ヒイロがアンノウンと邂逅してから一週間、ヒイロはずっとフュージョンシンクロのことで頭がいっぱいになっていた。
それからはずっとヒイロは真夜中や休日にDホイールを走らせたが、その秘密が何も分からなかった。
ヒイロは今、早朝に戻ってすぐに朝食づくりをしていた。
「スピードだけではないというのか・・・?フュージョンシンクロは・・・。」
「おはよう・・・ってヒイロ!!フライパン!!」
「ん・・・?」
ヒイロは龍可の声に反応し、すぐにフライパンを見ると、目玉焼きが黒こげになっていたため、あわてて火を消した。
「どうしたの・・・?ヒイロ?こんなことって初めてよね?」
「・・・。考え事をしていただけだ。」
「それって・・・フュージョンシンクロのこと?」
「・・・。ああ・・・。」
ヒイロは目玉焼きを作り直すために冷蔵庫から卵をとろうとしたが、龍可がヒイロの手を取った。
「・・・?」
「今日は休んでて。私が作るから。」
「だが・・・今日は俺の・・・。」
「いいからやすんでて!!」
龍可は強く言った。
「わ・・・分かった・・・すまない・・・。」
ヒイロは龍可の言葉に甘えることにし、部屋へ行き、眠った。
「(ヒイロ・・・無理しないでね・・・。)」
「・・・。」
ヒイロは四時間後に目を覚ました。
「もう十分寝たな・・・うん・・・?」
ヒイロは居間へ向かうと、今日の朝食と龍可からの手紙が置かれていた。
「遊星のところへ行ってきます。レンジで温めて食べてね。」
「・・・。」
ヒイロはレンジで温めた後、朝食をとった。
「(おいしいな・・・。)」
「おーい!!!ヒイローーー!!」
玄関からトオルの悲鳴に近い声が聞こえた。
「朝からうるさい奴だ・・・。」
ヒイロは朝食を食べ終えてから、玄関へ向かった。
「ヒイロ!!大変だ!!俺のスクラップランナーが盗まれた!!」
トオルはヒイロがドアを開けるとすぐにそう言った。
「トオル・・・鍵をかけるのを忘れてたみたい・・・。すごく間抜け。」
ミサキは絶対零度の目線をトオルに向けていた。
「うぐ・・・。と・・・とにかく盗んだ奴を探したいんだ!!手伝ってくれ!!」
「・・・。仕方がないな。」
ヒイロは頭を抱えた。
「よし!!じゃあ、俺はダイモンエリアを見てくるぜ!!」
トオルはそれだけ言うと、走って行った。
「・・・。私が作ったDホイール・・・盗んだ人・・・許さない。ヒイロ。私はシティの港の市場を見てくる・・・。ヒイロは遊星たちに注意を促しておいて・・・。」
「ああ・・・。」
ヒイロはトライチェイサーに乗り、ポッポタイムへ向かった。
「一歩遅かったようだな・・・。」
ヒイロがポッポタイムに到着したときには、すでにセキュリティが遊星たちのガレージの中で事情聴衆をしていた。
そして、ジャックはすさまじい剣幕を見せていた。
「遊星・・・何があった?」
「ヒイロか・・・。実は、ホイールオブフォーチュンが盗まれたんだ。」
「犯人の目星はついているのか?」
「ああ。Dホイール窃盗団の仕業だ。」
遊星は新聞をヒイロに見せた。
昨日の新聞だったが、その時点では盗まれたDホイールはすでに数百台になっていて、被害にあったDホイーラーの中には窃盗団のメンバーから暴行を受けてけがをするか、意識不明の重体になった人がいた。
「ええい!!よくも俺のDホイールをーーー!!おい!!奴らはどこにいるんだ!!」
ジャックは事情聴衆に来ていたセキュリティの捜査官の胸ぐらをつかんで詰め寄った。
「おい!!落ちつけってジャック!!」
「止めるな!クロウ!さあ!早く教えろ!!」
「ひい!!ば・・・場所はわからないが・・・さ・・・最近旧サテライトの市場で法外の安さでDホイールのパーツを売られているってことが・・・。」
ジャックはそれを聞くと、捜査官を離し、ブラックバートに乗った。
「おい!ジャック!俺のDホイールだぞ!」
「悪いが、こいつを少し借りていく!!」
ジャックはそのままサテライトへ向かった。
「ジャック・・・。」
遊星はジャックはなぜあれほど怒っているのかわかっていた。
ジャックはDホイールはDホイーラーの誇りであり、それを盗む、壊すということはDホイーラーを愚弄することだという考えを持っていることを遊星はわかっているからだ。
「ジャックを追いかける。」
ヒイロは旧サテライトの市場へ向かった。
旧サテライト市場には、かなりの人ごみがあり、Dホイールに乗ったまま中に入るのは非常に困難だった。
ヒイロはトライチェイサーを隠し、市場の中を調べた。
マーカーをつけた目つきの悪い男たちがDホイールのパーツを安値で売っていた。
「やけに安いな・・・。」
「ああ。いい仕入れ先があるんでね。」
「どこにあるんだ?」
「企業秘密だ。」
ヒイロはほかの店にも聞き込みをしたが、成果はなかった。
「成果は無しか・・・。ジャックはどこにいるんだ・・・?」
ヒイロは騒ぎを起こすのを避け、ジャックを探すことに集中した。
真夜中になったが、ジャックの姿はどこにもなかった。
「どこにいるんだ・・・?遊星たちからジャックが戻ったという連絡もない・・・。・・・!!」
サテライト新ハイウェイでジャックを探しているときに、隣のレーンで爆発が起こった。
「なんだ・・・?この爆発は・・・。」
ヒイロは爆発が起こったレーンに飛び移った。
そこには、爆発したDホイールと倒れた窃盗団のメンバーと思われるDホイーラー、そして倒れたDホイーラーの体を揺らすジャックの姿があった。
「おい!一体何があった?」
「ヒイロか!?窃盗団を追っていたんだが、こいつが窃盗団からの攻撃を俺からかばって・・・。」
「そうか・・・。うん?」
一台の車が、ヒイロたちのそばで止まった。
そこから、牛尾が出てきた。
「牛尾か!?実は窃盗団の一人が・・・。」
「風間ーーー!!おい!風間!しっかりしろ!!」
牛尾はジャックの言葉を聞かずに、深刻な表情を浮かべて風間というDホイーラーに駆け寄った。
そして、ジャックに目を向け、叱責した。
「バカ野郎・・・なんてことをしてくれたんだ!!」
「え・・・一体これはどういうことなんだ・・・?」
「それよりも、早く救急車を呼んだ方がいい。」
ヒイロは携帯電話で救急車を呼んだ。
救急車の中で、ジャックとヒイロは牛尾からいろんなことを聞いた。
倒れたDホイーラーは風間走一というデュエルチェイサーズのエースだということを。
そして、窃盗団に対する義憤から、危険を承知で潜入捜査を行っていたことを・・・。
風間初登場です!!
アニメではあまり登場せず、漫画ではいまだに出てこない好きなキャラの一人です。(漫画は単行本でしか見てませんが・・・。)
この小説では風間は活躍できるか・・・?
感想待ってます!