ソードアート・オンライン ~短剣使いの薬品売り~   作:斗穹 佳泉

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少々調子に乗って今月二ページ目。
どんな不定期更新だよ、とお思いになるかもしれません。
私の場合余裕ができたらなので、これからもよろしくお願いしますねっ

それではっ、どうぞ


再燃

その後の会議は、中々順調に進んだ。

私は今、元々いた場所に座っている(つまり後ろの方)のだけど、前からの視線の数がすごい。

話がどんどん進んで行くに連れて、そわそわしだす人が増えてくる。

合図は、ディアベルさんがこう言った時だった。

 

「じゃあみんな、いくつかのパーティを組んでみてくれ」

 

その瞬間、ものすごい勢いで私のところに人が飛んできた。

いや、あれ、私どうして囲まれてるの?

 

「是非、うちのパーティに!」

「なに抜け駆けしてんだ、俺らのパーティに来ないか!?」

「一人空きがあるんだけど、どうかな?」

 

「いや、あの、えっと……」

 

突然の押し掛けに対応できず、周りを見回して何か手はないかと探していると、一人ポツンと座っている剣士を発見。

 

なんとか言い訳を頭の中でまとめ上げ、逃げるように言う。

 

「ごめんなさい、私あの人と一緒にする約束してて。誘ってくれてありがとうございます」

 

それだけ言って、ダッシュでその人の所へ向かった。

 

 

「た、助けてくれませんか!?」

「お、おう。それにしてもすごい人気だな。さっきの演説もすごかった」

 

彼は少し面食らったかのような顔をした。

まぁ突然助けてくださいなんていわれたら、私でも驚くよ。

 

 

さっき突破した人垣からは、

「なんだ先客がいたのかよー」

「くぅー、ほしかった」

などなど、悔しがる声が聞こえる。

 

 

そそくさメニューを開き、パーティ申請を送る。

剣士にOKされ、たった2人のパーティが作られる。

 

これが既成事実ってやつだね!

ん、ちょっと違う?

 

パーティ登録をしたことで、私の視界に新しくHPバーが追加される。

名前の部分に《キリト》と書かれていた。

それが、私を(ある意味)救ってくれた剣士の名前だった。

 

 

キリトにもう一人パーティに入れたい人がいると言われ、その人の所に向かった。

フーデットケープで男か女かよくわからない。

しかし、声を聞いてわかった。

この人……女の子だっ!

SAOは女の子率が低いから嬉しい!

 

さらに新しく追加されたHPバーには、《アスナ》と名前が書かれていた。

あれ、もしかして…………本名?

 

 

 

 

これで大体の人がパーティを組み終わった。

今尚視線を向けてくるプレイヤーもいるけど、私は珍しいスキルを持っているから、あまり大人数のグループに所属するのは少し気が引ける。

 

会議はそこで一度お開きとなった。

後日もう一回開き、ディアベルさんが今のパーティ構成を見て、詳細な役割等を決めるみたいだ。

 

 

 

「さて、これからどうする?」

「俺としては、一度3人で戦闘を経験しときたいかな。スイッチのタイミングとかPOTローテの練習もしときたいし」

「あ、確かにそうだね。私は賛成」

 

そんなゲーマー2人の会話を、1人の新米参加者が遮った。

 

「スイッチ……? POT……?」

 

 

その後彼女らはフィールドへは行かず、街の中でずっと新米に対しての授業を行ったそうだ。

 

 

 

 

 

後日。

 

再び集まることになっていたため、この前と同じ時間に噴水広場に来た。

結局昨日は授業をして疲れ果ててしまった。

アスナは他のMMOをプレイしたことがないらしく、というか、ゲームすらしたことないようで、知識が全くなかった。

一から教えるのって、こんな大変なんだね。

学校の先生ってすごい。

 

途中でキリト、アスナと合流して噴水広場に向かった。

私たちが噴水広場についた時には、もうほとんど全てのパーティが集まっていて、私たち待ちだったみたい。

 

ディアベルさんが私たちを、私を見て、ステージへと上がった。

 

 

「よし、揃ったみたいだから、始めさせてもらうよ。まず昨日のパーティの話の前に、報告だ」

 

