霊夢のお兄ちゃんになったよ!   作:グリムヘンゼル

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朝からこっそり投稿
皆今から学校かな?仕事かな?昼休みまでにもう1話投稿できたらいいな


第43話

幽々子さんと妖夢は結構すぐに見つけることができた。

 

「もう、だから言ってるじゃない。あの子は昔ここで妖忌に剣術やら料理を仕込まれたけど、そもそも霊力とか何にもないのだから、妖夢に勝てるわけないじゃない。それを刀振り回して追いかけたですって?それでよくあの子が死んでなかったわね。下手したら紫との友好関係も消え失せるわよ?それを妖夢は理解してる?」

「ですが幽々子様!あやつは勝手に我々の敷居でくつろいでいたのですよ!?この非常時に、です!」

「そりゃあそうしてるでしょうよ。だって私がそうしてるように言ってるもの」

「うぐっ……。しかし、この非常時に白玉楼にいる時点でおかしいのです!なぜ特異な能力を持たない者がここに来ているのです!?出入りしている私に気づかれずに!」

「紫が連れて来たからよ。ほら、あの能力を使って。というか妖夢、昔何度か妖忌の稽古を一緒に受けた事憶えてないのかしら?」

「ああ、そういえば、そんなことあの者も言っていたような?」

「ほら、いつも妖忌と妖夢でこてんぱんにしてた」

「………………ああ!あのいつも私に負けて遠い目をしていた少年ですか!私よりも背が高く年上なのに、私に一本も決めることなく去っていったあの少年ですか!」

「ええ、うん……、そうね。もしかして今の今まできれいさっぱり忘れてた?」

「はい!あまりにも情けなかったので、記憶からスッパリ消しておりました!」

「そんな元気に言うことではないのだけど……。というか強者以外覚えようとしないのはどうかと思うわよ?」

「いえ、別にそんなことはないですよ?私の日常生活に関わるような人であればある程度記憶しますが、あの者は私にとっては無意味だと判断いたしましたので、キレイさっぱり忘れてました。いやまさか、あの者がこのようなときに関わってくるとは思いもよりませんでした。して、あの者の身元は?」

「そこも忘れてるのね……。いえ、そもそも記憶していないのかしら?あの子は博麗白鹿。今代の博麗の巫女を補助する者よ」

「え!?博麗の者なのですか!?それが何故家の縁側で呑気に茶をしばいていたのです!?我々が博麗の者を招くのもそうですが、あの者も呑気に茶をしばいてる場合ではないでしょう!?」

「そうね、そこら辺の事情は本人からしてもらいましょうか?聞いているのでしょう?早くお入りなさいな」

 

うん、そうだね。妖夢の視界には入っていないものの、幽々子さんにはバッチリ見える位置にいたからそりゃあばれるわな。というか俺に対して妖夢ちゃん辛辣過ぎて辛いわ。まあ事実なんですけどもね。妖夢ちゃんと妖忌さんの二人にボコボコにされて、転生したからといって特別な能力があるわけでもない俺が二人に勝てる道理はないのだと理解して、それで幼い妖夢ちゃんにも負け越して年上の意地すらなくなって、真理の扉開きかけて、帰って飯食って寝て起きて、今日こそはと頑張ってもやっぱりだめでまた悟りをひらきかけて、とかそんな日常を繰り広げてた時の頃もあった。その頃はよく空の青さとか宇宙の神秘とか考えて、空を良く見上げてた気がするなあ。まあ現実逃避だったんですけどね。

 

「どうも、思い出してくれて嬉しいよ、妖夢ちゃん。思い出した記憶はあれだけど……」

「でも事実じゃない?で、聞いていたんでしょ?さっきの話。なら説明してくれると嬉しいのだけど」

「俺も急にここにほとんど説明ないまま連れてこられたので、そこまで詳しくは説明できないんですけど」

「じゃあわかるところと、あと推察できるところでいいから説明してもらっていいかしら?もしおかしなところがあれば訂正してあげるから」

「うーん、わかりました……」

 

説明かあ。俺も急にここに連れて来られてほとんど説明されてないんですがね。でも推察しろって言われてもなあ、異変が起きたからその事後処理にここに連れてこられたからっていう線しかないんだけども。その説明さえされてないのかな?

 

「俺としてはこの異変が解決した後の事後処理的なものをするためにここに派遣されたと考えているのですが?」

「あら、でもそれなら異変が終わった後にその話をすればいいじゃない」

「異変が終わった後であればそちらも消耗していますし、もし建物に損害があればその修繕でさらに多忙になってしまいますから、事前に訪れた次第です」

「しかしそういった被害も事後になればより明確にわかります。それでは事前にこちらへ訪れる所以はないのでは?」

「大まかには決めることはできるからな。事前に大枠を決めていれば事後でも話し合いは手短になる。どちらも消耗はしているから、事前に話し合いをして大枠を決めていた方が、どっちにとっても楽になるでしょ?」

「うん、確かに理にかなってるように聞こえるわ。でもそれだけではないでしょう?聞いてるわよ。前回の異変の時には事前に異変の本拠地に行くことはなかったって」

「うぐっ」

 

