プロット組んで執筆する練習でもあります。
作者に文才は皆無なので、苦手な方はブラウザバックして下さい。
尚この話だけ見た目シリアスです。ご注意ください。
※続くかは未定
――理不尽はいつだって、唐突にやってくるもので
――巻き込まれる人の感情なんかちっとも考えてくれなくて
――後に残るのは無惨に変わり果てた大切だったモノだけ
「でも……」
――この身で救えるモノがあるのなら、僕は……
※※※
「う……うわぁぁぁああっ!!??」
平和を絵にしたような光景に似合わない、悲痛な叫び声。
「いやぁぁああぁっ!!」
ソレだけで全てが壊されてしまうかのような轟音。
「もう止めてぇっ!!!!」
終わりというのはまさにこんな状況なのだろう。
「何で……何であんなヤツが居るんだよォっ!!?」
後ろを全て灰燼に変えながら、ソイツはやってきた。
湖畔の街『ミトラルナ』。
大きく美しい湖に周りを囲まれた、人間界屈指の癒しの空間。比較的小規模な街なれど、人類最後の楽園とまで言われる極上の土地。
僕の拠点であり、この世界でのスタートを切った、
この世界には魔王と、魔王が従えるモンスターが居る。
今代の魔王は特に強く、世界の実に7割を手中に収めてしまっている。人々は残りの3割に逃げ込み、いつ侵略されるか分からない恐怖に日々身を震わせている。
そんな中で、魔王に奪われたモノを取り返す為に勇敢に立ち上がった人達がいた。
彼らは『奪還者』と呼ばれ、人々の希望を背に日々戦い続けている。
かく言う僕もその奪還者な一員なわけで。
目の前で数多の先輩奪還者達を、まるで紙屑を息で吹き飛ばすかの如く散らしていくモンスターから、視線を外せないでいた。
普通のモンスターなら、成り立ての奪還者でも3人でかかれば無傷で勝利できる。熟練の猛者であれば5体に囲まれても軽くあしらえるだろう。
でもこのモンスターは。
そんな猛者達が束になってかかっても、傷らしい傷を付けられないでいた。
明らかに、今まで遭遇してきたモンスターの中で最強。
奪還者としてそこそこ自信があった僕だが、アレに立ち向かえるほどの自信は持ち合わせていなかったらしい。
「ダメですっ! まるで歯が立ちません!」
「この人数でやっても、全くダメージ無しかよっ!」
「落ち着いて一旦体制を整えろっ! 結界付近で迎え撃つんだ!」
『了解ィっ!!』
前線で戦っていた先輩達が、街の方へと戻ってくる。
人間の街には“結界”と呼ばれる、星の力を利用した強力な防御機構が備わっており、その防御力は絶大の一言に尽きる。
人の手によって書き換えられ、指向性を持たされたその結界は、モンスターの侵入を許さない、まさに聖域と呼べる代物だ。
「総員構えっ! スキルと命術の準備はいいか! 生命力の量には気を付けろよ!」
「いつでも撃てます!」
「目標! 距離100!」
「足止め喰らった瞬間がテメェの最期だっ!!」
それぞれの奪還者が、自身の持てる最大火力で迎え撃つ準備を整える。
数十人に及ぶ同時攻撃。当たれば山一つは消し飛ばしそうなプレッシャーが、街の方にまで伝わってくる。
モンスターは、そのゆっくりとした歩を止めることはなく、結界に阻まれ――
《ガシャァァアアンッッ!!!!》
「………………はっ……?」
その呆けた声は誰のものなのか……
もしかしたら、その場にいた全員共通の気持ちなのかもしれない。そして――
『ぁ……ぁあ、ぁァあアァああっっ!!!???』
もはや奇声。
絶対だと確信していた防御を破られた事実に、まともな思考は身を潜める。
用意した迎撃も不発に終わり、全員の顔色が絶望一色へと染まっていく。
「そん……な……」
結界をああも容易く破られた事に、僕の口からも困惑と驚愕の言葉が漏れる。
そんな僕の声を聞いたギルドマスター、いや町長は、ハッとしたように僕へと振り返り、様々な感情がごった煮になったような表情で僕の肩を掴み、そして――
「頼む……君が……君だけが頼りだ……! あの化け物から……我々を救ってくれ……!!」
嗚咽が混じりながら、唇を噛み締めながら。
小さな子どもを戦場へと送らなければならない自分の無力さを呪い、それでも、このまま蹂躙される未来を、何とか変えて欲しいという魂の叫び。
「あ……ぅあ……」
僕だって、このまま何も出来ずに終わるなんて嫌だ! あの化け物の好きになんてさせてやるものか!
そう、思っているのに。
確かに、僕になら出来るだろう。けれどそれを成せば、この身は文字通り最期を迎えてしまう。
街の存亡と自身の存亡。心の天秤はどっちにも傾いてくれず、答えを出せないでいた。
「情けねぇ事言ってんじゃねぇぞギルマス! いつまでもその子に頼ってられねぇだろうがっ!」
「そうだっ! 俺達にだってプライドがある! 毎回助けられてばかりじゃ格好が付かないぜ!」
そんな僕の葛藤を余所に、立ち直った数人の奪還者達が武器を構え、緩慢な動きで近づいてくるモンスターと対峙した。
手足は震え、顔は青白く、呼吸を乱し、奥歯を鳴らしながら。
それでも、自分達の大切なモノを守るというその気迫は、今までとは比べ物にならない程に大きくて。
――あぁ、そうか
僕の中で、何かがストンとハマり込んだ感じがした。
(そうだ。何も躊躇う必要なんて無かったじゃないか。僕が残っても、皆がいなくなるなら意味は無い。この身で救えるモノがあるのなら、僕は――ッ!)
迫り来るモンスターを前に僕は不敵に笑い、自身の持つ“最強”を発動させる。そして――
《カシャッ》
死刑宣告のカウントダウンを聞き届け、僕の身体は光に包まれる。
大切なモノを失っていく感覚。でも、それで皆を守れるなら後悔は無い。僕は僕に別れを告げ、化け物に向かって歩を進める。
高まる緊張。高まる鼓動。今ならば何でもできる全能感に心が満たされる。
恐怖はもう無かった。
「僕の最期だ。せいぜい足掻いて、簡単に壊れないでくれよ?」
――この日、一人の少年によって街は救われる。彼自身という大きな痛手を伴って……
何コレ辞典
【命術】
・魔法と思ってもらって結構です。