存在価値を過小評価しすぎた魔法使い   作:南野涼夏

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訪れた学園生活………と霧の魔物襲来

私立グリモワール魔法学園に転校した。

初日、僕はローズクラスに所属するということがわかった。

男女比のこともあり、男子転校生である僕は関心の的だった。

「では、自己紹介をお願いします」

と言われたので、自己紹介をすることにした。テンプレートな内容を入れて置けば良いだろ。

「皆さん初めまして。この度、ローズクラスになりました田辺順一と言います。趣味は……趣味は……………親から何もさせて貰えなかったのでこれといってありません。なので、前の学校で部活などもしていません。特技は…………ありません。兄が色々と才能のある人で、その足元に及ぶようなものはないです。好きな食べ物は…………ありません。基本家の庭に生えた野草を食べてたので。どうぞ、よろしくお願いします」

……………………………………………

教室を無言が支配した。

そんな中、1人の生徒が手を挙げて質問をしてきた。

「覚醒したことがわかったとき、どう思いましたか?」

僕は、それに正直に答えた。

「そうですね…… これで家族の役に立てるかもしれないなと思いました。何の才能も無かった僕を、家族は居ないものとして扱ってましたから」

……………………………………………

再び、教室を無言が支配した。

また、別の生徒が手を挙げて質問をしてきた。

「魔法使いとして覚醒したということを知ったご家族の反応はご存知ですか?」

僕はそれにも正直に答えた。

「はい。確か、これで我が家の恥と縁が切れる。さっさと行きな。でしたね」

完全に教室が静かになった。

なにかマズイことでも言っただろうか……

 

その直後の休み時間に、僕へ話しかけてくる人は1人もいなかった。

 

 

    

 

という出来事があってから2ヶ月ほど経ったある日、期待の転校生が入学した。

彼の名は……………………… 名前は…………………

………………覚えていない。というか、この学園で転校生といえば彼みたいな風潮になってしまっているからまぁ問題はないだろう。

彼は魔法がほとんど使えなかった。

炎の魔法はライターの火くらい。水の魔法は手から染みだすくらい。まぁ、全くもって発動できない僕より良いですが。

先生(と生徒会他数名)曰く、僕は現象魔法をつかうことができないのではないかと言われた。

転校生は、魔力を他人に渡せるということが分かり、既に学園では知らない人がいないほど有名になっている。

一方、僕はあまり覚えられていない。まぁ使える魔法すら判明してないから当然といえば当然か。

 

 

そしてしばらく経ったある日、町に霧の魔物が現れた。霧の魔物の姿はいわゆるスライムってやつだ。

僕ら魔法使いは、一般人を守る義務がある。そのクエストを、僕も受けた。兎ノ助さんからは

「お前、魔法まだろくに使えねぇじゃねぇか。どうしてもって言うなら止めはしないが…… くれぐれも死ぬなよ」

と言われたが。

 

 

市街地に着くと、逃げ惑っている人々がいた。

誘導先はもちろん覚えている。

「みなさん、こっちです!」

霧の魔物を避けるように、市民の方々を誘導する。

1組目はなんの問題もなく、誘導できた。

2組目を誘導しようとしたとき。

霧の魔物に襲われそうになっている少女が居た。

あの少女を助けるには?

他の魔法使いの魔法で霧の魔物を倒すと手遅れ、あの少女を霧の魔物の攻撃の前に連れて退避するのは不可能。

……ならば、選択肢は1つしかない。

僕は駆け出した。その少女と、霧の魔物の間(・・・・・・)に向かって。

「間にあえ!」

僕はそして、スライム型の霧の魔物の攻撃が、少女に当たる前に間に飛び込んだ。

 

背中から、溶けていく感触がする。地面に血溜まりができていく。そして、僕は意識を――――――――




次回はこの続きから始まります。
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