始まりの夜
俺は由佳からの電話を不審に思った。夜中の3時に掛け、留守電は無言。いつもならイタズラだろうと思うが、今回は違った。一体なんだろうか、この胸騒ぎは。
俺は由佳の様子を見るために、深夜の雨の中、彼女の家へ向かった。急がなければ、何かとんでもないことになりそうで、行動せずにはいられなかった。
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家の電気は付いているようだった。鍵も開いていた。家の中に入るとそこにはクラスメイトで由佳の親友である美琴がいた。
「美琴?何でここに?」
「私は、由佳から電話があって……。宗くんは?」
「俺もだ」
俺がそう言うと美琴は「そっか」とホッとした表情を見せた。
「さっき声を掛けたんだけど、誰も出なくて……」
「マジか……」
やっぱり何かおかしい。変な違和感さえある。そんなときだった。悲鳴が聞こえてきたのは。
「きゃああああああ!!」
「ぐわああああああ!!」
「「!?」」
突然の悲鳴が屋内に響き渡り、俺達は顔を見合わせた。何かおかしい、異様な雰囲気だ。一刻も早く由佳を見つけないといけない!
「由佳を見つけないと!」
「う、うん!」
まずは一階を調べることした。玄関すぐ左はトイレ、すぐ右は居間だった。お金持ちとあってそれなりに広く、豪華であった。
居間には料理が置かれたままになっていて、ほとんど手をつけていないようだった。それほどまでに切迫した状況だったのか?
「これって、まだ料理が置いてあるってことは、そんなに早い時間から何か起きたってことなのか……?」
もしそうなら、さっきの悲鳴は不味い。おじさんたちも探さないと!
「急いで由佳を探さないと……!」
「ああ……!」
俺達は居間をあとにした。
「台所にも、誰もいないな」
「うん……」
美琴は俯き気味に頷く。由佳が心配で心配で仕方がない様子だ。俺は美琴を安心させるように言う。
「大丈夫だ。きっと」
「うん……」
俺達は台所の勝手口が開かないことを確認して、部屋を出た。一階にあるのはあと3部屋のようだ。台所近くの扉は開かない。次の扉は開いた。
「ここは、おじさんとおばさんの部屋みたいだな」
「おじさんもおばさんも、いないみたい……」
部屋にはベッドが2つにクローゼットが1つ、タンスが2つに電話と救急箱が1つ。電話のコードは完全に切られていた。鍵が1つ電話の横に置いてあった。キーホルダーには仏壇と書いてある。
「行こうか」
美琴はコクリと頷くが、震えていた。俺は震えている美琴を手を引いた。
「ぁ……」
「きっとみんな大丈夫だ」
俺はそう言うと、歩き出す。美琴は安心した表情になっていた。俺は少し微笑み、前を向いた。