捻くれぼっちの凡校生活   作:シロアリ

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完全にノリで書き始めてしまった…
それでも楽しんでいただけたら幸いです。
それではどうぞ。


テンコウ

 

 

 

 

 

 

  四月。

  入学シーズン真っただ中この時期に、俺、比企谷八幡は親の仕事の都合で千葉とは全く別の地へ引っ越すことになった。そこは凡矢理市というらしく、俺は明日から歩いて10分ほどにある凡矢理高校へと転校することになっていた。せっかく勉強して総武高校に受かったというのに…。

  まぁ、それに関しては中学の知り合いが居ない高校って条件で決めたからな。どっちにしろ結果オーライである。

 どうせ今まで通り適当に過ごしていれば3年なんてあっという間だろう。

 

  気がつくと時計は深夜の1時を指していた。さすがに寝ないといけないと思い、俺はベッドに入って目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

  翌朝。

  起きた瞬間から頭の中に警鐘が鳴り響いていた。この音が現実で鳴り響いたらセコムもびっくりな警報機になるんじゃないだろうか。

 

「寝坊した☆」

 

  できるだけ明るく言ってみたが駄目だった。登校初日から寝坊で遅刻はさすがにヤバイ。急がないと俺の平穏な日常(予定)が崩れ去ってしまう…!

  リビングに降りたが、すでに家には誰もいなかった。小町よ、なぜお兄ちゃんを起こしてくれなかったんだ…。急ぎで動きが雑になりながらも制服を着て靴を履き、家に鍵をかけて俺はまだ見慣れない町を学校を目指して走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ここでいいんだよな…?」

 

  普通なら10分はかかるであろう道を、迷いながらも5分で着けたのは幸いだと思う。間違いなく今までの人生で最高記録を叩き出しただろう。あと一年間くらい運動しなくてもいいんじゃないか?これ。

  ちなみに時間には間に合った。職員室にも立ち寄って、今は教室の前で待機している。

 

  ここで一つ。

 俺は自己紹介という物が嫌いだ。

 単にめんどくさいと言うのもあるが、俺自身、特に紹介する場所も必要性も感じていないからだ。

 自己紹介が通用するのは、例えばイケメンだったり美女だったり、少しでも他人が関心を持つような存在でなければいけない。それも良い意味で、だ。

 今回の場合、俺は転校生というポジションにいるが、目が腐っている時点でまず良い意味には捉えられないだろう。恐らく『ふーん、で?』みたいな反応をされるはず。おっと、中学最初の自己紹介を思い出しちまったぜ…。あれはキツかった。色んな意味で。つまるところ、俺にとってこのイベントは────

 

「あなたも転校生?」

 

  突然横から声がかかり、驚いて肩がビクッとなった。

  見ると、明らかにハーフの金髪美少女がいた。…なにこれ。

 

 

「ってことはお前も転校生なのか。この時期に珍しいな」

 

「お互い様でしょ?まぁいいわ。一人じゃ少し不安だったし。緊張も溶けてきたわ」

 

  そう言ってほっと溜息を吐く金髪。反面、俺は緊張を通り越して諦めに入っていた。

  こんなのと同時期に転校して来るとかあれか?天罰か何かか?間違いなく比較されて俺が『うわっwww』みたいな目で見られちゃうじゃん。

 

「それにしてもそのゾンビのコスプレ?すごいわね!目がそっくりじゃない。やっぱり日本って面白いわ!」

 

「ほっとけ。あと目は元からだ」

 

  初対面のやつにゾンビ扱いって…。今思えばそんなに珍しくなかったわ。なら良いか。

 

「ご、ごめん。私勘違いしてて…。そうだ!私の名前は桐崎千棘。アメリカと日本のハーフなの。あなたは?」

 

「…比企谷八幡だ、です」

 

「アハハッ、敬語じゃなくていいわよ。同じクラスなんだし。これからよろしくね?」

 

 

「まぁ、よろしく」

 

  桐崎は完全に緊張が消えたようだ。やはり俺のような明らかに友達いなさそうな奴をみると安心するのだろうか。人を見下して優位性を保つ的な。

  そうは言って見たものの、当の桐崎からはそんな気は感じられない。

 

 

「じゃあ入ってきてくれー」

 

 

  教室から担任が呼ぶ声が聞こえてきた。つい先ほどまでの思考を中断し、教室の扉を開けた。

  瞬間、クラスからの興味の視線が集中する。特に桐崎に。やだ!八幡完全に空気!

 

  今回の俺の課題はいかに簡潔に、ボロを出さずにこれを乗り切るかという一点のみ。

  落ち着け、じっちゃんの名にかけてミスは許されない!名探偵のじっちゃんなんていないけど。

  考えがまとまると、クラスの視線が俺に集中した。どうやら桐崎の自己紹介は既に終わったらしい。

 

 

「きょ、今日から転校してきた比企ぎゃ谷八幡です。よろしくお願いします」

 

  うぉおおおおお!噛んだぁぁぁぁあ!!

 恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいぃ!…死にたい。クラスからはすでにヒソヒソ笑い声が聞こえて来る。

  あー、これ終わったわー。転校初日からキモい奴認定されちゃったわー。ごめんなじっちゃん。

 

「じゃあ比企谷は〜、小野寺の隣に座ってくれ。真ん中の一番後ろの席だ。桐崎は一条の隣の席で。お前ら知り合いっぽいしな」

 

 

「えええーーーーー!!?」

 

「はい」

 

  ギャーギャーと騒いでいる桐崎は置いて、とりあえず乗り切った事を良しとしよう。やり切った感を出しながら小野寺という女子の隣に座った。

  一番後ろのポジションを得られたのは運が良かったと思う。

 こういう時、場所を説明してくれるのは本当にありがたい。人の名前言われて隣に座れって指示されてもこっちは知らないからな。漫画とかでよく分かるよな、あれ。普通だったら「え?…〇〇って誰?どこ?」ってなるだろ。その点なんであいつは…一条だっけ?と知り合いなんだよ。

 

「わ、私は小野寺小咲です。困ったことがあったら何でも聞いてね?」

 

「ひ、比企谷八幡です。よろしく」

 

  小野寺は茶髪で髪型がアシンメトリーのザ・女子高生っぽい見た目だ。ぶっちゃけるとかなりかわいい。間違いなくクラスカースト上位に属するだろう。ちょっと前の俺ならこの挨拶だけで告って振られるまである。振られちゃうのかよ。

 

 

 

 

  気が付いたらホームルームは終わっており、次の授業準備やら雑談やらで教室内は賑わっていた。誰1人として俺のところに来ないのはありがたい。転校生お約束の質問責めに合わなくて済む。逆に言えば誰も俺に興味がないということになるんですがそれは…。

 

「おーす比企谷、俺は舞子集と申す。気軽に集って呼んでくれ!」

 

「俺は一条楽。これからよろしくな、比企谷。あと集が馴れ馴れしいのはいつもの事だから、気にしないでやってくれ」

 

「おいおい楽〜、馴れ馴れしいは酷いぞ?」

 

「はぁ…」

 

  でた、クラスに1人はいる他人との壁が薄いタイプの人間。転校生とは言え、こんな目の腐った奴に話しかけるなんて物好きだな。自分で言ってて悲しくなってきた。

 

「朝にも言ったが比企谷八幡です」

 

  少し無愛想になってしまったが気にしない。元々ぼっちで過ごす予定だったしな。珍しさで俺に声を掛けたんだろうが、明日になれば興味を無くして向こうは向こうの、俺は俺の日常を送れるだろう。

  そこまで考えたところで授業開始のチャイムが鳴った。まだ話すことがあるのだろうか、舞子はつまらなそうな顔をした。

 

「あ〜、鳴っちゃったか。じゃあな比企谷!また後で」

 

 そう言って一条と一緒に自分の席に戻って行った。

 

「後があるのか…」

 

  またあいつらと話すことになる事に軽く絶望してしまう。早くもぼっち生活の先が暗くなってきた。

  授業の道具を出そうと鞄をあさる。が、何も入っていなかった。かろうじて筆記用具がある程度。

  あ、あれぇー、おかしいなー……。

 

「教科書忘れた…」

 

  間違いなく朝の寝坊が原因だろう。いや、前日に準備していなかったのも悪いのだが。

  とにかく初日から授業を全部寝て過ごすことが決定した。机に突っ伏し、眠りにつこうと目を瞑る。

 

「あ、あれ?比企谷君、授業受けないの?」

 

  のっそり体を起こして声の主、小野寺の方へ顔を向けた。

 

「教科書全部忘れた。だから寝る」

 

「えぇ!?じゃあ、その…良かったら一緒に見る?」

 

「は?」

 

  はい?what?なぜ?なぜ一緒に見る必要がある?そこは『ふーん、そうなんだ』で終わりだろ普通。

 

「いや、いい。元々忘れたのは俺だし、一緒に見るのは迷惑だろ。それに1日くらい平気だ」

 

「め、迷惑なんかじゃないよ!ほら、見せてあげるから机寄せて?」

 

  ここまで言われたら断るに断れない。もしかして小野寺はかなり世話焼きなタイプなのだろうか。

 

「悪いな、初日からこんなんで」

 

「いいの。私がしたくてしてるんだから気にしないで」

 

  こうして午前中の授業を全て教科書を見せてもらって過ごしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 





評価がよかったら続く…?

ー追伸ー
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