モンスターが怖いから私はガンナー   作:友夏 柚子葉

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やたらと感嘆符や疑問符・小文字が多い回で読みづらいと思います…すみません……。


予想外

「ちーちゃん。いい知らせと悪い知らせがありますけどどっちから聞きますか?」

「んーじゃあ良い知らせからかな?」

 

 ソフィアちゃんこと看板娘ちゃんから声をかけられた今日このごろ。ウチは1ヶ月のリハビリとトレーニングを経て歩けるようになり、現実世界では有り得ないような筋肉を手に入れた。腹筋も軽く圭の字の線が薄ら浮かび、細い腕ながらもしっかりとハンターが振り回す武器を扱えるぐらいには力がついた。体が丈夫になりやすいのはこの世界の法則なのかな?

 

 加工屋の娘ちゃんに体の採寸をしてもらって4・4Gの初期装備であるブレイブ一式を仕立ててもらった。装備を作る際に身長は勿論B(バスト)W(ウエスト)H(ヒップ)を測って貰ったんだけど、その時胸のサイズで娘ちゃんがウチのサイズを見て自分よりも小さいと知り、クスクスと笑って優越感に浸っているのを見て軽い一悶着があった(団長さんとお兄さんに止められた)のはまた別の話。

 

 そして驚きの事実が出た。ウチの身長が縮んでいたの!正確には5cm縮んで132cmに…。もう言い逃れできない程完璧な小学生だよこの身長は…来年でハタチになるのにぃ…。

 

 うん?女の子は小さい方が可愛い?おいコラそこの男子。人の苦労も知らずに何言ってんの?背が小さすぎるとね、服とか店に売ってて丁度いいサイズがいつになっても子供っぽいのしか無くて妥協点探すの大変なんだよ!?ウチだっていっぱい綺麗なお洋服きてお洒落したいのにカワイイ系しか無いんだよ!?オーダーメイドはなんか負けた気がして使わなかったよ。

 

 あと中学高校で日直になった時黒板の上消せなくてどんだけ男子に馬鹿にされたか分かる!?クラスの優しくて身長高い子に黒板消しなんて面倒な作業を頼むのがどれだけ心にくるか…。

 

 黒板消しだけじゃないよ!出席番号の並びからして毎回自分の棚が高い所にあって使えなかったりしたし…。靴箱もそうだったから特例で他の人と変えてもらったけど棚も何でしてくれなかったのかな?

 いけないイケナイ…こんな所で愚痴ったって仕方ないよね。…うん仕方ない。仕方ないよね……。

 

「良い知らせはですね、ちーちゃんがギルドからハンター認定されて武器の使用やフィールドでの狩猟が許可されました」

「おぉ!これで漸くウチもモンスターを狩れるのね。ふふふ…待ってなさいよ今ウチが大剣でスパっ!と一刀両断してあげr…」

「悪い知らせはちーちゃんの身長があまりにも小さ過ぎる為、大剣・太刀・ランス・ガンランス・操虫棍・狩猟笛を背負っての移動が危険と判断されたので使用許可が降りませんでした」

 

 

 

 

 

 

「………………what?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………え、えーと?今ソフィアちゃんは何を言ったのかななな?

 聞き間違いだって信じたいけど耳から入ってきた音は確か「大剣・太刀・ランス・ガンランス・操虫棍・狩猟笛」の使用許可が降りなかった?いやいや〜そんなヴァカな〜HAHAHAHA。ほら憲法にも明文化されてるでしょ?『日本国憲法第22条1項:何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する』って。法律違反なら一億歩譲って甘んじて受け入れれるけど、憲法に反することは有り得ないよね?人権侵害も甚だしいところだと思いたいけど…。

 

 

「残念ですがちーちゃん、残された選択肢でどうにか------」

「待って!たかが身長の1つや2つで好きな武器が使えなくなるのはおかしいと思うの!」

 

 

 そんなギルドからの圧力になんて屈しない!権力者に叛逆する覚悟は出来てるよ!大剣の為ならなんでもする!ん?今なんd(ry

 

 

「加工屋さんお願いしますー」

「これがいいか…」

「え!<アイアンソード>よねこれ!待って待って!本物だ!!」

「刃にはカバーを付けてあるから心配せずに担いで走るといい…」

 

 

