「うう・・・ちくしょう・・・。」
トオルは転倒によって負傷したまま立ちあがった。
そして、スクラップランナーを立て、走行可能かどうか確認した。
「く・・・・。アクセルがバカになってやがる!!それに・・・。」
トオルは腹部に右側に手を当てた。
「(あばらが何本かやったか・・・。でもよ・・・。)」
トオルはスクラップランナーを押して、ピットへ向かおうとした。
幸い、浅く折れたため、内臓に刺さってはいないようだ。
「(へへ・・・。ミサキの言うとおり、ヒイロに後始末させることになっちまったな・・・。)」
先程の転倒でトオルの額が切れ、大量に血が出た。
血はすぐに止まったものの、トオルの顔を汚し、目にも若干入ってしまった。
そうしている中、氷室のDホイールは周回していた。
そして、徐々に氷室のスピードカウンターがたまっていった。
「(そう・・・だったな・・・。急がなきゃいけなかったな・・・。)」
WRGPのルールではデュエルに敗北した走者は必ずピットに戻らなければならない。
走者がD・ホイールの故障やケガに遭った場合でも、メンバーが手助けするために触れたりした場合は棄権となる。
また、それまでにスタート地点に戻らない場合、勝利したチームは1周ごとにスピードカウンターを1つ増やし、12になった後は1周経過するごとに敗北したチームのスピードカウンターが1つ減る。
これが0になった場合でも棄権となる。
つまり、チーム・トライウィンズが負けないためには、トオルが自力でピットに戻らなければならないということだ。
「トオル・・・。」
ミサキはトオルを心配しながら見つめた。
すると、ヒイロは何も言わずに立ち上がった。
「ヒイロ!?どこへ行くの?」
「準備をする。あいつなら・・・必ずたどりつく。」
「トオルさんが心配じゃないの!?」
「心配だ。だが、俺たちが手を貸すのも、棄権するのも、あいつは望んでいない。」
「ヒイロ・・・。」
龍可は何も言うことができず、ただスタート地点でトライチェイサーの発進準備をするヒイロの背中をじっと見た。
「(もはやDホイールも肉体も限界寸前だ!!そして、氷室のスピードカウンターは12!!はたして、望みをセカンドホイーラー、ヒイロに託すことができるのかーーー!?おーーっと!ヒイロがDホイールの発進準備を完了させた!!)」
トオルはMCの相変わらずのハイテンションな声に苦笑した。
「へへ・・・。こうなったら・・・たどり着くしかねえよなあ!!」
トオルは最後の力を振り絞り、歩を進めた。
そして、残りのスピードカウンターが1になったところで、ピットに到着した。
「遅いぞ。トオル。」
「悪いな・・・ヒイロ・・・。」
トオルはヒイロに残ったカードを渡すと、崩れるように倒れた。
「(あとは俺に任せろ。)」
ヒイロはトライチェイサーを発進させた。
デュエルは続行したものの、ヒイロのスピードカウンターは1、氷室のスピードカウンターは12。不利な状況には変わりない。
また、ライフが0になる前に交代したとしても、そのライフを引き継ぐことはできず、初期ライフは4000のままでスタートとなる。
「(トオルの意地・・・無駄にはしない。)ライディングデュエル!アクセラレーション!!」
ヒイロ
手札5
ライフ4000
SPC1
場 伏せカード2
氷室
手札2
ライフ1600
SPC12
場 古代の機械帝王 レベル10 攻撃3500
裏守備モンスター1
血の代償(永続罠)
伏せカード1
「俺のターン!」
ヒイロ
手札5→6
SPC1→2
「手札から《SP―ギャップ・ストーム》を発動。お前と俺のスピードカウンターの差が10個以上あるとき、フィールド上の魔法・罠カードをすべて破壊する。」
ヒイロと氷室の間に巨大な竜巻が起こり、すべての魔法・罠カードをバラバラにした。
破壊された氷室の伏せカード
・ダメージ・コンデンサー
破壊されたヒイロの伏せカード
・攻撃の無力化
・荒野の大竜巻
SP(スピードスペル)-ギャップ・ストーム
通常魔法カード
自分用スピードカウンターと相手用のスピードカウンターが10個以上離れている時に発動する事ができる。
フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。
