世界一可愛いストーカーたちに追いかけられる僕はストーカー   作:Re:クロバ

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第5話:トゥルー・エンディング(映画)

土曜日。それなりにオシャレをした僕は、東京駅でベンチに座っていた。

目の前を通り過ぎる人々を無視して、新聞を読む。……いや、正確にはその新聞に空けた穴を覗き込んでいる。

 

「幼なじみ……まだかな?いつも土曜日の午前10時は、バイトか大学のサークルに行くために絶対東京駅に来るんだよね」

 

今日もナイトは独り、孤独に、愛する者を優しく見守る。

安心してね…!世界の誰から嫌われようと…傷つけられようとも僕が傍にいてあげる!守ってあげる!!

 

あ。

 

幼なじみキタァァァァァァァァ!!!

 

あぁぁぁぁぁ。くんかくんか。幼なじみたん。ペロペロ。まじえんじぇぇぇぇ!!!

 

なんだあのオシャレさんは!?白のブラウスに……だ、ダメージジーンズだとぉぉぉ!!??けしからんんんん!!!しかもは、ハイヒールぅぅぅ!!??お化粧もしてるし、ピアスも輝いてる…!

 

……ここまで来て僕は改めて自分の姿を見る。

ダブっとした従兄弟のお下がりジーンズ。黒のTシャツに、チェックのボタンシャツ。靴は履き古した白のスニーカーで、ていうか白と言うより汚れのせいでクリーム色になっているスニーカーで、髪は寝癖を直してきただけ。

 

とりあえず僕は自分に渾身の腹パンを決めた。

 

ふっざけんなよ叢雲 桜ぁぁぁ!!なぁにがオシャレだ!幼なじみと比べたら月とスッポンじゃねえか!!あああぁぁぁ!恥ずかしすぎて、服を全部破きたいぃぃぃ!!

 

あ、待って待って、幼なじみたぁん!!僕を置いてかないでってばっ♡どうせ今日も神奈川方面へ向かうんでしょ?お供しますって、ぐへへ。

 

ピロン。

 

幼なじみのジーンズの上からでもわかるハリのある尻を凝視し、気づかれないよう追いかけていると、電子音。あ、LINEの通知音だな。えーと、誰だ?

 

 

『西木野 真姫』

 

 

「ぐぇぇ」

 

足から力が抜け、漫才のように倒れ込みそうになる。はっはっはぁぁぁ!!西木野じゃねぇかぁぁ!何の用でしょう??

 

『午前11時。私の家集合。遅れたら、拡散』

 

「死ねぇぇぇ!!言葉汚いけど言っちゃう!!遅れたら拡散んんん!?馬鹿なこと言ってんじゃねえよ、1年のクセしやがって!」

 

「へぇ…」

 

「え」

 

「はぁ~い。元気かしら?貴方のご主人様の登場よ?ほら拍手は?」

 

パチパチパチ……

 

僕の手を叩く音が虚しく響く。

 

「で?今私に対しての不満が聞こえたんだけど?」

 

「きっ、気のせいだよ西木野!」

 

「真姫ちゃん」

 

「ぼ、僕がそんなことするわけないだろ?西木野!」

 

「拡散」

 

「まきちゃんかわいいかきくけこ」

 

「やっぱり気のせいよね!」

 

「そ、そうそう!」

 

「もし本当に言ってたなら……今駅に入っていった人に拡散しちゃおうと思ってたんだけど。私の杞憂で良かったわ」

 

「ん?駅に入ってったひ………それだけはやめて」

 

「なんでかしら?」

 

「なんでもだよ」

 

こいつ……もしかしてわざとか?わさとバラすという脅迫に幼なじみを使ったのか?

