タグにも書いてある通り、スマッシュから面白そうなネタがあったら拾ってくる所存
ただ、出来る限り問題ない範囲のネタを拾いたいかなー
あれは世界をギャグ空間にしてしまう
「うー……頭がパンクする。私は糖分と休養を所望する~」
中学の授業も終わり、放課後諸々の用事を済ませて帰宅後の施設の自室。私は机の上の参考書に突っ伏しながら私はそう声を上げた。
どれだけ解いても終わらない参考書の山。いや、正確には着実に減っているのだが、それでも脳が私に休めと囁くのだから仕方がない。
そんな私を隣の机で勉強していたルームメイトの親友は眼鏡越しに私をジト目で見つめる
「雛花ちゃん、それ今日で二回目。さっきビスケット食べたでしょう?……もしかして、勉強が嫌になったからサボりたいのかな?」
ごめん、其の視線は私に効く。
私はそんな親友の冷たい視線を受けながらも、それを否定するようにまた声を上げた。
「頭を使うと脳が糖分をすごい勢いで消費するんだよ。つまり、私は脳を勉強のためにフル稼働しているだけ。仕方がないの。そう仕方がないことなんだ! 決してサボりたいってわけじゃないの」
机に突っ伏したまま、駄々っ子の様に呟く。此処でサボり認定でもされれば、少ない予算内からまた彼女にケーキを奢らなければいけない。
ただでさえ、最近自身の個性使用の影響で出費が嵩んでいるのだから。
そんな私をじっと彼女は観察している。そして、確かめる様に私に問いかけてきた。
「……個性使ってる?」
「少し……」
問い掛けとともに冷たい視線から一転、心配するように此方を見る彼女に少しだけ罪悪感を感じる。それに彼女の問い掛けには嘘をついても仕方がない。私は素直に答えると彼女はため息を一つ漏らした。
「仕方がないな……。はい」
そう言って彼女は自分の休憩用だろう、カバンの中に入れていたチョコレートの箱を取り出し一粒だけ私に分けてくれる。
「わーい、真実は優しいなー」
受け取ったチョコレートの銀紙を開ければ、すぐに私は口の中に放り込んだ。
程よい甘みが口いっぱいに広がると、ゆっくりとチョコレートは私の身体に吸い込まれるように消えてしまう。
私の『個性』は出来る事の幅が広いがある意味燃費も悪い。
それでも、ヒーローになると決めたので、こうやって時折応用的に使用している。
其のことは親友である彼女にも伝えているので、こうやって個性の副作用にかまけて彼女に甘えていたりするのだが
「その代わり、今度はあの店のフルーツタルト奢ってもらうからね?」
「うう……チョコレート一粒で高い取引に……。取引の基本は等価交換だと思うんだけど?」
「お客様が一番求めてるものを、一番求めてるときに高く売るのが商売の基本だよ? それに、私知ってるんだよ? 雛花ちゃんが先生と職員さんに頼んで特例でアルバイトしてるの」
時折、こうやって反撃される。
はぁ…と、私は諦めたように財布の中身の残りを頭の中で計算しながら、突っ伏していた体を起こした。
あの約束した日から、いつもこんなやり取りをしながら勉強をしているが、着実に彼女との勉強の成果は現れている。
この前の模試の結果も十分雄英高校の合格圏内にはいっていたのだから、きっと真実には人に教える才能があるのだろう。
「ねえ、真実」
「ん? なあに、雛花ちゃん?」
「真実はさ、将来何になりたいとかあるの?」
「……いきなりどうしたの?」
彼女は勉強をする手を止めて不思議そうに、そして私の真意を探るように此方を見る。
なんだろう、いつもは軽く返事してくれるのに。もしかして地雷でも踏んでしまったのだろうか?
私もそうだけど、此処にいる子は何かしらのそういったNGワードを抱えていたりするので、お互いそういった言葉は言わないようにはしているのだが、ふとした瞬間に踏んでしまっていたりするのだが。
「いや、そういえば聞いたことがなかったな~と思って」
これ以上踏み抜いてはいけないと、私は軽い感じで返事をする。
「そうだね、将来か……まだ秘密かな」
いつもの笑顔で答える彼女に、どうやら地雷は踏み抜かなかったらしい。
「まだってことは、いつか教えてくれるの?」
「そうだね、雛花ちゃんがヒーローになったときには……」
少し考える素振りをした後、真剣な面持ちでそう答える彼女が少し怖い。
なので私は急いで話題を変えることにした
「私は先生が向いてると思うなー」
「……私の話は無視?」
「あはは、あまり深く聞いても答えてくれなさそうだから、もういいかなって。……って、痛い痛い! 冗談だよ冗談。頬をつねらないでー……うん、先生に向いてそうってのは本音だけど。今は聞かないほうが良さそうだなって」
「こういう時の雛花ちゃんは嫌いだなー。……そっちだって何でヒーロー目指してるの?」
私の頬を引っ張りながら、少し拗ねたように頬をふくらませる彼女に私は
「それはもちろん、ヒーローになって有名になって、個人ブログを開設したり、動画チャンネル作って其の広告料で一生左団扇で生活するために決まってるじゃない!」
彼女の冷たい視線が突き刺さる。流石に怒らせてしまったかな?
