暴力的な自然と魔物と呪い、そして魔術が飛び交う地獄のような楽園のような・・・そんな世界
忘れ去られた者達が行き着く地、幻想郷
日々ありとあらゆる事件が起こるこの世界で再び大きな問題が起ころうとしていた
「・・・あれ?」
「そうそう!あれあれ!」
幻想郷の魔法の森の上空を風のように駆ける二つの影
変わった服装をした巫女と箒にまたがる魔法使い
幻想郷と外界を隔てる博麗大結界の守護者、博麗の巫女こと博麗霊夢、そしてその友人霧雨魔理沙だ
二人は南の方角の森で起こった奇妙な爆発・・・それも魔法が関わる爆発の原因を調べるため現地を目指し飛んでいた。
まだ現場までいくらか距離があるがそれでも、もうもうと立ち込める煙と魔法かなにかによって発生した緑色の奇妙な稲妻をはっきりと見ることができる
「相当大きな規模の爆発か・・・かなりの量の魔力的なエネルギーが一点に集中してるかね。」
「私はでっかい爆発が起こったに晩御飯をかけるぜ!」
「賭けたところでどうせ負けても勝っても私の家にご飯たかりに来るでしょあんたは。」
「えへへバレたか!・・・っともうすぐ着くみたいだぜ!」
現場に着くやいなや二人は驚きの声を上げることになる
「何だこれ・・・。」
あたりの木々や地面が無くなっていた、折れたとかへこんだのではなく綺麗に「無くなっていた」のだ、まるでスプーンか何かでえぐりとったかのようにそしてそのヘコミの中心にそれ・・・いや”彼”はいた
「・・・人?」
「・・・のように見えるけどどうかしらね。」
彼は死体のようにピクリとも動かなかった
歳は・・・19~20前後だろうか、霊夢たちよりも少し大人びて見える、身長は高く肩幅は広い、だがそれよりも目立ったのは銀の髪、病的な肌の白さ、無数の傷、そして2本の剣
「剣士・・・か?」
「さぁ?なんかおかしな格好してるけど・・・。」
「あ!それ知ってるぜ!ぱーかーってやつだ!こーりんからこの間もらった!」
「盗んだんでしょ・・・ふむ・・・でもこーりんがその商品を扱ってたってことは外の世界の人間?そもそも人なのかしら?」
森近霖之助ことこーりんが営む香霖堂は幻想郷で唯一外の世界の商品を取り扱う店である(魔理沙がモノをよく”拝借”している)香霖堂でこの衣服を扱っているという事はこの「ぱーかー」というものは外の世界のものでこの青年は外の世界の人間という事になるのだが
「外の世界には「剣士」なんてもう存在しないはずだけど・・・それにどうやってここへ来たっていうの?」
「紫が連れてきたんじゃないのか?」
魔理沙が幻想郷で唯一外の世界と幻想郷を自由につなげることのできる「スキマ妖怪」の名を上げる
「それも一瞬考えたけど、紫がやるならこんな爆発なんて起きないはずよ。」
「それもそうだなぁ・・・じゃあどうやって来たんだ?あっちの世界にも幻想郷との行き来が自由できる人間がいるっていうのか?魔法もないのに?そんなまさか!」
「それは後で考えましょ?とりあえずボロボロのこの人を永遠亭に運びましょう?色々聞き出す前に死なれても困るわ。」
「それもそうだな・・・にしてもなんかあいつの胸元にある狼のメダル、さっきから震えてないか?」
「それも後、さっさと運ぶわよ。」
「りょーかいりょーかい!」
一日後
「なにかわかった?永琳?」
ここは迷いの竹藪の中にひっそりと佇む幻想郷一の名医(またはマッドサイエンティスト)八意永琳が営む診療所「永遠亭」ここに霊夢と魔理沙は例の青年を運び込んだ、研究熱心な永琳ならば彼の事が何かわかるかもしれないと思ったからだ
「えぇ、中々面白いわね、彼。」
何やら楽しげな様子で彼女は現れた
「何がわかったんだ?」
「待って、その前に質問させて?彼は外の世界から来た可能性が高いのよね?」
「えぇ、今の所はね、意識を取り戻した時に彼に聞いてみないとわかんないわ。」
「そう、だとしたら外の世界の魔術的医療もなかなか捨てた物じゃないわね・・・。」
「んあー!もう!焦らさないで何がわかったのか早く教えてくれよ!」
「急かさないで頂戴?これでも最速で調べてきたのよ?じゃあ説明するわね、まず一つはあの青年は厳密には「人間」じゃないってことよ。」
「厳密には?どうゆうこと?」
「もともとの人間の肉体を魔術と科学的な処置によって人為的に変異させた肉体・・・改造人間とでも言うべきかしら?そのおかげでほかの人間よりも回復能力も身体能力も比較にならないほど高いの。」
「ふんふんそれで?」
「問題はなぜ彼はそんな肉体を手に入れているのかってこと、貴方達が見つけた時についていた怪我以外にも古くからあるであろう外傷が見つかったわ、それは普通の人間ならつかないであろう切り傷や噛み傷、それに火傷や毒によってできたであろう傷よ、これらは彼がそう言った危険な何かと戦ったことを表してる。」
