新説 転生者物語   作:幻龍

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いきなり、宇宙に進出することを考える主人公が意味がわからないという方もいると思いますが、紺碧艦隊の話では領土を拡張することが難しいと判断したので、そうしました。



第一話 宇宙進出計画

照和12年。

  

 大高弥三郎が皇族や政府関係者と、積極的に交流を働きかけているという情報が入ってきた。恐らくクーデター計画をスムーズに行う為の根回しを始めたみたいだ。

 幸い、外国企業の動向を調べる為の部署がうちに会社にもあったので、それをスパイ諜報機関に変えた。

 スパイ育成を行い、国内、国外問わず情報を集めやすくなった。

 

 大高から要請された兵器はやはり、原作の超兵器だった。とりあえず、研究機関に要望をまとめた書類を回し、作れと命じて置いた。この世界の日本は技術の進歩がすごいからな。ある程度自由にさせておけば、勝手に技術アップしていくから問題ないと判断し、丸投げした。。

 

 

 そして、政治に関しては家族に原作メンバー、つまり大高等は有能な者が多いから隙を見せてはいけないと言い聞かした。祖父と父は話を理解してくれたので安堵した。

 俺はアドバイザーとして青風会にいるが、クーデターが成功した後、新内閣を発足したとき祖父は大臣ポストに就くことになったので念の為、清風会のメンバーにギアスを掛けて、味方を作っておいた。

 俺のこの世界での目的は日本を豊かにし、大国に伸し上げることだ。さらにそれを利用して、宇宙に進出し、大型のコロニーを造り、そこに日本人を移住させ将来は独立国家を築く。独立は最後の手段だが、原作では世界平和を目指して、日本の税金と領土を無駄にしたことがある奴らだ。

 

 原作では世界平和を目指して戦ったが、この世界では日本の為に戦う。

 

 いくら他国を助けて信用されようとも、国家同士に真の友情等ありえないのだ。国益を損なう事態になったら、手のひらを返す。薄情だけどそれが国の姿勢として正しい姿を実現するのが目的だ。

 要するに国の指導者とは国家と国民の生活を守ることが第一だ。原作を見る限りあいつらはそれが抜けているような気がするので、そこらへんは俺が指導するつもりだ。

 

 「それより、最近アメリカの様子はどうなんだ?」

 「スパイからの情報によると大統領が何とか失業者の吸収を計っているみたいですが、アメリカの生産量は消費を上回っているので順調とはいえません。それに在庫が山ほど残っているので生産するだけ赤字状態で、経済状況は改善されていません。なので大陸に進出して利益を稼ごうと必死のようです」

 「日本も無駄に介入して、金を捨てていたからな。やめさせて正解だった」

 

 大高達に己の政治力を見せるために大陸進出を唱える軍部を説得し、引き上げさせた方がいいと会合で発言し、実行に移した。知り合い軍人の伝手を使い、何とか接触成功した。

 最初は理性的に説得したが民間人の若造の考えと一蹴された上、それ以降は聞く耳を持ってくれなかったのでギアスで手駒にして解決した。

 結果、軍と大陸にある租界から人を引き揚げさせて、国内の開発にその金と人材を充てることになった。最も、満州からの引き上げは資源的な問題もあり、却下された。

 

 しかし、俺の能力を疑う者はいなくなったので成功したといえる政策だろう。

 

 そして、あの国家は日本軍が引き揚げた結果共通の敵がいなくなったので、内戦が再開。国民党が現在優勢だ。 

 理由は単純。日本が引き揚げたのでアメリカや西欧諸国が中華の利益を得るために殺到。密かに武器支援等をしているためだ。その為、国民党軍はそれらの諸国の支持の元、連戦連勝。共産党狩りを積極的に行い、共産党は弱体化している。戦闘になった街では略奪と暴行が日常茶飯事で荒れ果てているようだ。それでも、爪が甘いのか共産党に止めを刺しきれず逃げられていた。

 

キョウは机に置いてある、兵器部門から届いた近況報告の書類を読んだ。

 

 「兵器の開発は順調だな」

 「はい。実現するにはあと何年か、掛るものもありますが順調です。それと原子爆弾の研究についてですが、進歩があったそうです」

 「原子力関係も順調か……。あと、何年で原子力を利用できるレベルまで持っていけるかどうかだが、今のペースなら問題ないな」

 