「……それは流石に個性使わなくても嘘だってわかるよ」
「でも、お金は有るに越したことはないと思うんだけど」
「で、本当の理由は?」
「男子にもてた……」「理由は?」
流石にこれ以上逸らかすと勉強を教えてもらえない可能性がある。
ついつい彼女の怒った顔が好きで、こういう悪ふざけをしてしまうのが私の悪い癖だ。
「うーん……ヒーローになるのが、今の社会で自分の手で人を助けるのに一番手っ取り早いからかな」
「……嘘は言ってないね。それなら警察官でも良かったんじゃ。そっちのほうがきっと安全だよ?」
「個性使うのはずるいよ。……というか信じてほしかったんだけどな~。けど、警察だと駄目なんだ。私は、私自身の力で人を救いたい」
会話に少し間が空いた。彼女は何か考えているように黙って私の目を覗き込む。
こういう真剣な時の彼女には冗談を言ってはいけない。
なぜならとても拗ねてしまうから。
「出来れば……ううん、きっと譲れない理由があるんだね」
「そうそう、定時出勤定時退社も魅力的だけど、やっぱり昼間からでもお風呂に入れそうな自由業に近い公務員のヒーローのほうが魅力的だよね」
そして私は、そんな拗ねてしまった彼女が好きなのだ。
「……態とだよネ?」
あ、でも今回はやり過ぎたかもしれない。
とても愛くるしい笑顔で私を見る彼女にあははと誤魔化すように笑みを浮かべながら、視線をそらすように部屋に備え付けの時計の方に目線を動かす
「って、ああーもうこんな時間だ。私少し出かけてくるね」
態とらしく声を上げ、話をすり替えようとするも、それでも彼女は変わらぬ笑みで私を見つめてくる。
表情と一緒に目も笑っていてくれればとても可愛らしいのだが、只々じっと笑ってない目で此方にずいずいと迫り顔を眺めてくる。
「ああ…最近いつもこの時間に何処か行くのってお仕事なのかな? それならきっとお土産も期待していいんだよね? 私楽しみだなー。それにしても、何で雛花は私を正面から見てくれないのかな? 私のこと嫌いになっちゃたのかな? まさか、お仕事じゃなくて私から逃げるために嘘ついてるのかなー? 雛花は嘘つきだもんねー」
(こわいこわいこわい)
「あ、はい。お土産に駅前でケーキ買ってきます」
思わず敬語が出てしった。
「ええ~!? 別にいいのに。これじゃあまるで私が雛花を脅してるみたいじゃない」
「……プリンもつけます」
「よろしい。お仕事頑張ってね雛花ちゃん」
どうやら、それで納得してくれたようだ。
思わずため息が出るが、まあこのぐらいの出費なら許容範囲だ
机に並んでいた参考書を閉じると、私は動きやすいジャージに着替えはじめる。
「それと、今から行くのは仕事じゃないよ。……私のお仕事新聞配達だから、いつも放課後すぐに終わらせてきてるし」
「それじゃあこんな時間に何しに行くの?」
流石に先程怒らせたばかりなので、此処ではぐらかすのは得策ではないか。
そもそも私が新聞配達を選んだのは、単純に私のような中学生が出来る仕事は時間制限的にこれぐらいしか無かったことと、少しは足腰の鍛錬になればと思ってだ。
ただ、それと学校の体育だけでは多分実技試験では何の役には立たないだろう。
だから、私は自分の個性使用と鍛錬のために始めたことが有る。
それが
「秘密の特訓!まあ、簡単に言うと清掃作業かな」
日が沈みかけた俗にいう黄昏時。
施設からランニングをしながら軽く10分ほどで到着するここは、私が住んでいる街に流れている河川の河川敷。
行政の怠慢か、あまり整備されていない草木が無造作に生い茂る此処は近くの海浜公園ほどではないが、近隣の住人が不法投棄の多い場所である。
私がいつもこの時間に此処に来るのは、ひとえにこの時間帯ならば河川敷沿いを歩く人がいないことと、生い茂った草木が私の個性には都合がいいこと、そして
「む、今日も来たか」
私の姿を見て声をかけるこの男性が現れる時間帯だからである。
「こんばんは~」
私も掛けられた声に小さく頭を下げれば、今日の彼の服装をチェックする。
顔を隠すような大きなつばの付いた帽子、更に肌を隠すような濃い色のニットの服にマフラー。個性の影響だろうゴツゴツした腕。見た感じ、THE不審者である。
