ソードアート・オンライン ~短剣使いの薬品売り~   作:斗穹 佳泉

7 / 7
みなさんこんばんわっ

最近調子に乗ってる作者です(悪い意味ではないです)
いつのまにかお気に入り数も50を越え、60に達しようとしています。
ふとページを開いて驚きました。
なるべく早くあげられるように頑張りますっ。


とはいうものの、あと少しお話を書いたら、その後どうするかまったく決まっておりません。

その時はまた、お待ちいただくことになるかもしれませんが、ご了承ください


それではっ、どうぞ


再会

私は今、第二層の森林エリアにいる。

最前線はもう迷宮区の15階ほどに達しているけど、私はまだ登ったことはない。

出遅れちゃったのは、私のスキル《薬品精製手》のせいだ。

 

ポーションの素材となるアイテムは、このスキルを持つ者でなければただの雑草や花、普通の水にしか見えないため、自力で採る必要がある。

 

現在《麻痺耐性ポーション》を作るために、夜にしか咲かない『月見草』なるアイテムを探しているところだった。

 

これが中々見つからず、もう二層が開かれてから3日もかかっている。

 

「はぁ、夜にしか咲かないっていうのもあれだよね。ソロで女の子の私には辛いよ」

 

ぼやきながらも森の中を歩き回る。

アスナとは、ボス攻略戦以来会っていない。

たぶん一人でレベリングでもしてると思う。

 

ちなみに、非常に聞きたくなかった話なのだけれど、私に二つ名がついたそうです。

 

ついた二つ名は《白衣の巫女》

 

白衣を纏い、遠くから魔法の如くプレイヤーを回復させる。

他のMMOで言うところの、白魔導士系列の職の仕事だ。

最初は《白魔導士》や《神凪》などもあったらしいが、語呂の良さから《巫女》になったらしい。

 

ちなみにこれは情報屋からサービスとしてもらった情報だ。

 

……そんなサービスいらない!

 

 

「はぁ、早く見つかんないかなぁ」

 

 

ミナのその呟きは、月見草とは別のものを引き寄せていることに、彼女は気づいていなかった。

 

 

日が暮れ、月見草を探し始めてから一時間。

他のポーションの素材はホイホイ集まるのに、どうしても月見草だけが見つからない。

 

「ん~、なんでだろう。何か条件とかあるのかな? そういえば、師匠からある時間帯で、ある条件によってのみ咲く花があるって聞いたことがある」

 

師匠というのは、私が勝手にそう呼んでいるだけだ。

第一階層の始まりの街で道具屋の店主をしている人のことを、私は師匠と呼んでいる。

 

月見草でいうなら、時間帯は夜で、条件は…………月の光だ!

 

昨日一昨日の私の時間を返してくれ……少し考えればわかったじゃんか私のバカ!

 

そうと決まれば、森の中で光が差しているところをしらみつぶしに探して回る。

 

十分くらい探していたら、ようやく、月のある方に向かって咲く薄紫色の花を見つけた。

 

「やっと見つけた!」

 

思わず飛び上がり喜んでしまった。

我ながら少し恥ずかしい……。

 

採取し終わって、立ち上がろうとしたとき、後ろから声がかかった。

 

 

「よう《白衣の巫女》さん。よかったじゃねぇか、探し物見つかったみたいでよ」

 

反射で前に飛びながら後ろを向く。

既に右手にはダガーが装備されていた。

 

 

「……あなたたち、誰?」

 

 

1人の声しかしなかったが、実際は3人。

片手剣、手斧、短剣の組み合わせの、割とがたいがいいに入る男たち。

隠蔽スキルを上げているのか、私は気づくことができなかった。

FPSをやっていたから、耳には自信があったのだが、それは通用しないらしい。

 

 

「いやぁ、俺らはただあんたがほしいだけさ。もちろん、スキルのことについても、女としても、な」

 

 

あ~、もう、だから使いたくなかったのに。

ていうか、女としてもって、もしかして私、結構ピンチ!?

