オープニング「タフボーイ」
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「アミバの視点」
「げへへっ、そこの餓鬼ど……いや、その凶悪な面構えはヴィランか?まあ、どっちでもいいっ、お前らっ、この僧帽ヘッドギア様の人質になりやがれっ」
突然俺たちの目の前に現れたのは、ペ○スによく似た頭をしたヴィランだった。
何故このような愉快なヴィランがこの世に居るのだろうな。
公然猥褻という言葉を知らんのか。
久しぶりに笑えたぞ。嘲笑という意味でな。
「くく、亀○ヘッドギアだと、中々洒落た奴だな」
「変態じゃねえのか、こいつ?」
「亀○ヘッドギアじゃねえっ、僧帽ヘッドギアだっ、ぶっ殺すぞっ」
ちょっとした挑発で激高するところを見ると、どうやらこいつは脳みそまでザー○ンで出来ているようだな。
しかし、青筋を浮かべて激怒するその姿は、まさしくペ○スそのものだ。
東北に行けば、道祖神として拝め奉られるかもしれないな。
東北は土着的信仰が盛んで、男根を模した塞神などの性器信仰が昔から続いているからな。
生憎と俺は塞神を拝める習慣は持ち合わせてはいないが。
だが、この亀○ヘッドギア、頭も顔も醜いが、中々そそる筋肉と身体をしているな。
こいつは良いデクになりそうだ。
「くくく、それにしても良い身体をしている。おい、ジャギ、コイツは俺が貰うぞ」
「そいつは構わねえけどよ、後でドリンクバー奢れよ」
「あい、わかった。それで亀○ヘッドギアとやら、先ほどは人質がどうたら言っていたな」
俺は腕をぶらさげ、無防備のままで奴に近づいた。
この程度の相手、俺やジャギが構えを取るまでもないからだ。
「……もういい、死ねっ」
そのまま奴は俺に目掛けてストレートパンチを打ってきた。
「ふむ、素人にしてはキレのある良いパンチだな」
俺は頭を少しずらしてパンチを躱すと、奴の右手首を鷲掴みにした。
「くくく、今から貴様のスピードとパワーをアップさせる秘孔を突いてやろう。成功すれば貴様の力、速さ、反射神経は今までの五倍になるっ」
「な、何をする気だっ、やめろっ」
何かを察し、奴が暴れ始めるが、その程度の力では俺はビクともせん。
「くくくく……」
俺は奴の肩目掛けて人差し指を突き入れたッ。
奴の肩肉に己の指がズブズブとめり込んでいく感触に俺は思わず興奮してしまった。
どうやら俺もまだまだ若いということかな、くくく。
「うぎゃあああああっ、や、やめろっ、やめてくれええっ」
「くくくくっ、ならば気力で止めてみせるがいい、ふははははっ」
俺の高笑いと奴の悲鳴が闇夜の中で混ざり合い、木霊する。
たまらない。最高の気分だ。
そして俺の指先はついに奴の秘孔を突いた。
途端に呻き声を上げ始める僧帽ヘッドギア、その身悶る様は電動コ○シにそっくりだ。
「うげげげっ、ぎぎぎっ、あ……アギャギャ……」
ふむ、どうやら失敗したようだな。
奴の筋肉が収縮し、全身が大きく膨らんだかと思うと、風船のように破裂してしまった。
ふ、まあ、いいだろう。
奴も俺の秘孔研究に貢献できて、喜んで死んでいったに違いない。
「おい、アミバ、誰か来る前に去るぞ、流石にコイツは見られちゃヤバイぜ」
「確かに。ではここらで退かせて貰うか」
俺達は誰かに目撃される前に公園を立ち去った。
くくく、それにしても僥倖だったぞ。
これで我が北斗神拳の完成に一歩近づくことができたな。
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朝のニュースは、公園で発見された僧帽ヘッドギアの惨殺死体で持ち切りだった。
指名手配中の連続強盗殺人犯が何者かの手によって始末されたのだから、話題にならない方がおかしいだろうが。
二人でニュースを見ながら食事をし、一時間ばかり組手をする。
「ふう、少々汗を流してから学校に行くとするか」
「だな、そうすっか」
五分ずつの交代でシャワーを浴びる。
シャワーのコックをひねって、アビバは鼻歌をうたいながら頭から熱い湯を浴びた。
湯がアミバの黒髪や筋骨隆々とした肉体に降り注ぎ、汗を流していく。
それから浴室から出ると、身支度を整え、ふたりは部屋を出た。
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他の生徒と混じって、バスの中で揺られるアミバとジャギ。
聞き耳を立てると、今朝のニュースを話題にしていることがわかる。
生徒達は和気藹々と歓談に興じているが、生憎とアミバとジャギは蚊帳の外だった。
というよりも誰も話を振ろうとも目を合わせようともしない。
これはジャギが爆豪勝己を戦闘訓練中にボコボコにした為だろう。
マウントポジションを取ったあとに『俺の名を言ってみろォっ』とけたたましい馬鹿笑いを張り上げ、勝己の顔面をショットガンで何度も殴りつける光景は、
頭がイカレているとしか思えないからだ。
その後に気を失った勝己を人質兼肉盾代わりにして突撃し、核を確保している。
これにはモニタールームで戦闘を眺めていた教師陣も引いていた。
風体だって凡そ、従来のヒーローからはかけ離れている。
鉄仮面にトゲのついた肩パット、そして擦り切れた革ジャンという出で立ちは、どこからどう見ても凶悪なヴィランだ。
曲者の多いヒーロー科の中にあって、それでも彼らは他の生徒達からは異端児扱いだった。
「くくく、嫌われた者だな、俺たちも」
「へ、俺は別にこいつらと馴れ合う気はねえぜ」
「くく、それは同感だ」
と、邪悪で狡猾な笑みを浮かべ、アミバがジャギの言葉に同意してみせる。
そうしている内にバスは目的の場所へと着いた。
着いた先はアトラクションテーマパークのような場所だ。
バスを降りると13号という教諭から説明を受ける。
このテーマパークはUSJと呼ばれる施設らしい。
だが、アミバもジャギもさして興味を示さなかった。
何故ならここには、彼らが求めるデクはいないからである。
「退屈だな、ジャギよ」
「だな」
その刹那、虚空に黒い霧のようなものが広がり始めた。
突如として現れた暗黒の空間から感じる殺意、妄執、憎悪──アミバとジャギは思った。
これは面白そうだと。
ゾロゾロと黒い霧から出現する無数のヴィラン達。
アミバは歓喜に打ち震えた。
(くくく、こいつら、良いデクになりそうだ……ッ)