王虎 作:センチュリオン アクションX
色々あるので話は後書きにて。
それでは、始めます。
母親である出雲晴夏はプロの戦車道の選手であった。
西住しほの懐刀と言われる程の実力者であり度々雑誌に特集が載る程である。
そんな母親が、戦車道の事故で死亡した。
当時の事は、あまり覚えていない。
気付けば葬式が始まっていた。
度々、戦車道の関係者であると思われる人達がこちらに同情のような視線を送って来たり声をかけてくる人もいた。
だが、殆どの目線が俺の身体中に突き刺さった。
『出雲家の出来損ない』
これが俺に貼られていたレッテルである。
なぜこんなことを言われるのか、俺には解らなかった。
ただ、母親の才能が子にある期待を裏切られた結果なんだろう。
戦車道を始めて解った事は自分には才能がない。
ただそれは才能が無いだけであって下手だと言う訳ではない。
いわば凡人、平均的であった。
それなのに周りの目は厳しかった。
なぜなのだろう。
俺は守りたい物を守りたいだけなのに
守りたい物は全部
自分の手から滑り落ちていった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『もうちょいかな?だいぶ時間かかったな』
「仕方ないさ。改良されてるとはいえ70tの巨体だからな。登り坂とかはどうしても時間がかかる」
通信機越しに親友、早瀬総士と話す。
ティーガーllは知っての通りかなり重い。
解りやすく言えば大人のマッコウクジラは体重約41tに対しティーガーllは約70t。どれだけ重いんだと言いたくなる程である。
ティーガーllにはパンターと同様マイバッハ社製V型12気筒水冷式ガソリンエンジンが搭載されている。
パンターと同様馬力は700馬力なのだがティーガーを動かすには馬力が足りない。
(ただしパンターのエンジンは1943年末以降588~600馬力のエンジンへと変更されている)
いわゆるパワーウェイトレシオに大きな差が出てくるのである。
そのパワーウェイトレシオをよくするためにエンジンをいじったのがこのティーガーllなのだ。
『まあな。しかし他の戦車に着いていけるのか?』
「どうだろうな。黒森峰のときは重戦車だけで動く場面もあったが、基本的には列を整えて行動だったからな。まあ、その辺りはみほの指揮によるな」
『へぇ、そりゃ楽しみだ。お?着いたな。色んな戦車が見えるぜ。掃除してるみたいだな』
「そうか、ちなみにだが車種は解るか?」
『さっきの四号戦車に3突、M3リー、38tに八九式『チイ』だな』
「………圧倒的に火力が足らないな」
『だな。まさかチイとは俺も予想外だぜ』
ふむ、こうなって来ると厳しい。火力はティーガーllを除くと頼りになるのは3突の7.5cm咆にM3の固定7.5cmだろう。
四号の主砲も7.5cmではあるが見た限り対戦初期の短砲身だ。あれは貫通力に不安が残る。
38tやチイに関しては火力に期待出来ない。だがどちらとも軽戦車の運用をすれば問題ない。
チイに関しては全面の面積が狭いから蛇行運転何てされたら狙いにくくてしかたがない。
「……まあ仕方ないか。売れ残りの戦車だしな」
『売れ残りだからな。3突や四号があっただけでも良しとしようや』
「そうだな」
『さてお披露目しようぜ。大戦最強の重戦車をよ』
「ああ、行こうか」
残りは下り坂。一気に下る。
その豪快なエンジン音に皆が気付き手を止める。
校庭に出たとき総士がキューポラから頭を出す。
「真姫!誘導頼む!」
「オッケー!」
通信機越しに総士の指示を聞きながらゆっくりとティーガーllを列に並べる。
「ふぅ…」
「おう、お疲れさん」
「お前もな総士」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
戦車から飛び降り、生徒会長に報告する。
「ティーガーll、回収完了だ」
「お疲れ~」
相変わらず干し芋を食べながら返事をする生徒会長に苦笑しつつティーガーを見る。
そこには掃除していた事を忘れ、まじまじとティーガーを見つめる少女達がいた。
「悠希君、あの戦車って……」
「ん?みほか。ああそうだ。
こう言って伝わるのはみほやまほ、そしてしほさん位だろう。