「つまり・・・私みたいに怪物を狩るような人間てこと?そんなまさか、外の世界に怪物なんていないはずよ?」
「・・・まぁ外の世界の人間て決まったわけじゃないしなー。」
「けど怪物狩りをしてる人間なんて幻想郷にだってそうそういないし、居たとしたら何かしらの情報が耳に入ってくるわよ、それも外の世界の人間の格好をした銀髪の二刀流剣士なんて射命丸が見逃す筈ないじゃない。」
「それもそうだな・・・じゃああいつは何者なんだ?」
「まあなんにせよ私にとっては面白い研究対象が増えてとても嬉しいんだけどね、向こうの人間云々はそっちが考えなさい。」
うんうん頭を抱えながら(一人を除き)悩んでいると永琳の弟子で助手である優曇華が部屋に飛び込んできた。
「た・・・大変です師匠!」
「あら、どうしたの優曇華?」
「か・・・・・・。」
「「「か?」」」
「患者さんが・・・脱走しましたァあぁあ!!!」
「「「はあああああああああああああ???!!!!!」」」
鬱蒼と茂る竹薮の中を一人の青年が駆ける
青年ーーーロウは自分の置かれている状況が理解できず混乱していた
(どこだここは・・・?!!俺は確か先生・・・アサードにビルから落とされて・・・。)
ロウが目覚めたとき、彼は病室のような場所にいた。
木造の壁や障子に御座といった古い和風な部屋、その部屋にぽつんとある自分の寝ている敷布団と自分につながるウサギ型の点滴パック、包帯やシップで治療が施された半裸の姿
そして整頓して置いてある身につけていた装備と2本の剣
(俺は・・・。)
鼻をくすぐる消毒液の匂いで脳が少しづつ覚醒すると同時に記憶が滝のように流れ込んできた
師の裏切り
そしてかけがえのない友の死
「うわあああああああああああああああああ?!!!!!」
思わず飛び起きる
嫌な脂汗が全身を覆う
俺はどうなった?!
ビルから叩き落とされたはずじゃ?!!
ウールはどうなった?!
様々な疑問と葛藤が頭を駆け巡る
「大丈夫ですか?!」
誰かが病室に駆け込んできた
駆け込んできたのは少女、しかもただの少女ではなかった
真紅の瞳、紫の長髪、制服のような服装、そして特に目立つのは頭から生えるうさぎの耳だ
初め、ロウはそれが作りものかと思った、コスプレをした少女が何を間違えたか飛び込んできたのか、と、だが彼の観察力はその耳が作り物なんかではなく本物であるとすぐさま察知し、その少女が人間でないと確信した。
そばに置いてあった銀の剣を手に取る
「誰だ・・・あんた。」
「落ち着いて下さい、ここは安全です・・・あなたを傷たりはしません。」
少女は剣を向けられているにも関わらず至って冷静にこちらに語りかけてきた、どうやら場慣れしているらしい。
「悪いがそれは俺が決める。」
ゆっくりと、感ずかれないようロウは窓に近づく
「ここは病院です、落ち着いて下さい、あなたはもう安全です。」
「残念だけど自分で確かめない限りは他人の言葉は信用しないよう教えこまれててな。」
そう言ってロウは(アード)衝撃波の印を結び窓へ叩きつけた。窓が壁ごとか吹き飛び人一人が飛び出るのにちょうどいい大きさの穴があく
「あっ!待ってください!」
少女の制止も聞かず穴から外へと飛び出し、銀の剣を片手にロウは駆け出した
それから今に至る
外は雨が降っており冷たい水滴がロウの体から滴る
体が弱っているせいかいつもよりも剣が重く感じる
視界がぼやけ足がもたつく、何度も何度も倒れそうになるがそれでもあても無く走り続けた
この時ロウは自分が何を思って走り続けているのかわからなかった、ただ、走らずにはいられなかった
「待ちなさい・・・みつけたわよ。」
突然女に声をかけられた、振り返ると脇の出た巫女装束のような不思議な格好をした少女が一人、宙に浮かびながらこちらを面倒くさそうに見ていた
「・・・・・・。」
ロウは何も言わず剣を構えた
「はぁ・・・面倒なやつね。」
少女も禊でつかうようなお祓い棒を取り出し構える
先手を打ったのは少女だった
「(妖魔激殺陣)。」
少女が呪文のようなものを唱えると光弾と鈍く光るお札が空中に現れ花びらのように散らばりこちらへ飛んできた
「っ?!クエン!!(全包囲)!!!」
ロウはすかさずクエンと呼ばれる魔法障壁の(印)を円形に張り巡らせる、光弾や魔力を帯びた御札が次々と当たりロウから魔力と体力を奪ってゆく
護っていても勝機はない、とっさにそう判断し魔法障壁を解いたロウは次にイャーデンと呼ばれる結界の(印)を結んだ、この(印)は時に敵を捕縛し時に物体の動きを緩やかにする