 武器を背中に担ぐためのベルトを身につけ大剣を収める。ブレイブ一式にアイアンソード…これは4を買って村クエを進めている時のウチの姿そのままだった。

 背中にその重さを感じる。これからの相棒にもなるその大剣持ち手を軽く撫でて準備運動をする。屈伸などを済ませて初めて武器を担ぎながらこの砂浜を走り回る。その為に足を前に出し、歩き始め……たかった。

 

 

「ウチ!行きまー………あ、あれ?前に進めない?」

 

 

 ふーん!ふーんんん!!と前に進もうとして前かがみになる。しかし進めない。まるで体をロープで縛られ後ろにある壁に繋がれているようだった。

 

 

「ちーちゃん一回ストップ!後ろをゆっくり確認して見て」

「え?後ろ?」

 

 

 いつの間にか寄ってきた娘ちゃんに促され後方確認する。するとそこには驚きの光景があった。

 ------大剣が砂浜に刺さってる。Why?

 

 

「ねぇねぇオッショサン、大剣が長過ぎて地面に刺さって杭みたいになってちーちゃん移動できないよ?もう少し大剣が止まる位置を剣先の方にしたらどうかなぁ?」

「いいアイディアだ…。けど無理な相談だ」

「えぇー?どうしてダメなの?」

「そうすると…。次はグリップの位置が高すぎて腕が届かず抜刀できなくなる」

「あっ……」

 

 

 憐れみの目で見られてる!娘ちゃんから凄い気の毒そうに見られてる!やめて!ウチをそんな目で見ないで!大体身長なんて伸ばそうと思って伸ばせるものじゃないもん!それ出来たらとっくの昔からやってるもん!

 確かゲームでのハンターの身長が175前後だった気がする。そしてその身長と同等以上の長さの武器をウチが背負って移動できるはずがなかった。けど…けどっ…!!

 

 

「ウチはまだ認めたくない…。40㎝程度の差でウチは屈しないッ!!お兄さん!太刀!!太刀貸して!」

「これがいいか…」

 

 

 手渡されたその長い得物は<鉄刀>。鉱石系の太刀で初期武器中の初期武器。太刀使いの皆さんは特にお世話になったと思う。これから作れる斬破刀なんて雷属性が付くからティガ戦で無双してた筈。これを背に装備して走り出す。歩く事による体の沈みが起こる度に背中から太刀が浮き、剣先の方は脹ら脛などに当たり邪魔。挙句の果てには太刀の鞘と足を絡めてしまい転倒する。ここが砂浜でよかったと心より思った。

 

 

「まだ続けるか…?」

「ううぅ…もういいよお兄さん…。双剣貸して…」

 

 

 仕方が無いので比較的刃渡りが短い得物の双剣を所望する。

 モンスターを殺す道具だけあって片方の短剣だけでも充分重い。けど振る分にはなんら問題なかった。

 周りに人が居ないことを確認してモーション確認する。

 まずは距離を右二連斬りから詰める斬り払いをして二段斬り。それから繋げるために体を一回転させながら斬る二段斬り返し、フィニッシュの車輪切り。鬼人ゲージが溜められない今通常状態でやれる事はこれぐらいしかないだろう。さて、基礎は終えて次に行きたいのだが…。

 

 

「……鬼人化ってどうやるのかな?」

「「「えぇ…」」」

「そんな3人とも兄妹みたいに息を揃えてがっかりしないで?ウチ泣いちゃう。それに双剣使うの初めてなんだから分からないよ!」

 

 ゲームの時は遊び程度で持ったことあるけどそこまでじっくりとはいじった事は無いし、そもそもあっちの世界じゃR一回押すだけで「シャキーンッ」って鬼人化してくれるけどこっちじゃRボタンもクソも無いのよ。分かるはずないじゃない。

 

 

「鬼人化というのはリーダーに聞いた限りだと自己暗示らしい…」

「自己暗示なんてまたアバウトなアドバイスだね」

「他にも『常に片目を閉じており、いざというときに両目を開く』や『双剣を打ち鳴らすことで一時的に気分を高揚させる』などで鬼人化するハンターもいるようだが、結局のところ自己暗示だ…こんな風にな…」

 

 

 そう言ってお兄さんは新しい双剣を持ってきて、深呼吸。そして高らかにその2本を頭上で叩き金属音を鳴らせる。するとお兄さんの肌色が赤くなり、どこかオーラが見える。鬼人化したんんだ…。でもオーラの原理って何だろう?うーん……。…おっと「考えたら負け」だとこの世界の制作者様らしき人から啓示があったよ。なら考えるのは終わりにしよう。

 よし!お兄さんに見習ってうちも鬼人化してみよう!!