 

報告という単語で、がやがやした空気が静まる。

 

「一つ目は、今日、俺たちのパーティが、ボス部屋の扉を見つけた。消耗もあって中は見てないが、マッピングはもう終わっている」

 

 

おぉ、という声がそこらから聞こえる。

昨日階段が見つかったばかりなのに、もう発見されたんだ。

マッピングも終わってるってことは、相当頑張ったんだね、ディアベルさんのパーティ。

 

 

「そして二つ目。これは、例のガイドブックの話だ。先程最新版が売られているのを発見した。これの内容を踏まえて、今一度パーティを考えたい。もしかしたら、数人違うパーティに移動になってしまうかもしれないが、構わないか?」

 

 

問題ない、とみんながうなずき返す。

ディアベルさんが編成を考える間、私たちは道具屋へと直行し、鼠さんのガイドブックを購入してきた。

 

 

 

 

その後のディアベルさんの編成で、重装甲の壁部隊が二つ。高機動高火力の部隊が三つ。長モノ装備の支援部隊が二つ。そして残った私たちのパーティという風になった。

 

ディアベルさんは最後に私たちの所にやってきて、一瞬私を見た後、しばし考え込む様子を見せてから、こう言った。

 

 

「君たちには、E隊同様コボルトをお願いしてもいいかな?」

 

 

ディアベルさん、それ言い繕ってるけど、ボスには手を出すなってことだよね?

これは言い返さなきゃ、と息を吸い込んだが、キリトのせいでただのため息に変わってしまった。

 

「了解。重要な役目だな、任せておいてくれ」

「あぁ、頼んだよ」

 

まるでキラキラと演出効果がつきそうな程白い歯を光らせ、彼は噴水の方に戻っていってしまった。

 

私はため息となってしまった息をもう一度吸い込み、今度こそ声に出した。

 

「そこまで重要じゃないじゃん。ボスに攻撃できずに終わっちゃうんだよ?」

「し、仕方ないだろ。三人じゃPOTローテが間に合わなくなるかもしれないし」

「せっかく昨日色々教わったのに……」

 

新米は、昨日の講義のおかげで少し、ゲーマーとして目覚めつつあるようだった。

 

 

 

それからのボス攻略会議は、AからGまでのナンバリングされた各部隊のリーダーの短い挨拶があって、ボス戦でドロップしたコルやアイテムの分配方針を確認して終了した。

 

なぜか私がリーダーになってしまったわけだが、なぜか私の挨拶の時だけ拍手が大きかった。

 

 

そういえば、鼠さんはいない。

だけど、責める気持ちなんかない。

この攻略本のおかげで、偵察戦をしなくてすむんだから。

ドロップや分配方法は、コルは自動均等割り、アイテムはドロップした人の物ということになった。

 

午後五時半、昨日と同じく「頑張ろうぜ!」「オー!」のシメで解散となった。

 

 

 

その後カクカクシカジカあって、キリトが借りている家にあがることになったのだが、それを話してしまうとキリトが腐った牛乳一樽飲まねばならなくなるので、話さないことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スイッチ!」

 

私たちのパーティは、ものすごく順調にセンチネルを撃破していた。

サボ……キバオウさんのパーティに引けを取らないくらいに。

 

 

キリトがポールアックスを弾き、私とアスナが単発ソードスキルで確実に急所を斬り、突く。

彼女の動きは、素人とは思えないほど洗練されていて、剣の軌跡が見えないほどに速い。

 

 

メインでボス戦をしているディアベルさんのパーティも順調のようだ。

コボルト・ロードも今のところ攻略本通り。

なにもかも、順調だった。

 

最後の一本の半分に差し掛かったとき、ボスは装備を変更し、タルワールに持ち替える、はずだった。

 

「だめだ、全力で後ろに飛べ!!」

 

センチネルの相手をしながら、キリトが叫んだ。

彼の視線の先には、レイドリーダーの、騎士ディアベル。

 

……?

ここはみんなで囲むのがセオリーなんじゃなかった?

