霊夢のお兄ちゃんになったよ!   作:グリムヘンゼル

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第10話

ここ最近は剣の修業が大変になってきてるので、霊夢と妖夢を精神的な癒しとして供給することで何とか生活することができてる。そうしないと生きていけないとも言えるが、他にはどうしようもないので苦肉の策とも言える。

 

「おにーちゃん、きょーもでかけるの?」

「さー、どうだろうね?紫母さんが今日は剣の稽古休むように言われてるから、出かけるのかもね」

 

霊夢に服の裾を引っ張られる。こういった仕草の一つ一つが小動物みたいで可愛い。流石は俺の妹といえる。

今日は事前に紫母さんから剣の稽古を休むように言われている。理由は聞いてはいないが、くだらないことで息子の稽古を休ませるようなことはしない。むしろ時間があるなら稽古しろ、とでも言うだろう。もしくは無言でスキマを開いて俺を冥界に送りそうだ。

 

「えー、ゆかりなんてほっといてあそぼー?」

 

頬を膨らませて不満を訴えているが、そんなことを言われてもどうしようもない。諦めてほしい。ほら、帰ったら沢山遊んであげるから。でも、親の呼び捨てはいただけないなあ。

 

「こら。育ての親を呼び捨てで呼ばない」

「…………ごめん。でも……わたしそだてたのおにーちゃんでしょ?」

 

うん、そうなんだけどね?確かに赤ちゃんの霊夢の世話のほとんどを担ってたけど、一応母さん達も多少は世話してもらってたんだよ?なんでそんな確信を持ってるかなあ。俺は言った憶えはないんだけど。もしかして紫母さんか藍お母さんだろうか?でも、自分が不利になるようなことをおいそれと話すだろうか?例えそれが小さな子供であろうと、とても話すとは思えないな。

 

「なんでそう思うの?」

「かん!」

 

勘かぁ…………。確か昔、2年か3年くらい前だったかな?今代の博麗の巫女も俺がふざけて、失礼なことを考えていただけで、頭を叩かれた記憶があるから、やっぱり直感は博麗の巫女の必須項目なのだろうか。

 

「白鹿、今いいだろうか?」

「どうしたの?」

「皿を洗い終わったら、話があるから居間に戻って来てくれるか?」

「わかった。もうちょっとで終わるから、待ってて」

「では頼んだぞ。霊夢も一緒に来るか?」

「や!おにーちゃんといっしょがいい!」

 

嬉しいこと言ってくれるな霊夢は。撫でてあげたいけど今は手が汚れてるから後でね。まあもう終わったけど。

 

「霊夢、肩車してあげよっか?」

「ほんと?やったー!」

 

妖忌さんに鍛えられているおかげで体力や筋肉が同年代の子と比べて多く付いているから、霊夢くらいなら軽々と持ち上げれる。もう貧弱な俺は存在しないのだ。まだ、一回も妖忌さんに攻撃を当てたことはないけど。

 

鴨居には肩車しても届かないので、敷居でこけないことだけ注意して今まで移動する。足取りもしっかりしているのでバランスを崩すことなく霊夢を降ろすことができた。母さん達ももう座ってるので、俺が座った後に、霊夢を膝の上に座らせて話を聴く姿勢になる。

 

「本当によく懐いてるわね……。羨ましいわ……」

「赤ちゃんの時にちゃんとお世話しなかったからでしょ?悔しかったら今からでも家の事を俺と藍お母さんよりも多くしてよ」

「耳が痛いわ……」

「それで話って何?今度は俺に何をさせたいの?魔法とか?」

「白鹿に魔法の才能はないわ。不思議なくらいそういった適性はないもの。貴方もそろそろ教養を身に着けてもらおうと思ってるの。博麗の巫女を補佐する者が馬鹿だと各所に示しがつかないもの」

「そういうことならいいよ。母さん達が教えてくれるんでしょ?」

「あー、いや。そういう訳にはいかないんだ。我々には別にやるべきことがある」

 

お?またも育児放棄か?今度は家出してやるぞ?霊夢を連れて幽々子様の家の子になっちゃうよ?行き方はスキマからの直通しか知らないけど、何とかなるだろ。

 

「白鹿には人里で行われている寺子屋に通ってもらいたい。無論、剣の鍛錬も継続して行ってもらう。寺子屋が終わり次第、博麗神社に行き、そこから冥界に赴き剣の鍛錬をする。博麗神社には紫様か私が滞在しているはずだから、移動の心配はない」

「霊夢も次代の博麗の巫女として修業に務めなくちゃいけないの。だから分かってちょうだい?私達は貴方を嫌って、他人に任せるわけではないの。できれば貴方に勉強させる役目も私達でしたいのが本音。だけど手が回りそうにないから仕方なく諦めたの。それに貴方には他にもやってほしいことがあるの」

 

親の愛が確認できたのはいいけど、過密スケジュール過ぎない?大丈夫?せめて夜にゆっくり眠れる時間は確保できる?

 

「俺に何をさせたいの?」

「人里の中での重要人物に会って、接点を作っていてもらいたいの。稗田の家の当主は貴方と年齢が近かったはずよ。博麗の関係者とでも名乗れば会わせてくれるでしょう。こちらからも話は通しておくから問題なく会わせてくれるはずよ」

「失礼のないようにな」

 

かなりの重要人物じゃん。しかもいいところのお嬢様。幽々子様は紫母さんと友達だということでかなりフレンドリーに接してくれているが、稗田の家とは仕事の付き合いみたいだったはずだし、下手なことしたらいけないやつじゃん。こういうの苦手だからやりたくないんだけど……。

 

「拒否!」

「拒否を拒否!」

 

即答で紫母さんに返された。こういう仕事本当に嫌いなんだけど。

 

「本当にやらなきゃダメ?」

「何事も経験よ。やってみなさい」

「もし不安なら、寺子屋の教師を連れていくと良い。あの半妖は稗田の者と親しくしていたはずだ。それに人里の顔役でもある。もし人里で困ったことがあれば頼ればいいだろう。善良な性格をしているから、嫌な顔はしないだろう」

「……わかりました」

 

結局は断れないんだよな。理由が何かと親の優しさが垣間見えるから余計に断れないし。できればやりたくない気持ちは変わらないけど、多少はやってもいいかなとは思えるようになった。

 

「それじゃあ、早速行くか。先方を待たせるのも悪い」

「あれ?紫母さんが一緒じゃないんだ?」

「白鹿は私の方が嬉しい?」

 

紫母さん、藍お母さんと競ってるのか?どっちが俺に懐かれてるのかとか、そういうので。

 

「俺はどっちでも嬉しいよ」

「わたしはおにーちゃんがいればいいんだけど。ゆかりもらんもいらない」

 

もう少し霊夢は母さんたちに懐いてもいいと思うんだけどなぁ。赤ちゃんの時に母さんたちに不満をぶちまけたのがいけなかったのだろうか?

 

「私、あの半妖に好かれてないの」

 

ああなるほど。

 

「ゆかりってだれかにすかれてるの?」

 

こら!霊夢やめなさい!紫母さん傷ついちゃうから!!

 

 

 




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SERIO様、誤字報告ありがとうございました。
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