 

「やぁッ!!」

 

 

 気合十分!!んだか行ける気がする!そう意気込んでウチもお兄さんと同じように双剣を頭上で刃打ちする。

 

 

「「「…………?」」」

「あ、あれ?……やぁッ!!」

 

 

 何の変化もなくただ金属音が鳴り響いたのでもう一度気合を溜めて刃打ち。

 しかし何も起こらない。…お、おかしいなぁ?なんでできないんだろう?イメージする力が足りないのかな?自己暗示って言ってたからもっと想像力を働かせなきゃいけないのかもしれない。あとは掛け声も付けてみたら出来るかな?

 

 

「シャキーン!! とうぅ!! 鬼人乱舞!! 体は双剣で出来ている!! 鬼人化!! ボクっ娘のバァァァァアカァァー!!」

 

 

 別にふざけてたわけじゃ無いのよ!?すごい真面目にやってるの!だからそこの3人笑わないで!心はガラスなんだから!……どうしよう?なんで鬼人化になれないの?

 鬼人化が出来ない双剣なんてただのすばしっこいチンケな2本の棒切れ(双剣使いの方ごめんなさい)じゃない!

 

 もう娘ちゃんは鬼人化できないウチの姿見て砂の上でケラケラとお腹を抱えて転がりまわってるし…。お兄さんは顔を逸らして堪えてた笑いこぼれてるし……ちょっと待ってソフィアちゃん!何スケッチ取ってるの!?貴女が取るのはモンスターのだけじゃなかった?!

 

 

「もういいもん!ウチには片手剣残ってから何も問題ないもん!ソフィアちゃんクエスト!<原生林の採取ツアー>行かせて!」

「原生林の採取ツアーですね。ではそちらの道を道中にある看板に従って進むとベースキャンプがありますから思う存分採取してきてくださいね」

「よぉーし!みんなピッケルや虫網は持ったな!!行くぞォ!!」

 

 

 何故か持ってたお金でチコ村の雑貨屋からピッケル5本虫網5本を購入していざ出陣!目標はマカライト鉱石10個とキラービートル10匹!!

 ブレイブ一式に片手剣。虫網ピッケル片手にさぁ原生林へ。何か大切な事を忘れている気がするけどまぁ気にしない!夢にまで見たモンハンの世界に居るんだから楽しまなくっちゃね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫かなちーちゃん」

「俺も心配だ……」

「それはどういう意味ですか?」

 

 

 加工屋の娘とお兄さんがスキップしながら原生林に向かった女の子を見届けてからそう言った。その事について看板娘のソフィアはどういう意味か理解出来ずにいた。好奇心旺盛な彼女にそれがどういう意味かを追求する以外の選択肢は無い。

 

 

「うーんなんて言うかね、ちーちゃんは話している雰囲気からしてモンスターの事は多分ダンチョーさんよりも知識はあるのは分かるんだけどね、そのなんというか」

「得物の扱いに慣れてないのが振ってる姿を見たら良くわかった…。本人はハンターだったと言い張ってはいたが…、武器の振り方が子供のチャンバラその物だ」

 

 

 加工担当と加工屋の娘が危惧していた理由がそれだった。どこか縮こまって剣を振り、ちょっとの事で大袈裟な程驚いてしまう。その姿は至って普通の臆病な町娘だ。しかし少女と看板娘がモンスター談義しているのを聞いていた加工担当はその内容を聞いて驚いた。余りにもモンスターについて物知り過ぎたのだ。モンスターの生態だけではない。そのモンスターから作られる防具の防御力・属性耐性・スキル・etc...更にギルドですら把握しきれていないあの黒い竜のことすら知っていた。

 

 あの少女が何者かは加工担当は分からない。しかし分かっているのはハンターを名乗るだけのモノは持っている実力のある娘だという事。

 ……だかそれと今回のは別の話。心配なのは変わり無い。

 

 