 

「ってか。なんでここにいるの。家集合じゃないの?」

 

「いや、それは…貴方をつけてたから実際のところ不可能であって…」

 

「なんか言った?」

 

「な、なんでもないわよっ」

 

真姫は、危ない危ない。危うく、叢雲先輩をずっとつけていき、先輩が家に到着した際に後ろから登場しようと画策していたことがバレそうになったわと思っていた。けど、あの前を歩く女のお尻をガン見しながら追いかける貴方が悪いのよ、叢雲先輩。我慢出来なくなって飛び出しちゃったじゃない。とも思っていた。

 

「えー…家で何やんの?」

 

「なんだか嫌そうね」

 

「わぁぁぁい!!よっしゃああぁぁぁ!!真姫ちゃんとお家デートだぜぇぇぇい!フォォォォォ!!!」

 

「で、デート!?」

 

真姫はデートという単語に敏感に反応し、顔を赤面させる。

 

ーーうわぁぁ…!よ、よく考えたらお家デートってことになるのかしら、これって!?だ、大胆ね、私っ!で、でも何事も挑戦よ!これで彼の想いの矛先が私に向くかもしれないしっ!

 

そ、それにっ!

 

真姫は自分の背後を見下ろす。

 

ーーか、彼って……その……お尻が好きなのかしら?そ、それなら!私は自信あるわ!今すぐにでも触らせてあげたいけど……その……やっぱり順序ってものがあって……ゴニョゴニョ

 

「ぶふぉ」

 

「な、何がおかしいのよ」

 

「いや……アハッ……髪の赤いお前が赤面したらまるでトマトみたいだ……ごっはあぁぁぁぁ!!!」

 

西木野 真姫は本日、生まれて初めて、本気で人を殴った。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

いやぁ~……昨日は楽しかったなぁ………半分嘘だけど。だってずっと真姫ちゃん(皮肉を込めた口調で)の自慢話聞かされてただけだぜ?お高い紅茶が美味しかったことしか楽しくなかったよ。

とか、言ったら全国の男子から殺されそう。だって真姫ちゃん美人だしね、可愛いしね。普通の男の子ならすぐに告白しちゃうほどの魅力持ってるもんね。僕に対してはエグいサディストだけどね。

 

日曜日の朝。スーパーヒーロータイムを見ていた僕は胸中でそう綴る。

 

「げっ。もう少しでエグゼイド終わりかよ……ま、ビルドも楽しみだし。あ、そうだ」

 

僕の脳裏にある考えが閃いた。おいおい、僕ってばとんだ策士じゃね?

 

家の固定電話のメニューの電話帳を開き、〇〇さん(幼なじみの苗字だ)の文字を見た。

忘れてたよ。なんで僕が仮面ライダー見ているのか。それは幼なじみの影響だった。

 

大の特撮好きの幼なじみが幼ない時に「くろっくあっぷ!」とか言って僕に殴りかかってきたことを今思い出したよ。当然僕は怪人役だったな。ライダーはやらせてもらえなかった。ま、幼なじみを襲う怪人ってのも悪くはなかったけど。

 

そう考えている隙に、片手で操作していたスマホでチケットを購入。

 

そして幼なじみは未だに特撮好きらしい。特に仮面ライダー。ソースは幼なじみの家に定期的に遊びに行く僕の母親。

 

僕はボタンを連打し、幼なじみの固定電話へと繋ぐ。

 

『はい、もしもし?〇〇ですけど』

 

「うえっ!?あ、あのっ…む、叢雲で…です……も、もしかして…△△ちゃん?」

 

『あ、桜?久しぶりーっ。どうしたの?こんなに朝早く』

 

「あ、え、えと…その……さっきのえ、エグゼイド…見た?」

 

『あ、うん!もちろん!もしかして桜って、まだ仮面ライダー観てくれてるの!?』

 

「と、当然だってば!」

 

『いやー…今日もカッコよかったねぇ』

 

「そうだね!あのアクションシーンとか…」

 

『あ、そうじゃなくって俳優さんの方』

 

そっちかい。ズッコケそうになる。

 

「あ、そ、そうだね!で、でも!△△ちゃんも……その……そんな会えるかどうかも分からないイケメンよりっ、普段会えるような素敵な人を探す方がい、いいんじゃないかなっ!」

 

『いや、それは分かってるけど……じゃあ、逆に素敵な人がいると思う?』

 

「そ、それはそれはいますよ1人!!いつも君のこと考えて……その……や、優しく見守っ…て……悲しい時はいつも何も言わずに傍にいてあげるような人がほらっ!近くにっ!!」

 

『あはは!そんな素敵な人がいるわけないじゃん』

 

悲しいなぁ。

 

『で?もしかして電話かけてきたのってエグゼイドの感想の話だけ?私的にはそれでも全然オッケーなんだけど』

 

「いや……ちがっ!……そ、そうじゃなくって…あの…その…え、映画や、やってんじゃん?……と、トゥルー…エンディング」

 

『あ、うん』

 

「よ、良かったらさ?い、一緒にい、いかない……?結構いい席取れたんだ!」

 

さて、どうだ!吉と出るか、凶と出るか!?

