イチカSIDE
「床に転がってんのはあんたのお仲間……じゃないよな、クソ坊主」
マニゴルド様の言葉にクソ坊主ことオッサンは当たり前の事のように言葉を返す。
「天罰を受けたのだよ。この者達は人々を誤った道へと教え導いていた罪人なのだからな」
「……天…罰?」
今、あのオッサンは何を言った?
「…これが…?酷ェよ。皆…全身の骨が砕けてんじゃねェかよっ…」
「酷い?これはこの者達の行いの結果だよ。人々を誤った道へと教え導いた罪のな」
「……誤った道ってなんだよ」
俺の呟く声が聞こえたのかオッサンは機嫌よく語る。
本能に忠実な欲望こそが人間の真実なのだと。この場に倒れ伏した者達はその真実を人々から遠ざけた罪人だと。
「ふざけた事言ってんじゃねえぞ、オッサン!!」
何かがキレる音を自覚すると同時にこの場に漂う霊魂をオッサン目掛けて向かわせる。これを見たオッサンは少し関心したような表情を顔に出すが直ぐに嘲笑を浮かべ口を開く。
「ほう、貴様
その言葉と共にオッサン目掛けて行った霊魂達の姿が消え失せた。
「なっ?」
「霊魂が、浄化されてる?」
目の前の光景に驚く俺とこの光景が何を意味するのかを理解したマニゴルド様の声を聞きオッサンは嘲笑を浮かべたまま口を開き……告げた。
「効かぬ、効かぬ。積尸気の技はこの
「うそだろ?」
「やってくれるぜ…ッ」
その言葉と共にオッサン……
突如としてマニゴルド様の目の前に現れ床へと叩きつけた。
「マニゴルド様!?」
教会の床へと叩きつけられ動かなくなったマニゴルド様を尻目に
「次は
そう言いかけ、俺とジョーカを見て驚いた表情を隠しもせずに言葉を洩らした。
「この子供…生きていたのか?」
その言葉に俺とジョーカは顔を見合わせ考え込む。
「イチカ知り合いなのか?」
「
「俺も知らねえよ!」
アルバフィカ様の問いかけにそう答えるしかなく、ジョーカも心当たりがないらしく否定の言葉を返す。だが何かを思い出す様な表情を一変させ……ジョーカめがけてマニゴルド様に浴びせた先程の技をしようと駆け出す…
「見つけた以上、生かしておく訳には……」
「俺を無視済んなよ、オッサン」
…がその行動は両足を使い
「なっ? 貴様ッ!!?」
「【
驚く
「バカな…この私が、若造の
そう呻く
「あの島の…子供を……見つけたと…言うのに……」
「あの島?」
そう呟くジョーカの表情からは困惑しか見られず本人には何の事かは理解していない事が分かった。
「間違いない、貴様はッ!??」
ジョーカに顔を向け何かを言おうとした瞬間、
マニゴルドSIDE
「カラスの羽?」
「喋り過ぎは美しくないな、アレグレ」
何処からともなく聞こえる声に辺りを見渡すと同時にイチカが小さく呟いた。
「・・・このオッサン、アレグレって名前だったのか…」
「驚くのそこ!?」
イチカの言葉にツッコミを入れるジョーカ、何気に息がピッタリだなと思いつつも声の主の姿は見つからずにいた。
「どこから言ってやがる?」
「マニゴルド下がっていろ」
そう言い放ち右手に握る無数のピラニアンローズを十字架と百合の花が描かれたステンドガラス目掛け放った。
「私はあんな無様耐えられない……この
砕かれたステンドガラスの方に視線を向けると十字架に腰を下ろし右手にピラニアンローズを掴む男の姿があった。
「・・・ピラニアンローズを掴んでるだと!?」
「
驚く俺を無視し
「何故ならこの世にある美しいものは全て私を引き立てるためにあるのだから……君はこの地上で最もその役目にふさわしい」
