この作品話数が少なる予定です。理由は次書く作品の準備のためであるからです。
照和17年。
現在の状況はハワイ及びオワフ島を占領し、ハワイを勢力圏に治め、大量の重油を確保し、基地に高杉艦隊を常駐させた。アリューシャン列島方面はダッチハーバーを占領した。日本軍は基地で体勢を整えた後、他の島を制圧し、守りを固めた。
日本軍はこの勢いに乗って、アメリカが本格的に攻勢に出る前にその動きを鈍化させるためにある作戦を立案した。
それは紺碧艦隊搭載の航空戦力でパナマ運河を破壊。米国の艦船及び物資を大西洋から太平洋に輸送路を封じ込めるためだ。
その任務を果たすべく、紺碧艦隊は艦隊の拠点である紺碧島を出航。一路中南米、パナマ運河を破壊すべく出撃した。
キョウは計画が実行段階に移されたせいで大半を会社のビルや工場で過ごす。しかし、アドバイザーとして、政府や大本営に呼び出される日も多くなっている。その為、計画に必要なマスドライバー及び、コロニー建設が思ったより進んでいない。錬金術を使う手もあるが、会社の技術力を上げるために今は使用していないのだ。技術力アップは将来会社の利益になるのでやらなければいけない過程だと言い聞かせた。ただし、自分達の利益の為にやっていることなので必要なとき躊躇なく錬金術を連発している。
俺の気分は最悪だった。何故かというと昨日は受注していた兵器に問題点があったので、それを直す為に徹夜をするはめになり、家に帰って寝たのが夜中の3時であまり休めなかったからだ。
それだけならいいのだが、首相官邸に来るようにと連絡があったので行かねばならなくなり、眠気と格闘しながら官邸に向かった。
官邸に来て、まず祖父が主導・担当する国内開発計画について色々とアドバイスしたり、各地に工場を分散して立てるように言ったり、高速道路を建設して物流をスムーズにするなどの案を進言する等忙しい時間を過ごした。
こうして一日大半を官邸で過ごした後、会社に直接赴き必要な仕事をこなす。工場で生産されたマスドライバーに使う工材等を確認したあと、シャトル作成で社員がわからない所等を教授して、生産現場に直接赴いて造り方を伝授したりと忙しい日々を過ごしていたので休みがほしいと父に言った。そしたら、父が「今回の作戦成否で仕事量が変わるから成功すると祈っていろ」と返してきた。
もし、失敗して戻ってきたらどうしてくれようか……。高野に何か譲歩させて無理を通してやろう。
紺碧艦隊がパナマ運河破壊に成功したと報告を受けたのは休日前だったので、予定通りにことが進んだ結果、休日出勤はなくなったのでほっとした。
ある日、抱き込んでいた大臣からある連絡を受けたので慌てて内閣府に赴いた。理由は大高が国民党と共産党の和解を提案しようとしていると連絡を受けた為だ。
すぐに大高に会い事情を説明してもらったが、俺はこめかみに筋を浮かべながら冷静に反論した。
「総理。あなたは政治を友情ごっこと思っているのですか?」
「あなたは反対ですかな? キョウさん」
「無論です。そのような物は協議する必要もありません」
無表情且冷淡な声で大高に意見する。明らかに不機嫌オーラを垂れ流しているせいか、同席している九重は若干おろおろしていた。
大高にとって俺達の企業の財力と技術力は必要だから、説得を行ってくるので身構えた。
「アジアは団結する必要があるのです。これは日本の将来の為になるはずです」
「私はそうは思いません。むしろ足枷になります」
なぜ、敵を助けるような行為をするのかまったく理解できない。あの二国を助けても日本に恩を感じることなどありえない。それが国同士の現実なのだ。
「アジア国々が団結しなければ、この戦勝てませんぞ。協力は必須です」
「自主独立できるほどの力を蓄えれば問題ありません。その為には資源のある地域を確保することです」
「侵略主義では非難は免れないのです。だから……」