 国は日に日に国力は高まっている。史実で問題になった、兵士徴兵に対する技術者不足等を解消するため、兵器等を生産する技術者は兵士に徴兵することを禁止した法律を知り合いの政治家に提出させた。さらに後方支援部隊も知り合いを通じて設立させた。その為に必要な人手を得るためには人口を増やすことも大切だ。当分は引き揚げてきた人達がいるので何とかなるがいずれ、相談しなければいけない。その為にも社会保障制度を成立させて、平均寿命を延ばすための医療関係に資金を投入できるようにしないといけない。

 民間部門の技術も年々高くなっているので、成果が出るまで時間が掛るが将来日本は豊かになるだろうと考えて要る。

 

 「問題があるとすれば俺自身か……」

 「いい加減に結婚して、二年前に引退されたおじい様をご安心させてあげてください。キョウ様」

 「大久保……。それを言うのはなしだ」

 

 そう。俺は未だに独身なのだ。 もちろん、人並みに美しい女性と結婚したいという願望はあるが、今は国の方が大事なので後回しだ。嫁さん探しは別に戦争が終わってからゆっくりやればいい。

 

 「夜は紺碧会の高野中将と話し合いだったな」

 「はい。何でもお話したいことがあるとか」

 

 恐らく、将来についてだろう。

 大高も高野も転生者だから、将来の日米戦に向けてすでに動き出している。

 そして、転生した神凪キョウも動き出す。己の為に。

 

 

 照和十四年。

 大高と高野がクーデター計画を密議するらしいので、神楽坂の料亭に招かれた。

 

 「いよいよ、時が迫ってきている。開戦まで時間がない。詳しい計画立案を行いたい」

 

 開口一番に高野がそう言い、大高とキョウは頷く。

 

 「我ら清風会は議事堂や陸軍省等を抑えます。紺碧会は海軍省を主に担当していただきたい」

 「わかりました。キョウさん、開戦に備えて依頼した物は整っていますか?」

 「問題ありません。高野さんが考案した、紺碧艦隊はすでに完成しています。それにレーダー及び通信技術も大高さんに言われていたので最新の物が完成しています。随時研究・開発をさせているので問題ありません。量産体制も工作機械を整え、部品規格も要請通りに統一しました。準備はほぼ整いました。問題があるとすれば食糧の増産です。成果が出るまで1年は必要ですがその後は天候等の不安定要素はありますが、一定の量を供給できます」

 

 時間がないので深夜残業もさせたが、その分給料を上げたおかげで、やる気がでたおかげで無事に完成した。その為、サービス残業もしてくれるぐらいだ。

 食糧増産は配給だと不満が溜まるので、食糧事情を改善すべきという意見を出し

 

 「それでは国家戦略について、話し合いましょう」

 

 大高がそう言い、今度は国家戦略について話し合われた。

 

 「南樺太共和国建国は反対です。日本の領土を削るなどとんでもない。断固反対です」

 「しかし、世界世論を味方に付けて、アメリカを牽制するには必要なのです」

 「何を言っているのですか。そもそも、この戦争の原因は日本が無資源国家所以におきたのです。石油がある樺太はむしろ、ソ連が戦争を仕掛けてきたら確保すべきです」

 

 自分達のより未来から転生してきたキョウの事情を知っている大高と高野は二人は、彼の言い分は筋が通っており、最もなことなので反論できなかった。

 しかし、大義の戦にするために大高と高野も自分の考えをなかなか譲らなかった。

 話し合いはかなり込み入ったものになり、一日では終わらず、後日また話し合うことになってお開きとなった。

 具体的な方針が固まったのは、3回目の会合だった。

 

 

 

 話し合いが終わり、自宅に帰ると祖父と父が広間で椅子に座り待っていた。

 

 「今回の話し合いはどうだったんだ?」

 「今後の国家戦略についての話しあいだった。正直あまり話し合いにならなかった」

 

 コートをハンガーに掛けて、椅子に座った。

 キョウの父である神凪丈が説明を求めてきた。キョウは今回の会合で話し合った内容を大まかに説明した。

 

 説明が終わると二人は難しい顔をした。

 

 「そうか。そこまで二人の決意が固いとはな」

 「うむ。あの二人らしいの」

 

 大高と高野の言ったことに父は顔を顰め、祖父は二人ならそう言うだろうと思っていたのか、納得した表情をしていた。

 