「でもさ、原生林にはオトモちゃん居るし、採取ツアーだから大丈夫だよ!」

「ソフィア嬢…。今回の採取ツアーの狩猟環境は安定してるのか?」

「え~とですね。……不安定ですね」

「えー!?だ、大丈夫かなちーちゃん…?」

 

 

 そもそもクエストとは事前にギルドが周辺エリアを調査し、イレギュラー因子無くハンターが安心して狩りが出来る環境を作り、それから正式にクエストとして承認しハンターへ依頼する。それがギルドの務めであり、周辺地域をモンスターの驚異から守ってくれているハンターへの礼儀でもある。

 

 しかし相手は文明を持たないモンスターとそこを支配する自然。相手はあまりにも強大で文明・知恵・力をもつ人でも完璧に左右できるモノではない。故に完璧な狩場など少なく、どうしてもイレギュラーがクエスト中に乱入してしまう為、狩猟環境が不安定になってしまう。

 ------…そしてその予期せぬ乱入で命を落としてしまうハンターもいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水が美味しい空気も美味しい。適度に過ごしやすい涼しさ。ここのエリアはズワロポスしか居ない。え?何ここ天国?」

 

 ウチは今原生林のエリア3に居る。ここは床が水浸しなものの危険なモンスターは居なく、山菜系の採取ポイントや鉱石の採掘ポイント、更には釣りポイントもあり豊かな環境だと言える。

 

 しかし普通の虫が多い。確かここのエリアには虫取りポイントは無かったはず。…いやあったわ。赤い花びらが浮く向こう側のエリア角に虫取りできる蝶々が飛んでるのが見えたよ。

 

 大体にが虫もセッチャクロアリもキラービートルもウチは色違いの同じアイコンで、区別はアイテム名でしか出来なかった。光蟲と雷光虫を間違えて持って行ったことも多数。この世界ではちゃんとした姿カタチの違いがあると思うけど図鑑を見てないから、もしかしたらそこの木に止まっているのが序盤ではレアなキラービートルかも知れない。…緑色じゃないから違うとは思うけど。

 

 さて、ここら一帯の採取は終わったし釣りにでも挑戦してみようかな?……辞めよう。ウチ生きた魚は触れないの。確実に死んで売り出されている魚は問題なく触れて捌けるけど、まだ少しでも生きててビタンッ!といきなり動き出す魚は無理。釣れたてなんて以ての外だよね。多分絶対おそらく陸でビチンビチン跳ねてるのをその姿を見れば3m以内に近寄れない。無理無理無理。

 

 うーん…と考え、次はこのエリア3に隣接してるエリア10<ネコの巣>にでも立ち寄ってみようかな?多分ババコンガは居ないだろうし、居てもすぐにエリアチェンジするだろうし、癒されに遊びに行こう!そうと決まれば即行動。魚が泳いでいる池を回れー右っ!…あ、ウチ猫アレルギーだったんだ。

 

 ………ん?なんか後ろから聞きたくないバサッバサッ!って音が聞こえてきた気がする…。

 

 

「Oh…Jesus……」

 

 

 猫カフェ(野生野営)に向かおうとした矢先エリア中央に大きな一つの影が降ってきた。

 ウチの肩幅ぐらいある太い尻尾。その緑の甲殻に包まれた巨体を浮かせるには充分な大きな翼。力強い眼差しと女王と名乗るに相応しい凛々しい顔つき。

 ------陸の女王・雌火竜リオレイア

 

 そういえばこのお母さんここが初期エリアでしたね!てことは今日は狩猟環境不安定なのかな!? ソフィアちゃんちゃんと言ってよ!!

 やばいやばいやばい!しゃがんで草むらに隠れないと!…ってかデカっ!? え!?モンスターってこんなに大きかったの!?

 

 ……あ、終わった。ウチこのモンスターに勝てない。まずウチまだモンスターを攻撃した事が無いの。

 いや…だって怖いじゃん?自分が持ってる刃で生き物を斬りつけて、血飛沫が吹き出て悲鳴をあげる。それを得物を通してウチの体に伝わってくる…攻撃してるウチの方が失禁物なんだよね。「気絶無効付いてても気絶しちゃう〜笑笑」なんて笑える余裕があればマシな方かな?

 …………あれ?もしかしてウチハンターに向いてない?!

