前世のせいで得た力は仮面ライダー 作:世界の破壊者
……もうやっちゃえ(自暴自棄)
神様による転生。その結果、転生したのは前世の自分とは限らないのではないだろうか?
というのも人は魂だけが転生した場合、人格もそのままである保証はないからだ。
あくまで転生とは生まれ変わることと言う意味なのだから人格は一度なくなり新しく形成されることの方が正しい転生ともいえるべきなのではないだろうかと言うことだ。
……うん、まあ俺は転生者で偶然とかではなく神様とやらの手によって転生した。その際、能力をもらえるということで仮面ライダーに変身する力を望んだらしい。らしいと言うのは厳密には、俺がそれを望んだわけではなく前世の俺が望んだものだからだ。もっと詳しく言えば前世の俺は俺であって俺ではない。と言うのもあくまで転生したのは魂であって人格は別人であるからだ。……正直あれが前世とか顔から火が出そうに思ってるし。
……というか前世の俺についてはもう色々思い出したくない。転生するときに願ったのが仮面ライダーであることもそうだし、どうも中二病とか言うの患っていたのか「邪龍魔王剣」とか「雷帝招来」とかもう色々痛い、俺からすれば思い出すだけでお腹が痛くなることもしていた。………いやね、気持ちはわかるよ?俺も男だしカッコいいものが好きなのは。でもさ、仮面ライダーって正義の味方でしょ?色々なことに悩んだり悔んだり多くの悲しみや壁を乗り越えて強くなっていくものだと俺は思う。弱い人や大切な人……それぞれが自分の理由で戦うけれども誰もが多くの物を背をっている。それをさ、何の苦労もなく手に入れるなよ……本当に。
……まあ、色々あってこの能力とは向き合うと決めており、この能力のおかげで助かることやあきらめや愛着のもあるためよくはないがもういい。
――ただ、どうしても言いたいのはせめて転生する世界のことを聞いてから能力を決めろよ……この世界だと明らかにミスマッチで最悪人体実験コースだよ!?
というのもだ、この世界に仮面ライダーの能力はものすごくあってないというか異端な存在と言うか能力である。この世界は前世の俺が住んでいた化学が発展せず魔法……じゃなくて魔術が発展している世界である。現在俺が住んでいるアルザーノ帝国もそういった魔術で発展している国で、アルザーノ帝国魔術学院という国が支援して立っている魔術師を育成する学校があるほどだ。ついでにいうと、魔術や魔力で起こせない奇跡は異能と呼ばれていて帝国では迫害の対象であるのだが……まあ、仮面ライダーへ変身する力なんておもいっきり異能の分類である。
ただこの学校、前世の俺の知識がある身としては色々突込みどころがある。いやね、世界が違うし色々文化や価値観が違うのはわかるんだけど……生来の外界マナに対する親和性の高さを伸ばすためとかいう理由で、魔術の習熟初期段階では薄着で過ごすことを推奨するのは止めてくれません?というかへそが出ている制服を着用するのはやめよう!!!思春期の男には色々つらいの!!!主に目線が!!!
そのせいでまともに女子とも話せねえよチクショウが!!!しかも無駄に魔術が付与されていて見た目以上に夏は涼しく冬は暖かいとか意味わからん性能してるしてるし……もうちょいこう別の方向に努力しようよ!!!普通の服でもマナとの親和性を上げる魔術とかさ!!!
「……何で突然、机をたたいてるんだ?」
一人で自問自答していると急に声をかけられ隣を向く。
すると席に座って両手に教科書を持ちこちらを訝しむかのように見ている俺の数少ない友人のギイブルがいた。
「ちょっと色々世の理不尽を嘆いていたと言いますか……」
「……どうでもいいが僕の勉強の邪魔はしないでくれ」
「アッハイすみません」
その眼鏡の奥から呆れたような、怒っているかのような目線に耐えられず素直に謝るとそのまま手に持っている教科書にギイブルは目線を戻した。
その様子を横目に入れながら俺は周囲のクラスメイトを見回すと殆ど全員こちらを見ていたのに、俺がそちらに視線をやったとたん慌てて視線をそらされました。
逸らさなかったのは教師泣かせで有名なフィーベルとその親友のティンジェルだけだった。
……まあ、逸らさなかっただけでフィーベルは思いっきり睨んできてるし、ティンジェルはフィーベルをなだめていた感じだったのだが。……それにしても知り合いに似ているフィーベルさん、思いっきり睨んでますけど俺何かしました?