 「日本はこのままではまた、無資源国家になる恐れがあります。あの二人なら大陸全土からの撤退をする可能性もなくはないですし。このままではまた、大恐慌になったとき日本はまた苦しむことになります」

 「それは困るな。満州は鉄鉱石と石炭を供給する大事な場所。それに石油の採掘とそれを精製するための機械も開発したばかりだ。樺太もまだ、資源が眠っている可能性があるし、何より漁業権の問題もある」

 

 キョウの発言に父は大恐慌はもう勘弁だと言い頷く。

 企業家にとって、大恐慌の経験等したくないのだ。無資源国家日本が生き残るには、資源がある所は陸だろうが、海だろうが確保しなければいけない。例え、他国と争ってでも。

 

 「では、どうするのだ? お前が言ったから、大高等に協力することにしたのだ。このままでは時間と資源、金を無駄に浪費させられるぞ」

 

 祖父が具体策を示せと暗に言ってきた。

 キョウは考えていた策を二人に話すことにした。

 

 「実は夢のような話なのでバカにされると思い、話しませんでしたが実はある計画を立てているのですが……」

 「構わん。お前の事だから考えがあるのだろう。言ってみなさい」

 「わかりました。少し取りに行きたい物があるので待っていてください」

 

 祖父が計画を話すように促す。キョウは頷き、部屋に向かった。

 しばらくして、いくつかの書類を持って広間に戻ってきた。それを机に広げ説明を開始した。

 

 「これは、大高中将が考案した、鳴門と呼ばれる潜水艦をいくつも繋げ基地とする物です。わが社にこれを作るように依頼してきました」

 「私も見たがこれがどうだというのだ?」

 

 父がこちらを見て疑問を投げ掛けてきた。これは祖父や父ならわかっていることでこの話し合いにはあまり関係がないと云える。

 

 「ここからが本番です。実は宇宙進出を目指そうと何年か前に思い、密かに計画を練っていました」

 「宇宙に進出だと!? 本気なのか?」

 

 父が正気かと尋ねてきた。

 

 「本気です。そして、利益が出る用に宇宙に移動大型コロニーをいくつか作り、そこで食糧を生産して売りつけます」

 「コロニーとは何だ?」

 「コロニーは人が宇宙でも住めるような環境を確保する場所です。それを作り、日本人を移民させます」

 

 キョウが言っていることに、二人は聞き入る。

 最初は不可能に近いと思っていたが、資料を見せながら、具体的に説明するので実現可能だと思い始めたのだ。

 

 「鳴門を建造するに当たって大量の資源を購入したとき、同時にこれらを作るための分も購入しました。無論国費を流用等していませんから、何も言ってこないでしょう」

 「ふむ。最近研究所や工場に籠っていたのはこれらの準備の為か」

 

 祖父は最近孫が引きこもって食事をしていないことに心配していたのだが、これらの計画の為の準備をしていたと告げられて納得する。

 

 「大高と高野はあくまで曖昧な世界平和が目的で国益を無視し、日本人が血を流した領土を平気で明け渡す可能性があります。残念ながらそれを止められる可能性はあまり高くないのが現状です。だから、我らが目指すべき新天地は宇宙です。あそこなら、いくら領有しても問題ありません。宇宙港の建設やシャトル建造に必要な資源は戦争が始まったら大量に購入しても怪しまれることはないでしょうし、うまくすれば宇宙にあるかもしれない未知の資源を独占できます」

 「将来を見越しての計画か……」

 

 父、丈が顎に手を当て計画について思案する。

 大高中将は決して自分の自説を変えない人物であることは知っているし、彼の計画に日本人として賛同できる所もある。

 しかし、自分は会社を経営する者だ。会社にとって不利益になることはそう簡単には認められない。それに部下である社員にも家族がいるのだ。彼らの生活を脅かすことなどできないのだ。

 

 「……いいだろう。その計画を進めることを許可し、推進することにしよう」

 「うむ。存分にやるがよい。ただ、日本が勝つことも重要ぞ。その準備と計画もしっかりとやるのだぞ。わしも内閣に入ったら存分に頑張るつもりだ」

 「ありがとうございます。おじい様、父上」

 

 祖父と父の許可をもらい、ほっとしたキョウだった。

 こうして、宇宙進出を視野にいれた計画は始動した。




主人公視点で話が進むから、戦記物でよくある戦争描写が皆無かもしれない。
主人公軍人ではないし……。
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