アミバとジャギの珍道中アカデミア   作:たきざわかい

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知らないあるよっ、ないあるっ、ないあるっ!

オープニング「Suna to Shi No Ballad 」


狂った野獣

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

一人の少女が路地裏を逃げ惑っている。

額に浮かんだ汗、嫌悪感のせいで震える拳、少女は後ろを振り返った。

 

「待てよっ、このアマァっ」

 

追いかけてくる変質者の姿、黄色く濁った眼、泡まみれの口元、得体の知れない粘液にまみれたその形相、

そしてなにより、最悪なのが股間から伸びた太くて長い触手だ。

 

「ひいっ、いやあっ、こっちに来ないで欲しいですわっ」

 

「うるせえっ、こちとらよォっ、もう八時間も童貞貫いてんだよっ」

 

少女──八百万百を追い掛け回すのは、連続強姦魔のヴィラン、愚息色吉だ。

 

色吉が狂犬病患者のごとく泡を噴きながら、自らの触手を手で擦り上げる。

「俺の息子がよォっ、女の二つの穴に入りたがってんだよォっ」

 

充血した眼球をグルグル回し、訳のわからぬ事をわめきたてる色吉、典型的な脳梅○患者の末期症状だ。

 

「あああああァっ、穴をくれェっ、女の穴じゃあっ!!!!!」

 

頭を抱えて叫ぶ八百万。

 

「いやああァっ、誰か助けてっ」

 

色吉の触手が八百万の股間へと伸びていく。

紫色の粘液にまみれた色吉の触手──ゴキブリの触覚のほうが、まだ百倍くらいはマシだ。

 

「まずはア○ルのほうから楽しませて貰おうか、げげげっ」

 

触手が八百万の白い太股に絡まり、スカートの中へと潜り込んでいく。

 

(ああ……こんな気色の悪い変質者なんかに私の初めてが散らされるなんて……それも最初はお尻からって、あまりにも酷すぎますわ……っ)

「うへへ、それにしても良いケツしてんな、おい」

 

色吉の触手が、ついに八百万の下着から豊かな白い臀の狭間へと侵入する。

 

「ああ……」

八百万が諦観の篭ったため息を漏らし、瞼を閉じた、その時だった。

 

路地に突風が吹いたその瞬間、色吉の触手が半ばから切断されて吹き飛んだ。

 

「うぎゃばっ」

激痛に悲鳴を上げる色吉、その前にはジャギが悠然と立っていた。

 

「こんな場所で白黒ショーたあ、感心しねえなあ、おいっ、梅雨っ!」

 

「わかってるわ」

梅雨の伸ばした舌先が、八百万を引っ張っていく。

 

「何しやがんだっ、俺の可愛い息子をよっ」

 

「テメエのセガレのどこが可愛らしいんだよっ、ゴキブリの産卵よりも醜いじゃねえかっ」

色吉のセリフに対し、辛辣に反論する峰田、確かにこの峰田の言うとおりだと一同は思った。

 

「ぐぐぐっ、俺の息子はこんなんじゃ、まだくたばらねえぜっ」

 

叫ぶ色吉が、気合一発で切断された触手を再生してみせる。

 

だが、再生した途端にジャギのショットガンで再び粉々にされる。

哀れ、色吉の息子。

 

そのまま銃口を色吉の額に押し付け、ジャギは問いかけた。

 

「おい、貴様、俺の名を言ってみろォ」

 

「お、お前の名前なんか知るかっ」

 

「あっそ、じゃあ、死ねよ」

 

躊躇なく引き金を絞るジャギ、死の恐怖を感じ取った色吉が叫んだ。

 

「ほ、本当は知ってんだっ」

 

「じゃあ、早く答えろよ」

 

「え、ええと、あ、あれだよ、ほら」

視線を泳がせながら、色吉が何だかよくわからないことを口走る。

 

「……俺は嘘が大きれえなんだよっ」

 

色吉に怒号を浴びせると同時に、ジャギがショットガンのトリガーを引いた。

だが、銃口から散弾が飛び出ることはなかった。

 

緊張の糸が切れて気絶する色吉。

 

「ん、不発か、運の良い野郎だな。それにしても駄菓子屋の帰りにこんな変態に遭遇するとはな」

 

「丁度いい、俺の秘孔の実験台に使わせてもらおうか」

「駄目よ、それよりも警察に連れていくべきよ、緑谷ちゃん」

 

梅雨がアミバをたしなめる。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ほとんどのクラスメイトは、相変わらずアミバとジャギを避けているが、それでも多少なりの変化があった。

峰田と梅雨とは一緒に食堂で飯を食う仲だし、切島とは、校舎裏でタバコを吹かしてくだらない冗談を飛ばしあっている。

 

八百万も普通に挨拶をしてくるし、少人数ながらもジャギとアミバは、クラスで認められる存在になっていた。

 

そんなふたりは、教室で一輪車を乗り回している。

 

担任の相澤消太は、そんな二人の態度を苦々しく感じていた。

 

「おい、見ろっ、アミバっ、ユニスピン空中回転だっ」

 

ジャギが空中でスピンしながら、十回転する。

 

「くくく、その程度、造作もないっ」

 

たまらず二人に怒鳴る相澤、だが、アミバとジャギはそんな担任に薄気味悪い笑みを浮かべてニヤニヤするだけだ。

 

「ああ?何か文句でもあるのかい、ホームレス先生さんよォ?」

鉄仮面の下から覗くジャギの凶眼が、相澤の視線をまともに受け止める。

 

「まあ、そう怒るな、担任よ。これもヒーローになる為の修行の一つだ、くくく」

 

「その通りだっ、普段は合理的だと口喧しい癖によっ、こいつだってバランス感覚を養うにはうってつけなんだぜっ」

 

一輪車に乗ったまま、ジャギが相澤に抗議する。

 

その得体の知れない迫力に相澤は一瞬、言葉を詰まらせた。

 

「……っ、減らず口を叩きやがってっ、お前たち、今は座学の時間だっ」

 

「それなら心配ない。座学なら全て俺たちの頭に収まっているぞ」

 

「ヒャハハっ、残念だったな、ホームレス先生さんよォっ」

そして二人は教室を出ていくと、一輪車で校内を走り始めた。

 

このふたりの問題児に相澤は頭を抱えていた。

 

さっさと早い内から、このふたりを除籍処分にしておけばよかったと、今では激しく後悔している。

 

だが、現段階では、自分ひとりの権限で除籍処分を下すのは、もはや難しい。

それはこの二人が、圧倒的とも言える実力を示したからに他ならない。

 

別に高いヒーローの素養があるとか、他の教諭陣から期待されているとか、そういう話ではない。

 

問題はこの二人が、ヴィラン側に落ちた場合、どうなるかということだ。

超人的な身体能力と予測不可能な個性を持ったアミバとジャギは、言ってみれば、炭疽菌やエボラウイルスのような存在だ。

 

野放しにはしておけないし、敵の手に渡ると困るが、手中に収めていても厄介だ。

 

つまりはそういうことだ。

 

それならば少しでも、あの歪んだ人格を矯正しようと、教諭陣一同は可決したのだった。

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