青年士官苦労記 〜帝国陸海軍奮闘ス〜 灼熱のノモンハン編   作:休日ぐーたら暇人

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後方に下がりました。


8 束の間の休息

4日後 7月1日 将軍廟 司令部区画

 

 

補給梯団の襲撃後、松塚達遊撃支隊は補給と休息、整備の為に戻ってきていた。

先の空爆作戦により、前線・後方の空爆は成功し、補給路も別部隊が監視してくれている為、遊撃支隊は一時の休息を手にしていた。

そんな中………

 

 

 

「……まあ、良かったんじゃあないの? 火力強化出来た訳だし」

 

 

「まあ、アカの火砲であるのは気に入らないけど……贅沢も言えないし」

 

松塚とザミーラの前にある物、先の一件で鹵獲したSU-12…後のSU-76…自走砲4輌と122㎜榴弾砲が砲兵隊付きで配置されていた。

あの後、詳細な調査が行われ、調査完了と共に人員付きでザミーラの部隊に配備されたのであった。

 

 

「まあ、戦車もそっちのチハが追加された訳だし、鹵獲品だからとっとと使いましょう、って事でいいんでないの」

 

 

「……まあ、細かい事を気にしていても仕方無いからな」

 

そこは割り切る事にしたザミーラだった。

 

 

 

 

「撃て!!」

 

水谷の指揮で砲兵隊の自走山砲、自走野砲の射撃に続き、自走榴弾砲と新採用の山砲の訓練試射が開始される。

これに続いてザミーラ隊の砲兵隊も合わせて訓練試射を開始する。

そして、弾着地に次々と土埃が上がる。

 

 

「で、どうだ? 火砲に関しては?」

 

 

「これで99式自走砲ホニI、ホニIIは揃いましたし、制圧火力は増しました。また、10㎝山砲も威力は75㎜とは桁違いです」

 

松塚の言葉に射撃直後のホニIIと99式10㎝山砲に検査員達が取り付くのを見ながら水谷が言った。

 

 

「確か、ホニIIの91式10㎝榴弾砲の搭載は四苦八苦したんだってな?」

 

 

「はい、搭載する試作砲に2度の補強、搭載後の高速走行後の不具合修正がありましたのでホニIの90式野砲の様にトントンとは…」

 

 

「まあ、何事もそんなトントンと順調にいく訳ないしな。10㎝山砲は自走砲化しないのか?」

 

 

「自走砲化の予定はあります。ですが、95の車体では限界の為、別車体での搭載を予定し、今は車体の選定するそうです。ですので、今は自動車牽引で間に合わすとの事で」

 

 

「まあ、結局、そうトントンと調子良くいかないよな」

 

そう呟きながら空を眺める松塚だった。

 

 

 

 

しばらくして

 

 

「……見事に貫いてるわね」

 

 

「まあ、だろうな」

 

防壁用の土盛りの前に置かれた50㎜鉄板の貫通孔を見ながら話す松塚とザミーラ。

 

 

「如何でしょうか? 新採用の98式7㎝半野戦高射砲の威力は!」

 

新しく配属された野戦高射隊を率いる堂島宗盛(どうじまむねもり)少尉は自信満々に2人に言う。

 

 

「昨年末に採用されて、ここに配備されるまで随分と時間がかかったね」

 

 

「はい、大尉殿も御存知の通り、前の88式野戦高射砲は改善した陣地設置特化型しか水平射撃が出来ませんでした。よって、これを打破する為に選定の結果、スェーデンのボファース75ミリ高射砲を採用、これの生産過程や改善等々を行い、本土の高射教導部隊が実地訓練を経た結果、ようやく部隊配備にこぎつけたのであります」

 

 

「そ、そうか…で、あれも新採用と聞いたが?」

 

そう言いながら木製の的を粉々にした四連装銃架を荷台部分に備えた98式半装軌装甲貨車を指差しながら訊いた。

 

 

「あれは99式自走四連装20㎜高射機関砲です。98式20㎜高射機関砲を四連装にしたものですが…箱型弾倉なので2門づつ撃ちながらになります。まだまだ改良の余地はありますが、まあ、対人用にも有効です」

 

 

「私、似た様なの見たら突撃拒否するけど、いい?」

 

横で見ていた勝中尉が松塚に言った。

 

 

「まあ、あれは仕方ないよ…うん」

 

 

「色々とありますが、イザとなれば航空機だろうと、トーチカだろうと、装甲車だろうと、戦車であっても御命令とあらば破壊します!」

 

 

「あ、あぁ、頼むよ」

 

苦笑いを浮かべながら松塚は言った。

 

 

 

2日後 7月3日 司令部区画

 

 

 

「出撃ですか?」

 

 

「簡単に言えばそうなる」

 

石原次長に呼び出された松塚は敬礼の後、単刀直入に要件に入った。

 

 

「どうやら、ソ連軍は攻勢に出るようだ。それを側面、又は後方から叩いてもらう」

 

 

「先の空襲の後、ソ連軍に補給・補充はあったのですか?」

 

 

「今のところ、その報告はない。それどころか、通信を傍受したが、前線へは今ある物資で何とかしろ、と言っている」

 

 

「……無茶苦茶ですね」

 

 

「まあ、向こうは予定通りにいかなくて焦っているのであろう……向こうはやけくそで来るかもしれん、前線への圧力を減らしてもらう。いいな?」

 

 

「はい。ですが、我々も出来る限界がありますので、過大な期待は困りますが」

 

 

「それは大丈夫だ。あと、これが終われば遊撃支隊は大隊になる予定が立った。頑張れよ」

 

 

「あはは……何とか頑張ります」

 

 

 

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