 

そこで、私にもようやくキリトが叫んだ意味がわかった。

ボスの持つ剣、タルワールよりももっと緩くカーブを描く、鉄の輝き。

我が国日本が誇る、刀と呼ばれる武器だ。

 

キリトはそれを見て、違和感を感じ取ったのだろう。

ボスの連撃が、ディアベルを襲った。

 

 

「キリト、アスナ、私援護行ってくる!」

「わかったわ!」

「こっちは任せとけ」

 

 

数十メートル飛ばされたディアベルの所へ、全速力で駆け寄る。

急いでポーチからオレンジ色の液体が入ったポーション瓶を取り出す。

 

「ミナさん、ボスを……んぐっ」

「死なせない! とにかく飲んで!」

 

私は他のMMOではヒーラー(回復役)を一手に引き受けていた。

だから人一倍、必死に彼を救う。

 

 

ディアベルに飲ませたのは、亜蘇生ポーション--最大HPの10%まで瞬時に回復する--というポーションだ。

 

鼠さんからの情報だけど、このSAOにはプレイヤーに対してオーバーキルが存在するらしい。

要は、最大HPもしくは現在HPを上回るダメージは、HPが0になるのではなく、システム上マイナスHPで表示されるということだ。

ポーションで回復する際は、HPは徐々にしか回復しないので、通常は間に合わない。

 

しかし、ミナがディアベルに使った亜蘇生ポーションは、瞬時に最大HPの10%まで回復することができる。

まさに、゙亜゙蘇生だ。

 

「なんだ、このポーションは……ベータ版にはなかったぞ」

「すぐ後方に下がって、クールタイムが終わったら普通のポーション飲んでね!」

 

ディアベルの呟きはミナには聞こえていないようだった。

彼女はすぐにキリトとアスナの所に戻ろうとするが、視界の端でまた、赤いエフェクトが見えた。

 

ボスが回転切りのようなことをしたのか、円形状に人が六人ほど倒れている。

 

「あぁーもう、結局お披露目じゃん!」

 

投剣スキルを発動させ、スプラッシュヒールポーションを投げつける。

六人の中心で炸裂し、中身がプレイヤーにかかる。

 

「キリト! ボスを少し引き受けて!」

「もとからそのつもりだ!」

 

未だに動けない六人を狙うボスを任せて、私はダメージを受けた人に走って行く。

 

全員に液体が付着しているのや確認してから、口早に説明する。

 

「少しの間水濡れ状態になるけど、この液体はポーションだから我慢してね。ディアベルさんが後方で回復してるから、彼から指示を受けて。その間私たちが支えるから、他にHP減ってる人がいたら、まとめて回復させておいてね」

 

 

呆然とした様子だったが、すぐに彼らは動き出してくれた。

口々に「女神だ……」と言っていたのは、……うん、聞かなかったことにしよう。

 

 

ヒーラーばっかりやりすぎて、《医聖》だの《聖母》だの、変なあだ名を私はちょいちょい頂いていた。

その中でも一番は、バーサクヒーラーをしたことによる《血塗れナイチンゲール》などという大変恥ずかしい名前を頂戴している。

あれは確か、BFシリーズの国内大会が原因だったな……。

 

 

ボスの方に目を向けると、キリトがほぼ完璧に打ち合い、弾いたところをアスナが、あの速すぎるリニアーを打ち込んでいる。

少しずつボスのHPは減ってきているが、レイピアではいまいち火力が出ない。

まぁ、それは私が装備する短剣にも言えたことだけど。

 

腰の鞘から相棒『レイン・ダガー』を引き抜き、ボスに向かって走りながら、声を発する。

 

「アスナ、次私も行くよ!」

「わかったわ!」

 

しかし、次は来なかった。

何回も打ち合ってきたキリトの集中力が、そこで切れたのだ。

読み違えたキリトが慌てて剣を戻すが、間に合わず後ろに控えていたアスナと共に後方へ吹っ飛ぶ。

 

 

「アスナ! キリト! 少し濡れるけど我慢してね! 私が三十秒持つから、回復を!」

 

 

スプラッシュヒールポーションを投剣スキルで2人に投げつけ、相棒を逆手に構える。

 

「上段斬り!」

 