 

「女としてもって、いいの? ゲーム開始1ヶ月で牢獄に入ることになっても」

 

ハラスメントコード。

実際にそのような問題が生じた際、被害者がワンクリックすれば、加害者を強制的に始まりの街にある牢獄に転送できるという、被害者側の切り札だ。

 

しかし男は、私の言葉の返しに笑いを選んだ。

 

「ハハハハッ、この前黒ポンチョ被ったプレイヤーに聞いたんだけどよ、ハラスメントコードってのは解除できるんだぜ? 知ってたか?」

「例えできたとしても、私のウィンドウを見な…………そういうことね。なら私も、私を守るために全力で相手するけど?」

 

メニューウィンドウの可視化。

私を3人で押さえて、無理やり可視化させ、そのまま腕を無理やり動かしハラスメントコードを解除。

 

もしこんな情報が出回ってしまえば、アスナも、他の女性プレイヤーにも危険が及んでしまう。

 

「さっすが巫女様。勇敢だねぇ」

「安心しなよ、優しくしてあげるからさぁ」

「さくっと仲間になってくれるって言うなら、怖い目には合わないぜ?」

 

全員が武器を手にする。

第二階層にいるってことは、それなりにレベルも装備もあるってこと。

私の装備でどこまでやれるか……。

 

このゲームで……ていうか、私がこんなトラブルに巻き込まれるなんて思ってもなかったな。

 

先に仕掛けて来たのは、片手剣のリーダー格の人。

ボス戦と同じ要領で受け流し弾く。

間髪入れずに短剣の人が突っ込んで来るが、バックステップでかわす。

 

この人たち、一人一人はそこまで強くない。

気を抜かなければ、勝てる!

 

そう確信した時だった。

サクッと言う音と共に、私のHPが一割ほど減り、ノックバックが後ろから発生する。

 

そのせいで、手斧使いの一撃を受けてしまった。

 

さらに二割ほどダメージを受け、残りが七割になる。

 

「四人目!?」

 

「なんだ、やっぱり《索敵スキル》はとってなかったんだな。そりゃもう一人にも、俺たちにも気づけなかったわけだ」

 

……これで背後も警戒しなくてはならなくなった。

それにもしかしたら、まだ何人かいるのかもしれない。

 

背後からの一撃は、ミナの集中を分散させるには効果的だった。

パリィや流す際に、受けるダメージ量が増え、遂にイエローまで落ちる。

戦闘開始からまだ五分弱。

ポーションを飲む暇を、彼らは与えなかった。

 

 

くっ、このままじゃ……せっかく第一層突破できたのに、こんな形で終わりたくなんかない!

これはゲームなんだ。

私の好きな世界に、やっと行けたんだ。

 

 

私は、まだ負けない。

 

 

今一度、相棒の『レイン・ダガー』を握り直し、3人に目を向ける。

彼らの一番得意とする戦術は、片手剣と短剣で攻撃し、かわさせた後、後方から投剣による奇襲で動きを止めてからの、手斧だ。

 

次の打ち合いも、片手剣から来た。

ここを流し、次の短剣。

避けるのではなく、前に出る!

 

「うわっ! こいつ、まじかよ!」

 

彼らはソードスキルを使わない。

威力如何によっては死に至らしめてしまうからだ。

 

だけど私は、白状だけどこの人たちが死のうが関係ない。この人たちが望んでそうしているんだから。

 

水色の刀身が橙色の光を帯びて、短剣使いを切り裂く。

短剣用2連撃ソードスキル『スキップ・バイト』。

スキル欄を見ると、『ラピッド・バイト』の下位互換のようだ。

 

短剣の人の体力が、四割程削れる。

 

 

まだまだ! と思ったその瞬間、背筋に冷たいものが走った。

 

嫌な予感がする。

体全体がそう言っているような感覚になった。

 

耳をすますと、遠くからブブブ、ブブブという、何かの羽音がこちらに近づいてきていた。

 

その音は大きく、重い。

 

「なんだ……うわぁあ!!!!」

 

森の中から、おそらく投剣使いであろう人の悲鳴が響く。

その悲鳴のあと、シャララン、と森の中で光が輝き、消えていった

 

 

「な、何があったってんだ? お、おい。返事しろよ」

 

 

彼ら3人の目は、森の奥と左上の方とを行き来していた。

私には見えないが、きっとHPバーが消えたのだろう。

 

 

3人が動揺してる隙に、AGI全開でそこから逃げ出した。

 

 

五分くらい走って、一息つく。

あ、危なかった。

あの人たち、女を襲おうとして、仲間が死んでしまったのだから、もうあんなことはしないだろう。

別に私はPKじゃないから、そのまま逃げてきた。

 

それにあの羽音。

たぶん、常に空を飛んでいる虫のものだろう。

この辺で言えば、ウィンドワスプかな。

 

 

「ふぅ、なにはともあれ、本当によかった」

 

ふ、と体から力が抜けた。

そこに小さな羽音が近づく。

 

一瞬ビクッと体を振るわせたが、音の大きさで普通のウィンドワスプであることがわかり、相棒を鞘から引き抜き、構える。

 

しかしその時、小さな羽音なんか比にならないくらいの、大きな低い羽音が森に響いた。

 

 

体全身が再び震えるのがわかった。

おそらくポップしなおしたのだろう。

 

……どうする?

