転生先はガンプラバトルが大人気です   作:断空我

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かなり短いです。


アイランドウォーズです。

チームトライファイターズが全日本ガンプラバトル選手権中高年の部で勝利を刻んで数日。

 

 

 俺は後輩のコウサカ・ユウマを巻き込んで海へ来ていた。

 

 これだけいえば、男だけで遊びに来ているようなものだが、少し違う。

 

 自身に向けられているカメラに笑顔を浮かべている美少女二人。

 

 ちなみに砂浜で微笑んでいる二人は水着姿だ。

 

 個人的に美女の水着は好きだが、知り合いでももう少し腰のくびれが欲しいと思う。

 

 そんなことをいえば、八つ裂きの刑が俺を待っているだろう。

 

「さっすが、コウサカだな。お前のガンプラだとやっぱり違うな」

 

「先輩に褒められても嬉しくありません」

 

「カミキ姉に伝えておいてやるよ。コウサカは真剣にバイトを挑んでいるってな」

 

「むっ」

 

 表情を緩めさせながらコウサカはガンプラに力を注ぐ。

 

 俺とコウサカはカミキ姉とフナキ・サトミが海でモデルの仕事をするということで手伝いに来ていた。

 

 手伝いと言っても写真を撮ったり、機材を用意するというものと少し異なる。

 

「ガンプラとモデル……この業界はどこへ進もうとしているんだろうなぁ」

 

「ミライさんが全校大会のイメージキャラクターをしたことでガンプラに熱を入れているのかもしれませんね」

 

「……そういえば、ホシノ後輩から連絡が来ていたような」

 

 少し離れて不在着信がきていた端末を取り出す。

 

「フミちゃん、僕は全国大会用にガンプラを改修したいから」

 

「ん?」

 

 内容を確認のため電話しようとするとすぐそばで真剣な表情で電話に出ているコウサカの姿がある。

 

 フミちゃんといっていたから相手はおそらくホシノ後輩だろう。

 

 俺は手短にバイトで海へ来ていますとメッセージを送っておく。

 

 それにしても。

 

「モデルで使われているガンプラがジオンのものばっかりなんだろうなぁ」

 

 どうでもいいことを思いながら俺は飛び出していくコウサカの後を追いかける。

 

 モデルの仕事を行っているカミキ姉とフナキの水着姿を見た。

 

 うーん。もっとくびれがあったら。鼻血が出ていたな。

 

「どうでもいいことを思っていないで片付けるか」

 

 必要のなくなったガンプラを専用のケースへ片付けていく。

 

 そういえば、この近くにはニールセンラボがあったなぁ。

 

 降り注ぐ日光を浴びながら俺はどうでもいいことを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぜ、お兄さんの代わりにギャン子?」

 

「わからない?」

 

「フミナさんをセカイ君と二人っきりにさせないためよ」

 

「私はそんなつもりでここにきたわけじゃ!」

 

「どうだか!」

 

「ちなみに私はそんなつもりできました」

 

「はっきり言う!?」

 

「気に入らないわね!」

 

「どうも」

 

「……貴方達何を!」

 

「わかりきったことを!」

 

「「恋もガンプラバトルも先手必勝!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダメだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暑さで頭がおかしくなっているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっきからニュータイプみたいにホシノ後輩とギャン子、ネコ娘の会話が頭に響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 置かれている炭酸飲料をガボガボと口に含んで近くの海水へ頭を突っ込む。

 

「……シン君、大丈夫?」

 

「ああ。頭を冷やしたから問題ない」

 

「もしかして、ミライの水着に見惚れた?」

 

「え!?」

 

「なに!?」

 

「フナキ、俺をからかうな」

 

「む……」

 

「ミライ、残念ね~」

 

 何故か頬を膨らませるカミキ姉。

 

 フナキめ、余計なことを。

 

 ほら、コウサカが睨んでいるじゃないか、それにカミキ弟は見知らぬ女の子といちゃいちゃ。

 

「あ?」

 

 俺はもう一度後ろを見る。

 

 そこではカミキ弟が自身の作ったガンプラを白いワンピースにハイビスカスのような花を頭に乗せた少女と話をしていた。

 

「先輩、あれは」

 

「カミキ弟だな」

 

「アイツ、まだ増やすつもりでしょうか、そもそもどれだけ守備範囲広いんですか」

 

「さぁな。カミキ弟のことだからなぁ。噂じゃ、大和とかも接点もっているらしいし。大学生まで行けるんじゃないか」

 

「……恐ろしい、ハッ!それどころじゃない!」

 

 こそこそと逃げ出すコウサカ。

 

 うん、手遅れなんだけどなぁ。

 

