「風紀委員会としては今回の件を懲罰委員会に持ち込むつもりはない。どうだ?十文字。」
達也が今回の件について報告し、風紀委員長がそれをよしとした。
そして、風紀委員長の隣に座っているこの巌のような男は
十師族の十を苗字にもつ当主代理であり、第一高校部活連会頭の十文字克人。
「寛大な決定に感謝する。高周波ブレードなどという殺傷性の高い魔法をあんな場で使ったのだ。怪我人が出ずとも、本来は停学処分もやむを得ないところ。それは本人もわかっているだろう。よく言い聞かせておく。」
風紀委員長が制裁を下し、部活連の会頭がそれを受け入れ、生徒会長が異を唱えない。なので、この件は終わった。達也が退出の意思を示し、魔法を使用したのが桐原だけであったかを確認された後に達也は退出した。しかし、この件が終わったのはここにいたメンバーでのみだ。達也と入れ替わるように入ってきた深苑は、ことを荒げたいわけではないが一つ、どうしても話しておきたいことがあった。
「一風紀委員として、生徒として疑問に感じたことを申し上げてもよろしいでしょうか。」
この三人を前にして前髪を一切改めることもなく、髪の隙間から彼らを捉え、堂々と発言する。
「ああ、許す。」
風紀委員長が答え、発言権を貰った深苑はスラスラと話し始める
「人は、焦ったとき等にとっさに魔法を行使する方法としては多くの魔法師はCADを使用すると私は考えています。その方が効率的で簡単ですから。そうだとは思いませんか。」
同意を求めるかのように三人を見渡す深苑。誰も話さないことを肯定ととり話を続ける。
「今回の件だと、もしCADに高周波ブレードが入っていなかったとしたら、例え彼がそれをCADなしに仕えたとしてもCADの中に入っている魔法を使用したと思います。また、このように違反者がでることもあるのに、CADに殺傷性ランクBの極めて危険なものを入れていることを容認していることはこの学校の落ち度だと思います。」
深苑はおそらく十師族であるのならわかっていることだと、理解しているが敢えて言う。
「この件を気に点検を行うべきだと考えます。私からは以上です。例え時間がかかったとしても、ご検討頂きたいです。」
一生徒の意見がどれ程影響を与えるかは定かではないが、きっと届いてはいるのだろう。
「そうか。」
と十文字が言った。この学校も少々生徒に任せすぎな気もするが、生徒が優秀だからと怠けているようでは困る。この三人は生徒と先生方に挟まれ、苦労しているのかもしれないが、だからこそ余計に彼らの言葉は教師に響く。きっとこの点検が採用されたとしたら、教師も沢山動き回ることになるだろう。ここで話は終了し、深苑は退出していった。
まだまだ騒がしい新入生部員勧誘が行われている頃、達也は喧嘩と見せかけての攻撃をされる日々を送っていた。その度に"魔法を使わず、並み居る魔法競技者を連破した謎の1年生"という噂が広まり、達也は有名人になっていった。その頃深苑は達也ほどではないものの、功績をあげ去年と同じく、もう違反はしないと涙目の違反者の口から言わせていた。去年もそうだが、彼女の活躍はさらなる目立つ活躍によって目立たないものになっている。目立たないといっても、その目立つのが有名になりずぎているだけで、影に隠れようとしている深苑もまた有名人なのには変わりなかったが、そんなこと本人は気づいていないため、今年もまた、有名人になっていた。
「全校生徒の皆さん!」
という、極めて迷惑な大音声が放課後の冒頭に流れた。今日の夕飯のメニューについて、悶々と考えながら玄関を出た深苑にとってそれは不機嫌になる原因としては、十分であった。音という音を自身から切り離し、不機嫌な雰囲気を押しとどめて、気を取り直して下校しようとした。しかし、端末が震え集合要請が来た事を知ると、押しとどめていたはずの不機嫌を全身で表し、目的地へ向かう。この不機嫌はよほど深苑のことを見ていなければわからないものであったが、達也たちも来ると思い出したのか、すぐに収めて何事もなかったかのように目的地へ着いた。ちゃんと気持ちを切り替え、生徒会長や風紀委員の会話から事態を把握する。どうやら放送室に人が立てこもっているらしい。しかも、最近達也とお茶をしているところを見かけた壬生紗耶香もいるというのだ。深苑は、少しこの件に意欲的になってきたところで、生徒会長に声をかける。このままだと、生徒任せの教師たちがなにを言い出すのかわからない。今まで生徒任せであったのだから、今回も生徒で処理した方が同じく生徒として、都合が良いと考えたのだ。だからこの件を生徒会に任せてもらう方が良いと、生徒会長に話した。
最近ギリギリ投稿で申し訳ありません。
感想で改行が多くて読みずらいという意見がありました。なので、今回は極力改行を減らしてみました。他の話も改行の改定を行おうと思っております。もし、改行があった方が良いという方がおりましたら、考えてみますので教えてください。
今回は少し、深苑の食事への思いを書いてみました。
深苑は自分で料理するので献立は結構真剣です。