因みに、初めて此処で彼に出会ったときも似たような格好をしていたので本物の不審者と思い、警察に通報しようとしたのはいい思い出だ。
其の時は、先に彼に気づかれて通報する前に止められたので事なきを得たが、あの服装はいかがなものかと思う。
「……ある程度汚れてもいい服装だとは思いますけど、やっぱりもう少し明るい服着たほうがいいんじゃないですか? 私服とは言えヒーローなんですから」
そう、彼は驚くべきことにプロヒーローなのだ。名前は西屋さん。此処に来る時はコスチュームを着てこないし、ヒーローネームを訪ねたことがないので正体については知らないが、一度私以外の人に通報された時に来た警察官にヒーロー認定証を見せていたので間違いない。
因みにヒーローネームを聞かないのは、大物だったら今後どう接していいのかわからなくなるからである。
あの有名ヒーローは私生活ではこんな服装だったなんて知ったらがっかりしてしまうし……。
いや、本音はヒーローネームを聞いて、本当に知らないヒーローだったらとても失礼だからだけど。
「我は出来るだけ目立ちたくはないのでな」
淡々といい声で語る彼を眺めながら、多分明日も同じような服で来るんだろうな~、なんて思いつつ、私も彼に続いて彼の近くで作業を開始する。
私の秘密特訓とは、この河川敷の清掃である。
いや、最初は違ったんだ。この河川敷なら私の個性使っても誰にも迷惑かからないからと、張り切って特訓に使っていたら、ちょうど此処の清掃をしていた不審者に出会ってしまったのだ。
此方に気づき迫り来る彼に対して、私は個性を使い逃げようとした。
ただ、そんな私を個性を使うこと無く、驚くべき体術で捕縛してみせた彼が只者ではないとわかった上、不審者じゃなく不審者のヒーローだったと知って、これはチャンスと私はそのまま彼に教えを請うた。
そしたら翌日
「我が此処での個性使用については清掃活動に限り市に申請して許可を取っておいた。我の監督下であれば君の個性使用も問題ない。……これからは人が居ないからと、私有地ではない場所で個性の無断使用はしないように」
なんて、許可書類とともに彼が現れたので、私は仕方なく清掃活動をしている。
一度だけ、「何でこんなところで隠れて奉仕活動してるんですか?」と聞いたことがあるのだが、自分の中でヒーローとは何かと迷っていた時、偶然自分が尊敬する偉大なヒーローが私と同じぐらいの少年と奉仕活動をしているのを目撃したらしい。
「そんな中、彼は少年に言っていたのだ。ヒーローとは本来奉仕活動。地味だ何だと言われても其処だけはブレてはいけない。それが君のヒーローへの第一歩だと。偶然通りかかった其の場所で、我は本当に大切なことを思い出したのだ」
嬉しそうにそんなことを言っていた彼の姿を思い出す。
私としては、其の話の中に出てきた偉大なるヒーローと一緒にいた少年のほうが気になったので、詳しく聞いてみると。
「ああ、彼のファンだとは思うが、君と同じぐらいの少年が一人。其の少年も君と同じようにヒーロー志望なのであろうな。彼に直接指導をもらえるとは羨ましい少年だ。ああ、話が逸れてしまったな。それを聞いて私も初心に帰ってみようと思い、時折奉仕活動をしているのだ」
彼は本当に其のヒーローを尊敬しているのだろう。普段はそんなに喋らないのに其の話題になると饒舌になる。
私が指導をお願いした時、色々準備をしてくれたのは彼に倣ってだそうだ。
私としては、其の彼のあこがれのヒーローに感謝するべきなのだろうが、彼が言う其のヒーローが間違いなくあのヒーローのようなので、複雑な気分になってしまう。いや、利用できるものはなんでも利用しなければ! ……なんて考えている時点で私はヒーロー向きではないのかもしれないが。
そんなこんなで此処連日続けているのが彼に続いての清掃活動なのだが、ただの清掃活動と侮るなかれ。これでもちゃんとプロの指導の元では中々の訓練になるのである。
「ではまず、あの坂の雑草を頼む。目に見える範囲のほうが自分の個性の範囲を把握しやすいであろう?」
彼が指差す方を見ると、河川敷から土手にかけて雑草が冬が近いというのに、これでもかと青々と自己主張している場所が見える。
「……常々思ってたんですけど、私のこと便利な草刈機とか思ってません?」
「便利だと思っているのは事実だが、あくまでもトレーニングだ。我が先日言ったようにやってみろ」