 

  わぁお…レイアさんと目が合っちゃった。いやいや、まだ草むらに隠れてるからバレてないバレてな…いぃぃやぁぁぁぁああ!!!? めっちゃ見てるめっちゃ見てるめちゃくちゃ見てるよ!!? 絶対これバレてるよね?! あ、向こう向いt…やっぱりこっち見たよ!? 絶対バレてるってこれ!

 

 いやでもまだ首傾げてるだけだよレイアさん!多分見間違いだよ!? こんな草むらに獲物なんて隠れてるはずないじゃん!

 ほら!そこにレスキュー犬みたいな顔した草食獣が居r…居ない!? あんにゃろ先に逃げた?! さっきツタの葉を餌として分けてあげたのに恩を囮で返そうとは思わないのかな!? うん!思わないよね!だって野生動物だから理性よりも先に本能が働いて逃げ出すもんね!知ってたよ!!

 

 ってとぅぅえぇエとォォぉお!? レイアさんなんでブレス溜めてるの!? こっちに撃つ気だよね!わかるとも!! いや分かんないよ!?

 待って待って待って!話せばわかる!! 確かに落ち葉で焼き芋は作るけどさ!この茂みはまだ青々としているからまだ早いと思うんだよね!そもそもお肉焼く時は炭火が最適であって、青葉で焼いたらそこまで美味しk…

 

 

「ギィィっいやぁァァあ!!??」

 

 

 ブレスが飛んできたから横に緊急回避!元いた場所を見るとそこはパキパキと音を立てて燃え上がっていた。あ、危なかった…もう少し遅かったら幼女(19歳)の丸焼きになるところだった…。

 って安心してる場合じゃないよコレ!走って来た走って来た走って来たァァ!!? 多分これ3連ダッシュだよね!? どう避ければいいんだったっけ!? 教えてG●●gle先生!……よし!天啓が来た!とりあえずダイブ!!DIVE!!大舞(ダイブ)!!

 

 もう衣服が水と涙でビッシャビシャ。後ろには絶望。前は行き止まり。気分は最高にsadで体はCOOOOL!!

 水で濡れて寒いのもあるけど、それ以上に生まれて初めての生命の危機に直面して、嫌な雪解け水の様に酷く冷たい汗が止まらない。

 陸の女王がこちらを睨む。私の股間は激流葬。多分クラ○アンでもこの水漏れは止めれない。

 

 あは…あははは…いやははは……。と、もう乾いた笑い声しか出ない。

 生命線である片手剣の盾を思い出し、体を守るように突き出してはいるものの、盾を構える腕が地震の波の様にグラグラガタガタと上下左右前後に揺れて安定しない。これでは踏ん張りもきかず薄い鉄の板が軽く体と攻撃の間に挟まってるだけだ。

 

 涙で歪む視界の奥から赤い光がこちらに飛んできた。------レイアのブレスだ。

 本能が体を動かし、盾が付いている腕を咄嗟に前に出したが受け止めることは出来ず吹き飛ばされ、後ろの巨木に叩きつけられる。

 痛みに襲われ、意識を手放しそうになったが、ギリギリで踏みとどまった。

 

 

「熱っつ………痛ったい……逃げ、無きゃ……で、も…どこに…?」

 

 

 意識が朦朧としながらも立ち上がる。逃げなければいけないとは分かっているが、さっきの衝撃でウチの名前も今いる場所もここのマップも忘れてしまった。

 神がいるならばここで助けてくれるだろう。しかしそんな者は居ない。

 

 陸の女王がゆっくりと歩み近づいてきた。目の前にあるその顔は女王と呼ばれる理由が誰にでもわかるほど綺麗だった。

 頭を低くして二・三歩下がる。朧気な意識の中それを見て直感する。……サマーソルトが来る。と。

 

 ウチの体は再び宙に浮き、数回バウンドしてから人ひとりしゃがめば入れる穴に仰向けで入った。正確には突き刺さった?と言うべきだろうか。とにかくこれ以上の追撃はない…筈。最後の力を振り絞ってエリアチェンジをしなきゃ…。と頭では思ってはいたが体は動かない。

 

 いや、エリアチェンジよりもまず体を起こさなきゃいけない。仰向けだが、体は防具の重さで沈み、水の中にいる。ハンターになったお陰か肺活量は増加してまだ息は大丈夫だがこんな瀕死の状態ではいつ口が開き水が肺に流れ込むかは分からない。

