霊夢のお兄ちゃんになったよ!   作:グリムヘンゼル

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くらえ!深夜の飯テロ!!


第45話

妖夢ちゃん、幽々子さん、橙に藍、紫を即行で倒した霊夢と俺は早々に白玉楼を去ることにした。晩飯の支度をしなくちゃいけないし、いい加減霊夢の機嫌を直さないとやりづらい。

ちなみに魔理沙は辺りを探索してから戻るそうだ。何か収穫していかないと今回のことは割に合わない、と言って白玉楼の周辺を探索していった。あれだけボロボロになったのに、よくもまあ元気になったもんだ。

 

「で、家に帰ってきたけど」

「ご飯、早く」

 

マジでこいつさっきから単語しか喋りやがらねえ……!

 

「なあ霊夢、そろそろ機嫌直してくれない?」

「えー」

「あっ、いや、お前もう機嫌治ってんな!?」

「あら、もうバレちゃった」

「バレちゃった、じゃねえよ!お前に抱えられながら飛んで、こっちはお前の怒りの雷がいつ俺に向けられるか怯えてたのに!」

「面白かったわよ?いつまでも震えてて、小鹿兄さん?」

「小鹿じゃねえ!こうなったらお前の今日の晩飯は干し肉だけにして宴会も酒無しにするぞ」

「ちょっと!それはずるいじゃない!せめて晩御飯にお米もつけといてよ!」

「いや、怒るところそこじゃねえだろ?」

 

お互いに見合ってどちらからともなく、笑いが噴き出す。

 

「「おかえり」」

「「ただいま」」

 

俺は霊夢が異変解決から戻ってきたことに対して、霊夢は俺が誘拐から無事戻ってきたことに対して、家に帰ってきたことの宣言として、そして日常に戻る区切りとして、お互いに挨拶を交わす。同時になったのは霊夢が俺に似たからなのか、霊夢の思考回路に俺が寄っているかは曖昧だけど、今はどうでもいいことだ。

 

「まずはお茶でも入れるかね」

「じゃあ私は居間でゆっくりとしてるわね」

「そうは問屋が卸しません。せめて台所の薪くべて火点けといてくれよ。それくらいお茶の子さいさいだろ?」

「こっちは異変で疲れてるんだけど?」

「そこまで疲れてないだろ?あと霊夢がやった方が薪に火がつくの早いし」

「もう、わかったわよ……」

 

文句を垂れながらも手伝ってくれる霊夢に、優しい子に育ったなあ、と思ってしまうのは親心ゆえか。あとは文句の一つも言わなければ完璧だが、そこは霊夢の個性ということでいいだろう。結果的に手伝ってくれてるし。

 

さてさて、具材を集めてこようか。お米、小麦粉とバター、ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、シメジ、鶏肉、美鈴から譲ってもらったパセリの自家栽培もいくつか収穫してこよう。鶏肉は氷室に置いてあるから、一度解凍しなきゃいけないし、日が沈むまでには完成させときたい。煮込むのに多少時間がかかるし。

 

「どう?火は点いた?」

「もちろん。もう居間に行っていい?」

「おう、ありがと。後はやっとくからゆっくりしといていいぞ」

「じゃあ、後よろしく」

 

さて、まずはお茶用に湯を沸かさないと。薬缶に水を入れて、弱火で温める。その間に急須とお茶っ葉を用意して、準備ができたら、お米を研いで野菜類は水洗いして、シメジは布巾で汚れをふき取ってさっと水洗いする。

 

「あー手ぇ痛てぇ。冬はこれだから嫌になるわ」

 

先に米を釜に入れて炊いておくがここで放置ができないのが面倒だ。ちゃんと火加減見てやらないと不味くなるからな。ああ、炊飯器欲しい……。

 

