揺すれない。
もぅ……。
それはそうと、どうして竜王は地下に自分の部屋を作ったんだろう…。外見は4階建てくらいなのに。そして、普通は塔のてっぺんにいるべきでしょう。やっぱりおかしいよ。
………(考え中)。
もしかして、
高所恐怖症?
思い立ったら即実行。とにかく、竜王を大空へ連れていって試してみよう。
竜王「さっさとドラゴンを離してくれよ。彼女はオレの子供を身籠もっているんだから」
なにーーーーーーーっ!
腹立たしいが、まぁいい。今の興味は竜王が高所恐怖症かどうかだ。
ゆいち「わかった。それよりもさ、ちょっと手を見せてくれない?」
竜王「ん、なんだ? 手相でも見てくれるのか?」
ゆいち「まぁいいからさ」
あっさりと、疑わずに手を差し出してくれた。
手を取った瞬間に、大空へ。
竜王の反応は?
ちらっと見る。
竜王「………!」
ひきつってる、ひきつってる(下衆顔)。
ゆいち「やっぱり高所恐怖症?」
竜王「やっぱりって何だ、やっぱりって」
ゆいち「ちゃんと考察した結果だから、接続詞的には間違っていない」
竜王「そういう問題ではなーい!」
暴れる竜王。なんと、また人間っぽい姿からドラゴンに変身してしまった。
ちょいと待ってくれ。支えきれないんですけど……。っていうか、なんで変身できるんだ?
どうしようどうしようどうしよう。支えきれない。
降ろす…もしくは落とす。
余裕ないんだから落とすしかない!
相変わらず竜王は狂っている。炎を吐きだした。
高所恐怖症を確認はしたものの、だからといって何か得られたかというとそういうわけでもない。
こういう状況のことをどう言い表したらいいのだろうか。
選択肢1)無駄な努力
選択肢2)骨折り損のくたびれもうけ
選択肢3)藪をつついて蛇を出す
だーーーーーーーっ!
もう何でもいいよ。何でこんな事考えてるんだ?
さっさと落とせない自分がかわいい。
仕方がない。
落とすならどこだ?
選択肢1)竜王の城の真上
選択肢2)海
選択肢3)ドムドーラ
1はまずいな。身籠もっている竜が居ることだし。そんなことしたら動物保護団体から文句が来そうだ。ということは安全な2かも。たしかに腹打ちしたらすっごく痛そうだけど、それで終わり。最終処分が大変そう。3は、もともと廃墟な上に、竜王のせいにできる。
とりあえず3に決定。
ということで落とそう。
でも、ただ落とすだけでは勢いが足りないので、トベルーラの応用をば。
いざ実行。
ポイッ!
よく考えたら落とされている竜王の意思ってどうなんだろう。というか発狂するから、話し合いが出来なかったのではないか。そう、和やかに終わらせるつもりだったのにさぁ。
というわけで…勢いを……
新呪文 バシルーラッ!
加速するつもりだったのに。
呪文を唱えたとたんに、竜王が消えてしまったではないか。
結果オーライ!?
いいのかなぁ…。でも光の玉はちゃんと手にしてるし。モンスターが人を襲うかもしれないけれども、とりあえず任務は完了。
ということで、さっさとラダトームに戻ることにしよう。
ルーラという呪文は本当に役に立つ。よいよい。
王「おお、よくぞ竜王を倒してくれた」
ゆいち「いえいえ…って、ちょっと待て。どうしてわかるんだ?」
王「まぁいいじゃないか」
ゆいち「そういう問題じゃないと思うのだが」
王「ローラ姫が欲しくないのか?」
ゆいち「なんか揺すられてる…」
王「はっはっは。王女の愛を甘く見てもらっては困る」
そういえばそんなものもあったね。忘れてたよ。
王「あれは小型発信器でのぅ。お主の台詞や行動が全部記録されているのじゃよ」
ゆいち「なにぃっ!」
そんなん王女の愛じゃねぇ。王の愛みたいじゃねーか。
っていうか、ストーカーじゃんっ!
王「光の玉あるのじゃろ」
ゆいち「はぁ…」
王「めでたしめでたしじゃ」
ゆいち「これで任務完了」
王「それはそうと、そろそろワシも年じゃし、ラダトームを引退しようと思っておる。どうじゃ、次の王をやらぬか?」
ゆいち「つまりローラ姫が欲しくば王様をやれというわけですな」
王「さすがは勇者。話が見えておる」
さて、どうしたものか。一国の王というのもそれなりに魅力はあるが、拘束が大きそうだ。それは耐えられん。
ゆいち「ローラ姫とは結ばれたい。しかし、いいんですね、こんな若造に国を任せてしまって」
王「そう言われると…」
ゆいち「いーんですか?」
王「しかし…」
ゆいち「好き勝手に法律が作れるのですね」
王「そいつぁまずい」
ゆいち「じゃ、そういうことで」
王「どうするのじゃ」
ゆいち「ローラ姫と旅に出ようと思っています」
王「しかしローラが納得するのかのぉ」
ゆいち「よろしいですか、姫」
ローラ姫「どこまでもついていきますわ。ドラゴンに乗ってなら」
ドラゴンに乗ってならOKなのか。しかしすごい条件だな…。
王「ローラがいいというのならば仕方あるまい」
ゆいち「では早速ですがお義父さん、旅に出るためのお金を」
王「いやじゃ」
ゆいち「かわいい娘とのたれ死ぬ虞が…」
王「勇者じゃろ」
ゆいち「世界中の人はそんなこと知りませんよ」
王「だからこの発信器は世界中の人に知れ渡ってるんだってば」
ゆいち「………」
王「そういうこと」
ゆいち「どういうことだよ」
王「空飛べることも、メイジドラキー使ったことも」
ゆいち「知ってるんかい!」
王「まあな」
ゆいち「もういい。旅立つ」
王「今すぐにか?」
ゆいち「ああ」
王「ローラの心の準備は?」
ローラ姫「いつでもOKですわ」
王「………」
ゆいち「んじゃそういうことで」
王「金はいいのか?」
ゆいち「まぁいいや。今それなりにあるし」
そのまますたこらさっさとラダトーム城を跡後にした。
ゆいち「ドラゴンじゃないとだめですか?」
ローラ姫「ええ」
ゆいち「ドラゴンを捕まえるために、竜王の島まで飛びますよ」
ローラ姫「そうしてください」
ゆいち「では…」
こうして、ゆいちの旅は再び始まったのであった……。
約20年前に執筆したものを、掘り起こしてほぼそのまま貼り付けました。
1話の文字数が少なかったためにサブタイトルに齟齬が生じている可能性もありますが、追って直していきます。