勇者ゆいちの冒険   作:やさかたくみ

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ガライ

 はるか昔、吟遊詩人ガライが長い旅の末にたどりつき、自らの手で作り上げた町…こう伝えられているようだが、どうやって一人で作り上げたのかを言及しないオレは優しいんだ。でも、景色もいいところだし、細かいことは抜きにしていい処だと思う。これがオレのガライの町に対する第一印象だった。

 

 町の入り口付近に竪琴を持った男がいるではないか。ちょっと声をかけてみることにする。

 

ゆいち「君は…」

男「歌を一曲歌ってもいいですか?」

 

 そういう応えが返ってくるとは思わなかった…。

 

ゆいち「ああ、いいけど」

男「では…」

 

 男が奏でた曲はおどろおどろしいものだった。

 

 気づいたら男を殴り飛ばしていた。そして、北向きの建物のドアを破壊していた。無意識とはいえ、人を殴ってしまうとは不覚。でも呪われてそうな曲を奏でる奴が悪い。そう、オレが正しいのだ。

 

 とりあえず破壊してしまった建物に入ってみる。

 

 おっ、宝箱があるではないか。よしよし。

 

 おや? 奥の壁が黒塗りになってるではないか。一体どういう意味があるんだ? 真っ黒でよくわからないではないか。近づいてみるとするか。

 

 よーっく見ると、一個所だけ黒いカーテンになっていた。どうして気がついたかというと、風でカーテンが揺れるのを目撃できたからだ。ふはははは。オレの目を誤魔化そうなんざ100年早いってーの。どれどれ、入ってみるか。

 

 入ってみるではなく、出てみるだったようだ。うーん、外の空気はすがすがしいねぇ。東側には地下へ潜る洞窟があるではないか。

 

 なんか入ろうとするときに、変なのがいたけれども無視することにする。このオレに忠告できるやつなんかいるはずがない。結局オレが絶対。

 

 地下へ潜ってみることにする。わかってはいたのだが暗い。当然の事ながらたいまつは買ってない。だって勢いで来たのだから。

 

 仕方ない。町に戻ることにしよう。

 

 うーん、ついでに武器とかも買いたいが金がない。少し外に出てモンスターから奪うことにするか。

 

 小一時間もすると、結構ゴールドがたまった。それを手に再び町に入っていくことにする。そして、たいまつの他にも鉄の斧とくさりかたびら、鉄の盾をゲット。もちろん値切ったことは言うまでもない。これぞ旅の知恵なのだ。ふはははは。

 

村人「東にあるマイラという村は温泉が湧いているようですね」

ゆいち「なにっ! 本当か」

村人「ええ、なんでもぱふぱふ娘もいるそうで…」

 

 これは…墓どころではない。温泉にぱふぱふ娘。放っとけん!

 

 したがって、墓荒らしはまた今度にしよう。装備はここでは最強だし。もうこんなところには用はない。

 

 オレはさっさとガライの町を後にした。そして、東へ東へと歩を進めていく。途中ではもちろんモンスターどもの襲撃もあるのだが、そんなのに怯むわけない。頭の中はさっきの2つのみである。いいじゃねぇか。オレは勇者である前に一人の男だ。

 

 それにしても遠い。ラダトームを通り過ぎてしばらく経つのに、一向に見えてこない。これははっきり言って悔しい。

 

 ガセネタだったらあの男を殺す。

 

 2つめの橋を渡ったところに立て札があった。

 

*マイラの村はここの北

 

 やったー! あまりにも嬉しかったので、思わず襲ってきたモンスターにギラを連発で浴びせてしまった。うーん、大人げない。

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