 

『あー……ごめんね桜。私、本編が終了してから映画観たいの。だから本当に悪いんだけど、チケット代は返すから、1人で観てきてくれない?』

 

はい、凶~。乙~。しかも大凶~。

 

「えっ…!?や……あ、あの…」

 

『あ、ごめんね。そろそろ家族で出かける時間だから。またね』

 

ツーツー。………切られた。

 

僕はその日、生まれて初めて、本気で電話を叩きつけた。いつも通り、本気で父親にぶん殴られたけど。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

僕は1人、映画館に訪れていた。ポップコーンを当初はLサイズを食べる予定だったのに、Sサイズのキャラメル味を悲しく脇に抱えている。

 

へーん。いいもんねー。幼なじみのヤツっ……!僕と映画を見れなかったことを後悔しても遅いんだからねっ!

 

けれど、やっぱりもう1枚のチケットがもったいない。さて、どうしたものか。そこらにいるちびっ子に譲ろうかな。そう思い、行動を起こしかけた時、目の前に立ちふさがる影たち。

 

「うっわー…ことほのうみ」

 

「叢雲。奇遇ですね」

 

「実は朝からつけてたんだけどね」

 

「ことりちゃあん!?言っちゃダメじゃん!」

 

「あ、ゴメン!言っちゃった…」

 

「いや、言っちゃったとかどうでもいいし。どうせ3人が僕をつけてたってこと分かってるし」

 

「では、開き直りましょう!叢雲!そのチケット…貰い手がいなくってお困りの様子ですね。もし、よかったら……私がいただきましょうか?」

 

「えっ、ちょっと海未ちゃあん!?ことりがそれ言おうとしてたのにぃ!」

 

「早い者勝ちですよっ。ことり」

 

「また海未ちゃんが意地悪するよぉ!」

 

カオスだな。

 

「とりあえず。このチケットはちびっ子に譲る予定なんで、ほら、どいたどいた」

 

「「「ケチー」」」

 

チケット1枚をちびっ子に譲る僕のどこがケチなのだろうか。お前らの金銭感覚を教えて欲しいよ。

 

僕は近くにいたちびっ子にチケットを譲り(親にめっちゃ感謝された)、劇場に向かう。が、再び3人が立ちふさがる。

 

「はぁ……もう、なんなの?早くしないと上映時間来ちゃうんだけど」

 

「これは取引です。叢雲」

 

最近その単語がトラウマになったんだから、あまり言うのを控えて欲しい。ってか、え?取引?

 

そう言いながらスッと園田さんはバッグからあるものを取り出した。それは黒光りしていたもので……

 

「そっ、それは!今じゃ全く手に入らない、前売り券特典の『神の恵み』っっ!!欲しいっっ!」

 

「さぁて~…これが欲しいですか?」

 

「無論です欲しいです」

 

「じゃあ、ちびっ子に渡したチケットを取り返して来てください」

 

「バカ!?1回譲っちゃったものなんだよ!?譲った本人がやっぱり返してって言いに行くのクッソ恥ずかしいんだよ!?」

 

「そんなの知りませんよ。さぁ、どうしますか?チケットを取り返してきたら、この限定品が貴方の手に……取り返さないのであれば近所の子にあげます」

 

「あ、いいよあげてあげて」

 

「えぇ!?な、なんでですか!?げ、限定品ですよ!?」

 

話を聞いている中で、仮に園田さんが近所の子にあげたとして、僕がそれを買収すればいいだけの話だとかなり強引に結論付けた。

案外1000札を渡せば買い取れるもんだ。だって小さな子たちは大人と一緒でお札に弱いもん。

 