「お前の進行方向にアホ毛が……手遅れだったか」

 

 青ざめているコウサカの前にアホ毛が立ちはだかっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。

 

「なんだか合宿みたいになっちゃったね」

 

「楽しくていいじゃない」

 

「俺は面倒だけど」

 

 コテージで俺達は一緒に過ごしていた。

 

 床に正座させられているコウサカとカミキ弟は不幸か幸せか置いておいて。

 

「それより、ハヤテ、アンタ、ミライにアタックしないの?」

 

「ブッ!」

 

 飲んでいたお茶が器官に入ってせき込む。

 

「お前は、ゴホゴホ、いきなり、何を言い出す!」

 

「えー、噂になっているって聞いたけど、いつになったら告白するのかって」

 

「アホか」

 

 俺とフナキはひそひそと話し合う。

 

 ちなみにカミキ弟とコウサカは夕食抜きだった。

 

 がっくりしている二人にひっそりと非常食を与えることを伝えたところで室内が停電した。

 

「あ?電線でも切れたか?」

 

「あーん、セカイ君、怖い!」

 

「どさくさに紛れて何をしているのよ!ギャン子!」

 

 

 停電でキャー怖いを素でおこなうギャン子。

 

 ちなみにカミキ弟は平然としている。

 

 

「今、何かが外を……」

 

「幽霊かもなぁ」

 

「や、やめろよ!」

 

 停電で怯えるもの、いちゃつくもの。

 

「あほらしい。幽霊なんて」

 

 カチリ(俺が懐中電灯をつける音)

 

 ブン!(外に赤い光が発する)

 

『で、でたぁ!!』

 

「何が?」

 

「出た?」

 

 平然としていたのは俺とネコ娘のみだ。

 

 迫る赤い光にカミキ弟が飛び出す。

 

「次元覇王流!聖拳突きぃぃいいい!」

 

 叫びと共に赤い光が落ちていく。

 

「これ……モックだな」

 

「え?」

 

 落下した物体に懐中電灯を当てる。

 

 それはガンプラだった。

 

 バトルフィールドの模擬戦などで出てくるガンプラだ。

 

「あの時と……同じだ」

 

「あの時?」

 

 カミキ弟の言葉に俺が尋ねようとした時、ホシノ後輩の端末に連絡が入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ニールセンラボで研究中だった新型結晶が暴走を起こしており、俺達に避難せよという連絡がホシノ後輩の端末に届いていた。

 

「ユウマ!あの現象はもしや!?」

 

「ああ、八年前、結晶体が暴走した時と同じだ。放っておいたらとんでもないことになる」

 

「そうなると……ガンプラを使って止めるしかないのか」

 

 アホ毛とコウサカの言葉に俺は八年前を思い出す。

 

 八年前の全国大会で設備の結晶体が暴走して、イオリ・セイさん達がガンプラを使って阻止したことがある。

 

「おあつらえ向きに発射台もあるで」

 

 施設の入り口、そこにバトルフィールドが設置されていた。

 

「アホ毛、出来るか?」

 

「問題ない。緊急モードで起動させるで!」

 

 アホ毛の言葉で全員がやる気満々になる。

 

 いや、違うな。

 

「ねぇ、ミライ、本気なの?本気でやる気なの?」

 

「サトミはこのガンプラを使って!」

 

「マジでぇええ!?」

 

 臆するフナキに俺はとどめを刺す。

 

「安心しろ。何かあっても骨は拾ってやる」

 

「そこは助けるってかっこいいセリフが欲しかったよ!!」

 

 

 解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホシノ・フミナ!スターウイニングガンダム!」

 

「コウサカ・ユウマ、ライトニングガンダムストライダー!」

 

「サザキ・カオルコ、ギャンスロット!」

 

「キジマ・シア……ガンダムダブルオーシアクアンタ!」

 

「サカイ・ミナト!ZZⅡ!」

 

「カミキ・ミライ!ベアッガイプリティー!」

 

「あ、え、あ、ああ、フナキ・サトミ、えっと、可愛いガンプラぁああああああああああ」

 

「ハヤテ・シン、ウイングガンダムゼロFカスタム!!」

 

「カミキ・セカイ!カミキバーニングガンダム!行くぜぇえええええええ!」

 

 出撃したガンプラの周りには様々なフィールドが形成されていた。

 

「何だよ。これ」

 

「結晶体の暴走でフィールドがおかしくなっているんだ。気をつけろよ。変に近づいたら巻き込まれて迷路のようにぐるぐる巻きこまれるぞ」

 

「八年前と同じなら……ぎょーさんいるはずやで!ほら、お出ましや!」

 

 アホ毛の言葉通り、暴走で動き出しているガンプラ達がこちらへ攻撃を仕掛ける。

 

