世界一可愛いストーカーたちに追いかけられる僕はストーカー   作:Re:クロバ

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どうも、Re:クロバです。
以前から考えていたアイディアをとうとうss化しました。

楽しんでいただけると幸いです!

それでは、どうぞ。







Chapter:1
第1話:これが僕の日常


素直に自白しよう。

 

僕はストーカーである。

 

いや、カッコつけるもんじゃないってことは重々承知なんだけど……とにもかくにもストーカーである。

 

幼稚園児の時、近所にいた3つ歳上の少女によく面倒を見てもらっていた。

僕にとっては初めての異性との交友。これが次第に恋慕に変わっていくのに時間はかからなかった。

 

とは言うもののやはり時間はイタズラか。

 

僕は早く大人になりたい。彼女が惚れてしまうようなカッコいいナイスガイになりたいと日々思っていたもののそれは儚き夢。

現実では3つ歳上の彼女はどんどんと成長していき、活発な印象からお淑やかな印象へ変貌。

一方僕はまだまだ鼻垂れ小僧のまま。

 

追いつこうにも目の前に立ちふさがる『生まれた年』という越えられない壁は当時の僕に絶望を与えた。

 

そして苦悩を胸に抱える日々を過ごしていく中で、ある一つの結論に至る。

 

そうだ。ストーカーすればいいんだ。

 

ツッコミどころ満載だろう。は?何言っちゃってんのコイツ。みたいに思っただろう。

けれど考えて欲しいんだ。

鼻垂れ小僧であった自分がどんどんとお淑やかになっていく彼女の隣にいれば、彼女の迷惑になる。

 

すると連鎖的に彼女の評価も下がり、僕の評価は地に落ちる。

 

考えすぎかもしれないが、当時の僕はこれをナイーブに信じ込んでいた。今でも信じている。

 

近づきたくとも、もうそれを許されない身分になってしまったきらびやかな彼女。

けれど、僕は彼女を見ていたい。あの笑顔を見ただけで元気が貰えたのだ。

 

だから気づかれないように見守ろうと……さながらナイトのような気分で彼女に張り付いていた。

 

そんな毎日を過ごしていくうちに、何度も季節は巡り、僕は高校2年になった。

 

ストーカー活動は現在も続けている。

けれど僕は彼女をつけているだけで、別に犯罪を起こす気はないので安心してほしい。

逆に僕はそういう輩から彼女を守るナイトだ。勘違いしないで。

 

だがそんな僕にも最近悩みができた。

 

そう。

 

ストーカーである僕に……ストーカーができたことだ。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

まだ肌寒い春先の早朝に、走り抜ける影が一つ。もちろん僕だ。

 

今日は朝から、ちょうど自分の部屋から見える隣の家……憧れの彼女の部屋を覗く予定だったのに……

 

嫌な視線を感じて飛び出してきた。

 

後ろを振り返る。当然、誰もいない。

 

「なんなんだよっ……!こんな僕に何の用なんだよっ……!いや、まだストーカーと決まったわけじゃないけどさ……それでも気味が悪いよ……」

 

ブレザーを風に(なび)かせ、道を急ぐ。と、いってもまだ午前5時だ。

どうしたものか。

 

このまま学校に行ってもいい気もするが、流石にこんな時間にいるのは警備員ぐらいだろう。迷惑をかけるだけだ。

 

仕方ない……マクドに足を運ぶか……

 

住宅路を抜け、大通りに出る。まだ早朝だというのに車が多数走り抜けているのは流石東京というところか。

 

走ること10分。ようやく馴染みのあるMの看板が見えてきた。

朝ごはんも食べずに逃げ出したのだ。たまには朝マックもいいだろう。

 

気持ちを切り替え、後に舌に広がるであろうハッシュドポテトの食感を想像しながらニヤける。

 

そして僕は店内へと足を運んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

恋慕の溜息をつく。

 

頭の一部分をトサカのようにした特徴的な銀髪の美少女は、マクドナルドに入っていた一人の少年をしっかりと見つめていた。

 

彼を見初めてから一年。

 

