メタルギアREXを出したいがためだけに書くIS小説 作:てつのはぐるま
「おはよう束!」
「うん、おはよう。 かーくん。」
元気よく私に挨拶する少年は篠ノ之重… 少年であり少女である私の家族だ。
あの洗脳は彼の奥底に強く根ついていて、半ば洗脳のような方法おとらないとなんとかできなかった。 それでも彼の中にはまだ少し少女の部分が残っているのだ。
「その子の調子はどう?」
「上々、かな? トリプルコアなんて初の試みだよ。」
「束ならなんでもできるよ。 俺を直してくれた人なんだから!」
「そう… うん、そうだね。 うん! 束さんにはなんでもできる!」
満足げに笑うと、かーくんは私の机の前にトレーに乗ったサンドイッチとホットミルクを差し出した。
「ちゃんと食べてね? じゃねーと俺がくーちゃんに料理教えてる意味もなくなるんだからさ。」
「もう、わかってるって!」
「うん、それでいい。」
くーちゃん、というのは私たちのもう一人の家族であるクロエ・クロニクルのことだ。
料理が途轍もなく下手な彼女に料理を教えるのが、最近のかーくんの仕事でもある。
「それでさ、束。 俺、ちょっとドイツに行ってくるから。」
「わかったー。 どしたの?」
「モンド・グロッソやってるでしょ? そこで束の親友の弟君が何かよろしくない時間に巻き込まれそうなんで、一応見に行くの。」
「そう? なら早めに帰ってきてね。 気をつけて行ってくるんだよ。」
「だいじょーぶ!」
彼は部屋を飛び出し、ドッグに向かった。
移動用のロケットを使いに行くのだろう。
♢
「坊主、ジッとしてろよ? 動いたらお前の頭に穴を増やしてやるからな。」
「ひひひ、楽しみだなぁ。 俺、報酬で新しいジャケット買うんだよ。」
「俺は酒を浴びるように飲んでやる!」
銃を向けられ、椅子に縛り付けられた俺は今までにないほどに混乱していた。
ISの世界一を決める大会、モンド・グロッソに出場するためにドイツへ来た姉について来ていた。
そしてその途中、一人で道を歩いている時に黒塗りの高級車に乗せられて拉致されてしまった。
(どうしようかなぁ…)
どうするか、なんて言っても助けを待つしかない、と理解していた。
小学生の自分が彼らに抗っても、勝てないだろうと思っていた。
そして、その助けは意外と早く現れた。
「はい、ドーン。」
-ズガァン!
俺の目の前で、銃を持っていた男が血を撒き散らしながら吹き飛んだ。
いつの間にかその横には銃を構えた女の子がいた。
女の子がその銃の下を持って動かすと、ジャコン! という音と共に銃から何かが飛び出て、地面に落ちた。
「なっ、なんだテメェ!」
その女の子は懐から銃を取り出して、構えようとするもう一人の男の脇腹を蹴り飛ばし、怯む男に銃を向けてまた引き金を引いた。
再びジャコン、という音が聞こえる。
「ごめんね、君はお酒は飲めないんだ。 私が弾を浴びるほど飲ませてあげるから、許してね?」
「ひ… ひいっ!」
逃げ出す男の背に、女の子は銃を撃った。
その男の背から血が溢れて、男は倒れた。
「君が一夏くんだね? 私は篠ノ之重っていうんだ、よろしく!」
「あ、うん。 よろしく…?」
霞んだピンク色の髪の少女が俺の顔を覗き込む。
「大丈夫? 顔、赤いけど。」
「あ、おう。 大丈夫…」
俺はその子に見惚れていた。
その子はナイフを取り出して、俺を椅子に縛っていた縄を切ってくれた。
「あ、ありがとう。」
「どういたしまして。」
俺は目の前の光景よりも、その女の子に目を奪われていた。
「じゃあ一夏くん、私は帰ることにするよ。 気をつけて、ね?」
「ああ、わかった。 …なぁ、重って呼んでいいか?」
「うん、いいよ! それじゃあ一夏くん、私はもう帰るね! ちーちゃんによろしく! …あ、あと私は男の子だよ!」
「え?」
最後に衝撃的な言葉を残して、重は風のように去っていった。