青年士官苦労記 〜帝国陸海軍奮闘ス〜 灼熱のノモンハン編 作:休日ぐーたら暇人
お薦めBGMはガルパンの『叭喇撃突ヶ響』(ひびけとつげきらっぱ。右から読みます)で。
(おい)
(修正入れました)
少し前 混成実験小隊
「硝煙の匂いに銃砲声…やはり、襲撃にあっていたか」
一時停止し、砲塔に立って双眼鏡で状況を把握していた松塚が呟いた。
「ならば、ここで油を売ってないで助けに行くのが当然だろう?」
「わかってるよ。でも、状況も掴まないまま助けにも行けないだろう。よっと」
松平中尉の言葉に松塚は車長ハッチに滑り込む。
「こちら1号車。柳田、聞こえるか?」
『おう、感度良好。左右から回り込もうとする奴らの撃破だな。左は任せろ』
「理解が早くて助かるよ。鈴木、到着したらそっちの指揮で歩兵隊は展開してくれ」
『歩兵隊了解。但し、イザとなったら支援してくれよ』
「わかってるよ。通信解放のまま、全隊前進! 突撃!!」
現在
「松平! 一撃必中の連続射撃で回り込む敵装甲車両を片付けろ!」
「了解! 次、2台目のBT-5、撃て!」
自ら主砲のトリガーを握り、敵戦車・装甲車両に向けて発砲・撃破していく。
反対側では柳田が乗る2号車が1号車と同じく行進射撃で反対側から回り込もうとしていた戦車・装甲車両を燃えるスクラップに変えていく。
対し、敵も発砲するがこちらが行進射撃である為に正確に捕捉出来ずに無駄な発砲を繰り返す事になっている。
『おうおう、あっちこっち燃えてら。敵はガソリンエンジン車か? スペインであれだけボカスカやられてたのに呑気だな』
「長距離作戦だったんだろう…まあ、土足で上がり込んで同盟国軍を襲った迷惑料はとらないとな!」
『まったくだ! 次だ、次!』
「歩兵部隊下車! 戦闘開始!」
自らも三八式小銃を握り、下車しながら指示を出す鈴木。
その指示に『九八式半装軌装甲貨車』に乗っていた歩兵分隊が分隊の九六式軽機関銃の援護を得て下車していく。
「小銃分隊、機関銃分隊展開! 重火器分隊撃ち方始め!」
この指示に素早く展開していた八九式重擲弾筒を装備する『重火器分隊』の擲弾筒分隊4門が次々に擲弾筒から擲弾を撃ち込み、正面から来ていたソ連兵の頭上から襲い掛かる。
この間に九六式軽機関銃一挺を備えた小銃分隊、九二式重機関銃一挺と九六式軽機関銃ニ挺を装備する機関銃分隊が展開、射撃を開始する。
これによってソ連兵は前進を止めて伏せる。
この間にBT-5やT-26の戦車が前進してくる、が…。
「『重火器分隊』! 撃て!」
鈴木の指示の下、もう一つの『重火器分隊』……『仮制57粍機動速射砲』二門が戦車に向けて砲撃を始めた。
その砲撃は正確無比にBT-7やT-26の正面装甲を貫きスクラップへと変えていく。
そうこうしている内に左右から回り込もうとしていた部隊を瞬く間に片付けた二輌の『九七式中戦車チハ(仮制試験型)』が正面に加わる。
「側面から回り込もうとしていた奴らは片付けた。これより、正面に圧力を掛けつつ、友軍を回収しながら後退する」
『了解…といきたいところだが、向こうさんは怒り心頭みたいだぜ」
柳田の声に双眼鏡で前を見ると敵の後方から今までとは違う大型車体の戦車がノッソリと近付いて来ていた。
『あれはT-28多砲塔中戦車だね。前に雑誌で見た事あるよ』
柳田との通信に入り込む形で鈴木が苦笑いを浮かべながら入ってきた。
「……計画変更、見る限りあれ一輌みたいだ。あれが司令車か、最低限、向こうの自信の素らしいな。彼奴を撃破してお帰り願おう」
『了解、土産話が出来たぜ』
『歩兵部隊は援護する。頼んだよ』
「あぁ、松平、あのデカブツ、いけるか?」
「ふん、射撃記章を貰うにはちょうどいい相手だ」
「よし…前進! 撃破するぞ!」
松塚の指示に驀進する二輌のチハ(仮制試験型)。
周囲にいたBT戦車やT-26、装甲車が立ち塞がるが、チハの主砲と機動速射砲の餌食になる。
「多砲塔戦車は重量に関係で車体に比べて全体的な装甲は薄い。だが、やはり、主砲の75㎜は短砲身とは言っても厄介だ」
「わかっている。だからこそ、我々は『槍騎兵』になるんだ」
そう言ってニヤリと笑う松平。
それを見て松塚もニヤリと返し、前を見据える。
敵のT-28の主砲は驀進するチハのどちらを撃とうか迷っている。
だが、その迷いは時間を空費させたに過ぎない。
ようやく撃った砲弾も後方へと飛び抜ける。
「松平……撃て」
その声に松平は遠慮無しにトリガーを引く。
その瞬間、撃ち出された57粍徹甲弾は何の迷いも無く直進し、T-28の正面装甲を貫き、中から爆発させた。
「……正面は増加装甲無しの30㎜か。まあ、垂直装甲なら材質によるが貫通出来るわな」
撃破したT-28の正面装甲の貫通孔を検証しながら松塚はボヤく。
「そうだね。あ、済まないが軍曹、これも頼む」
「わかりました」
カメラ好きの軍曹が歩兵部隊にいたので松塚は鈴木を通じてその軍曹に証拠を残す為、且つ、後の資料にする為、現場写真を撮らせていた。
「で、後は此方と向こうの負傷者に捕虜、証拠の品々を収容して一度引き揚げる、か」
そう呟いた時、2人の友軍将校が近付いて来た。
「満州帝国軍第132騎兵中隊、勝琳(ショウリン)中尉です」
「東ロシア帝国軍特別混成中隊、ザミーラ・アレクセイヴナ・ヒョードルフ中尉です」
「大日本帝国陸軍参謀本部付き混成実験小隊隊長、松塚隆大尉です。部隊の方は大丈夫でしたか?」
「此方の騎兵隊は人的損害は負傷者のみです。あと、先程の追撃で捕らえた通信兵と将校は副官方に引き渡しました」
「我が部隊は戦車一輌全損、私の乗車が中破。幸か不幸か、人的損害は軽微だ。救援、すまない」
「上からあなた方を探せと言われて来ましたので当然ですよ。ですが、あまり長居も出来ません。出発出来るよう準備をお願いします」
「「わかりました」」
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