キリトの声が響く。

その声に合わせ、頭上にダガーを持っていく。

 

ダガー、いわゆる短剣は、゙攻撃を受け止める゙ためには作られていない。

゙攻撃を流ずために、多くは使われる。

致命傷を与えるのではなく、無数の傷を作り相手を死に至らしめる、そんな武器だ。

私が短剣を選んだ理由は、自分が剣を振っている姿を想像できなかったからだ。

実際、短剣の方がなんかしっくりくる。

 

短剣は大抵の場合、軽く丈夫だ。

コボルト・ロードの太刀が振り下ろされるのに合わせ、ダガーを添えるように受けて、流す。

ズガン! と凄まじい音を立てながら私の真横に刀が振り下ろされる。

 

たぶん今、私笑ってる。

やっぱりフルダイブ、楽しい。

帰ったら、親戚のおじさんにありがとう言わなきゃ。

 

キリトのように先読みでないぶん、楽だ。後は私が間に合わせられるかどうか。

 

避けれるものはステップで避けながら、横薙だけには注意をして、たまには攻撃も入れたりと、集中力を切らしちゃいけない攻防が続く。

ソードスキルは硬直時間ができてしまうので、スイッチの援護がない今、使うのは躊躇われた。

 

十回ほど流すことに成功し、十一回目。

受け流す直前に、バリトンのよく響く声が私の耳に届いた。

 

「スイッチ!」

 

刀の勢いを殺ぎ、横に大きく弾く。

次の瞬間、緑色の輝きと共に、ボスが数メートルノックバックした。

 

「いつまでも女の子に壁役やらせるわけには行かないからな。あんたも後方で回復しな!」

 

確かB隊のリーダーのエギルさんだ。

ふと自分のHPを見ると、四割程減っていた。

完璧だと思っていたのだけど、受け流すためのスキルとかがあるのかな?

 

「ありがと! じゃあ任せるよ!」

 

 

 

ダッシュでキリトとアスナの所へ向かう。

二人のHPはまだ七割ほどだった。

 

私もヒーリングポーションを使って回復する。

 

ふぅ、と一息ついた時だった。

 

 

「だめだ! 囲むな!」

 

 

キリトが叫ぶ。

エギルさんのパーティメンバーが、ボスを囲むような位置に立っていた。

 

ボスが囲まれ状態を感知したのか、高く飛び上がる。

あれは、先程六人のHPを同時に

黄色イエローまで落とした技だ。

 

わかったとはいえ、短剣にはあそこまでのリーチのあるスキルは存在しない。

万が一のために、スプラッシュヒールポーションを手に持って待機する。

 

しかし、そのポーションが使われることは、今度はなかった。

 

キリトが立ち上がり駆けながら、ソードスキルを発動させる。

 

「届けぇ!!!」

 

空中を真っ直ぐ飛び、彼の剣戟はボスを空で捉えた。

そのままボスは転倒状態になったことにより、これは絶好のチャンスとなる。

 

思わず私も声を上げた。

 

 

「「全員フルアタック! 囲んでいい!!」」

 

 

 

回復したディアベルさんのパーティや、他の回復中のみんなが一斉にボスに殺到する。 

 

「ミナ、アスナ! 最後の一撃一緒に頼む!」

 

「「了解!」」

 

 

三色の光がボスの身体に走り、遂にポリゴンの欠片となって霧散した。

 

こうして、第一回層、SAO最初のボスは撃破された。

 

 

 

全員がその場に座り込み歓声をあげる中、最初声をあげたのは、あの時スイッチしてくれたエギルさんだった。

 

「congratulations。この勝利はあんたらのものだ」

 

エギルさんの言葉を皮切りに、拍手や口笛などが湧いた。

 

ちなみに戦闘のどさくさでケープがなくなって、アスナは私なんかよりも断然かわいいお顔を見せてしまっております。

 

その後仲間内で、やったな、次は二層だ! などと声があがる中、静寂を作ったのは、サボテンことキバオウさんだ。

 

「なんでや! なんで、ディアベルはんにあの連撃技のことを教えへんやったんや! その情報があれば、ディアベルはんは危険な目に合わずにすんだんやぞ!」

「きっとあいつ、元ベータテスターだ! 知ってて隠してたんだ!」

 