しばらく、団結か自主独立かで散々議論したが、平行線に終わった。
この議題は保留になり、次に戦況と他国の状況を話し合い、ナチスに関しては現状維持、ソ連に関しては引き続き警戒をすることで合意した。
数日後、再びこの外交政策が話題に上がったが、事前の入念な根回しにより阻止することに成功した。
せっかく内戦で勝手に疲弊していてくれるのだ。今の現状こそ日本の安全にとっては望ましいからだ。
この凄まじい反論に大高も折れたのか敵のスパイを利用して嘘情報を流すことはしたようだが、積極的な和解案を出すことを取りやめた。
今は日米戦の最中。一致団結しなければいけないことをどうやら理解していてくれたようだ。
そして、経済大臣から戦争を続ける為の資金を得るために旧式の武器を国民党に売却する提案が持ち上がり、内閣にて賛成多数で可決された。
「お前が出した、経済活動の一つはうまくいったぞ」
「まさか、内戦を利用して、武器を輸出して儲けようとは抜け目がないな」
「これでわが社の利益は上がり、国も税金で潤うでしょう。金がないとなにもできませんからね」
内戦を利用して武器売買で利益を得ようという案だが、実は俺の考えだ。普通に意見しても大高に警戒されるので、大臣や議員からの意見として出させたわけだ。
最も近い未来、帝都初空襲で被害にあった工場や家屋を直す為にも金がいる。その為の資金を今の内に稼いでおかなければいけない。
だから、当初は不干渉で行くつもりだったが、日本の利益を得るために武器輸出を了承させたのだ。
「これで計画の予算を何とか確保できるように荒稼ぎします。幸い、コロニー建設に必要な資材は順調に製造できているので、ギガフロートができしだい資材と共に宇宙に上がり前線基地の建造も行います」
前線基地を作る場所は月面だ。シャトルの安全性が確保できしだい錬金術を使って一発で完成させる。さすがにコロニーを造るには拠点がないと難しい。休める場所や工作機械を修理できる場所はあったほうがいい。
「戦況が有利になって、和睦できれば一番いいのだがな……」
「そうすれば、国内開発に金を注ぎ込める。お前はこの戦争、どれくらいで終わると思うか?
率直な意見を言え」
祖父と父が今行われている戦争が無駄な出費を強いられることに眉をひそめて言った。
会社の利益も一部戦争遂行の為に予備予算として取られているからだ。二人は早く戦争が終わってほしいと願っている者達だといえる。
だから、戦争の行く末が気になるのだろう。祖父と父がこちらに視線を向けてくる。男二人に熱い視線を送られていい気分ではないのでさっさと答えることにしよう。
「少なくとも相手の戦意を奪わないと難しいですね。米国の戦意を挫くには国内に反戦ムードを漂わせないといけないので、少なくとも米国が研究している原爆研究施設を研究者諸共始末するぐらいしないと無理ですね」
「あの国へ攻め入るにはとてもじゃないが兵力が足りないぞ?」
父が俺の考えに突っ込む。日本と米国では人口に差がありすぎるからな。兵力差がありすぎるし、国の大きさも桁違いだ。
「ええ。だから大高総理も講和を結ぶことでこの日米戦争を終結させるつもりのようですので。我々はそっれを大いに利用しましょう」
キョウは不敵な微笑みを浮かべながら言った。最後に大いに笑うのは自分達だと言わんばかりに。
「だが、講和等可能なのか? 例えこちらが原子爆弾を使うにしても、それで米国が講和に乗ってくる可能性は高くないと考えるが」
「そうですね。いざとなればやはり侵攻軍を直接送り込む必要がありますね」
「どちらにしろ、本土攻撃は避けられないか……」
「その為にも陸軍の機動化は必要です。大高総理もそこはわかっているので、強化案を推進してくれと通達しています」
予算編成も完了しているので、陸軍の機動化が始まった。
日本の勝利の為に着々と準備を進めるキョウであった。