……俺はクラスでも友人は本当に少ない。と言うかまともな友人は多分ギイブルぐらいだと思う。……ギイブルは皮肉屋で周囲となれ合おうとしないがテスト前に家に来てまで勉強に付き合ってくれたり、話しかければちゃんと会話してくれたり、基本自分から話をしないだけでかなりいいやつです。
いや、俺はボッチじゃないよ?み、みんなからハブられてるだけだし!!……なんか自分で言ってて悲しくなってきた。
「なあ、ギイブル今日来る新しい教師ってどんな人なんだろうな?」
「……さあな。だがここの教師をやるってことはきっと優秀なんだろう」
自分の中の悲しみをごまかすかのように隣のギイブルに、今日来るはずの前任のヒューイ先生の後任の新しい先生について話題を投げると少し眉をしかめながらもちゃんと答えてくれた。
「なら、賭けでもするか?真面目な教師か不真面目な教師かどうか」
「……ふん、賭けにならないと思うがまあいい。いい加減お前に敗北を教えてやる……真面目な教師だ」
「んじゃあ、俺は不真面目な教師に……昼飯な?」
「いいだろう」
そう言ってギイブルは勝ち誇り口元を上げ笑みを作る。実は以前からギイブルとはこういった、たわいもないことを種に賭け事をしている。賭けの内容は教師の性格から次の授業で必要なものや男と女どっちが先に入ってくるかなど本当にたわいもない。だから、報酬も大したこともなく昼のおかずや飯のおごり、勉強の付き合いなど結構学生として普通の内容である。ギイブルも最初は渋々付き合っていたのだが、俺が連戦連勝していくとだんだん乗るようになってきていた。まあ、負けず嫌いなんだろうなーと思う。これでも賭け事には強いため負けるとは思わんが……
そんな風にたわいもない会話をしていると授業開始のチャイムが鳴り響く。だが、待てども待てども先生が俺達の前に現れることはなくチラリと時計を見てみればもう授業時間の半分が過ぎようとしていた。
「……どうやらまた俺の勝ちかな?」
「ま、まだだ!!新任で道に迷っているだけの真面目な先生の可能性がある!!!」
「……まあ、いいけどさ」
いや、ギイブル?流石に授業時間の半分が過ぎるのはアウトだと思う。
そのようなことを考えていると、がらりと教室の扉が開いた。やって来たのは失礼ながらとても教師をできるとは思えないくらいに若い男性。と言うか俺らと大して年の差ないんじゃないかと言うぐらい若い人だった。その人は入ってくるとフィーベルとティンジェルが反応したが人違いですと言い新しい教師は教壇に立った。いや、ものすごい目をそらしてましたけど……新任教師、名をグレン=レーダスは厳密には俺らの担当と言うよりも非常勤講師としてこの学院にやって来たらしい。まあ、自分の意思で来たわけではないとかいって、そのまま自習と言って昼寝に入っていった。
とりあえずだ―――
「ギイブル、昼飯カツ丼な?」
「………わかった」
俺は賭けに負けたからか、新任教師に失望したのかうなだれるギイブルに勝利を告げたのだった。
―――*―――*―――
僕には一人のおかしな友人がいる。よく一人でぶつぶつつぶやくことも多く突発的に奇妙な行動に走る。時には普段は女子に対して奥手なのにまるで別人のようにナンパをしたり不良に喧嘩をしかけたり子供のような性格になったり所かまわず昼寝する。他にも魔術の詠唱をしたりすると別にマナ欠乏症でもないのに顔色が悪くなり時々吐血したり自分の頭を壁に叩きつけたりする。そんな奇妙な行動をするがゆえにこの友人、ユウセイ=ソナペルはクラスメイトからも疎まれている。と言うよりは避けられている。と言っても皆ユウセイのことを嫌っているわけでもない。こいつの行動の結果、助けられたり恩を感じているものも多いのだが奇妙な行動も多く皆、距離感をつかみかねているというのが現状だった。
その、奇妙な奴とどうして僕が友人かと言うと成り行きとしか言いようがない。1年の時に席が隣で偶然勉強を教えて以来成り行きで会話をすることが多く挙句の果てにこいつの家で勉強を教えるようにまでなっていった。まあ、こいつは付き合ってみると噂で聞くほど変な奴ではない。……奇妙な行動をよくとるが。そんな風に考えているとうつ伏せになっていたユウセイは突然手で机をたたき出した。相変わらずの奇妙な行動をとる友人に溜息を出しつつ僕は声をかけた。