それは、キリトへの言葉だった。

確かに、初見では有り得ないほどボスの攻撃パターンについて知っていた。

違和感に最初に気づいたのも、キリトだった。

 

「確かに……」

「なんでボスの技を知ってたんだ?」

 

所々からそんな声があがる。

 

まずい、このままじゃ、せっかくベータテスターと仲良くしようってみんなを説得したのに、このままではベータテスターへの怒りが再燃してしまう。

それにベータテスターが攻略から外されるようなことになれば、戦力は大幅ダウンだ。

 

「ちょっとあなた--」

「おい、お前--」

「あなたは--」

 

アスナとエギル、私がキバオウさんを説得しようと近づく。

 

 

 

「ハハハハッ、元ベータテスターだって? 俺をあんな素人連中と一緒にしないでほしいな」

 

突然の笑い声と、不満気に笑う顔。

その言葉と声と、表情で、彼がこれから何をするのか、わかってしまった。

 

「な、なんやて!?」

「いいか、よく思い出せよ。ベータテスター千人の中に、どれほど本物のゲーマーがいたと思う。ほとんどがレベリングのやり方も知らない初心者だった。だが、俺は違う。俺はあの一ヶ月で、他の誰も到達できなかった層に登った。ボスの刀スキルを知っていたのも、ずっと上の層で刀を使うモブとさんざん戦ったからだ。他にもいろんなことを知ってるぜ。情報屋なんかの比にならないくらいな」

 

「な、なんやそれ……そんなんテスターなんかやない、ただのチートやないか!」

「そうだ! チーターだ!」

「ベータのチーター、だからビーターだ!」

 

様々なプレイヤーの怒りがぶちまけられた。

会議では、私の作った流れで怒りを流したのだろうけど、今度はキバオウさんの作った流れで怒りがどんどん湧いてきている。

 

彼の目を見て、強く頷いた。

わかってるよ、と伝えるために。

彼は一瞬だけ優しい目をして、すぐに戻った。

 

「ビーター、いい名前だなそれ。そうだ、俺はビーターだ。これからは元テスターごときと一緒にしないでくれ。俺はこれから二層の門を起動しにいく。ついて来る奴は、初見のモブに殺される覚悟しとけよ」

 

バサッと音を立てて、キリトはボスからドロップしたであろう黒いコートを身につけた。

 

そのままボスが座っていた玉座の後ろに生成された階段を登っていく。

 

私はすぐに後を追った。アスナはエギルさんとディアベルさんに捕まっていた。おそらく伝言を頼まれているのだろう。

 

 

 

「待って」

「ミナか。ついてくるなって言わなかったっけ?」

「私を誰だと思ってるの? ゲーマーだよ。初見のモブに殺される覚悟? そんなのこのゲームが始まったときからできてるよ!」

「……君のそのスキルは、パーティ戦やレイド戦で役に立つ。どこか強いギルドやパーティに誘われたら、断るなよ。実力も相当のものだから、君ならやれるだろう」

「あなたは、これからどうするの?」

 

分かりきってる質問だった。

彼はこれからソロでやっていくしか道はない。

 

 

「俺は--」

「やっと追いついた。キリトにディアベルさんとエギルさんから伝言よ」

 

アスナは走って階段を登ってきたようだ。

この世界ではする必要がないのだが、肩が上下している。

 

「ディアベルさんからは、ありがとう。君に辛い役目を背負わせてしまった。それと剣の件、申し訳なかった。エギルさんからは、次も一緒にボス攻略しようぜ、だって」

 

「……そうか。君も、もし誰かに強いギルドやパーティに誘われたら断るなよ。ソロプレイには絶対的な限界があるから」

 

そう言ってキリトは第二層の扉を開けて、一人で行ってしまった。

 

 

 

いつのまにかパーティメンバーの中から、HPバーが一本、なくなっていた。




なぜか文字数が約7500字になってしまいました。

そりゃもちろん、会議ボス戦ボス戦後も書けばそうなっちゃいますよね。

感想等頂ければ嬉しいです!

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