 まずは。

 

「俺が露払いをする!ツインバスターライフル!」

 

 ウイングガンダムゼロFカスタムのツインバスターライフルから極太のビームが放たれて敵を蹴散らす。

 

 ギャンスロットが陸戦型の機体を切り裂き、

 

 ネコ娘がウィンクしながらダブルオーシアクアンタのソードビットで切り裂く。

 

 戦艦などをスターウイニングガンダムが打ち抜く。

 

 カミキバーニングガンダム、ベアッガイPが次元覇王流で敵を倒す。

 

 フナキの可愛いガンプラがメイスやトランペットで敵を蹴散らしていく。

 

「やるな。フナキ」

 

「お願いだからぁあああああああああああああああああとめてぇええええええええええええ」

 

 ビームサーベルで近づいてくるガンプラを切り裂く。

 

「これだけのファイターが居れば、こうなるよな」

 

「次のブロックを抜ければ……サイコガンダム!?」

 

「ネコ娘!ソードビットでマークⅡのファンネルを破壊しろ!アホ毛!サイコガンダムの攻撃を止めろ!」

 

「了解!」

 

「命令するなぁ!」

 

 その間にカミキ姉が次元覇王流で、俺はウイングガンダムの拳でサイコガンダムとサイコガンダムマークⅡにダメージを与える。

 

「ここを抜ければぁあああああああああああ!」

 

 いくつものブロックを抜けて到達した場所。

 

 そこで待っていたのは暴走しているガンプラ。

 

 カミキバーニングが突撃しようとすると粒子の結晶が動き出して道を阻む。

 

「アイツを潰せばこの騒動も終わるぞ!」

 

「よっしゃあああ!」

 

 俺とアホ毛のウイングガンダムゼロカスタムFとZZⅡが狙撃する。

 

 目の前で高速の動きをとる。

 

 ZZⅡの眼前に現れるガンプラ。

 

 回避運動も取れず殴られ、結晶の壁に叩きつけられる。

 

「くそっ!」

 

 俺のウイングガンダムゼロカスタムFでビームサーベルを振るう。

 

 しかし、結晶に阻まれるばかりか、頭部を掴まれて地面へ叩きつけられてしまった。

 

「なんて機動力だ……って」

 

 鳴り響くアラート。

 

 俺達が見上げると暴走しているフィールド空間、そこの三つからとんでもないものが現れる。

 

「フォトン……リングレイ?」

 

「ソレスタルビーイング!?」

 

「コロニーレーザー!?」

 

「全員!集まれ!」

 

 集まっていくガンプラの前でウイングガンダムゼロカスタムFの翼を広げる。

 

 その後ろでZZⅡとライトニングガンダムが。

 

 カミキバーニング、ベアッガイ、スターウイニングガンダム。

 

 ギャンスロット、ダブルオーシアクアンタ。

 

 それぞれが盾や粒子フィールドで攻撃を防ぐ。

 

 大量の攻撃を防ぐことに成功する。

 

 最悪の現状だったが、カミキ弟達の奥の手で暴走していたガンプラを倒すことで粒子暴走は無事に終わった。

 

 そして、その騒動を起こした原因の人物がいた。

 

 カミキ弟と触れ合っていた女の子。

 

 彼女はガンプラが欲しくてこの騒動を起こしていたのだという。

 

 まさかな。

 

 カミキ弟とホシノ後輩に説得?されて少女はガンプラを作り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからはまさに夏休みだった。

 

 沢山のカレーを少女、カミキ弟、アホ毛が競争をして、少女が一番。

 

 フィギュアのように並ぶベアッガイ、SDガンダム、すーぱーふみなの後継機。

 

 ベッドの上で気持ちよさそうに眠る四人の少女。

 

 それを眺める俺とカミキ姉。

 

 海で楽しそうに遊ぶ少女を眺める俺達。

 

 俺は保護者のような気分を味わいながら少女達を後ろで眺める。

 

 少女は笑顔を浮かべてその場から消えた。

 

 文字通り消えた。

 

 おいおい、まさか。

 

「なんつーか、似ていると思っていたけれど、とことん似たようなことをしていくなぁ」

 

 

 幽霊だ―!!と悲鳴を上げるコウサカ。

 

 慌てているメンバーの姿を見て俺は小さく笑った。

 

 

 

 

 




ウイングガンダムゼロカスタムF

ハヤテ・シンが制作したガンプラ。
モデルはウイングガンダムゼロカスタム。
ただし、全体ほとんどが白で塗装されている。
まだ多くの手を加えられておらずツインバスターライフルとビームサーベルのみ。
ちなみにFは何となくでつけられているらしい。

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