このまま逃げてしまえば、暴れ牛が跋扈するエリアだ。

この世界の牛たちは昼夜関係なく突進してくるから、視界が悪い夜にあのエリアに行くのは、高レベルプレイヤーでも自殺行為に近い。

 

しかも、街は反対側だ。

街へ森を避けて戻るには、なかなか遠回りをしなくちゃいけない。

行けなくはないが、その前に愛剣の耐久度がつきてしまう。

 

 

「……少し相手をして、隙を見て真っ直ぐ街まで戻ろう」

 

 

 

この決断が、後の彼女に大きな変化を与えることになった。

 

 

 

「よし、これで6匹目!」

 

大きな羽音は依然消えることなく森に響いている。

少しずつ音が大きくなってきているのは、向こうから近寄ってきている証拠だ。

恐らく大型モブだから、後々そいつ一体に専念できるように、ウィンドワスプ狩りをしていた。

 

その数も、少しずつ増えてきている。

音の正体は、もうすぐそこまで迫っていた。

 

「…………え?」

 

 

視界の奥に微かに映った、とてつもなく大きな蜂。

それはウィンドワスプの三倍はあろうかという大きさだった。

 

『The Queen of WindWasp』

 

名前に『The』がつくのは、ボスモンスターの証。

 

「な、なによ、あれ」

 

大きさは約2メートル。

虫と呼ぶにはあまりに大きすぎる大きさだ。

 

鼠さんのガイドには載っていなかったモンスター。

あんなもの、連携の取れたパーティなら撃破可能かもしれないけど、ソロじゃ無理だ。

敵を表すカーソルは、血のように真っ赤に染まっていた。

 

《毒耐性ポーション》--毒によるダメージを40%低下させ、持続時間を50%低下させる。効果時間は60分。クールタイムは90分--を飲んでおく。

これでもしあの女王蜂ば毒攻撃をしてきても、多少は大丈夫。

 

少しでも情報を集めなきゃ。

これから第二階層にやってくる人たちのためにも、攻撃力や防御力、固有攻撃くらいの情報は持って帰らないと。

 

 

 

何か不足の事態が起きなければ、逃げることはできるだろうし。

 

 

 

相棒の耐久力を確認し、まだ使えるかを見る。

残り半分くらいだけど、撃破目的ではないから、大丈夫だね。

 

 

「さて、じゃあまず防御力からだね。HPバーは2本、か」

 

 

手短な所にいたウィンドワスプをポリゴンに変えた後、女王蜂に向かって駆け出した。

 

水色の刀身が再び橙色に輝きだし、『スキップ・バイト』を繰り出す。

 

女王蜂は体が大きいぶん、ウィンドワスプより飛んでいる場所が低い。

それでも腹にあるぶっとい針は、私の目の高さにある。

 

私の攻撃は、少しボスにダメージを与えた。

 

目に見える程減ったが、後何発打てば倒せるのか想像できないくらいの減りだ。

 

「これは、なかなか1パーティじゃ辛いかな?」

 

次に攻撃力。

モーションはウィンドワスプと同じで、少し飛び上がり急降下しての突き攻撃。

 

だけど、

 

「……! なに、これ! 重すぎる!」

 

両手でダガーを力いっぱい握り、全力で反らさないと、受けきれない。

 

「ぐ……きゃあ!」

 

訂正、受けきれない。

後方に大きく飛ばされるが、なんとか態勢を立て直す。

 

「……! もうHPが四割も削られたの……?」

 

いくら私が紙防御とはいえ、レベルはこの層の適正レベルを越えている。

これは、攻略するならタンク隊が必要かも。

 

 

ポーチから《ヒーリングポーション+》--通常のヒーリングポーションよりも1.3倍の速度で回復する--を取り出して咥える。

 

 

 

同じ用な攻防が数回続き、その度にポーションが必要になる。

 

もうすぐポーションがきれる……。

 

そう思った矢先、女王蜂が見たことないモーションを取った。

腹をブルブルと振るわせ、大きな針が震える。

 