……この言葉を聞き俺とイチカは同時に呟いていた。
「阿呆か…」
「ナルシストって言葉を人の形にしたのがアレなんですね」
イチカは呆れたを通り越して可哀そうなモノを見る目で見ているが……俺はそれよりも恐れている事があった、そしてそれが現実のものとなった事を次のアルバフィカの言葉で確信してしまった。
「マニゴルド、2人を頼む。あのよく喋るカラスは私が仕留める」
やべえ、アルバフィカが軽くキレてやがる……
「受けろ!!!ロイヤルデモンローズ!!!!!!」
「ふふふ、ブラックフェザーディフェンス!!!!!」
放たれた毒薔薇は
「羽で防いだ?」
「・・・便利だな、その羽」
「そう思うだろう、この羽は攻撃に転じれば刃物のように敵を裂き、防御に転じれば空気の層で有害物を遮断する」
今度のイチカの呟きは聞こえたのか上機嫌に説明し始めた。
「分かるかい、
そう語る
「後厄介なのは君の毒の血だけ」
いやいや、イチカもそうだが
「まあ、それもすぐに厄介じゃなくなる」
そして次の言葉に俺の頭の中から今までの疑問を考える余裕が一切無くなった。
―――――招待してあげるよ…黄泉比良坂にね―――――
その瞬間、目の前の景色が教会から俺が見慣れたある場所へと変わった。
「なんだよここ…? 俺達さっきまで教会にいたのに……」
「マニゴルド様、ここってひょっとして…」
驚くジョーカと此処が何処なのか気付いたイチカの声に答える……正確に言えばこの状況を現実と認める為の言葉を吐き出す。
「間違いねえ、この世とあの世を繋ぐ死界への入り口、黄泉比良坂だ」
「死界!?」
何回か連れて来たイチカと違って……まあ、一般人が何回も来る方が可笑しいわな……始めて来たジョーカの驚くを見ているとイチカが
「まさかアンタが積尸気の使い手なのか?」
「少年、残念ながらその考えは外れだよ、これは私達の
なるほどな、つまり『積尸気の使い手』は奴らの
「今の君達は霊体、肉体じゃない。その意味が分かるかな?」
実際、
「そう、
……アレ? そこかよ?!
「さあ、これで……その顔をズタズタにしてあげるよ!」
驚くところがズレてる俺だったが……勘違いをしまくってる
「な…!?」
「はい……?!」
「えっ?……」
予想もしてなかった光景に驚く
「血や花がなくても拳があろう」
そうなんだよな、多分イチカもそうだろうが『アルバフィカの攻撃手段は『毒薔薇』と『猛毒の血』の2つだけ』だと思ってたんだろうな。
「感謝するぞ、マニゴルドはともかくイチカやジョーカにこの血がかかるのでは無いのかと案じていた」
そう言って戦闘態勢に入るアルバフィカにイチカとジョーカの2人は怯えながら俺の後ろに隠れやがった!? まあ、気持ちは分かるけどな……
「良いのだな?ここでは血も香気も振り乱して殴り合っても」
拳をボキボキ言わせながら笑って言うドSフィカ(この任務終了後イチカが命名)がこの場に降臨した。
「
「そう言えばイチカは知らなかったな。まあ、その前によく考えてみろ」
そもそも
「そう言われれば・・・」
「アルバフィカの場合は血のことがあるから控えてるだけだ、だが今はソレを心配する必要がない」
そう言うとイチカも納得しやがった。
「お、おのれ…!!」
目論見を外された
「顔で…受けた!?」
「己を着飾る前にな…リュゼよ、まずは闘志と誇りを纏うがいい」
予想だにもしなかった防ぎ方に驚き動きを止めた
この話の当初のタイトル候補が
ドSフィカ降臨
可哀そうな烏
の2つだった事を明かします。
外伝4巻の第32話を見た感想がそれだったんだ・・・