そして、お互いに
「どうした?悠希」
「いや、何でもない」
急に暗くなった事を不思議に思った総士が聞いてきたがごまかす。
「あ、あの!出雲悠希さんですよね?」
「む?」
そんな悠希にはなしかけてくる一人の少女。
「君は?」
「秋山優香里さん。一緒に戦車を探してたんだ」
「ありがとうみほ。いかにも自分が出雲悠希だが、何か用かな?秋山さん」
「あのティーガーllについて一つお聞きしたい事がありまして。よろしいでしょうか?」
「ああ、かまわないが?何が聞きたい?」
「えっと、あのティーガーll
その質問に俺とみほが固まった。
「あの……出雲殿?」
「秋山、そのことは絶対に誰にも言うなよ」
「え」
「いいな」
「はい」
有無を言わさず、とはこの事だろう。
(まさか気付くか……)
とは言え内心、悠希は焦っていた。
バレるかもしれないという焦りだ。
「あ、秋山さんみんな待ってるから戻ろう?ね?」
「え、あ、西住殿!?」
みほのフォローにより秋山は四号戦車の方へと戻っていく。
「ふう……ひとまずは安「は~るき君?」心?」
肩に手を置かれた。
しまった。こいつの存在を忘れていた。
ミリタリーマニアのこいつが今の秋山の話を聞いて気付かないはずがない。
「ちょっっっっっっと後でお話があるんだけど、いいかな?」
「……Дa(ダー)」
思わずロシア語で返事をしてしまった俺は悪くない、と思う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
掃除が終わり皆が帰った後
「んじゃ、聞かせてもらおうか。あのティーガーllについて」
「もう隠すつもりはない。何でも聞いてくれ」
総士と1on1での話し合いとなった。
「とは言え、おれも秋山の話でやっと合点がいったんだがな」
「やっぱりお前も気付いていたのか……」
「気付く、というよりは違和感だったがな。さて単刀直入に聞くぜ。この戦車
「……その通りだ。まあ10.5cm砲を積んでいる時点でただのティーガーllではないが…」
「それもそうだな…」
「総士、カール白臼砲をしっているか?」
「あたりまえだ、戦車道では使っているとこは申請がめんどいからほとんど使ってるとこは見たことがない」
「その申請の事もしっているか?」
「ああ、まずカールを戦車扱いにすれば使えるようになる。まずカールに屋根取り付けて戦車扱いにしたら後の製作年月は満たしているから…………あん?待てよ……
「そうだよ総士。こいつはティーガーllであってティーガーllではない。姿容姿はそっくりだが、細かいところは違う」
「………なるほど、ドイツの大戦中にEシリーズ計画重戦車の中にティーガーllによく似た戦車になる予定の奴があったな。『E75』重戦車。それがこの戦車の本当の姿か」
「正解だ総士。けどEシリーズはE100の履帯を除き車体すら完成していない。証言にあるティーガーllに似せればいい」
「なるほどな。だから連盟には『ティーガーll 既存戦車の再武装』という名目で許可が降りた訳だ」
「ああ」
納得が言ったのか総士がまじまじとティーガーを見つめる。
「しかし、この戦車本当にどこにあったんだ?」
「……出雲晴夏、しっているか?」
「ん?しってるぜ。西住しほの懐刀と言われてプロの戦車道まで登り詰めた才女。使用戦車はティーガーll。戦車道の試合中事故で亡くなったって……おい待て、悠希お前まさか……」
「察しがいいな総士。俺はその出雲晴夏の息子、そしてこのティーガーllは……
母さんの遺品だ」
後書きと言う名の近状報告
どうも。センチュリオンアクションXでございます。
1ヶ月以上の放置……誠に申し訳ない。
この小説、実はスマホ投稿なんですよね。
まあ何があったかと言いますと。
簡単に言ったらスマホ、ぶっ壊れました。はい。
いや、前からおかしかったんです。
40%位充電残ってるのに勝手に電源切れて電源つけ直したら0%になってたり。
変えに行こうかと思ったら大学の合格発表だの車校の入学準備だの文化祭だの行事がつめっつめで……
やっとこさスマホ変えて投稿しました。誠に申し訳ない。
それではまた次回。よろしくお願いします。