呆然とする彼女の脇をスタスタとくぐり抜けて、シアタールームへ入る僕。これでやっとゆっくりできる……

 

僕がそう安心し、席に座った時だった。

 

「はぁい」

 

「なんで隣にいるんすか会長」

 

一番ここにいることがありえないであろう会長が僕の席の真隣に座っていた。

 

「え、待って。そこの席…僕、ちびっ子に譲ったんですよ?な、なんでアナタが……」

 

「買収した」

 

僕と考えてること同じかアンタは!?ってか世の中の高校生は児童から買収することしか考えてないのか!?

 

「うふふ、桜と映画館デート♡」

 

えー……てっきり僕は孤独に映画鑑賞なんだと思ってたのに、なんでこう人が次々と現れるかな。

 

「こうなったらもう仕方ないですね……てか、ちゃんとちびっ子に申し訳ないって思ってます?」

 

「思ってるわ」

 

嘘だろ、絶対。溜め息混じりに僕はポップコーンを摘んで、口の中に。はぁぁ……朝には幼なじみにフられ、さっきはことほのうみの修羅場的なもんに巻き込まれ、今は会長と映画館デート……朝のダメージがデカすぎてまだ現実味がない。

 

「あ、さっちゃんやん」

 

そんな時に、聞き覚えのある声。会長とは逆方向の真隣に、なんとのんたんが座ってきたのだ。

 

「え、の、のんたん?なんでここに」

 

「いや、映画観よう思って」

 

「か、仮面ライダーの…?」

 

「そうや。さっちゃんも?」

 

「そっ、そうなんだよね!のんたんは単純に映画観に来ただけなのかー!」

 

「そんなわけないじゃない」

 

「ん?なんか言った?エリチ」

 

「何も言ってない言ってない!!」

 

映画館では静かにしてくださいよ、会長。でも、そっかぁ……のんたんもライダー好きだったのかぁ……のんたんが来てくれて良かった。お陰で僕の沈んだ心がかなり浮上したからね。

 

のんたんと会長が少々言い争っている中、やっと上映が開始した。まだ会長はうるさいんだけど、この際無視だ。映画に集中しよう。

 

けれどやっぱりうるさかったので、僕は今日、生まれて初めて女の子に手刀を繰り出した。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「はぁ~…面白かった~…!」

 

映画館の外へ出て、伸びをする僕。お天道様はすっかり頭上に登り、お昼過ぎだということを教えてくれる。

 

「あ、桜くん!」

 

折角、映画の余韻に浸っていたというのに、ことほのうみが僕のもとへと駆け寄ってくる。

 

「映画どうだった?」

 

「あぁ、面白かったよ南さん」

 

「チケットを私に譲ればもっと楽しかったでしょうに」

 

「とりあえず、園田さんは黙ってて」

 

まだ僕を買収できなかったことを悔しがっているのか?

 

「待って~な、さっちゃん!」

 

「桜っ!私を忘れてるわよ!」

 

考え込んでいた僕は、急に出現したのんたんと会長に当然対処出来るわけもなく、まんまと両腕に抱きつかれる。

 

「あ、希っ。離れてよ」

 

「エリチこそ」

 

「なっ……!!こ、これはどういうことですか叢雲っ!?私というものがありながら…!浮気ですか!?」

 

「どういうことなの桜くん!?ことりとのことは遊びだったの!?」

 

「穂乃果ばっかりのけ者にしてずるいよ!それに、叢雲くんは穂乃果のだからね、海未ちゃんもことりちゃんも!」

 

ヤバイ。実にヤバイ。危険な香りがしてきた。

 

「あれ?生徒会長?と、副会長?」

 

首を傾げる南さん。それもそうだろう学校の2トップがこんなモブの両腕に抱きついているのだから。ってか色々と当たってるって!やめて、それ!?