ひとまず距離を取り、女王蜂の動きを注意して見る。

 

「なっ!?」

 

次の瞬間、その巨体からは考えられない程のスピードで女王蜂は迫ってきた。

 

なんとか反応してダガーで流そうとするが、力もタイミングも無理なものだった。

針が左腕に刺さり、鈍く痺れる。

 

 

「くっ、……まだ負けない!」

 

短剣用ソードスキル『コンバットサイン』を左腕にささる針に向けて放つ。

このスキルは、現実にあるの近接戦闘のナイフ術にを元に、システムアシストの下ソードスキルとして消化したもの。現実にない手順を踏むと、発動しないなどの条件があるけど、割と使いやすいスキル。

 

ピキ、と音を立てて、針が半ばから折れる。

モンハンでいう部位破壊って呼ばれるやつかな? 今ので女王蜂のHPが一本の半分消し飛んだ。

 

元々、蜂は針を抜かれると死んでしまうらしい。

だからそれを弱点としたのだろう。

 

 

さて、弱点もわかったことだし、かえろ……え?

 

 

逃げようと一歩を踏み出した瞬間、ミナは崩れ落ちた。

 

 

え、な、なに、これ。

どうして…………体が動かないの?

 

 

その答えを私は、HPバーの下に表示されているアイコンで知ってしまった。

雷のアイコンの点滅。

それは、このSAOで最も受けてはいけないバッドステータス、『麻痺』だった。

 

 

……あぁ~、なるほどね。

あの針は、私の目の高さくらいにあるから、攻撃は容易い。

なにかプレイヤーを殺す手段を持っていなければ、あれはボスとして成り立たない。

 

……考えてなかった。

情報屋からの情報で麻痺の存在については知っていたけど、まさか蜂に麻痺毒を盛られるとは考えてなかった。

 

 

ゆっくりと振り返ると、そこには針が元通りになった女王蜂がいた。

私のHPは3割を切り、レッドに陥っている。

ダガーは……女王蜂の向こう側だ。

 

 

まだ、負けたくなかった。

まだ、このゲームも1ヶ月と少ししか遊べてない。

もっと、ボス戦もしたかったし、ポーションのお店も開きたかった。

まだ、詩乃や新川君や、ゲームチームのみんなと一緒に遊びたかった。

 

 

《ベテランのMMOプレイヤーがたくさん死んじゃったのは、彼らがゲーマーだったからだと思う。このSAOを他のタイトルと同じ物差しで計って、もうちょっと行けるって、あと一体倒してから帰ろうって、引くところを見誤ったからだと思う》

 

 

なんていうブーメランだろうか。

 

思わず笑いが込み上げ、それはすぐ涙に変わった。

こんなところで終わっちゃう自分が悔しくて。

そして、

 

 

「恋とか、してみたかったなぁ」

 

 

 

ゆっくりと目を閉じる。

 

 

羽音が少し遠くなり、空気を切り裂く音と共に近づいてくるのがわかった。

 

そしてその瞬間は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やってこなかった。

 

 

ギギギ、と金属と金属が擦れる音が、私の耳に届く。

 

目を開けると、そこには。

 

 

「ミナ! 大丈夫か!? 少し待ってろ、こいつを片付ける!」

 

 

黒い剣士の背中があった。

 

彼は剣の腹で針を受け止めていた。

 

 

「あ……、キ……キ…ト?」

「ぐっ、こいつの攻撃中々重いな」

 

 

盾にしていた片手剣を振り上げ、針を弾く。

彼は青色の輝きを黒い刀身に纏い、片手剣用3連撃ソードスキル『シャープネイル』を放つ。

 

ミナはただ見ていることしか出来なかった。

頭の中はぐちゃぐちゃで、なにも考えられなかった。

 

女王蜂を大きくノックバックさせたキリトは、すかさずミナの愛剣を取りに行く。

すぐにミナに駆け寄り、解毒ポーションを飲ませた。

 

「キリト……? どうして、ここに……?」

「話しは後だ。とにかくここを生き抜くぞ」

 

彼が私の愛剣を差し出す。

私は頷き、再び剣を取った。

 

 

 

 

30分後。

 

なんとか街の入り口までたどり着くことができた。

ボスは、キリトと連携して、キリトがパリィして私がスイッチという方法で倒した。

そして、残りのモブに注意しながら真っ直ぐ街まで走った。

 

 

「わ、わ、私、生きてるんだね……」

「あぁ。危ないところだったけどな。間に合ってよかった」

 

