「 提督!こんにちはデース!」
発音が逐一英語っぽい、長い茶髪を翻して飛び
付いてきたのは、高速戦艦金剛だった。
「 はじめまして、金剛、榛名。」
「 水臭い挨拶はなしデース!さぁ提督も
一緒にティータイムデース!」
金剛は俺の軍服をグイグイと引っ張る。
さすがは戦艦。凄まじい力だな。
「 提督もどうですか?」
今回の目的、榛名は灰がかった腰に届く程の
長髪に、優しさと可愛さを滲ませる顔立ち、
そして柔らかな言葉遣いと、理想の嫁を絵に描いた
ような娘だった。金剛とは姉妹だが、タイプは
まるで違うみたいだ。
「 もとよりそのつもりだったんだ。
ちょっと話がしたいと思ってね」
「 自分から職務の合間を縫って来られるなんて…
提督は優しいのですね」
「 君達との情報交換も大切かと思って 」
「 提督ぅ、早くするデース!
榛名、今日は3人分用意するネー!」
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「提督ぅ、ティーのお味はいかがデスカ?」
早くも三杯目を注ごうとポットに手を伸ばす
金剛。どんだけ飲むんだよ……
「 うん、悪くないな。他の茶じゃ出ない香りが
なんというか、楽しいな!」
金剛の顔が花が咲くように明るくなる。
「 気に入ってもらって嬉しいデース!」
「 金剛お姉様ったら、提督とお茶会ってなって、
急いでいちばん高い茶葉を取りに行ったんです
よ。」
榛名はくすりと笑いながら、少しイタズラな笑み
を金剛へと向ける。
「 榛名っっっ!それは言わない約束ネー!」
「 そうだったのか……気を使わせてごめんな……」
お手洗いと言っていたから、まさか茶葉を変えに
行ったとは思わなかった。いい娘やな……
そろそろ本題を言い出さないと……
茶会も酣だしな………
「 榛名と金剛はさ……なんか悩みとかあるか?」
「 急にどうしたデース?」
「 いやな、あんまりこういうことを言うのは
無神経だと思うんだけど……君達はあの頃の
艦の魂を持っているってことは、つまりだな……
「 みんなそれぞれ、一度"最後"を経験している、
ということですよね」
言い出しにくく思っていた所をずばっと言ったの
は榛名だった。榛名の表情は先程より柔らかく、
しかしながら寂寥を漂わせている。
「 まぁそういう事……本当に 無神経で
すみません」
「 榛名は大丈夫です。提督は私達を指揮する上で、
そこまで気にかけて下さっているのですね。」
「 前の提督はそうじゃなかった?」
「 ええ。前の提督はこの鎮守府を再建して、
すぐ昇進なさいましたから」
「 そうだったのか。道理で引き継ぎの資料も
少ないわけだ。」
この鎮守府は5ヶ月前に再建されたらしいから
割とすぐだったんだな。ポストだったんだろう。
「 すみません、私達の悩み、でしたよね。
榛名は大丈夫です。特にありません。ただ……
早く霧島と比叡お姉様に会いたいぐらいです。
私の最後は、他の娘に比べれば、そんなに
悲しいものではありませんでしたし。
最期まで戦えましたから。」
そう言って榛名は空を見上げる。その目には
あの時の敵機が映っているのだろうか。
それとも最期まで一緒に戦った乗組員か。
俺には分からなかった。
今回もありがとうございます。見て下さった皆様方に感謝を。