確かに理にかなっているだろう。しかしならなぜ紅霧異変のときは事前に紅魔館へ連れていかなかったのか、と言われればそれはあそこが危険地帯であるからだ。狂気に苛まれているフランドールは勿論、吸血鬼であるだけでレミリアも危険だ。パチュリーも魔法使いとして俺を実験体として、または何かの生贄としてほしがらないという保証はない。身元の保証が一切されていない場所へ連れて行くのは危険だ。しかし処理は迅速に行いたいがために、体力が消耗しきったあのタイミングで俺を紅魔館へ連れて行ったのだろう。翻って今の場合であれば(母さん)と幽々子さんは旧友の仲であり、俺のことも知らない仲ではなく、そのため危害を加える心配はない。妖夢に忘れ去られ九死に一生を得るようなことになったのは完全に想定外だったのだろう。でなければ(お母さん)が出てくることはなかったはず。

つまり、前回と今回の異変の差とは俺に危険があるかないかの違いで、俺と面識が元からあったかないかの違いなのだ。

 

しかし幽々子さんがそういったことを込みにして別に理由があると聞いて来てるのは明白。だってそこらへんは(母さん)のことだし情報共有してそうだし。なんなら知ってること全部ぶっちゃけてそうでそこはかとなく怖いんだよな。「どこまで知ってるんですか?」とか聞いたら、異変とか関係ない俺の知られたくない恥ずかしい話まで出てきそうだし。

 

ではその別の理由に心当たりがないのかといわれれば、ある。しかし家族の恥をさらすようで嫌なんだよな……。

 

「ほら、あるんでしょ理由。最初からわかってて意識してその話から遠ざけようとしていても無駄よ」

「ま、まさかこちらの懐に潜り込んで内部崩壊を狙うとかそんな理由がっ!」

「「それはない」わ」

「あるのはおそらくだいぶくだらない理由よねぇ?ほらいい加減吐きなさい。口を割らないようなら……妖夢」

「はっ」

 

妖夢ちゃんが刀の鯉口を切る。臨戦態勢、というか視線が俺の首に行っているし処刑態勢、といった方がいいのかもしれない。というか徐々に鞘から抜かれていっているから早く喋らないと本当に首が落とされる!!

 

「あーもう分かりましたよ!言います言います!!だから妖夢ちゃんは刀を収めて!」

「妖夢、収めていいわよ」

「かしこまりました」

「で?理由は何なのかしら?」

「えっとですね、身内の恥を晒すことになるのであまり言いたくないんですけど」

「頭と体が別れてもいいのなら、そのまま口を噤んでもいいのよ?」

「わかりましたよ……。何が何でも喋らせたいんですね……?」

「理解してくれて嬉しいわ。じゃあ訳を言いなさい」

「ただの怠慢ですよ。博麗の巫女は人間に被害がそこまでないこと、異変首謀者が明確でないことから、博麗の巫女はまだ動かなくていいと判断したんです」

「……私も多少はあの巫女の性格を紫から聞き及んでるけど、そうなった場合貴方がせっつく立場ではないのかしら?それに異変の主犯の私が言うのも間違ってるけど、長引けば作物にも被害が出るわ」

「でもそれも妖の類からの直接的な被害ではないし、まだこの時期ならば冬が長引いているとも考えられるので……」

「貴方も一緒に怠けたと?」

「はい……」

「貴方も役目を放棄してるじゃない」

「はい……返す言葉もございません……」

「ですがその職務怠慢と白鹿さんがここに事前に来ることは無関係では?」

 

 

今まであまり喋らなかった妖夢ちゃんが質問してきた。確かに俺がここにいることと、職務怠慢は直接的には関係ないように思われるが、実際はめちゃくちゃ関係してくる。

 

「えっとね、博麗の巫女、霊夢は血縁はないけど俺の妹なんだ」

「それも関係ない話では?また話を逸らそうとしていませんか?」

「いやいや、すごく関係あるんだわ。で、さらに言えば小さい頃から世話というか面倒見てたから最近は分かりづらいんだけど懐かれててな、俺の危機になったりすると直感でやって来るんだわ」

「昔は世話を焼いていたのに、今は世話を焼かれているのですね、情けない」

「有事の時だけね?で、今回、ここには紫に連れて来られた訳だけど、霊夢には何一つ知らせていないし、本来なら俺は家で今日の飯の仕込みでもしているはずなんだわ。でもそんな俺が急にいなくなってるって知った霊夢は妖か何かの仕業で誘拐されたと考える」

「つまりは私たちが白鹿さんを誘拐した犯人だと思い込んでいる可能性が高いと?」

「たぶん、俺を見つけるついでの異変解決の道中である程度冷静になって、紫が犯人だと確信してるんじゃないのかな」

「!?」

 

会話の途中で妖夢ちゃんが急に正面の門の方へ顔を向ける。ザリザリと玉石を踏み鳴らす足音は静かではあるが、その足音を出している人物は異様であった。

 

真冬にも関わらず、襟巻もせず褞袍(どてら)を着たまま、右手にお祓い棒、左手にボロボロになった魔理沙を持ってやってきたのだ。顔は俯いたままではあるが、わかる。

 

 

全く怒りの治まってない博麗霊夢がお迎えに来たのだ。

 

 

 

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