私は草をかき分け、彼の指定した場所まで行くと此処連日そうしているように個性を発動する。
イメージは私の周りのできるだけ広い範囲を、『私自身が』広がり覆うイメージ。
私がそう意識すると、私の周辺で覆い茂っていた所望雑草の青々とした葉が徐々に萎びて朽ちていく。同時に私の身体には、周りの草木がかれ落ちるほど力が満ちるのを感じる。
私の個性は『
自身の周りにある生物から生命力を奪い自分の力にする個性。
これが私があの場所で生き残ることが出来た理由。
多分その時、無意識にではあるが、辺りから『生きているもの』の生命力を奪い取っていたのだろう。
あの部屋の光景は思い出したくもないし、そもそも覚えても居ないが、何から生命力を吸い取っていたかも考えたくない。
奪い取った生命力のエネルギーは意識して使うことで体の器官や筋肉を活性化させる事ができる。
勉強の時にはこの力を脳に回して脳を活性化させていた。ただ、あくまで奪った生命力は、活性化させるガソリンのようなもの。動かすだけなら無理に活性化させて、酷使することは出来るが、脳を動かすには栄養素としてのブドウ糖が必要だ。つまり、脳を活性化させればさせるほど私の身体は糖質を求める。傷を治すのに治癒力を活性化したとしたら、其の傷の部分を作るタンパク質をすごい勢いで消費する。
これが私の個性が燃費が悪い要因。
他の生命力で身体を酷使して活性化出来るが、もりもり新陳代謝で栄養素を消費するのだ。
エナジー・ドレインできるからと言って、伝説上の吸血鬼と同じわけではない。薔薇の生命力を吸ったからといって、空腹が満たされるわけではないのだ。
力を出したいなら肉を食え。至言だと思う。……まあ、動かすだけなら動かせるけど。
「うむ、普段個性を抑えている分、反復して使えばやはり範囲は広がるか」
「……やっぱり範囲広がってます?」
「我に聞くのではなく自分の目で把握することだ。其の範囲が自身が有利に動ける範囲に直結している。後は上下もやはり同じような半径のようだな」
こうやって個性を使うことで、彼の言ったとおり自分の個性が効果を及ぼす範囲が視認できる。今日は坂を指定されたのは、それが自分の水平位置ではなく上下の範囲も測るためのようだ。
「まずは自身の出来ることを把握すること。ヒーローが一番知らなければいけないのは自分自身のことだ。自身を知れば、自ずとやるべきことも見えてくる」
彼が私を指導する時まず最初に言った言葉だ。本当に不審者にしておくには惜しい指導力である。
「後はコントロールの問題だ。個性の範囲を広げるのは成功しているが、そちらを意識しすぎだ。前にも言ったが河川敷の草木には意味がある。其の根で地面を支えることで、崩れを防いでいる。それだけ吸いきってしまえば根も死んでしまう」
「つまり、生かさず殺さずですか」
私の発言に彼が少しため息を付いたのが聞こえた。こう見えて吸い取った生命力は全身に回してるので耳はいい。冗談で言ったつもりだったのだが、どうやら真に受けてしまったようだ。やっぱり少し硬い人だなこの人
「……ヒーローを志す者が殺しかけてどうする。そこまでギリギリでなくてもいい。君は吸い取る力に特化しているきらいがある。つまり、吸いすぎだ」
「でも、個性としてはそっちのほうが強くないですか?」
「草木から生命力を吸い取るにしても、君が吸い取る量だと草木どころか、土の微生物の生命力まで吸いきってしまっている。それではその後には何も残らない。君は奪うと意識しているかもしれないが、本来君のような力を使う場合は、ちょっとずつ借りるぐらいでちょうどいい」
「う……善処します」
「別に悪いわけではない。個性の最大出力を上げるのは自身の限界を引き上げるにも直結していることでもある。だが、君は加減を覚えるべきなのだ。精密な個性コントロールが必ず必要になってくる場面が有る。0か100かではない。70、50や10はもとより、時には2や1が必要な場面もある」
考えるも、1や2が活躍する場面なんてすぐには思いつかない。
そんな私の思考が表情にも出ていたのだろう
「今はわからぬかもしれぬが、練習しておくように。さあ、次は其の枯れた草木を刈り取って、集積所に運ぶぞ」
