラッククロウ)相手に口を開く。

 

「まさかアンタが積尸気の使い手なのか?」

「少年、残念ながらその考えは外れだよ、これは私達の首領(ドン)の力さ」

 

なるほどな、つまり『積尸気の使い手』は奴らの首領(ドン)って事か、分かった事が増えたのと同時にイチカの何気ない会話から相手の情報を得る話術に感心しながらも現状が現状の為、素直に喜べねえんだよ。

 

「今の君達は霊体、肉体じゃない。その意味が分かるかな?」

 

実際、暗黒烏星座(ブラッククロウ)のヤツも現状を……この世(アッチ)に在る俺達の肉体が無防備同然で置かれてるって事を分かってやがるからな。

 

「そう、黄泉比良坂(ここ)では魚座(ピスケス)の毒の血など意味がないのさ!!」

 

……アレ? そこかよ?!

 

「さあ、これで……その顔をズタズタにしてあげるよ!」

 

驚くところがズレてる俺だったが……勘違いをしまくってる暗黒烏星座(バカ)がアルバフィカ相手に無数の烏を向かわせ……アルバフィカの右ストレートが左頬に直撃し口と鼻から血が流れていた。

 

「な…!?」

「はい……?!」

「えっ?……」

 

予想もしてなかった光景に驚く暗黒烏星座(バカ)とイチカ達にアルバフィカが静かに語り始める。

 

「血や花がなくても拳があろう」

 

そうなんだよな、多分イチカもそうだろうが『アルバフィカの攻撃手段は『毒薔薇』と『猛毒の血』の2つだけ』だと思ってたんだろうな。

 

「感謝するぞ、マニゴルドはともかくイチカやジョーカにこの血がかかるのでは無いのかと案じていた」

 

そう言って戦闘態勢に入るアルバフィカにイチカとジョーカの2人は怯えながら俺の後ろに隠れやがった!? まあ、気持ちは分かるけどな……

 

「良いのだな?ここでは血も香気も振り乱して殴り合っても」

 

拳をボキボキ言わせながら笑って言うドSフィカ(この任務終了後イチカが命名)がこの場に降臨した。

 

アレ(・・)、アルバフィカ様ですか?」

「そう言えばイチカは知らなかったな。まあ、その前によく考えてみろ」

 

そもそも黄金聖闘士(ゴールドセイント)と言えば聖闘士(セイント)の頂点に立つ存在だ。それが肉体を鍛えないと思うか?

 

「そう言われれば・・・」

「アルバフィカの場合は血のことがあるから控えてるだけだ、だが今はソレを心配する必要がない」

 

そう言うとイチカも納得しやがった。

 

「お、おのれ…!!」

 

目論見を外された暗黒烏星座(バカ)は焦りながらも殴りかかるが……

 

「顔で…受けた!?」

「己を着飾る前にな…リュゼよ、まずは闘志と誇りを纏うがいい」

 

予想だにもしなかった防ぎ方に驚き動きを止めた暗黒烏星座(バカ)はアルバフィカの渾身の一撃を受け文字通り吹き飛んだ。

 





この話の当初のタイトル候補が

ドSフィカ降臨
可哀そうな烏

の2つだった事を明かします。
外伝4巻の第32話を見た感想がそれだったんだ・・・

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