ありふれたぐうたらで世界最強?   作:makky

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あるいは、それを奇跡と評するのかもしれない


8:不幸中の幸い

 軽く絶望していたがなんとか落ち着きを取り戻して、今の自分を確認する

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:8

天職:錬成師

筋力:100

体力:300

耐性:100

敏捷:200

魔力:300

魔耐:300

技能:錬成・魔力操作・胃酸強化・纏雷・言語理解

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 わーい色々と突っ込みどころが多いぞー

 

 大迷宮に入る前で10前後のステータスだったのに、最低でも10倍近く跳ね上がっていた

 レベルも2から8にまで上がり、今の自分が強くなっていることを如実に表していた

 極めつけは――

 

「技能が3つも増えるとかサービス精神旺盛すぎやしませんかね…」

 

 10連続ガチャで五つ星を3つも引いてしまったような感じ、まぁあの手のゲームしたこと無いんだが

 その中で如何にも見てくださいと言わんばかりに異彩を放っているのが『魔力操作』である

 事前の説明では、人間は魔力そのものを操作することはできない

 魔石を体内に保有している魔物はそれが可能だが、持っていない人間はそれができないのだ

 その魔力操作が技能としてあると言うことは――

 

「むむむ…お、おおおお?」

 

 右手に魔力を込めてみると、錬成用の手袋の魔方陣が輝き始める

 

「ぬぅぅ…ふんっ‼」

 

 地面を錬成してみると、詠唱なしで地面が盛り上がる

 

「詠唱要らずとかヤバくないっすか…」

 

 はっきり言ってこれはヤバイ

 今までの境遇を考えるとお釣りが来ると言うか、お釣りの方が多すぎる位だ

 

「絶対ろくな目に会わないなこれ」

 

 うまい話には裏があるものだが、ここまでうまいとしっぺ返しが怖い

 まあそんなことはどうだっていいんだ、問題は別の技能だ

 

「な、なんて読むんだこれ…ま、まとらい?」

 

 雷を纏うと書いて、なんと読むのだろうか

 そんな風に考えていると

 

「おん?“てんらい”?あ、そう読むのか…」

 

 ステータスプレートは俺なんかよりよっぽど賢いようだ

 

「えっと…こう、か?」

 

 バリバリ、という電気のイメージをする

 すると右手の指先から紅い電撃が迸る

 

「お、おお、おおおおおおお‼」

 

 感激した、まさか電撃が使えるようになるだなんて

 

「どっかに、どっかにコイン無いか?!無いなら似たもの‼」

 

 服のあらゆる場所をまさぐり、コインがないか探したが

 

「…そうだった、ここに落ちた時財布含めて無くしたんだった…がっくし」

 

 地面に膝つき、いかにも残念といった格好をする

 そんな…夢にまで見た超電磁砲が…使えないだなんて…

 

「いやちげーよこんなことしてる場合じゃねーよ」

 

 取り合えず詠唱なしである程度の魔法が使えることは分かった

 この電撃魔法は、多分あの狼の固有能力なのだろう

 

 最後に胃酸強化についてだが、書いて字のごとくさっきの魔物の肉でも平気で食べられるようになる能力だろきっと

 はい説明終了‼

 

「長ったらしい説明したって誰も得しないって、はっきりわかんだね」

 

 残っていた肉を焼いて、壁に簡単な収納スペースを設ける

 そこに薫製の要領で吊るしていき、しばらくの食料とする

 さて、お次は武器の調達といこうか

 

――――――――――――

 

 格好つけたのに一週間でできたのが土製の剣擬きとかバカジャネーノ

 

 違うんや、使えそうな鉱石が緑色に光る鉱石と例の青い鉱石くらいしかなかったんや…

 だがそのお陰もあってか、俺は遂に新たな技能を獲得した

 

 それが派生能力『鉱物鑑定』である

 例えば先程出した緑色に光る鉱物は

 

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緑光石

魔力を吸収する性質を持った鉱石。魔力を溜め込むと淡い緑色の光を放つ

また魔力を溜め込んだ状態で割ると、溜めていた分の光を一瞬で放出する

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 といった説明が現れる

 こいつのお陰でその鉱石の名前と、効果が分かるようになった

 

 青い鉱石は何だったのかって?

 あれは『神鉱石』と呼ばれるものらしい

 大地に流れる魔力が、千年という永い年月をかけて魔力溜まりに結晶として現れたもの

 滴り落ちているのは内包した魔力が飽和状態になり、液体として出てきたものだった

 こいつのお陰で命拾いしたのだ、最後まで大事に使っていこう

 

 この技能を使って、それまで見つけられなかった新しい鉱石を2つ発見した

 

 1つ目がこれ

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燃焼石

可燃性の鉱石。点火すると構成成分を燃料に燃焼する。燃焼を続けると次第に小さくなり、やがて燃え尽きる。密閉した場所で大量の燃焼石を一度に燃やすと爆発する可能性があり、その威力は量と圧縮率次第で上位の火属性魔法に匹敵する。

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 燃焼石とか言う捻りもなにもないネーミングだが、要するに火薬のような鉱石である

