喫茶の錬金術師   作:数多 命

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『店主』関係ない番外編ですが、ハガレンものなのでこちらに。
シャンバラ見返したら、思いついてしまったんや・・・・。


番外編『裏方の錬金術師』

「――――水35L」

 

愚かだった。

 

「炭素20kg、アンモニア4L」

 

浅はかだった。

 

「石灰1.5kg、リン800g」

 

驕っていた。

 

「塩分250g、硝石100g」

 

『あの記憶があるから』と。

『あの世界を知っているから』と。

 

「イオウ80g、フッ素7.5g」

 

思い上がったのがそもそもの間違いだった。

 

「鉄5g、ケイ素3g」

 

ただ、あの子の笑顔が見たかった。

 

「えーっと、後は纏めちゃえ。その他少量の十五の元素っと」

 

生まれてからずっと、辛い思いをしていたあの子を。

 

「ほら、翼」

「ぅ、うん・・・・いたっ」

 

少しでも幸せに出来たならと思っていた。

 

「魂の情報もよし・・・・それじゃ、行くよ?」

「は、はい・・・・!」

 

だから私は、()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――等価交換だろう?錬金術師?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――(あね)さんってさ」

 

特異災害『ノイズ』に対する、人類最後の砦。

日本政府所属の秘密組織『特異災害対策機動部二課』。

その廊下を、二人の女性が連れ立って歩いている。

その片割れ、燃えるような赤い髪を揺らした『天羽奏』は、ふと思い出したように口を開いた。

 

「翼の姉ちゃんなんだよな」

「唐突にどうしたのよ?」

 

もう片方。

奏の相棒を大人びさせたような姿の女性は、どこか気だるげに返事する。

 

「いやぁ、随分な付き合いになるけど、姐さんのこと何も知らないなって思って」

「ああ、まあ、名字からして違うものね」

 

対する奏がそう言えば、一理あると思ったのか。

得陸(とくおか)』と書かれた自らのネームプレートを見て、女性は納得して頷く。

 

「それにさ、その・・・・右手と、左足のことも」

 

次に奏は、少し躊躇いがちに視線を滑らせる。

白衣の右袖口と、ビジネススカートから覗く左足。

そのどちらも、使い込まれて鈍く光る、鋼の義肢となっていた。

女性はもう一度納得したように頷いて。

 

「理由は色々あるのだけど、もう乱暴に言ってしまうのなら『老いぼれの所為』で大体片付いてしまうのよね」

「うーわ、いや、分かるけども・・・・」

 

女性の言う『老いぼれ』など、奏には思い当たることが一つしかなかった。

だから一応頷きはするものの、件の人物への相変わらずな物言いに苦笑いしか零れない。

 

「名字はお母さんの方の名前でしたっけ」

「そう、あいつが翼を後継にするもんだから、私が用無しになっちゃってね」

 

そして『始末』されないように、母方に伝わる『技術』を。

彼女の母が嫁入りした本当の『理由』を学んだということだろう。

 

「その上私の『技術』すら取り上げようとしたのよ?厚顔にもほどがあるってもんでしょ?」

 

よっぽど溜まっていたのか、饒舌になりだす女性。

奏はあえて口を閉ざし、聞き手に回った。

 

「だから言ってやったわ、『もう風鳴司令の部下なので、第三者に情報は渡せません』って。丁寧に中指を突き立ててね」

「なんつーか・・・・よく生きてたよなぁ、姐さん」

「それだけ母さんのご先祖様の『技術』に興味があったのでしょう。そこに価値を見出していたことに関しては・・・・まあ、認めてあげてもいいわ」

 

肩をすくめて、女性は話を一段落。

 

「どちらにせよ、間接的に益を出しているのだし、これくらいの好き勝手は許して欲しいところね」

 

ため息と共に、そう締めくくった。

と、

 

詠理(えり)さーん!奏さーん!」

 

横の通路から、ぱたぱた駆け寄ってくる声。

二人が目を向ければ、最近入ったばかりの『新人』が手を振っていた。

 

「あら『響』、遅れるって聞いてたけど?」

「確かに、思ったより早かったなぁ?」

「いやぁ、運よく補習が片付きまして!」

 

奏と女性――――詠理がからかうように話しかければ、響は苦笑いで頭に手を当てた。

 

「なので、頑張ってダッシュしてきました!」

「ま、時間に間に合ったのは褒めてあげましょう。次からはちゃんと課題も片付けなさいな?」

「あう、はーい・・・・」

 

自分が情けなく思ったのか、がっくり肩を落とす響。

その姿が面白くて、奏と詠理は声を上げて短く笑った。

 

「さあさ、早いとこ行きましょう。翼がお待ちかねよ」

「はーい」

「うっす」

 

談笑もそこそこに、今度は響も連れ立って移動する。

やがてたどり着いたのは、主に訓練に使われるシミュレータールーム。

中に入れば、真っ白な空間が広がっていて。

 

「姉様、奏に・・・・お、立花も間に合ったか」

 

入り口近くで待機していた、『風鳴翼』が歩み寄ってきた。

 

「何とか間に合いましたー・・・・」

「待たせたな」

 

二課に所属する、対ノイズの切り札。

ノイズへの唯一の対抗手段である、『シンフォギア』に適合した装者()()が揃い踏みとなった。

 

「ささ、時間は有限よ。巻きで行きましょう」

 

詠理が手を叩いて注目を向けさせた後、持っていたケースから一つの投薬機を取り出した。

備えられている試験管には、蛍光グリーンの液体が満たされている。

 

「これが次に支給する奏のLiNKERね。効力が抑え目な分、効果時間は前よりも長くなるよう調整してあるわ」

「火力は下がるけど、長く戦えるってことか」

「そういうこと」

 

奏の解釈に頷きを返して、その手に渡す。

 

「今日やるのはこいつの実用テスト。少しでも現場の状況に近づけるため、翼と響にも協力してもらう」

「はい!」

「分かりました」

 

翼と響の返事も確認してから、管制室に待機しているスタッフに合図。

シミュレーターを起動してもらい、ホログラムの街並みと仮想敵を出現させる。

 

「前衛タイプが三人、立ち回りが重要になるわ。特に響、あなたは突破力は十分にあるから、今回は絡め手を意識して動いてみて」

「は、はい・・・・!」

「難しく考えるこた無いさ、要はあたしと翼に見せ場が来るような動き方しろってことだよ」

「な、なるほど・・・・!」

 

詠理の忠言に一瞬固くなる響だったが、奏のフォローによりどうにか持ち直す。

 

「それじゃあ、初めてちょうだい。何、死にはしないわ」

 

動き出すノイズ達。

装者達の緊張も高まる。

 

「――――死ぬほど痛いだけよ」

「ぜ、全然安心できません・・・・!」

 

響のどこか情けない声を皮切りに、ノイズと装者達が激突する。




得陸詠理(とくおかえり)
翼の三つ上の実姉、名字は母方のもの。
髪色は翼よりも暗く、瞳は金色。
過去に行った『やらかし』の所為で、右手と左足が義肢になっている。
金属部分を露出させているのは本人曰く『荒事にすぐ対応できるから』。
本編には出てこなかったが、『シンフォギア』作中で語られているのとはまた違った錬金術を扱う。
二課の技術班副主任で、彼女が調合したLiNKERは副作用抑え目(ウェル博士ほどではない)。
そのため、この世界の奏はまだまだ現役。
前世の記憶持ちであり、『やらかし』もそれに関係しているらしい。
名字の読み方を変えると・・・・?



続きは考えてません(
お目汚し失礼しました。
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