 

「そういう貴方は……南理事長の娘さん?どうしてここに?」

 

「そ、それはこっちのセリフですっ」

 

「どうして副会長がここにいるのです?」

 

「園田さんやったっけ?そっちこそなんでここに?」

 

「偶然です」

 

んなわけねぇだろ。ストーカー常習犯の筆頭さんよ。

 

てか、なんだこの状況は…?どんどんと剣呑な空気に満たされていっている。ここにいるだけでしんどくなってきた。

急激にこの場から退きたい気分になり、右へ行こうとするも、力を込めるのんたん。左へ行こうとするも、力を込める会長といった具合に抜け出せそうにない。

 

「貴方たち?どうして桜と一緒にいるのかしら?」

 

「いやっ、僕は別に一緒にいるってわけじゃ……」

 

「では、絢瀬会長。私から質問です、貴方こそどうして叢雲と一緒にいるのです?」

 

「だから僕は意図的に皆と一緒にいたわけじゃなくって…」

 

「「桜(叢雲)は黙ってて(ください)」」

 

こえ~よ。やっぱ僕帰宅していいですか?てかここにいる全員、僕が望んで会ったわけじゃあないからね。

 

会長と園田さんの間で火花が散るのが視認できるような気がしてくるほど、お互いは睨み合ってるし……のんたんも微笑みながら静かな怒り?をたたえてるし……

 

だが、こんな戦争勃発寸前かのような雰囲気に水を刺す輩が1人湧き出てきてしまった。

 

「あら、桜じゃない。奇遇ね……って、誰よその人たち」

 

西木野ぉぉぉぉ!!??

 

一番めんどくさいヤツが来ちまったぁぁぁぁ!!下手なことをしてしまったら、僕の秘密を暴露されてしまう。ここは何としてでも、彼女の機嫌を損ねないようにしないとっ……!!

 

「よ、よぉ!真姫ちゃん!き、奇遇だな!あっははは……」

 

「だから誰よって言ってるでしょ?ていうか、そこの2人はどうして彼に抱きついてるの?離れてくれないかしら」

 

威圧的な西木野の態度に少し怯んだ絢瀬会長。しかし、のんたんはいつもと変わらぬ温厚な口調で「なんでなん?」と聞き返す。

流石はのんたん。特大の勇気を持っていらっしゃる。

 

「彼はこの後私と予定があるのよ。…そうよね、桜」

 

待って待って!そんな同調を促すような視線を止めて!!そんなことしなくてもアンタには従うって!!この状況なら従うしかないってことぐらい西木野にもわかるだろうがっ!

 

「じ、実はそうなんですよ。皆、そ、そのなんか申し訳ないけど、僕はここで失礼させてもらう……ね?」

 

沈黙がこの場を支配する。口を真一文字に結んだ皆様が非常に怖い。すると、スルッと腕の両側を掴んでいた3年生の2人が僕から離れた。

 

「そうね……ここは桜の…お友だち(・・・・)との約束を優先させてあげましょうか」

 

「そうやね…お友だち(・・・・)との約束をね」

 

お友だちを強調させてくる2人に違和感を覚えつつも、西木野の元へ歩く。

 

「ほらっ。行くわよ、桜」

 

「は、はいっ」

 

やっぱり先輩後輩関係逆転してる気が………

 

 

 

 

 

 

 

真姫について行った桜の姿が見えなくなってからのこと。

その場に取り残された彼女たちは各々別の方向へ歩いていく。

 

だが、歩む先に辿り着くのは皆同じ彼の元。

 

彼女たちは今日も彼にバレないように尾行する。彼に関するどうでもいいような情報を分析し、好みを割り出し、自己満足に浸る。

 

希は彼女らとは違って、彼を尾行する意欲は無かったが、西木野 真姫という1年生と桜の関係が気になり、結局のところ彼をつける。

 

三者三様の想いを抱き彼女らは行動する。けれど彼が好きということに関しては皆同じ。

 

そう彼女らは愛するものを暖かく見守る女神。彼へと辿り着く前に立ちふさがるような障害なんかは軽くあしらう。彼自体に干渉する障害も徹底的に排除する。

 

世間一般では彼女らをこういうのだろう。差別的な意味を含んでいるかもしれないが、愛故に人を地平線の果てまで追いかけ続ける人種のことを……我々は……

 

 

 

ストーカー……と呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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