遊戯王5D’s もう一人のデュエリスト   作:ナタタク

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第七十四話 虎馬

ジャックの姿をしたロボットとのデュエルから1週間経った。

あれからゴーストは現れず、ヒイロ達はのびのびとWRGPの練習と新エンジンの開発に専念することができた。

ヒイロとトオル、ミサキは今、ペントハウスの車庫で先ほどできた新エンジンのテストを行っていた。

役割はヒイロとミサキがコンピュータによるチェック、トオルが試運転だ。

「出力40・・・60・・・70・・・。」

「お・・・安定してるな!これで完成か!?」

「まだ駄目。出力だけは問題ないみたいだけど・・・。」

「出力だけ・・・ありゃ?」

起動してからわずか数分でエンジンが停止してしまった。

「やっぱりか。」

「ええ。今回のは熱くなりやすいっていう問題がある。安全装置つけといてよかった。」

「な・・・なあ・・・。安全装置付いてなかったらどうなってたんだ?」

「・・・。」

「ああ・・・そういうことか。委細よくわかりました。」

トオルはミサキの目線から、何が言いたいのかよくわかったらしく、それ以上質問するのをやめた。

「そういえばヒイロ。あれから遊星から連絡があったか?」

「いや・・・到着したという連絡が来てから3日経つが、それからは一切連絡がない。」

ヒイロはため息をつきながら携帯の着信履歴を見た。

遊星は4日前にクラッシュタウンへ向かった。

鬼柳がクラッシュタウンで死に場所を求めるように負ければ一生鉱山労働という一種のデスデュエルを繰り返していることを伝える住民からの手紙が遊星のもとに届いたためだ。

ちなみに、クラッシュタウンはトオルの故郷だが、デュエルアカデミアでの勉強と、マルコム・ファミリーとラモン・グループの覇権争いを避けるためにシティへ引っ越した。

「(やはり、ダークシグナーになったときのことを悔やんでいるのか・・・?)」

「でもよ、鬼柳はお前の仲間だろ?なんであんなに荒んじまったんだ?」

「・・・。俺にも全く見当がつかない。」

ヒイロはトオル達に鬼柳がかつて遊星が自分を裏切ったと誤解したこと、そしてダークシグナーになって、多くの人々を苦しめたことを黙っていた。

復活した後、彼はそのことに関する記憶を失っていて、すぐに旅に出たため、伝える必要性がなかったこともあるが、仲間である鬼柳を傷つけたくないという思いもあっただろう。

「(やはり・・・思い出してしまって、悔やんでいるんだな・・・。)」

 

そのあと、更に3日経ったが、未だに連絡が来なかった。

ヒイロは駄目元でポッポタイムへ向かい、ジャックやクロウ、ブルーノに連絡があったか聞いたが、結果は同じだった。

「・・・・・。」

アキはイライラしながら椅子に座っていた。

「(かなりイライラしているみたいだな・・・。)」

「誰もイライラしていないわよ。」

「(こいつのサイコパワーには人の心を読む力でもあるのか・・・!?)」

「いい加減イライラするのはやめたら?いくら遊星と1週間会えてないからといってもさ。」

「別に遊星としばらく会えてないからイライラ・・・してるけど・・・。」

「(まさかのリアクション・・・!遊星・・・早く帰ってこないと不味いよ・・・。)」

ブルーノは早く遊星が戻ってくるのを願った。

「もう我慢ならん!!」

ジャックがライディングスーツを着て、降りてきた。

「おいジャック!どこへ行くんだよ!」

「決まっているだろう!クラッシュタウンだ!遊星と鬼柳を連れ戻す!!」

「そんなこと言ってもよお、クラッシュタウンの場所が分からねえだろ!冷静になれ!!」

「く・・・・。」

ジャックはクロウの言葉もあり、ようやく冷静になった。

手紙にはクラッシュタウンへの道のりが書かれていたが、遊星がそれを持っていったため、知る術がない。

「待て。トオルがクラッシュタウンの出身だ。何とかなるかもしれない。」

「トオルが・・・!なら、急いでここまで連れてきてくれ!」

「ああ。」

ヒイロはダイモンエリアにあるトオルの家へ向かった。

 

トオルの今の住居はダイモンエリアのマンションの2階だ。

「え・・・?クラッシュタウンに行きたいって!?」

「ああ。協力してくれ。」

「・・・。あまり気乗りしないな・・・。」

トオルの表情はいつもと違い、暗くなっていた。

「何かあったのか・・・・?」

「俺がクラッシュタウンの出身だってことは聞いただろ?」

「ああ。」

「俺の親父は鉱夫だった。でもよ、あいつらのくだらねえ派閥争いのせいで死んじまった・・・。強制労働による過労死でな・・・。」

「そうか・・・。」

ヒイロはトオルの過去を聞き、死んだルカスのことを思い出した。

「だが・・・あそこには助けなければならないやつがいる。頼む。」

ヒイロは頭を下げた。

「俺は・・・協力できない・・・。」

「俺がそいつらを叩き潰す。」

「何・・・!?」

トオルはヒイロの言葉に驚きを隠せなかった。

「全滅させるって、あいつらの規模は大きい。無理だろ・・・・。」

「ジャックとクロウも行く。それに、現地で遊星と鬼柳が合流すれば、チーム・サティスファクションが集合する。何とかなる。」

「チーム・サティスファクションって・・・あの伝説のチームか!?」

どうやら、クラッシュタウンにはチーム・サティスファクションの名前は伝説となっているが、そのメンバーの名前はあまり知られていないようだ。

「でも・・・。」

「無理は言わない。ポッポタイムで待つ。」

ヒイロはそれだけ言うと、出て行った。

「・・・。もし俺が教えて、あいつらがやられてしまったら・・・。」

トオルは一人、部屋の中で逡巡した。




今回はデュエルは無しでトオルの過去が中心になりました。
はたしてトオルの決断は・・・?
ちなみにチーム・サティスファクションがチーム名だけ有名なのはオリジナル設定です。
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