 なんで石が燃えるのかと言う疑問はあるが、そういう属性の石なのだから仕方がない

 

 2つ目がこれ

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タウル鉱石

黒色で硬い鉱石。硬度8(10段階評価で10が一番硬い)。衝撃や熱に強いが、冷気には弱い。冷やすことで脆くなる。熱を加えると再び結合する。

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 鉄のような鉱石なのだが、何故冷たくなると脆くなるのかは不明

 普通逆な気もしないが、こいつもそういう属性の石なのだ、割り切ろう

 

 この2つの鉱石、こいつらはこの迷宮に限らずあらゆる場所に存在するらしい

 そしてこいつらを見た俺は――

 

「為せばなるってか?」

 

 生存競争勝利のために無茶をすることに決めた

 

――――――――――――

 

 1匹のウサギのモンスターが洞窟内を徘徊していた

 耳を研ぎ澄ませ、獲物が何処かにいないか探っていた

 

 その時、前方からなにかが飛翔してきた

 カラン、と音をたててそれは地面に落ちた

 音を聴いた瞬間、ウサギはその方向を見て――

 

 直後目映い光で行動不能に陥った

 

 何が起きたのか、ウサギは見えないにも関わらず周りを見渡す

 そして再びなにかが地面に落ちる音を聴き

 

 轟音と共に火炎がウサギを覆った

 

 ……

 

「そ、想定外の威力だぜこいつは…」

 

 爆炎が収まった後、体をズタズタにされて絶命しているウサギを確認しながら、俺は手に持っている新兵器の威力に愕然としていた

 

 薄く伸ばしたタウル鉱石を卵形に加工し、その中に凝縮した燃焼石と細かくしたタウル鉱石を入れて密閉する

 上の方に導火線を付けて、火を点火し投げ入れれば大爆発が起きる兵器

 そう、手榴弾擬きである

 

 その前に投げ入れたのは、タウル鉱石の代わりに魔力を十分に込めた緑光石を入れて、中央に棒状の燃焼石を仕込んだスタングレネード擬きである

 

 どちらも導火線で点火すると言うかなり初歩的な使用方法だが、これが驚くほどの威力を発揮した

 

「こいつの出番が無かったのはいいことなのかねぇ…」

 

 念のためにと持ってきていた背中のもう1つの秘密兵器を見ながら、ズタズタになったウサギを抱える

 今の音であの熊がやって来ては分が悪いし、こいつは今日の夕飯なのだ誰にも渡さん

 

「こいつ食ったらなんか技能覚えるのかねぇ」

 

 狼の時と同じように何か技能が覚えられれば生存率アップなのだが、果たして…

 

――――――――――――

 

 ウサギの肉は狼より不味くはなかったです、以上

 比べる対象があれではあるが、まあそこは仕方がない

 

 食べ終わり、残りを保存食にしてからステータスを確認する

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:12

天職:錬成師

筋力:200

体力:300

耐性:200

敏捷:400

魔力:350

魔耐:350

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・言語理解

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 派生能力マシマシな上に、また新しい技能覚えているよ…

 つーかなんだよ天歩って、空歩けるのか?

 

 結果から言うと空は歩けませんでした

 その代わりめっちゃ痛かった

 

 まず空力の方なのだが、これは空中に足場のようなものを生み出す技能のようで、試しにとやってみたら顔面からダイブした

 だが足場っぽい何かはできていたので、恐らく何度か練習すればコツは掴めるだろう

 

 もう1つの縮地は、八重樫が使っていたまんまのあれである

 こちらも試しにとやってみたら、足元が爆発して壁に顔からダイブした

 イメージが違うのかなんなのか分からないが、取り合えずこちらも要練習のようだ

 

「さて、どうしたもんかね…」

 

 取り合えずこの洞窟でもある程度生きていける強さにはなったようだが、さすがにそろそろ脱出を考えるべきだろう

 

「約束したもんな、それも2人と」

 

 いつまでもここにいるわけには行かない、戻らなければ

 あの場所に、この洞窟の遥か上方に

 

「その前に、できることは全部試しておきたいな…」

 

 この洞窟脱出、その最後の目標に最強のモンスターを据えることにした

 

――――――――――――

 

 洞窟の奥に、それはいた

 

 今しがた倒したウサギを、その巨大な顎で噛み砕いていた

 この洞窟の食物連鎖の頂点に位置し、いかなる魔物も叶わない絶対強者

 

 そんな魔物の前に、なにかが放り投げられる

 金属が落ちる音を聴き、熊は咀嚼を一時中断してそちらを見る

 

 直後、閃光に視界を奪われた

 

「ガァアア?!」

 

 突然のことに混乱し、自慢の爪を振り回すが壁を抉るだけに終わる

 そこにもう一度何かが投げ込まれ

 

 無数の金属片が熊を襲った

 

「グゥウ!?」

 

 破片一つ一つが毛皮ごと肉を切り裂き、そこに爆炎が襲いかかった

 強烈な痛みを感じ、思わず地面に倒れ混んでしまう

 

「あちゃー、やっぱり一発じゃあダメだったか」

 

