会議の結果、遊星、シェリー、ブルーノがボルガー&カンパニーの社員に変装に、モーメント・エクスプレス開発機構に侵入することになった。
ちなみに、遊星は出発前にアキにマーカーを消してもらったが、化粧しているときのアキの顔がかなり赤かったことに気付いているのかは定かではない。
また、遊星とブルーノという唯一の生活能力が不在になったため、ヒイロが住み込みで家事を一手に引き受けるようになった。
そして、二日後・・・。
「・・・。おしるこヌードルはそんなにおいしいのか?」
「うん・・・?」
「ふぁい・・・?」
おしるこヌードルを食べているジャックとイェーガーは驚いた表情でヒイロに目を向けた。
「なんだ!?藪から棒に。」
「なんだって・・・俺に言わせると、これはカレーとケーキを混ぜるような暴挙に見えて仕方がない。」
「貴様あ!!おしるこヌードルを舐めるなあ!!」
ジャックは激昂し、ヒイロの胸ぐらをつかんだ。
「まあまあ。ジャック。まずは食べさせて差し上げるのが、おしるこヌードルのおいしさを一番よくわからせることができる方法ですよ。」
イェーガーはもう1つおしるこヌードルを段ボール箱から取り出すと、お湯を入れた。
「それもそうだな。おいミゾグチ。お前もどうだ?」
「な・・・!?私もですか・・・!?」
タキシードを着た大柄な男、ミゾグチは冷や汗をかきながらジャックを見た。
彼はシェリーの執事で、幼少期から彼女を守り続けてきた、彼女にとっては父親代わりともいえる男だ。
「い・・・いえ・・・。私は先ほどヒイロからごちそうさせて頂きました故に・・・。」
「遠慮はいりませんよ。さあさあ・・・。」
イェーガーはもう1つ作り始めた。
「ヒイロ・・・。これは一体・・・?」
「さあな・・・。俺にはカップラーメンが原因でねじが一つ飛んでしまった哀れな二人組にしか見えない・・・。」
ヒイロとミゾグチがこのようなことを話している間に、おしるこヌードルは出来上がってしまった。
「できたぞ。さあ、食え。」
「どうぞ。おしるこヌードルはおいしいですよ。」
「・・・。」
「・・・。(こんなことになるくらいなら、遊星の代わりに侵入すればよかった・・・。)」
ヒイロとミゾグチはおしるこヌードルを一気に食べた。
「・・・。で、食べ終わってしばらくしたら、二人とも倒れちゃったの?」
アキはかなり呆れた表情でジャックたちのごはんを作り、龍亞は部屋の掃除を始めた。
「分からん・・・。なぜあいつらはおしるこヌードルが理解できんのだ?」
「やはり・・・凡人には理解できない領域のようですね。」
「イェーガーはともかく、ジャック・・・お前もう忘れちまったのかよ・・・。あいつの弱点を・・・。」
ジャックとイェーガーは何をどう間違えたのか理解できず、宅配が終わったクロウは頭を抱えた。
一方、遊星の部屋ではヒイロとミゾグチが眠っていた。
「ヒイロ・・・。大丈夫?」
「・・・。そう見えるか・・・?」
「・・・。見えないわね・・・。」
龍可は苦笑しながら、ヒイロにおかゆを食べさせた。
「(でも意外・・・。ヒイロとミゾグチさんが甘いものが苦手だなんて・・・。)」
龍可はヒイロとミゾグチの意外な弱点を知ってしまった。
すると、急にヒイロ達の痣が光り始めた。
「え・・・!?なんで・・・?」
「・・・。邪気が来る・・・。」
「え・・・?きゃあ!!」
ヒイロ達に白い波動のようなものが襲いかかったが、痣がバリアを作って、彼らを守った。
「何・・・?今のは?」
「イリアステルか・・・。ミゾグチ・・・立てるか?」
「はい・・・。龍可さんの看病のおかげで・・・。」
ヒイロはミゾグチに支えられながら起き上がった。
「おい!!本当に遊星がそこにいるのか!?」
