東京喰種 -二人の境界線-   作:のりちゃん

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第3話

「喧嘩しちゃ駄目だよぉ、仲良くしないと〜」

 

入ってきて早々、五人の内のど真ん中に立っている銀髪で身長が2m以上の巨人が声を掛けてきた。ゆったりとした口調が特徴だが俺様的にはいけ好かない。コイツは白夜炎士《ビャクヤ エンジ》特等捜査官。

此方へ近付いてきたと思えば京チャンと獅王の手を取りお互いに握り合わせ微笑む。

 

「はい、仲直り〜」

 

「ひっ…」

 

潔癖症の京チャンは直ぐに手を引っ込め自分の手を摩る。獅王は苛立つように席へと乱暴に腰掛ける。その様子を見た炎士はキョトンとして俺様の方に寄ってきた。

 

「ねぇねぇ、智徳。何で二人は仲直りした筈なのに怒ってるの?」

 

「あ"、テメェがKYだからだろ。……つか何か用か?」

 

先程の件が無かったかのように待ってました、と言わんばかりに笑顔で

 

「えっとねぇ、今度の任務で僕達一緒に組むことになったよぉ。僕待ちきれなくてね、メンバーと一緒に教えに来ちゃったぁ」

 

ぴょんぴょんと跳ねては俺様の首に手を回し抱き着く。子供か、とツッコミたくなったが言葉を続けようとした時、立っていた内の一人の銀髪の女か男か見た目だけじゃ分かんねぇコイツの妹 白夜氷麗《ビャクヤ ツララ》が割入る。

 

「お兄様、神田特等のご迷惑になっていますよ。すみません…いつもいつも」

 

「大丈夫だ。もう慣れた…つか何で一緒に組むことになってんだよ、上からの命令か?俺様聞いてねぇんだけど…」

 

途端にデスクにどっさりと資料が置かれる、側には蒼真が目の笑っていない笑みを浮かべて俺様を見てた。

 

「はいこれ、今週の資料ですー。班長は部下にみな任せっきりやから予定もなぁんも言われなきゃ分かりまへんな?その任務についても書かれてるさかい……ちゃんと読んでくださいね」

 

「…うぃっす」

 

くすくす、と笑い声が聞こえたと思えば炎士がにこやかに笑っていた。すげぇ嫌らしい笑みに見える。

 

「駄目だよ智徳〜、任せっきりはぁ。ちゃんと読んでおいてよ。それじゃ、また会おうね〜」

 

手をぶんぶん振っては巨体なくせにトテトテと子供の様に班員達と共に去っていった。一息付くもデスクの資料を読もうと手を伸ばせばその資料は無く、蒼真の腕の中に。

 

「ワイが予め読んでおぅたさかい纏めて話させてもらいますわ。…来週、オークションに潜入捜査します。場所は前もって他の班の人が調査してて把握済やさかいそこら辺は安心しといてください。」

 

ですけどちゃんと読め、と言うように結局押し付けるように渡してきた。俺様は生返事すれば改めて資料に目を通した。

 

___

 

 

目を通してから、デスクワークをこなしていればあっという間に帰宅時間。俺様は時間にせっかちだから班員に残業はさせねぇ、皆を帰らせれば俺様も帰ろうと局を出た。歩いて帰ろうとすれば黒いワゴン車が目の前に止まり。窓が開けば京チャンとその他メンバーが顔を覗かせ。

 

「智先輩!乗って行ってくださぁい」

 

「ンでお前ら…あ、そういや同居してんだっけか」

 

「チッ、乗るのか乗らないのかはっきりしろ。置いてかれてぇのか」

 

「あー、乗る乗る頼むわオカン」

 

誰がオカンだ!と運転席から聞こえるが構わずに助手席に乗り込んだ。


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