 

圏内に入ったと通知が来て、ミナは力が抜けたように座り込んだ。

 

キリトはあたふたして、とにかくなにかせねばと、そっとミナの肩に手を置いた。

 

ビクッと体を震わせ、ミナはゲーマーから少女になった。

 

 

「こ、こわかった…………こわかったよぉ!!」

 

 

突然抱きつかれて泣かれ、耐性値0のキリトは、再びあたふたする。

そこに、助け舟がやってきた。

 

「もうキリト君、私との勝負放ってどこに……ミナ? どうしたのミナ!?」

 

アスナがウィンドワスプ狩りから帰ってきたのだ。

 

「あ、あしゅなぁ……私、襲われて、キリトがぁ……」

「……ふぅ~ん、キリト君? 私との勝負放っといて、しかも元パーティメンバーで顔見知りの女の子を襲ったって、どういうことかな?」

 

 

アスナに笑顔で睨まれ、キリトはなんとか弁明しようと言葉を発した。

……犯人がよく言いがちな言葉を。

 

 

 

「ご、誤解だ!! そのようなことは決してない!」

「でも、ミナがあなたに襲われたって言ってるわよ?」

「ご、か、い、だ! 会話ログ見直してみろ俺が襲ったとは言ってない! ミナもそろそろ泣き止んで状況説明を頼む! このままじゃ俺が社会的に死んじまう!」

「キー坊が、なんだっテ?」

 

 

 

背後からアルゴの声。

 

理不尽だぁ!!!!

 

と叫んでもいいだろうか……。

 

 

 

その後30分程、キリトは誤解が解けるまで、ゴミでも見てるような目でアスナとアルゴから睨まれ続けた。

誤解が解けた後は、

 

「ご、ごめんなさいキリト君」

「キー坊、ゴメン」

 

感情のこもってない謝罪でこの話は終わり、ミナが無事で良かったという話になった。

 

 

場所を移動し、路地裏を何回も通った後、ようやく見えてきたアルゴお薦めの店に入る。

 

そこで食べたケーキは、今まで食べたなによりもおいしかった。

 

ちなみにキリトが全額支払った。

2人でエリアボスを倒したから、まぁまぁお金があったんだ。

それでも、2つも買うとなれば、かなり大きな出費だったみたい。

 

アルゴ……ルーちゃんは、私とキリトからの情報を元に、女王蜂のことをガイドブックに載せるそうだ。

出現条件がわかりしだい、そのことについても載せると言っていた。

きっと今日も、みんなのためにこの世界を走り回るのだろう。

 

 

アスナは、ずっと私のこと心配してくれた。

話の中で、アスナがこの世界の知識を身につけつつあることを効いたときは、先生として生徒が育った喜びを感じられたよっ。

 

 

キリトは、場の流れで私が借りてる家まで送っていくことになった。

 

「今日は本当にありがとね、キリト」

「いや、助かってよかったよ」

「そういえば、どうしてあの時あんな場所にいたの? っていうか、アスナとの勝負って?」

「あぁ、アスナの細剣を強化するために、ウィンドワスプが落とす素材集めを手伝ってて、どっちが早く100匹倒せるかって勝負だったんだよ。ところが途中で、森の奥の方から低い羽音と微かに金属の音が聞こえたから、ダッシュで向かってみたら、あとはあそこであったとおりさ」

「うっ……さっきのケーキはそういうことだったのね。私、さっきの額の半分渡すよ」

 

さすがに申し訳ないので、これくらいはしなきゃ。

手早くウィンドウを出すために手を振り下ろそうとすると、パシッとキリトに手をつかまれた。

 

 

「え、キリト?」

「あぁ、すまん。わざわざいいよ。ソロプレイだからすぐにたまるし。持っててもただの宝の持ち腐れだからな」

 

 

そして家の前までついた。

寝泊まりしてるところにつくと、なぜかすごく安心する。

 

 

「じゃあ俺も帰るよ。またな」

「うん! 助けてくれてありがとね! キリト!」

 

 

 

 

その夜布団に入り目を瞑ると、あの時の、黒い剣士の姿を思い出した。

 

 

襲ってきた四人組の人よりも、背も低いし、がたいもよくはなかったけど、だけど。

 

 

 

 

 

 

 

とても、かっこよかった。

 

 

 

 




第二層ボス戦は、書く予定は……わかりません。

迷ってるとこです。


感想とかあったら嬉しいですっ!

それではまた次回っ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。