ダンジョンで青春するのは間違っているだろうか⁈ 作:きなこ兎
今日僕は一方通行ながらも恋に落ちた
牛頭人体の怪物に殺されかけた時目の前に現れた、金髪金眼の美しい少女に…
「アイズヴァレンシュタインさんかぁ〜」
小さく呟いた後にやにやと頬を緩めながら大通りを目指し歩く
ドワーフ、獣人、パルゥム、エルフ
様々な種族で溢れるこの都市は、迷宮都市オラリオ
【ダンジョン】と呼ばれる地下迷宮の上に築き上げられた巨大都市
オラリオを管理する『ギルド』を中核にして栄えるこの都市はヒューマンも含め沢山の種族が生活を営んでいる
僕はオラリオから少し離れた田舎育ちで1年前に育ての親の祖父が亡くなり唯一の家族を失った後このオラリオにやってきた。
亡くなる前に祖父に聞かされた英雄録に憧れ
祖父のいう可愛い女の子との出逢いと男の浪漫を目指し
大好きだった愛読書『迷宮神聖譚』の英雄たちのような男の子になる為に…
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メインストリートを出て細い裏道を通り、角を曲がろうとした時
僕は倒れている獣人を見つけた。
「大丈夫ですか??」倒れいる獣人に声をかけたが返事はない
どこか怪我をしていなかと見ているものも怪我はないようだが痩せ細っている身体をみて僕はこの獣人はお腹を空かして倒れてるのだと思った。
「よし、連れて帰ろう」獣人を背中に担いで僕は角を曲がり、さっきまでの喧騒が嘘みたいな静寂が包む袋小路に辿り着いた。
目の前の建物は人気のない路地裏に建っているボロボロの教会
ところどころ石材は剥がれ落ち哀愁が漂っている
正面玄関の真上にある全身ボロボロの女神像を潜り、僕は扉のない玄関を潜り教会の中に入った。
そこに背負った獣人を下ろし、「少し待っていて下さい。」と声をかけ1番奥の棚の裏側にある地下へと伸びる階段を下りた。
「神様、帰ってきました!」
僕の呼びかけにソファーの上に寝っ転がって本を見上げていた彼女はばっと立ち上がる。
外見は可愛らしい少女、僕よりも身長は低くて、幼い顔に笑みを浮かべる少女は、トトトトと音を立てて僕の目の前までやってきた。
「やぁやぁお帰り。今日はいつもより早かったね?」
「ちょっとダンジョンで死にかけまして…」
「おいおい大丈夫かい?ボクはベルくんを失ってしまったら柄にもなく悲しんでしまうよ。」
小さな両手で僕の身体に触れて、怪我がないか確かめてくる。
「大丈夫です、神様。あっのえっとえーーとですねー。」と歯切れ悪く僕は言葉を紡いだ
「どうしたんだい??」と少女は優しく尋ねてくる。
「神様、あのちょっと上に来て頂けますか??」
「いいけど、どうしてだい?」と彼女は首を傾げながら了承してくれる。
神様と僕は先ほどの獣人の元へ向かった
「え??ベルくんキミはワンちゃんを拾って来たのかい?」
「神様、違いますよ、獣人の犬人《シアンスロープ》人の人です、この人そこの角の所で倒れていて、あのホームで助けてもいいですか??」
「ベルくん、僕はこれでも神様だぜ?キミが助けたいものをダメだ、元いた場所に返して来なさいなんて言うわけがないだろ⁉︎」と神様はまるで子供が捨てられている動物を拾ってきてしまったときの優しい親のような表情を浮かべ、右手でサムズアップしている。
僕と神様は犬人の彼連れて地下へと続く階段を下り
ホームのソファーに彼を横にした。そこで彼は少し意識を取り戻したのか震えるくちびるで小さくうわ言のように
「み、みず を」と呟いた
「ベルくん水をもってきてあげてくれ。」
僕は台所からみずを持って神様と彼の元へ駆けていく
神様は僕から水を受け取り小さな手で彼の身体を起こし、口にコップをあてて、少しづつみずを飲ませていった。
彼はコップの水を飲み干して虚ろながらもこちらをみて
「ありが、とう、助かりましたと」小声で呟きバツの悪そうな顔で
「あの、食べるものを少し分けてほしい」と頭を下げた。
僕と神様は笑顔で了承した、僕と神様は決して裕福な生活をしているわけじゃないが、困ってる人を見て見ぬふりをするようなことはできない。今晩のご飯を神様と僕とで彼に分けて彼が少しづつ食べていく、神様は微笑みながら、慈愛に満ちた瞳でその光景を見守っていた。
僕はこの神様の眷属になれてよかったと心の底から思った。
「神様、僕は神様が大好きです。」と頬を少し染めながら言った
「ベルくんボクもだよ!」と神様も少し照れ臭そうにいい、青い空のような美しい神様の瞳と僕の紅い瞳が合いお互いに笑った。
その光景を見ていた犬人の彼は固いパンをスープでふやかし両手で食べながら微笑んだ。
これは純真無垢な少年と少年に助けられた少年が歩み
女神が記す眷属の物語の始まりーー