「ああ・・・。痣と命の石が教えてくれた・・・。ミゾグチ・・・。急いでくれ・・・。」
「はい。」
龍可達はヒイロの先導で港に向かっていた。
「うわ!!あれは!?」
龍亞が空に指をさすと、そこにはワームホールが現れていた。
「ワームホール・・・?」
「あ・・!!何かがこっちにくる!!」
そして、ワームホールからシャトルが現れ、ヒイロ達の目の前に落下した。
シャトルから出てきたのは、遊星とブルーノだった。
「遊星!ブルーノ!」
「みんな!!」
「じゃあ・・・ここはネオドミノシティ。戻ってこれたんだ!!」
「うん・・・?みんな、あれを見ろ。」
「何・・?」
遊星たちはヒイロが指差した方向の空を見ると、そこには巨大な島があった。
「あれは・・・異次元で見た!!」
「異次元・・・?」
「ああ・・・。」
「ねえ・・・何が見えるの?」
「私には見えませんが・・・。」
シグナーではない龍亞とイェーガーには島が見えないようだ。
「一体あれは何なんだ!?」
「人類を破滅に導く最後のモーメント・・・。」
「何のことだ?遊星。」
「・・・。あれはいずれ・・・俺たちの脅威になる!!」
「遊星。シェリーお嬢様は・・・お嬢様はどこに!?」
ミゾグチは姿を見せないシェリーを心配しながら、遊星に尋ねた。
「・・・。ポッポタイムで話す。ここでは話しづらい・・・。」
「・・・。分かりました。ヒイロ。一人でたてますか。」
「ああ。すまない。ミゾグチ。」
「いえ。遊星。ポッポタイムでお待ちしております。」
ミゾグチは一人でポッポタイムへ戻っていった。
「・・・。敵の罠に落ちたのか?」
「ああ。モーメント・エクスプレスへもう一度戻ろう。話は道中でする。」
ヒイロ達は遊星から話を聞きながら、例の施設へ向かった。
しかし・・・。
「こ・・・これは・・・一体!?」
ヒイロ達が目にしたのは無人の荒野で、建物は無かった。
「おかしい・・・。確かにここがモーメントエクスプレスの施設があった・・・。」
「おかしいよ!!あれだけ大きな施設が、一瞬で消えるなんて・・・。」
ブルーノはわけもわからず、この荒野を眺めた。
「そ・・・そんな・・・お嬢様が・・・。」
ポッポタイムで、ミゾグチは遊星から受け取ったカード《Z-ONE》を見て、頭を抱えた。
これは彼女の両親が残したカードで、策略にはまって、シャトルごと異次元へ飛ばされた彼らを救ったカードだ。
「そうか・・・。敵の策にはまって異次元へ追放され、脱出する途中でシェリーが・・・。」
「・・・。なんて・・・言ったらいいか・・・。」
ブルーノにはミゾグチに掛けられる言葉が見つからなかった。
「遊星!ヒイロ!とんでもねえことが起きてるぜ!!」
クロウは階段を駆け下りながら、ヒイロ達に何かを伝えに来た。
「ついに動いたか・・・・。イリアステル・・・。」
ヒイロ達は階段を駆け上ると、ジャックたちがテレビを見ていた。
そのテレビに映っていたのはチーム・ニューワールド、そしてそのメンバーはイリアステルの三皇帝だった。
「これが・・・出場するの意味か・・・。」
ヒイロはクロウから受け取った出場チーム表を見た。
そこにはチーム・シェリーの名はなく、代わりにチーム・ニューワールドの名前が加わっていた。
「チーム・ニューワールド・・・。結成当初から様々な大会で戦果を挙げ、その実力と人気は世界で指折り・・・。どのサイトにも同じことが書いてあるよ。」
「書き換えたか・・・。歴史を・・・。」
「え・・・それって、もしかして・・・。」
「そのもしかしてだ。奴らは過去を改ざんすることで、現在を変化させている・・・。そして、あの波動は過去の歴史を変えたことによる影響だ。」
ヒイロはイリアステルの歴史改竄という恐ろしい武器に戦慄した。
「じゃあ、俺たちは赤き龍の力でそれから守られたのかも・・・。」