光弾や御札の動きが一瞬緩み、その瞬間を見極めロウはアードの(印)を放ち光弾や御札をかき消す
「なっ?!」
少女の動きが同様で一瞬止まる
「戦いの最中に動きを止めるなよっ!」
少女めがけ銀の剣を片手に飛び上がる・・・が
「っぐぁ?!」
腹部に激痛が走る、アサードとの戦闘で負った傷が再び痛み出したようだ
ロウはバランスを崩し膝をついた
「・・・戦いの最中に動きを止めるな・・・だったかしら?」
少女が光弾を放ちロウに直撃する
意識が遠のくのを感じながらロウは静かに目を閉じた
「おーい!霊夢!大丈夫か!」
「えぇ、なんとかね。」
霊夢を見つけた魔理沙が急いで駆け寄る
「「なんとか」?へー、お前にそんな事言わせるなんてやるなこいつ。」
「っ・・・・・・別に、油断しただけよ。」
「ふーん・・・取り敢えずまた永遠亭に運ぼうぜ。私もだんだんこいつに興味が出てきた!死なれたら困るぜ!」
「・・・・・・こういう時はおはようとでも言っておいたほうがいいのか?。」
「なら私はよく眠れましたかとでも聞けばいいのかしら?」
目が覚めた時、ロウは先程の病室にいた、違いといえばロウの体が椅子にしっかりと縛り付けられその周りを数人の女性(絵本で見るような魔法使いの格好をした少女や赤青のナース服を着た銀髪の美女と先程あったうさ耳の少女と巫女?だ)が囲んでいるくらいだ
傷の手当てをされているから殺す気ではないようだが
「あんたらは何者だ・・・?」
「それはこっちのセリフよ、あなた何者?」
先程自分を気絶させた巫女がイライラした様子でこちらに質問してきた
「おいおい、質問を質問で返すなよQ&A、言葉のキャッチボール、これらをしっかり成立させないとスムーズな会話ってのは・・・・・・グッ?!」
痺れを切らした少女が蹴りを入れてきた
「霊夢さん!やめてくださいケガ人なんですよ!」
慌ててうさ耳の少女がロウと巫女の間に入る
「どいて優曇華、自分の立場をわからせる。」
「どきません!私は医者見習いです!こんなこと見過ごせません!」
「そう、ならあんたもぶっ飛ばすわよ。」
「あらあらいくら博麗の巫女でも私の愛弟子に手を出したらわかるわよねぇ?」
「落ち着けってお前ら!霊夢も!」
場が険悪かつ一触即発なムードとなる
「・・・・・・わかったわかった、話す、話すからこのうさ耳の子にてを出したり仲間割れしたりすんな。」
うさ耳の少女に申し訳なく感じたロウは観念し、話始めた
「・・・つっても魔術を使ってたアンタならわかると思うんだがな、おれは・・・ウィッチャーだ。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
全員が黙りこくってしまった
「ん?裏の人間ならわかるだろ?ウィッチャーだよウィッチャー、変異体、モンスタースレイヤー・・・・・・ほんとに知らないのか?」
「全く。」
「少しも?」
「全然。」
「一ミリたりとも?」
「知らない。」
「うっそだろ?!魔術使ってるのにか?!」
「知らないわね、後あれは魔術じゃなくて符術よ。」
「符術って東の方の国の術か・・・まぁそんな事はどうでもいいや、今度は俺が質問する番だ、ここはどこだ?」
「幻想郷よ。」
「げ・・・何だって?」
「幻想郷よ、幻想郷。」
「どこだそこ、中国の中か?」
「違う。」
「韓国?」
「違う。」
「あ、日本の中か!そういや日本で符術とかっての使う女魔法使いがいた気が・・・・・・」
「違う、元々あったのはその国だけどね、ここは幻想郷、あなたのいた世界とは”別の世界”よ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・は?」
現世、ヴェネツィア
ここ夜の暗闇の中でも燦々と輝く水の都の風光明媚な街並みの裏、暗く深い路地裏で赤々とした鮮血が飛び散った
「が・・・ぐ・・・あぁ・・・。」
「じゃあな、同族のよしみだ、安らかに眠らせてやる。」
そういうと男、アサードはアクスィー、催眠の印を作り今も首筋から鮮血を流す同族の若いウィッチャーを眠らせた、これで苦しむことなく安らかに逝ける。
「コイツで最後か・・・現世での仕事ももう終わりだな。」
アサードは剣をバックにしまい、未だに夜を明るく照らす街の中へと消えていった
「これでお前を覚えているやつはもういないぞ・・・ロウ。」
その口元はニタリと三日月のように歪んでい
お楽しみいただけたでしょうか、それではまた次回
オリジナル設定
ウィッチャーは原作では変異誘発剤によって変異しウィッチャーになります、この変異誘発剤は大変危険で命を落とす可能性も低くはありません、ですがロウ達現代のウィッチャーはウィッチャーから生まれたので変異誘発剤に耐性があります