「……何で突然、机をたたいてるんだ?」
「いや、ちょっと色々世の理不尽を嘆いていたと言いますか……」
「……どうでもいいが僕の勉強の邪魔はしないでくれ」
「アッハイすみません」
相変わらずよくわからない持論をいうユウセイに非難目線を向けるが、それに耐えられなかったのかユウセイは素直に謝ってきた。
……もう少し、その素直さをクラスメイトに出せば対応も違うだろうに。ユウセイの相変わらずの奇妙な行動を心配してみていたクラスメイトはユウセイから視線を向けられた瞬間目線をそらす。恥ずかしさからか、距離感をつかみかねてからか……
ただ、その中でもシスティとルミアは視線をそらしていなかった。というかシスティはむしろ睨んでいた。
……ああ、そう言えばシスティの奴は変になったユウセイにナンパされたことがあったな。だから、またしてきたときのための牽制か。まあ、あいつが変になった時は症状が顔とかに出てわかりやすいから今は大丈夫だと思うが。
「なあ、ギイブル今日来る新しい教師ってどんな人なんだろうな?」
「……さあな。だがここの教師をやるってことはきっと優秀なんだろう」
気まずくなったのか、暇になったのかはわからないがユウセイは僕に突然話題を振ってきた。まあ、今日は去年の担当だったヒューイ先生が辞め代わりの先生が来る日だったな。こいつも勉強が苦手とは言え気になっているんだろうな……いや、テストが簡単にしてもらえるかどうかか。
「なら、賭けでもするか?真面目な教師か不真面目な教師かどうか」
僕の言葉に何か琴線に触れたのかどうかわからないがユウセイがいつもの如く賭けの提案をしてきた。
「……ふん、賭けにならないと思うがまあいい。いい加減お前に敗北を教えてやる……真面目な教師だ」
「んじゃあ、俺は不真面目な教師に……昼飯な?」
「いいだろう」
いつのころからかは覚えてはいないがユウセイと僕はよく賭けをしている。最初こそ否定的だったのだがどういうわけか僕はユウセイに賭けでは勝てない。負けるたびにあいつのどや顔を見ることになり、段々と腹が立ってきた僕はあいつの賭けを普通に受け入れるようになっていた。ただ、今でも僕はユウセイに勝てずよく報酬として勉強を教えたり、食事をおごる羽目になっている。だが……今度こそ僕は勝つ。なぜなら、このアルザーノ帝国魔術学院に就職してくるような教師が不真面目なロクでなしなわけがないからだ。ふふふ、ついに僕が勝つ日がきたか。さて、僕が勝った暁には自分で勉強をさせようか。
――そんな僕の思惑は数十分後無残にも砕け散る羽目になった。
―――*―――*―――
グレン=レーダス非常勤講師は生き生きとしていないというかロクでなしと言うかもう酷い授業だった。授業は適当で質問には答えない。むしろ辞書の引き方を教えてやろうかと煽ってくる。錬金術の授業は女子の更衣室に入ってぼこぼこになり気絶する。うらやま……けしからん。
その行為に我慢の限界が来たのかグレン先生就任初日の最後の授業でフィーベルがぶち切れた。グレン先生の態度に我慢の限界を感じたのかフィーベルが家の名前を出して先生を辞めさせるというと先生は開き直ってむしろやってくれと言ってくるしまつだった。結果、フィーベルは手袋を投げて魔術決闘の申し込みをした。どこの中世のルールだよ。
クラスメイトの反応はまばらで信じられないという反応をする人、面白いと眼鏡クイッを行う人など色々いた。ギイブルよ……お前割とこういうの乗り良いよな。結果だけ言えばフィーベルの圧勝だった。魔術を3節でしか唱えられない先生は、1節でショック=ボルトを唱えたフィーベルにぼこぼこにされていた。
ギイブルはどや顔で解説していたが……お前の先生が強いっていう予想思いっきり間違っていたね。ちなみにグレン先生は負けても子供の用に「そんな約束をしてない!!」と言って一回転んで帰っていった。子供か!?と突っ込んだ俺は間違っていないと思いたい。こんなんでうちのクラスの今後は大丈夫なのでしょうかと俺は思いました。あれ、作文?
明日か明後日には次話を……
……あれ、ライダー要素がなくね?