たぶん次くらいから出します。
数十分程経ってから、叔父の家を出た。
行きは電車で来たが、荷物の量が流石に多いので帰りは叔父が車で送ってくれることになった。
叔父は車の中で、
なぜライブハウスを経営し始めたのかとか、
客が思ったより来なくて困ってるとか、
従業員のまりなさんっていう人のこととかを話してくれた。
最後にもうすぐ家に着くというところで「言った通りちゃんと覚えてくれよ?働けなかったら給料出ないからな?」と冗談を言ってきた。
…もしかしたら冗談じゃない?
「わかってますって。頑張りますよ」
叔父の冗談に軽く返事をして荷物を持って車を降りる。
「思ったより重いな。明日からこれ全部覚えないといけないのか…」
幸いなことに春休みでは
課題が殆ど無いため時間はたくさんある。
問題はやる気が続くかどうかだが、
将来と女の子のためだ。
頑張るしかない。
一応母に今日のことをしっかりと話し、
叔父からちゃんと話を聞いているかを確認した。
もし伝わっていないことがあったとして、
それが原因で問題事が起きると面倒だ。
「報・連・相」は社会人…いや、人としての基本だしね。
「ライブハウス丸ごと譲るなんてきいてないわよ?」
…あれ?「報・連・相」は?
「えっ。もしかしてだめ?そしたら凄い困るんだけど…」
マズイ。それはマズイ。つい1時間程前に考えた人生設計が崩れることになってしまう。
「絶対だめってわけではないけど、やっぱりしっかり話さなくちゃ。ライブハウスを丸ごと渡すなんて幾ら何でもちょっと…」
「よかったぁ…」
まぁ、これは正しい対応だと思う。
こんな大きなことは口約束で簡単に済ませる様なことではないし。何より自分の子供将来が決まるのだ、ちゃんと話をしたいだろう。
「わかった。叔父さんに伝えとくから」
「うん、よろしくね?」
叔父にメールで母との会話の内容を伝える。
ついでに嫌味も付け加えて置いた。
それくらいは許されるだろう。
思ったよりも早く返信が帰ってきたので見てみると。
叔父からのメールには、把握したという旨の言葉と軽い謝罪が書かれていた。
今度ご飯を奢ってくれるらしい。
「ハハッ。もので釣ろうってのは叔父さんらしいな」
叔父に「わかった。美味しいとこに連れて行ってください」とメールを返し、母にも伝える。
これでそのうち両親と叔父で話し合いをしてくれるだろう。
「さて…さっそく始めますか。楽器と機材、どっちに手をつけようか。楽器は単純に量が多くて、機材は色々と難しそうなんだよな…」
やはり機材だろうか。楽器は自分が弾くわけじゃないからメンテナンスとか引き受けた時のための知識として覚えなければいけないのだろうが、機材はライブの度に使うので、必ず必要になるはずだ。
「やっぱり機材だ。機材にしよう。いつか使う知識より、必ず使い続ける知識だ。それに、単純にやりやすそうだしな。楽器とか覚えるの大変そうだしな」
途中からちょっと本音が出てしまったが
やる気があるのには変わらない。
まずは一通り読むことから始めよう、
読み終わったら今度は書き写して覚える。
2回か3回やれば覚えられるだろうから機材は2日、
楽器は5日で覚えられるだろう…。
たぶん、きっと。多少の不安あるがやるしかない。
リュックの中から本を出し、心の底からやる気を出し、
表紙を開こうとした瞬間。
「お昼できたわよ〜」
…そう思うようにはいかないらしい(笑)
「今行く〜!」