「トオルが伏せていた罠カード《荒野の大竜巻》の効果発動。伏せていたこのカードが破壊され、墓地へ送られたとき、フィールド上に表側表示で存在するカードを1枚破壊する。俺は。《古代の機械帝王》を破壊する。」
竜巻が、石や枯れ木を巻き込んだ状態で荒れ狂い、《古代の機械帝王》を襲い掛かった。
竜巻に巻き込まれた《古代の機械帝王》は耐えきれず、爆発した。
「・・・・。」
氷室は切り札級のモンスターが破壊されたにもかかわらず、表情一つ変えていなかった。
そして、なぜか《グリーン・ガジェット》が異次元の渦に飲み込まれていった。
「そして俺は手札から《幻獣ワイルドホーン》を召喚。」
幻獣ワイルドホーン レベル4 攻撃1700
「カードを1枚伏せ、《幻獣ワイルドホーン》でダイレクトアタック。ワイルドブレイク。」
《幻獣ワイルドホーン》は突進し、角を氷室に突き刺した。
氷室
ライフ1600→0
「よし・・・これで・・・。何!?」
ヒイロは地中から現れた《古代の機械帝王》を見て驚いた。
そのモンスターの腹部には《イエロー・ガジェット》がぼろぼろの状態で残っていて、予備動力源となっていた。
「(まさか・・・自己再生能力があるのか・・・?)」
古代の機械帝王(アンティーク・ギアガジェルエンペラー)
レベル10 攻撃3500 守備3000 効果 地属性 機械族
このカードは「古代の機械帝王」以外のカードの効果では特殊召喚できない。
アドバンス召喚するには、モンスターを3体リリースしなければならない。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
以下のモンスターをリリースして表側表示でアドバンス召喚したこのカードはそれぞれの効果を得る。
・グリーン・ガジェット:このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。
・レッド・ガジェット:このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
・イエロー・ガジェット:このカードが破壊され、墓地へ送られたとき、自分の墓地に存在する「グリーン・ガジェット」「レッド・ガジェット」「イエロー・ガジェット」のうちの1枚をゲームから除外することで、エンドフェイズ時にこのカードを特殊召喚する。
氷室はピットに戻り、ムクロにカードを引き継いだ。
ムクロはカードを場に置くと、何も言わずに発進した。
「それでいい・・・。奴を倒すことだけが、お前たちの目的だからな・・・。」
マントの男はにやりと笑いながらそう言った。
マントからは黒いオーラのようなものがわずかに漏れ出ていた。
「(ここで、チーム・フレイムスピードもセカンドホイーラーが現れたーー!!セカンドホイーラーはチーム・フレイムスピードリーダー、炎城ムクロだーーーー!!!)」
ムクロは無表情のままDホイールを走られた。
「(あいつも氷室と同じだ・・・・。一体何が起こったんだ・・・?)」
ヒイロは彼や氷室についてはアルカディアムーブメントのデータか、遊星の話題で知っただけで、実際に会ったことは無い。
しかし、少なくとも、遊星が言っていた彼らとは大違いだった。
「(あのマントの男・・・あいつに何かあるのか・・・・?)ライディングデュエル!!アクセラレーション!!」
ムクロ
手札5
ライフ4000
SPC12
場 古代の機械帝王 レベル10 攻撃3500
裏守備モンスター1
ヒイロ
手札6→3
ライフ4000
SPC2
場 幻獣ワイルドホーン レベル4 攻撃1700
伏せカード1
「・・・。」
ムクロ
手札5→6
ヒイロ
SPC2→3
「・・・。」
ムクロは笑みを浮かべながら《スカル・コンダクター》を墓地へ送った。
「(《スカル・コンダクター》・・・。手札から墓地へ送ることで合計攻撃力が2000になるように手札から2体のアンデット族モンスターを特殊召喚するモンスター・・・。)」
船乗りの服を着た悪魔が指揮棒を振りった。
すると、燃え上がるドクロ、《バーニング・スカルヘッド》が2体現れた。
バーニング・スカルヘッド×2 レベル3 攻撃1000
「《バーニング・スカルヘッド》は・・・手札から特殊召喚されたときに相手に1000ポイントのダメージを与える効果があるわ!!」