気を取り直して、野菜類は包丁で皮を粗く皮を剝き、ニンジンとジャガイモは一口大より気持ち小さめに切っていく。タマネギはみじん切りにならないくらいのサイズにして、鶏肉も一口大より少し小さめに切っていく。小さな鍋に小麦粉とバターを炒めながら合間合間にかき混ぜて、完全に溶けきったらルウ擬きの出来上がり。その間に別の鍋で鶏肉に火を通してから、具材を投入。薬缶の水が少し大きめの気泡が出てきたら急須の中に少し入れて、茶葉を蒸らす。薬缶のお湯が完全に沸騰したら、急須とお鍋に入れて、その間に湯飲みを準備する。

 

「ほれ、お茶できたぞ。適当な時間になったら入れていいからな」

「んー」

「寝るなよ?」

「んー」

 

これは寝そうですね。飯のできる時間には起きるだろうし、お茶もいい時間になったら自分で入れるだろう。霊夢一人分しか入れてないし。

 

次は、サラダ用の野菜と卵持ってきて、薬缶に残ったお湯を別の鍋に入れて、火はかけずに入れておく。シチュー用の鍋の灰汁を掬って、掬い終わったらルウ擬きを鍋の中に入れて混ぜる。溶けきったら牛乳を足して調整。また一煮立ちさせる。その間にサラダ用の野菜も水洗いして適当な大きさに切って、ドレッシングに胡麻を磨り潰して、醤油と砂糖と、お酢でも加えて、それにさっきの胡麻を入れて混ぜ合わせる。うん、こんなもんかな。

 

シチューには隠し味で味噌を小指の第一関節くらい入れて、黒胡椒もパパっとふりかけて馴染ませる。小鉢にサラダをつけて、温泉卵を入れる。ちょっとお湯に入れすぎたか、半熟よりちょっと硬めになってしまったから、輪切りにして盛り付けて、その上からドレッシングを一周半かけてサラダは完成。使った調理器具を洗って、できる限り片付けして、キレイなまな板と包丁でパセリをみじん切りにしておく。

 

ご飯が炊けてシチューが出来上がったら、ご飯をよそって、ルウをかけてカレーライススタイル。切ったパセリをシチューにかけて、こちらも完成。

 

お盆に乗せて居間まで持って行く。

 

「霊夢―、お待たせ。ご飯できたぞ」

「はーい」

 

のっそりと起き上がる霊夢。やっぱり眠くなって寝ていたみたいだ。ああ、服に皺が出来ちゃってるし。飯食ったらすぐに風呂のお湯沸かさないとな。

 

「じゃあ」

「「いただきます」」

 

まずはサラダ、次にシチューを口に運ぶ。うん味噌を入れたことはなかったけどそこまで違和感はないな。というか少なすぎでそこまで味に変化がない。

 

「どう?」

「うん、良いんじゃない?あんたは?」

「可もなく不可もなく?もう少しご飯に合うように今度は薬味入れてみるかな」

「そう?これでもいいと思うけど」

「男としては米をガッツリ食いたい味ではないのはなあ。でも初めてにしては上出来か」

 

ちなみに今回のルウに関しては紅魔館のメイドさん(十六夜咲夜)に聞いた。あとミートソースとか色んなソースとかスープ系の素みたいなのレシピを聞いてたんだ。現代だとルウやらスープの素とかあるから楽だけど、幻想郷にそんなのないからね。コンソメスープのレシピとかマジで面倒くさくて敵わないわ。あの黄金色のスープを作る手間暇なんて基本的にないっての。

 

「そういえば今回の異変はどうだったよ?俺的には冬が長びいたかなってくらいしか感じてなかったんだけど」

「いや、よく知らないわ。あんた見つける道中でなんか桜の花びらみたいなの集めてたけど、邪魔する奴はぶちのめしてたし」

「物騒な巫女だなあ。え?というか今回の異変の経緯とか概要とか全く知らないの?」

「多分だけど、あの桜の花びら集めて、あそこの桜咲かせようとかしたんじゃない?蕾すらつけてない大きな桜の木があったし」

 

一応直感か推察である程度のことは把握してるんだな。しかも大要は概ね当たってるし。

 