共学となった地元の高校、音ノ木坂高校で彼を一目見た時にビビッと来てしまった。

 

彼と少しでも近づきたい……そう思う内に、気づけば彼女は彼を地味につけていた。

最初は何気ない感じを装って、少し様子を見てから友達の元へ舞い戻る……というものであったが現在では、完全なるストーカーのそれだ。

 

彼を知りたい。

 

その知識欲が人間にここまでの行動力を与えるのかと銀髪の少女が我ながら関心しているのもつかの間、店内から袋を持って出てきた彼を視界に捉え再び尾行する。

 

彼が踏みしめた歩道を上から塗るように歩いていく。

袋から取り出し、口に頬張っているハッシュドポテトの香りがここまでやってくる。美味しそうだ。

 

何度か右へ、左へと曲がっていくうちに、閑静な公園に辿り着いた。

どうやら彼はそこで食事をする……もとい、時間を潰すつもりらしい。

 

そんな彼にバレないように公園の入口にある公衆電話BOXの影に隠れる。

まだ薄暗い中、彼が座っているベンチの部分だけ輝いて見えた。

 

それだけ自分の中では彼の存在が強いのだと気づき、ふっと笑みがこぼれる。

 

それから彼女はさながら下界の者を見守る女神のように彼に愛情をこめた視線を注ぎ込む。

 

そんな視線に当の少年は気づいてはいるが、視線の注ぎ主の正体がわからないので、下手にアクションを起こせない。

そう少年は思いつつも、購入した朝飯はどんどんと減っていく。

 

そして少年がハンバーガーの最後の一口を食べたところで、監視者である彼女の肩を掴む手。

 

銀髪の彼女は飛び上がって悲鳴を上げそうになったが、ギリギリ堪えた。

一体誰だと後ろを振り返ると、そこには茶髪をサイドテールにした女の子と、紺色のロングヘアーの女の子。

 

南ことりの幼なじみである高坂穂乃果と園田海未であった。

 

いつも一緒にいるこの3人は他人から見ても、相当な仲良しに見える。だが……

 

そんな3人の中に剣呑な雰囲気が溢れる。

 

「ことりちゃ~ん?なんで抜け駆けしようとしてるの~?」

 

「そうですよ、ええ。ことり?彼の監視役は私だけで事足りてるというのに」

 

「「は?」」

 

「ちょっと海未ちゃん!桜くんのエージェントはことりで充分なの!」

 

「海未ちゃん!叢雲くんをつけるのは穂乃果だけで充分………え?」

 

「何でことりは彼のことを下の名前で呼んでいるのですぅぅ?そこまで親しい間柄ではないでしょうぉぉ?」

 

「そ、そうだよことりちゃんっ!まだ穂乃果も海未ちゃんも苗字で呼んでるのにぃ!」

 

「そ、そう~?でも!これはことりが勝手にしてることなんだから2人にとやかく言われる義理はないよ!」

 

「なんだか上手く言い逃れてる気がするぅ……」

 

「ことりに主導権を握られるってのが、たまらなく悔しいですね。一矢報いてやりましょうか…………あ、そうです。ことり」

 

「ん?」

 

「彼が今朝から思っていることを私が予想してあげましょうか?」

 

「ふぇぇっ!?な、何を言ってるの海未ちゃん!?」

 

「よし!海未ちゃん!穂乃果たちのためにも頑張って!」

 

「最終的な勝者は私なので穂乃果を助けても意味ありませんが、まぁ今回は目を瞑りましょう。では、ことり!彼が何を感じていたか……それは……」

 

 

 

 

「「うっとうしい」」

 

 

 

 

「「「「……」」」」

 

「「「えぇ!!?」」」

 

「いや、気づくの遅すぎるでしょ!?僕背後から迫ってたよね!?そんなに白熱したバトルを展開させてたの!?」

 

彼女らが勝手にヒートアップしてくれたお陰で、被害者。

叢雲 桜は追跡者の正体を知ることができた。

 

やはり南さん……そしてその一味だったか……

 

犯人が彼女と分かり、思わず僕は安堵の溜め息。

 

「南さん!本当に不審者だったらどうしよう!って感じで怖かったんだよ!?やめてよね!マジで!!」

 

「うん、ヤダ♡」

 

はっはー……これだもんなぁ……

 

今日も今日とてストーカーの正体はこの3人のうちの1人だったか……

 

先日は園田さん、その先日は高坂さん。え、何?もしかして順番制?いや……でも、公園のベンチでも聞こえたさっきの激しい討論では順番制なんて皆無だったな。

単に上手いこと3人がローテーションしてただけか。

いや、それだとしてもぉぉ!!