龍可はフォーチューンカップでの遊星とムクロのデュエルを思い出した。
2体の《バーニング・スカルヘッド》は口から火球をヒイロに向かって放った。
「ぐうう・・・。」
ヒイロ
ライフ4000→2000
ヒイロは火球を受け、左腕に火傷を負った。
「やはりか・・・。」
ヒイロは痣の力で傷をいやそうとしたが、ダメージが大きく、治りきるには時間がかかる。
「(おーーー!!《スカル・コンダクター》と《バーニング・スカルヘッド》のコンボでヒイロのライフを一気に半減させたーーー!!炎城ムクロ!その実力はいまだ健在だーーー!!)」
そして、ムクロは2体の《バーニング・スカルヘッド》をリリースし、頭部から炎を放っていて、高貴な貴族の衣装をまとった骸骨、《スカル・フレイム》が現れた。
スカル・フレイム レベル8 攻撃2600
「まずい・・・!!《古代の機械帝王》の攻撃力は3500・・・。そして、《スカル・フレイム》の攻撃力は2600。攻撃力1700の《幻獣ワイルドホーン》では太刀打ちできない・・・。」
ミサキは冷や汗を流した。
ムクロはスピードカウンターを10個取り除き、手札の《SP-ダッシュ・ビルファー》を公開した。
すると、彼のDホイールから光線が発射され、それがヒイロの伏せカードを破壊した。
破壊された伏せカード
・聖なるバリア―ミラーフォース―
ムクロ
SPC12→2
「ああ・・・!!ヒイロの逆転のカードが・・・!!」
「・・・・。」
《スカル・フレイム》は両手に炎を集中させ、それを《幻獣ワイルドホーン》に向かって解き放った。
すると、スタジアムが強烈な光に包まれた。
「(うおーーー!!これは一体何に光だ!?そして、この光に中で何が起こっているーーーー!?)」
光が消えると、《幻獣ワイルドホーン》はその角で《スカル・フレイム》の体を貫いていた。
「手札の罠カード《幻獣の閃光》の効果だ。これは俺の場に幻獣がいるとき、手札から発動できる。手札の幻獣を1枚墓地へ送ることで、お前の場のモンスター1体の攻撃力・守備力を1000ポイントダウンさせる。」
スカル・フレイム レベル8 攻撃2600→1600 守備2000→1000
手札から墓地へ送られたカード
・幻獣クロスウィング
更に、墓地へ送られた《幻獣クロスウィング》の効果で《幻獣ワイルドホーン》の攻撃力が上がった。
幻獣ワイルドホーン レベル4 攻撃1700→2000
ムクロ
ライフ4000→3600
そして、今度は《古代の機械帝王》が巨大な拳で《幻獣ワイルドホーン》を破壊した。
しかし、攻撃の余波はヒイロの周りに突然現れた光のバリアに受け止められた。
「《プチクリボー》の効果。手札からこのカードを特殊召喚し、1度だけダメージを0にする。」
プチクリボー レベル1 守備0
「・・・。」
メインフェイズ2になり、地中から突然《スカル・フレイム》が現れた。
「(何・・・!?また《スカル・フレイム》だと・・・?)」
現れた《スカル・フレイム》の下半身が次第に馬の体に変化し、上半身は貴族の服から軽装な黒服に変化した。
「(く・・・。《スピード・キング☆スカル・フレイム》か・・・。)」
スピード・キング☆スカル・フレイム レベル10 攻撃2600
「・・・。」
ムクロがヒイロに指をさした。
すると、《スピード・キング☆スカル・フレイム》の手に2体の《バーニング・スカルヘッド》が現れた。
そして、2体の炎のドクロはヒイロの目の前に移動し、腹部に特攻した。
「ぐああ・・・!!(こいつは・・・1ターンに1度、墓地の《バーニング・スカルヘッド》1体につき、400ポイントのダメージを与える効果が・・・。)」
攻撃を受けたヒイロはその衝撃のためか、吐血してしまった。
ヒイロ
ライフ2000→1200
「(ま・・・まずい・・・意識が・・・。)」
ヒイロが意識をもうろうとさせている中、ムクロはターンを終了させた。
ムクロ
手札6→1(《SP-ダッシュ・ビルファー》)
ライフ3600
SPC2
場 古代の機械帝王 レベル10 攻撃3500
スピード・キング☆スカル・フレイム レベル10 攻撃2600
裏守備モンスター1
ヒイロ
手札3→0
ライフ1200
SPC3
場 プチクリボー レベル1 守備0
ムクロの猛攻でヒイロが一気に窮地へ!!
果たしてどうなる!?
感想待ってます!