今回の異変、春雪異変とは西行寺幽々子が白玉楼にある大桜、西行妖を咲かせるために起こした異変だ。幻想郷中の春を集め西行妖を咲かせることで、西行妖の下に封印されている何かを解こうとした経緯があり、何が埋まっているのかは、異変を起こした西行寺幽々子本人ですら知らない、興味本位で起こされた異変なのである。実際に埋まっているものは西行寺幽々子本人の遺体であり、復活するのは埋まっている西行寺幽々子ではなく、西行妖そのものである。西行寺幽々子の遺体は封印に使用されているものであり、もし西行妖の封印が解かれれば、白玉楼も、もしかしたら幻想郷も大変なことになっていただろう。

 

「どうせ紫が把握してるんでしょうから後で聞いたら教えてよ」

「わかった」

「そういえばあんた、昔あそこに通ってたんだっけ?」

「ああ、小さい頃な。剣術やら料理やら色んなことを教えてもらったよ」

「あんた普通の人間なのによくあんな場所にいられたわね」

「慣れたんでしょ。別に毒を吸ってるわけでもあるまいし」

「そうだけど、あそこって冥界みたいな場所でしょ?」

「確かにあそこに住んでた人たちに真人間はいなかったけど、悪い人たちじゃなかったよ」

「本当?」

「ああ、あの時の学びが今の俺の一部を形作っているといっても過言ではない」

「例えば?」

「飯の作れる品目が増えた事かな?あと効率的に大量の料理を作ることとか」

 

懐かしいなぁ、あそこでは初めの頃は刀振る機会ばっかりだったけど、いつの間にか包丁振ってた回数の方が盛大に上回ったからなあ。

 

「ご飯のことばっかりじゃない……。何?あそこってそんなに大勢住んでるの?」

「今は幽々子さんと妖夢ちゃんの二人だし、当時は師匠がいたから三人だけ」

「はあ!?じゃあその三人が大食いってこと?幽霊だから胃の底がないのかしら?」

「いや、大食いなのは幽々子さんだけ。正直、あの人のために料理を毎日作るのは相当しんどい。俺だったらいつか倒れる」

「へえ、あんたって大分器用だから、大丈夫な気がするけど?」

「無理無理。器用に見せてるだけで、そこまで器用じゃないからね俺。というか今回の異変解決の宴開いたら絶対あの人来るじゃん。絶対誰か手伝わせよ」

「藍でいいんじゃないかしら?昔は一緒にご飯作ってたんだから」

「絶対二人じゃ足りない。というか台所が足りない。あの人だけならまだしも他にも大勢来るだろうし。もっと助っ人欲しいわ」

「あのメイドは?」

「メイドさんか、いいかもな。確かなんか時間を止める能力があるんだっけか。でも、レミリアさんが許してくれるか?」

「前の異変の時に賭けしてたじゃない。異変解決したら出すって」

「あったなあ。でもあれって出費してくれるだけでそれ以外は特に契約していなかったはずだから、快くメイドさんを出してくれるか……」

「そうなったら私がとっちめてあげるから安心しなさい」

「巫女なら争いを起こさないようにするのが普通じゃない?自分から争いごと作ってどうすんの」

「そうだ、あんたには私の好物沢山作ってもらわないといけないんだから、なるべく手すきになってなさいよ」

「そういえばそんな約束したなあ。幽々子さんの料理を作らなくていいなら万々歳だけど」

「というか、当日のこと話してるけど、大丈夫なの?段取りとか」

「段取り?はっはっは、何を言っているんだ、霊夢」

「そうよね、ある程度できてるわよね。後は日付とか決めるだけとかそんなもんでしょ」

「んな訳あるか、全くもってできてないに決まってるでしょ」

「知ってた」

 

さーて、明日から日取りを決めて、出席者に手紙出して、食材買い足して、酒を大量購入して、請求書紅魔館に出して、料理人の助っ人見繕って、当日出すメニュー決めとかないと。

 

わーい、やることがいっぱいだぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

あーあ、宴会したくねえ…………。

 

 

 




一日に3話投稿とか初めてだけど、他の作者さんって毎日1万文字書いてるからすごいわ。



次回も飯テロ会かなぁ……
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