アミバとジャギの珍道中アカデミア   作:たきざわかい

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困ったことがあったらなんでもいうといい、きみたちは大事な労働力なんだ。
オープニング「タフボーイ」


二人あるところに乱あり!

黒霧から現れた掌で身体を覆ったヴィランが、教師と生徒を睨め回しながら呟く。

 

「オールマイトがいねえな……平和の象徴が居ねえな……それとも子供を殺せば来……」

 

ヴィランが何か言い終わる前に暗黒空間目掛けて同時に躍りかかるアミバとジャギ。

 

ふたりの辞書に空気を読むという言葉はない。

 

「何をごちゃごちゃ言ってんだっ、この馬鹿がっ、隙だらけだぜっ」

「くく、素晴らしいっ、秘孔が突き放題だっ」

 

アミバは、手始めに牛のような姿をしたヴィランと、指が筒状になったヴィランの秘孔を瞬時に突いて見せた。

「あばば……っ」

「うぎが……っ」

 

身体中の骨格を軋ませ、ねじ曲がっていくふたりのヴィラン、そんな敵に対してアミバは、ただ、ほくそ笑むだけだ。

 

「くそっ、餓鬼のくせにフザけた奴らだぜっ」

 

叫びながら岩肌で胴体を覆った新手のヴィランが、アミバに突進する。

だが、その直前に黒い影が飛来し、岩で覆われたその胴体を貫手で串刺しにした。

 

「ヒャハハっ、このジャギ様の南斗邪狼撃の味はどうだっ」

 

「折角の俺のデクに何をするのだっ、ジャギよっ」

獲物を横取りされた怒りをアミバがジャギにぶつける。

 

 

「何言ってやがるっ、まだまだ、これだけいるんだっ、お楽しみはこれからだろうがっ」

 

「くくく、確かに……お前の言う通りだな、ジャギよ。では、続きを再開するか、ふははははッ」

 

ヴィランの集団へと突撃し、次々に血祭りに上げていくふたりの姿、それは正しく修羅羅刹を彷彿とさせた。

 

「こ、こいつら恐ろしく強ええぞっ」

思わず後ずさるヴィラン達、その後ろに控える身体中を掌で覆ったヴィラン──死柄木弔はアミバとジャギを冷静に分析していた。

 

(確かにガキながら、クソ強いな、コイツら……だが、それだけじゃねえ。コイツら、ヒーロー側の癖にやけにクレイジーで非情じゃねえか……

本当にヒーロー側なのかよ……あの凶悪な面構えに禍々しい雰囲気、敵をねじ伏せることに愉悦すら感じてやがる……

ありゃ……どう見ても俺たちと同類……それもトップクラスに残忍で凶悪なヴィランだ……ッ、是非とも連合に欲しい人材だぜ、こいつはよッ)

 

ヴィラン連合のリーダーである死柄木弔は、優秀なヴィランのスカウトには余念のない男だ。

 

「や、やめろっ、やめてくれっ、助けてくれっ」

アミバに捕まったヴィランが懇願し、仲間に助けを求める。

 

「くくく、貴重なデクを逃がす馬鹿はおらんわっ、喰らえっ、激振孔っ」

 

ヴィランの両肩に指を突き立てるアミバ、ヴィランの心臓が急激に膨れがっていった。

「あ、悪魔だ……奴ら人間じゃねえ……ッ」

 

ヴィランですら恐れおののく血に飢えた二匹の悪鬼が敵を蹂躙していく。

 

その隙を突いてイレイザーヘッドが他のヴィラン達を捕縛し、13号が生徒達を避難させる。

 

「ヒャッハー、ノリノリだぜっ」

「これぞパーフェクトワールドだあっ」

 

急激に分泌され続けるドーパミンのせいで、トリップしたアミバとジャギは、同時に黒い霧目掛けて飛び蹴りを放った。

 

そして、そのままどこかにワープした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「アミバの視点」

 

 

 

ここは水中か。どうやら俺はどこかにワープしたようだな。

なるほど、あの黒い霧の個性というわけか。

 

「来た来た」

 

俺が逡巡していると、ピラニア型の異形のヴィランが現れた。

 

中々面白そうなデクだな。

「おめーに恨みがねえが……」

 

水中に居ながら喋ることが出来るとは中々器用な奴だと思いながら、俺はヴィランの秘孔を突いた。

 

途端に水中で苦しみ始める。

 

ちなみに俺が突いたのは、肺呼吸の活動を止める秘孔だ。

 

酸欠で藻掻くヴィランを俺は間近で観察した。

 

くくく、これは面白いな、ヴィランの動きが何とも滑稽だ。

 

そこで俺はハタと気がついた。

 

そうだ、俺は泳げないのだっ。

 

天才である俺がなぜ泳げないのかか、俺自身にもよくわからない。

 

幸いにして、南斗聖拳とアミバ流北斗神拳を修めた俺は、無呼吸状態でも六時間は活動できる。

 

だが、水中に六時間も潜っているのは、天才の俺でも好ましいとは思えない。

いくらなんでも、あのデクどもに逃げられてしまうだろう。

 

俺はすぐに周りを見回した。

 

ふむ、どうやら船があるぞ、とりあえずあそこまで行くか。

 

問題はどうやって、あそこまで行くかだな。

俺は傍らで藻掻くヴィランに視線を向けると、秘孔を解除し、無言で船まで連れて行くように指示を出した。

 

奴は嫌々ながらも俺を連れて行ったよ。

俺に酸欠状態にされたことが、さぞや恐ろしかったのだろうな、くくく。

 

それから俺は船に飛び乗った。

 

船の上には二人の先客が待っていたよ。

ブドウの房のような頭をしたチビとカエルっぽい女だ。

 

こいつらも良いデクになりそうだな。

 

「みみみ、緑谷、なんでお前、ヴィランと一緒にいたんだっ、まさか俺達を裏切ったのかっ、いや、お前、最初からヴィランと繋がってたんだなっ」

このチビ助、確か峰田といったかな、俺は奴の質問に答えてやった。

 

「ん、何のことかな、くくくっ」

 

「私達をどうするつもりなの?」

 

怯える峰田とは対照的にこちらは落ち着き計らっているな。

女ながらに度胸がある。

肝の据わった女はジャギ好みだぞ。

 

「くくく、そんなもの決まっている。あのデクどもを生贄にし、我が偉大なるアミバ流北斗神拳を完成させるのだっ」

 

「デク、それってあのヴィラン達のこと?」

 

「そういう事だ。奴らの鮮血と断末魔の叫びが、アミバ流北斗神拳を更なる高みへと押し上げるのだっ」

俺は崇高なる己の使命を二人に諭した。

 

「……な、なあ、緑谷、お前、何かやばいクスリとかやってないよな?」

 

怯えた表情から一転して、俺を哀れむような視線で見つめる峰田、全く、失礼なチビだ。

 

そうしている内に船の周りにピラニア型のヴィランが集まってくる。

わざわざ俺のデクになりに来るとは、殊勝な心がけをした連中だな。

 

俺はすぐに水の中に飛び込むと、群がるヴィランの秘孔を突いて突いて突きまくった。

 

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