 分かっている。分かってはいるけど体が動かない。このままでは溺死してしまう…。そんな時だった。

 

「ゴフッ!?」

 足元から衝撃波が飛んできてウチの体を洞穴の奥へと押し込んだ。何が起こったかは分からなかったけど予想はついた。レイアのブレスが洞穴の入口手前に着弾してその衝撃波でああなったんだと。

 入り方は悪いく、無事でもなく、見事でも無いけど原生林エリア10にエリアチェンジ出来た。

 

 これは採取ツアーだから後はこの安全な場所で少し寝ていよう。あと35分経てばクエストクリアになり、ネコタクがチコ村まで運んでくれるはず。…まだまだ散策や採取はしたかったけど仕方ないよね…乱入してきたレイアさんが悪い。

 ゆっくり…ゆっくりと瞼と瞼が閉じて行き、軽い眠りにつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「------と」

「う…うーん……」

 

 どこか遠くからとても心が安らぐ音と、声に似た音が聞こえてきた気がした。

 

「ち------と…………ぶ?」

「ううぅ…お母さん今日は休日だからまだ寝かせて……は、は、は…クチュン!!」

 

 母親の朝起こす声だ分かったウチは不機嫌ながら起こすなと必死の抵抗をする。何も無い休日とは昼過ぎまで惰眠を貪る素晴らしき一日であり、それは何人(なんぴと)たりとも侵してはならない時間だと2回目の説明をする。体が冷えて風邪をひいてしまったのかくしゃみが出る。クシャルじゃないよ、くしゃみだよ。

 

「ちょっと、貴女何寝ぼけてるの?大丈夫かって真由香は聞いているのだけど」

「う…う、ん…?お母さんじゃ、ない……?ハックチュン!!」

「誰が貴女のお母さんなのかしら?真由香はまだそんな歳じゃないし、そもそも種族が違うわ」

「やー猫ちゃんこんにちは。こんな所で迷子なの?そんなことよりナデナデさせて…フェックシュン!」

 

 ボヤけた視界を必死に修正すると、目の前にはウチを心配かけてくれる可愛らしい猫ちゃんが居た。くしゃみが止まらない。どうしたものかな?

 ……うん?猫ちゃんが心配かけてくれた?

 心配かけてくれたんだよね?とっても優しい子だよね。でもなんか違和感がある…なんだろ?もう1回文を区切りながら確認してみたら分かるかな?

『目の前に 居る 猫ちゃんが ウチを 心配かけてくれた』

 猫ちゃんが心配かけてくれた…猫ちゃんが心ぱ………猫ちゃんが?

 

「……………………ハックチュン!」

「真由香の顔に何かついてる?それと、くしゃみ大丈夫?」

 

 右手?右前脚?をほっぺたに当て、首を軽く傾げてウチに聞いてくる。あざとい可愛さがウチのハートにダイレクトアタック!! それとさっきから止まらないくしゃみを気にしてくれてる。何この子天使?……いや、そんな事じゃなくてですね…。

 

 

「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!?」

「その反応は傷付く…。アイルーはみんな喋れるわよ…。あとそんな遠くに行かないで」

 

 咄嗟に蹴りが出なかったウチの反射を褒めたいところ。あのセクハラボクっ娘なら迷わず蹴りを入れるんだけど、猫ちゃんを蹴るほど人間ダメにはなっていない。けど代わりにビックリして座りながら後ろへ高速移動して距離をとってしまった。途中天地逆さまになった気がするけど後退りの速さで天井を這い抜けて落ちない速度までに達する事なんて有り得ないからきっと気の所為だろう。

 

「私は真由香。筆頭オトモとも呼ばれてるわ。…あぁみんな薬草笛や回復笛ありがとう。多分この人もう大丈夫だから。あとでお礼として綺麗な緑の服を着た人間のメスがマタタビ持ってくると思うわ」

 

 周りにはウチを囲む様にアイルーやメラルー達が若草色や深緑色の笛を懸命に吹いていた。

 これがウチと、ウチの相棒になるオトモアイルー真由香との出会いだった。

 

 

 

 

 

 





語尾に「ニャ」も付かず、主人公に付けてない名前を持つアイルー真由香ちゃん!
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