無事にブランシュを潰して、十文字家のおかげで過剰防衛等にもならずにことは終わった。
十師族の権勢は、司法当局を凌駕する。現代魔法の才が先天的素質に左右されることが分かってしまえば、当然の帰結としてら血縁による強化が企画される。それは日本でも行われて、結果的にこの国の魔法界に君臨する新たな一団が形成された。それが、十師族。血縁が魔法に影響するので、この国の魔法序列は十師族とそれ以外では、越えがたい壁が出来ていた。十師族は表舞台には立たず、むしろ、兵士として、警官として、行政官として、その魔法を使用する。その代わり、表の権力を放棄した代わりに政治の裏側で不可侵に近い権勢を手に入れた。これが、この国の魔法師が選んだ道だ。その十師族の3番手は十文字家なので、これに普通の警察は関与できるはずがないのだ。
壬生はしばらく入院することとなった。ブランシュのリーダーが光波振動系魔法・邪眼の使い手であると判明したため、マインドコントロールの影響が残っていないか様子を見ることとなったからである。なお、入院時にエリカは頻繁にお見舞いに足を運んでおり、すっかり親しくなっている。因みに、深苑は同学年のため勉強を教えに行っており、それなりに会話ができるようになった。本人いわく、友人ではないらしい。まあ、教え方が上手なおかげで壬生にとても喜ばれ、笑顔を向けられたときは気をよくしていたが…。ついでに言うと、あの剣道小町と写真を撮りたいと頼み、それを入院中に勉強を教えたお礼としていたが…どこが友人でないのだろうか…。司も罪に問われることは無かったが、深刻なマインドコントロールの影響があったため、長期の治療を行う。自主退学することになるだろう。
深雪は自分が誰かがしたあの魔法がなかったら、どんなことになっていたのかと考えて落ち込んでいた。それと同時に、誰がやったのかも気になり、もしわかったらお礼をしようと心に決めていた。しかし、達也がいくらでも深雪を甘えさせたため、かえって落ち込みモードが遅れるような事態が起きていた。
そして五月になった。壬生の退院日には病院には事件に関わった生徒が集まっていた。その中では、桐原が壬生と仲が良さげでエリカがふてくされていた。なんでも、桐原は毎日壬生の所に通い詰めていたらしい。エリカの協力もあり、無事深雪が似合いすぎて都会の日常風景から逸脱してしまってまでも持参した花束を渡して、挨拶も終わった。すると、壬生の父親と会い、挨拶を済ませたあと達也は壬生の父親と話をしに席をはずした。深苑はというと、桐原の次に壬生の退院に駆けつけて、入院中に教えたことがちゃんと身に入っていれば次のテスト、理論は結構いけると、実はちょっと早めの進度だったから授業は楽勝だと話して、桐原には前に見せてしまったからいいかと思ったらしく、ピン留めで前髪をとめて笑って小さいけどかわいいビタミンカラーの花束を渡して、壬生の耳元で
「退院おめでとう、仲が良さそうで良かったわ。」
と桐原をチラリと見ながら言った。顔を真っ赤にした壬生に、では先に失礼します。とこれは無表情に戻りつつも先ほどの言葉を聞いた人ならわかるニヤニヤ顔を雰囲気で醸し出して去っていった。そのため、達也たちと会うことはなかった。
九高戦前のある日
四葉家には、久しぶりの来客がきていた。
「真夜さん、以前した約束は守ってくれる予定ですか。」
「ええ、私としてもその方が都合が良いですからね。」
真意か否かわからない不敵な笑みを浮かべる真夜
「なら、今回の九高戦は、少しだけ活躍してきますね。もちろん、下手な真似はしませんよ。深雪さんより少し下くらいまでの魔法しか使えませんからご安心ください。」
その来客はあの四葉家に来ていながら、リラックスして葉山が入れた紅茶を飲んでいる。真夜はその来客が他にも用事があるとわかっていたので、悪戯っぽく訊ねる
「他にも用事があるのではなくて?」
「ええ…。」
来客は少しだけ表情が変わり、言いずらそうに言葉を発する。
九高戦の話の手前に、過去編書きます。
深苑の秘密を知っても、皆様がこれからも読んでくださると嬉しく思います。どうぞよろしくお願いします。