 

「お願いだから朝からやめて3人ともっ!あんな早朝から視線を感じたら落ち着けないって!」

 

「しかし妙ですね。午前5時という時間……大抵の高校生はまだ夢の中のはずですが?」

 

「うっ……そ、その……なんというか……寝ていても…その……視線を感じる…っていうか、なんというか……」

 

「「あやしー」」

 

「えぇ、怪しいですね。早朝から起きて何をしようとしていたのですか?」

 

「いっ、いやー!ちょっと朝ランを…「制服なのに?」あの………その………」

 

ふぇー……女の子コワイ……

 

僕がどう彼女らの尋問を脱しようかと画策していると、ちょうど視界の先に見覚えのある姿を捕らえた。

 

僕が恋をしているあの人だった。

 

途端に心が浮き立つ。幸福感が満たされ、今日の彼女の服装をまじまじと見つめてしまう。

 

あー……大学生はいいよなぁ……私服だし、髪の毛染めてもいいもん。

 

茶髪に染め上げた彼女を目で追いかけて、自然な流れで体の軸が彼女に傾いていくと……肩を強く掴み、それを制する者が3名。

 

「へーぇ?」

 

「桜くん?どーいうことかなー?」

 

やばい。南さんが怖い。笑ってるのに目が笑っていないってところが最っ高にサイコパスのように感じる。

しかし最も力を込めて肩を握ってくるのは園田さんだ。

 

「叢雲の……」

 

「へ、へ?」

 

「叢雲の浮気者ーっ!!!」

 

「はあぁぁぁあ!!??」

 

「いっつもあの大学生の尻を追いかけて……なんてふしだらなのですか!?貴方も1ストーカーなら私の尻だけ追いかけなさい!!」

 

えぇぇぇぇぇ……!!?

 

尻なんて言葉使っちゃう園田さんの方がふしだらな気がするし……っつーか、はァァ!?なんで僕ストーカーってバレてんのぉぉ!?そんな素振り一回も見せたことないよね!?

僕の性癖が知らない間にバレてたっていうの!?

 

「あの……その………なぜご存知なので……」

 

「ストーカーに知らないことはありませんから」

 

「それドヤ顔で語ることじゃないよね!?相当キモイこと言ってるって自覚ある!?」

 

「ありますがありません」

 

「どっちだよ!?」

 

会話にならない会話に呆れた僕は携帯を見やる。

そして絶叫。

 

「あぁぁぁぁ!!?もうこんな時間!?ヤバイ!行かないと!僕日直だった!!そ、それじゃあ皆!また後で!」

 

……上手くいったかな?

 

通学路を走り抜ける。その途中で後ろを振り返る。もしかしたらもしかして……撒けた?

それなら万々歳じゃないか。

 

スピードを緩めて走駆を徒歩に切り替えた。

周りを見ると登校している生徒もちらほら。

 

それにしても……あの人……

 

「今日も最高に可愛かったなぁ…」

 

 

 

「へぇ?」

 

 

 

肩をビクッと震わせ、背後を見やる。

そこには金髪の新たな刺客。

 

「げっ……生徒会長……」

 

もとい……

 

「おはよう。今日もいい天気ね」

 

「は、はい……」

 

「それで?」

 

「え?」

 

「朝から見てたけど……またあの3人が貴方に関わってくるの?酷い話よね………けれど……あの大学生の人のことまた見てたんでしょ」

 

「なんで完全に把握してやがんだ……」

 

「当然でしょ?だって私は……」

 

 

僕のストーカーだから。

 

 

 

 

 

 

 

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