3歳になって、今までの生活ががらりと変わった。
まず第一に、本当に妹ができた。血縁とかは知らないけど、多分ないだろ。紫母さんは普段から冗談ばっかり言う、胡散臭いを体現することに必死な可哀想な人だが、実物を見せられれば、認めるしかないだろう。そして第二に紫母さんと藍お母さんが2人そろって長時間家を空けることが多くなった。とは言っても一日で帰ってくることがほとんどではあったが、それでもその間は俺一人で赤ちゃんである妹の世話をしなければならならない。さらに家事も、いつもやってくれている藍お母さんがいないため、俺一人でやらなければならない。
妹の世話も家のこともやらなければならず、この時期は想像を絶する多忙さに気が狂いそうになりながら、世間の子育てを頑張るお父さんお母さんに敬意を払いつつ、普段働かない紫母さんに対して怨嗟の思いを調理中の包丁に込めて、大根を輪切りにしていく。大根の煮物、獣肉と山菜の炒め物、冷奴、白米、毎日大体このような献立。
3歳児にしては立派に料理を作っているだろ?これほぼ全部おれ一人で作ったんだぜ?すごくね?すごいよね?だって現代より数倍、いや数十倍は面倒くさい作業になるから、もっと俺を褒めてくれ!
釜戸で火を熾すときには、ガスコンロの素晴らしさを理解した。失って初めて気が付いたよ……。
え?妖力とか霊力とか使わないのかって?
はっ、んなもんねーよ。そんなオカルトチックな能力あったら苦労しないわ。でも、肉の下処理とか薪割とかある程度の準備はしてくれてるからありがたいけど、それなら妹の世話を代わってくれ。幸い大人しい性格なのか知らないけど、普段あまり泣くことがないので、世話するのが楽ではあるけど、それでもこの仕事量は決して3歳児がこなすものではない。夜泣きとか普通にするから成長期にも関わらず毎日が寝不足で、何度「子供に戻りたい……あ、今子供だった」みたいなことを呟いたことか。しんちゃんがひまわりの世話をしながら家事をしていると言えば、この異常性に気付いてもらえるだろう。しかもしんちゃん5歳だから現実はさらに酷い。
一度これ以上はもう無理だと思って二人に妹を背負いながら相談したところ、目を逸らされ話を逸らされ仕事に行ってしまった。仕事が忙しいとかいう理由で。
なんで何年も生きてる妖怪に幼児が妻が夫に対する要求みたいなことをしているのだろうか?もうこの状況もおかしい。
そろそろ限界を感じ始めたので反抗することにした。とはいっても、家事をこなさなければ家は汚れていくし、妹の世話はしなければ命が危ないから、これらをサボることはしない。
これらをきちんとやったという
となると残っている選択肢は結構少ない、こともない。
とりあえず思いついたことを全ていっぺんにやってしまおう。
まずは鍋とたわしは台所にあるからいいとして、革の長財布もケーキを作れる程の材料もないからこの二つはパスするか。
日も沈みかけた夕方、仕事を終えたらしい二人が帰ってきた。
「ただいま」
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
普段と変わらない挨拶に普段と変わらない態度、それが俺のテンションをおかしな方向へ変えていくが今は表情に出さないように理性で抑える。まだだ、まだその時ではない。
「何か変わりことはあったか?」
「ううん、なんにもないよ」
「そう。それなら良かったわ。夕飯はできてる?」
「うん。今日は会心の出来」
ええ……本当に会心の出来ですよ。今晩の食卓は一生忘れられないものにして見せましょう。
「なら冷めないうちに食べましょう」
「さきにて、あらってからにしてね」
「はいはい、白鹿はお母さんみたいね」
「J( 'ー`)し:はやくごはんにしましょ。カーチャン
さあ、
「…………ねえ?」
「?どうしましたか?そんなに
「なんで敬語なの?」
「いえ、紫様それより先にこの食卓に関して質問しましょうよ。白鹿、これはいったい
「なにって、コロッケですよ?きちんとつけあわせのキャベツの
なにぶん力がないから、キャベツの千切りするのにも一苦労なのに、何を贅沢なことを言っているのだろうか、この
「いやこれただのたわし……」
「コロッケです」
「どう見てもたわしでしょ?」
「コロッケです」
紫母さんは額に手を宛がい、溜め息を零した。どうやら頭が痛いらしい。俺特製の頭痛に効くバファリンいる?バファリンって銘打ってるただの薬茶だけど。香辛料をふんだんに使用した、優しさなんて1ミリも入ってない、むしろ悪意100パーセントの代物だけど。効き目はあるよ?舌とか喉とかに激痛がして、他の部位の痛みなんて吹っ飛ぶからね。
「はあ、わかったわ。とりあえずこのたわしのことは置いておきましょう。じゃあこのお鍋は何?何も入ってないようだけど?」
「なにいってんですか?ちゃんと
「全てよ!言葉では会心の出来なのは想像できるし、是非とも食べたいけれど、そんな物ないじゃない!ねえ、どうしてこんなことしようと思ったの?怒らないから言ってごらんなさい」
ほう、もしかしてこれは俺がイタズラしたくてこんな手の込んだことをしたと思っているのだろうか?もしそうならとんだ勘違いだ。藍母さんは何やら俺の感情になんとなしに勘付いたようで、申し訳なさそうな顔をしている。思わず口角が吊り上るのを自覚しながら、怒りを拳で握りしめる。むこうからこちらの言葉を促されているのだ。それでは言わせてもらおうっ!盛大になぁ!
「この
「「( ゚д゚)ポカーン」」
「おすわり!!」
「「はい!」」
「ごめんなさいは!?」
「「ごめんなさい」」
その後は、夜泣きした時は母さんたちのどちらかが対応してくれることになり、2,3日のうち1日はお休みさせてくれることになった。代わりとして、紫母さんと出かけることになったけどそれもいいだろう。重要なのは夜中にぐっすり寝れることだ。結果としてはベストではないだろうか?俺は満足である。
ということで、お皿も洗ったし、おやすみ~!
主人公のセリフ読みにくいですね。わざとですけどwww