どうやら竜王とかいう輩が王女様をさらってしまったらしい。そしてあわよくば世界征服なんてことを考えちゃってるようで。でも、はっきり言って一般市民のオレには関係ないもんねとか思ってた。
ただ、どうやらオレってば勇者の子孫らしくって。だからなんか王様に呼ばれちゃったんだよな。
で、気づいてみると王の間に居た。居たんだよ。けど、一体どうやって来たのかは憶えていない。しかもなんか扉に鍵がかかってるみたい。
これって普通拉致監禁って言わないか?
王様が命令したことだとしたら仕方ないという考えもあるんだけど、そんな絶対王政は良くないと思うんだよ。
とにかく来たからには王様の話を聞くことにする。やっぱりオレは勇者の子孫らしい。なるほど、だから王女様を救えというわけね。もちろん王女様はお約束どおり奇麗なんだよね。そうじゃなかたら救いたくないしね。
なになに、宝箱の中身をくれるってか。早速開けてみることにしよう。
宝箱は全部で3つあった。それぞれ中身は…
・魔法のカギ
・たいまつ
・マリーゴールド
??? 最初の2つはいいとして、3つめのマリーゴールドってのは何だ?
ゆいち「王様…これは一体」
王「おかしいのぉ。ちゃんとゴールドを入れておいたはずなのに…」
誰かが摩り替えたに違いない。
ゆいち「王様、この宝箱を用意したのはいつですか」
王「わしはこの大臣に用意するよう頼んでおいたんじゃが」
大臣「………申し訳ございません。私がゴールドとマリーゴールドを摩り替えました。名前が似ているからいいかなーなんて思ったので」
どうしてそういう発想が生まれるのかいまいち謎だったが、とりあえず腹が立ったので余計に大臣から請求することにした。王様の御前じゃさすがに殴り倒すことはできなかったし。
王「ゆいちの言うとおりじゃ。さ、払うのじゃ」
大臣「でしたら給料から天引というかたちで…」
王「仕方ないのぉ」
……………。どうなってるんだよこの国は。
何がともあれ予定より多めのゴールドを手に王の間を後にすることにした。
大臣から余計にゴールドをせしめることができたのでちょっと嬉しい。さて、城の中でもゆっくりと見物していくことにするか。
とりあえずこの城の見所はいくつかあるけれども、やっぱり入ってすぐ正面にある噴水かなーって、よく見たらバリアーじゃないか。なんで噴水じゃないんだよ、まったくもー。そしてこんなところをうろちょろしているねーちゃん、一体何が楽しくてここに…。
さて、名物といえばフラッシュじいさんかな。便利なことにこのじいさんに話しかけるだけでMPが回復してしまう。今のオレにMPはないにも関わらず、どうして知っているんだと聞かれても困ってしまう。だが、名物なんだから知っててもおかしくはなかろう。宿代を節約したいときに重宝しそうではあるんだが、やっぱりフカフカのベッドでゴロゴロしたいよな。
この城は奥のほうにカギのかかった扉がある。世界の命運をかけ、さらには王女様まで助けてもらおうと頼んでいる人に対して、どうしてこう対応が悪いのかね。接客態度の悪さは経営に問題が生じてくるのに。気になって気になって仕方ないよ。無理矢理こじ開けてもいいのだが。でもな…どうせやるなら派手に壊す方が性に合ってるかも。ただ勇者がするのはちょっとマズいと思われる。オレ個人的には全然構わないんだけどイメージってのがねぇ…。
もう一度城内をうろついてみる。城の奥の方にカップルがいる。
男「彼女といつまでもこうしていたい。こんなボクの気持ちも魔物たちに踏みにじられる日が来るのでしょうか」
ゆいち「知ったことではない」
女の方もゴチャゴチャとぬかしているが、このご時世に城をデートコースにするとは許すまじ。竜王倒したら次はおまえらじゃ。
さて、そろそろ城の外に出るかな。
お、兵士が二人いるじゃないか。がんばってるねぇ。
兵士1「ラダトームのお城へようこそ」
兵士2「ラダトームのお城へようこそ」
ゆいち「あの…」
兵士1「ラダトームのお城へようこそ」
ゆいち「もしもし?」
兵士1「ラダトームのお城へようこそ」
………ダメだ。同じことしか言ってくれない。まったくもう。頭の中は8バイトなんじゃないの?
呆気に取られながらオレは城をあとにする。