 洞窟内に響く声、それに首だけを上げて熊は反応する

 

「念のため2発投げ入れておけば終わったかもしれないんだが、逆に考えよう。こいつの試射ができるってな‼」

 

 背中から取り出された、細長い棒のようなもの

 熊にはそれが何かは理解できないだろう

 

「銃の知識なんて全く分からんが、燃焼石さまさまだぜ‼」

 

 構えられたそれこそ、燃焼石とタウル鉱石を使って作り上げた元の世界で一番使われている歩兵用兵器

 

「ライフリングに手間取ったのは内緒なんだけどな」

 

 ――銃火器である

 

――――――――――――

 

 手榴弾による奇襲が半分以上成功したことを確認した俺は、何百回と失敗に失敗を重ねてようやく完成した『ボルトアクション式単発銃試作1号』を熊に構える

 名前が長いって?気にするな‼

 

 肘から先がなくなった左腕で銃を支え、照準を合わせる

 

「銃とか今まで使った試しがないんで、当たるかどうかは分からんが――」

 

 引き金にかけていた右手人差し指に力を込める

 

「――ものは試しってな‼」

 

 一気に引き金を引く

 凄まじい反動が右手に伝わる

 銃先から飛び出した弾丸は、回転しながら飛翔を続け

 熊の右前足部分に命中した

 

「グルゥアアアアア!!!」

 

 凄まじい雄叫びを上げて、熊は悶える

 痛いだけでなく、恐らく熱いのだろう

 今まで味わったことのない苦痛に、身を捩っているようだ

 

「やっぱり、額を狙ったつもりなんだけど当たる分けねーか。だろうな、いきなり狙い通り当てられるとかどこのびっくり超人だって話だ‼」

 

 左腕を上げて銃身を首で固定、薬室横についているレバー――ボルトハンドルを右手で引き薬莢を排出する

 そのまま右ポケットから新しい弾丸を取りだしセットする

 再び照準を合わせて引き金を引けば、新たな凶弾が熊目掛けて飛んでいく

 

 その凶弾は左腕の肩付近に命中し、左腕を吹き飛ばした

 

「…嫌なお揃いだな、おい」

 

 熊の魔物とお揃いとか、欠片すらも嬉しくないんですがそれは

 

「再装填‼」

 

 先程と同じ要領で弾丸を込める

 すると体勢を立て直した熊が、片腕とれた状態で突進してきた

 ボルトアクション式単発銃の最大の欠点を付かれた形が

 

「残念、それは予測済みだ」

 

 空力で足場を生み出し一気に駆け上がる

 上に逃げた俺に気付かず、熊はそのまま突進した

 

 空中で銃を構えるが、はっきり言って当たれば儲けものな撃ち方だろう

 

「為せばなるんだよ‼」

 

 再度引き金を引くと、まさかの背中に命中した

 しかもどうやら背骨を粉砕してしまったようで

 

「ガァアア!!」

 

 酷い雄叫びを上げて地に伏した

 

「うそん…」

 

 完全なまぐれではあったが、結果オーライということで1つ

 

 動けなくなった熊の目の前まで歩き、装填を終えた銃を構える

 

「恨んでくれるな?ここは弱肉強食の世界だ、お前だって散々、他の命を食らってきたんだ」

 

 ぐいっと、いまだにこちらを睨む熊の額に銃先を押し付ける

 

「だからこいつは因果応報なんだよ」

 

 引き金を引き、脳髄をぶちまけながら

 洞窟最強を誇った魔物は、永遠に息絶えた

 

――――――――――――

 

 今回はさすがに持ち運びできる量ではなかったので、千切れ飛んだ左腕のみ持ち帰る

 そしていつも通り焼いてそれを食べる

 そしておまちかねのステータス確認である

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:17

天職:錬成師

筋力:300

体力:400

耐性:300

敏捷:450

魔力:400

魔耐:400

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解

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 増えたのは技能の『風爪』、読み方は『ふうそう』らしい

 こいつは爪先から風のようなものを飛ばして対象を切り裂く技能らしく、最初にウサギが切り裂かれたのは恐らくこいつが原因だったのだろう

 

 派生としては錬成の『鉱物分解』と『鉱物融合』

 つまり合金作ったり元の鉱物に戻せる技能のことだろう

 これがあれば益々武器製作が捗るに違いない

 

 ウサギの革でなんとか作り上げた鞄に、食料と二種類の手榴弾に神鉱石、そして銃の弾丸等色々詰め込む

 

 右肩から試作銃を提げ、準備は万端

 

「それじゃあ、行きましょうかね」

 

 地底に落ちて、半月以上が経過した

 上へと戻れるかどうか、そんなのは探してから考えればいい

 

 再開したときの謝罪の台詞を考えながら、本拠地として使っていた川縁に別れを告げて

 俺は、地上を目指す旅を始めた――

 

――――――――――――

 

 捜索開始から3日

 

「上にいけないってどう言うことなの…」

 

 ――俺は軽く絶望していた

 

 




「ダンジョンあるある~ってかあはははは…ファッ◯ン!!」
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