「うう……地味に疲れるやつだ」
「君の個性は自身の身体能力にも左右される。其の地味な作業が体の基礎づくりになる」
さあ始めるぞと、黙々と作業をすすめる彼についで私も彼に従い個性を使いながら彼の作業に追従するのだった。
しばらくして、完全に日が沈みきった頃
「今日はこのぐらいにしておくか」
この声がこの作業のいつもの終了の合図。
それを聞いた私はドスンとその場で尻餅をついて座り込み、空を見上げて声を出す。
「つーかーれーたー……。個性を使いながらの作業って、ものすごく後で疲れるしお腹すくんですよ」
「それも鍛錬。君の個性は活性化の力がある。つまり身体を活性化させ酷使すれば、その分回復する力で筋力もついてくる。ちゃんとタンパク質を重点に取るように。いくら筋肉を酷使しても回復に必要な栄養素がなければ自力もつかないぞ」
「ああ……また食費がかさむ」
「流石に其処までは我も面倒はみれん」
「冷たいですよー。労働には対価を! って、冗談です冗談。私はそれ以上のものを頂いてるし。そんな冷たい目で見ないでください」
「君の言葉は嘘か本当か我には時々わからなくなる」
きっと真顔で言っているのだろう。それぐらいは私にもわかる。
そんな微妙な空気を紛らわす為に、私は最近気づいた疑問を彼にしてみることにした。
「それにしても最近多いですよね。お仕事の呼び出しがないの」
そう、彼はプロヒーローのはずなのに最近其処まで応援の要請がきていないのだ。
其の私の質問に押し黙る彼……あれ、もしかしてまた私地雷か何か踏んだ?
「良くも悪くも我の活動範囲の近くに新人ヒーローがデビューしてな、今はその新人ヒーローが積極的に要請に答えている。なんでも、絶賛売り出し中らしい。それに新たなヒーローが増えたことでこの辺りの犯罪発生率も下がってきている」
「……もしかして廃業の危機?」
「犯罪率が下がることはいいのだが、それは我らが抑止力として存在しているから故だ。本来は我のような存在が居なくてもそうあってほしいものだが……」
まあ、無理な話だろう。人が欲を持つ限り、人にこういった個性が宿る社会である限り、犯罪率が下がるなんてことはないだろう。力を持った人間が全て賢いなんて思えないし。
「つまり、今の状態は一時的ってことですか?」
「そうならないことを祈ってはいるが、人は良くも悪くも慣れてしまう。今この街にはヒーローが増えるという変化があったが、其の変化に人々が慣れてしまえばそれがまた日常になってしまう。まあ、それまでは我も此処の奉仕活動を続けるつもりだが」
「難しい問題だと思います。……でも、私としてはそんな一時的とは言え、プロヒーローに学ばせてもらえるチャンスは逃さないつもりです。それで……ですね、もしお暇なら今日も少しだけ補習お願いできますか?」
答えの出せない問題は、私は考えないようにしている。と言うか、そういったことは政治家の仕事だし私が考えても仕方がない。
それよりも私は出来るのは今目の前にある、学ぶチャンスを活かすこと。
私は笑顔で彼を見つめる。
「うむ、後進を育てるのはヒーロー仕事だ。それで、今日は何を学びたい?」
「じゃあ、護身術など。身体の基礎ができても体の動かし方がわからないと意味がないですし、一応本などは読んで知識としては有るのですが、実際相手が居ないとなんとも。ほら、夜道で女の子一人とか危ないじゃないですか?……正当防衛でも個性を使えば過剰防衛になってしまうし」
「其の個性を使う前提の防衛はたしかに不味いな。わかった、簡単なものでいいなら」
「わーい、やった! 西屋さん大好き」
「……君にそれを言われると犯罪の臭いがするのだが」
そんなやり取りの後、私は持ってきていた間食のおにぎりを手早く平らげれば、河川敷近くの街灯の下で、彼の指示通り今日もまた一つ一つ訓練をこなし始めた
試験の日は近い
というわけで、原作キャラに出ていただきました。
彼の喋ってるシーンが少なすぎて、口調あってるかわからないけど彼の私服ってどう考えても不審者だと思うんです
主人公の個性でわかりにくいところがありましたら書き足しますね。
後、あえて伏せてる部分もありますのでそのあたりは伏せますが
イメージとしては生命力はハンターハンターで言う念のようなものだと思っていただければ。