「ああ・・・。そして、奴らはWRGPに出場する。ならば、真実を奴らの口から聞き出すだけだ。」
遊星たちはヒイロの言葉にうなずいた。
「おーい。遊星。いるかー。」
「そ・・・その声は牛尾課長補佐!!」
イェーガーは急いで箱に隠れると、牛尾と深影、そしてトオルとミサキが現れた。
「トオル・・・。もう歩けるのか?」
「ああ。まあ、まだDホイールに乗るのは無理だけどな。」
トオルは苦笑しながら左腕のギプスを見た。
「実は・・・ややこしいことになってな。」
牛尾が箱に腰掛けた。
「ややこしいこと?」
「ええ。WRGPが中止になるかもしれないの。」
「やはり、あの騒動が原因か?」
「ええ。それで、市民から苦情が出て、運営委員からも、中止にしたほうがいいという意見が出て・・・。」
「俺は反対してんだが、お偉いさんは聞こうとしない。」
牛尾は悔しそうに拳を握りしめた。
「治安維持局長官の席はゴドウィン長官の後は空席のままだし、イェーガー副長官は長期休暇を取ったまま、行方不明だし・・・。」
「やはりそうか・・・。」
「やはり・・・?どういうことだよ!?ヒイロ!」
「なんでもない。なら、運営委員の決定を覆す人間が必要ということか?」
ヒイロは核心をついた。
「ここでWRGPが中止になれば、奴らと戦う機会が永遠になくなってしまう!!」
「くそ!!こんなバカなことで!!」
遊星とジャックはまさかの事態に焦った。
「落ち着け。一人だけいるぞ。事態を打開できる奴が。」
「・・・?だれだ?そいつは?」
「お・・・おい!!ヒイロ!!」
「お前が座っている箱の中にいる。」
「え・・・?」
牛尾は立ち上がると、箱を開けた。
「ヒッヒッヒッ・・・。その通りですよ。ヒイロ!!」
イェーガーは箱が空いた瞬間、飛び出した。
「うわあ!!イ・・・イェーガー副長官!?」
「私の記憶が改ざんされていなかったのは幸いであります!これより、長期休暇から戻らせていただきます!」
「いいのか!?表舞台に出ては、またお前の身が危険にさらされるかもしれないぞ!」
「ここで戻らなければ、何のための副長官ですか!?私も覚悟を決めました!戦います!イリアステルと!!」
イェーガーはヒイロ達の顔を見回した。
「不動遊星、ジャック・アトラス、クロウ・ホーガン、ヒイロ・リオニス。短い間でしたが、あなた方にはここで様々なことを教わりました。感謝します。WRGPは、私が何としてでも継続させます!だから勝つのです!そして、イリアステルの正体を暴くのです!!チーム5D’s!!牛尾課長補佐!挟霧課長!戻りますよ!!」
イェーガーは2人とともに治安維持局へ戻っていった。
「なあ・・・一体何が起こってるんだ!?」
トオルはわけがわからず、頭が混乱していた。
「話せば長くなるが・・・。」
ミサキはトオルに説明しているヒイロの姿を見た。
「(私に今できることは何もない。だけど、ストライクチェイサーが完成した。あとは・・・フュージョンシンクロを限界まで昇華させるだけ・・・。)」
翌日、イェーガーは長官に就任し、その権限でWRGPの続行を運営委員に認めさせた。
また、ミゾグチはそのままネオドミノシティに残り、ベンチウォーマー兼ピットクルーとしてチーム5D’sをサポートしながら、シェリーに関する手がかりを探すことになった。
ヒイロは現在、アメリカを旅しているリキッドと沖田にも彼女の捜索を依頼した。
決戦が刻一刻と迫る。
はたして、未来をつかむのはどちらなのか・・・?
アニメとは違い、ミゾグチにはネオドミノシティに残ってもらうことになりました!!
ちょっと出番を増やしたいので・・・。
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