二人の提督はそれぞれ本拠地の指揮所に入った。佐世保の艦隊は大黒神島を本拠地とし、呉は鎮守府に本拠地を設定されている。また、それぞれの拠点に参加する艦娘も役割を当てられた艦娘も、全艦娘が集まっていた。
「 この演習の後に我が鎮守府は南西海域の攻略に
取り掛かることになる。この演習はその前哨戦
であるということをしっかり覚えておいてほしい。
作戦は前日伝えたい通りだ。何かあればこちら
から指示を出す。練度は我が艦隊の絶対有利だ。
実力を持ってすれば我々の勝利は揺るぎない。
それでは、諸君の健闘と我々の必勝を祈る!」
「 敬礼!」
攻略部隊の旗艦長門がその大きな声を張り上げる。艦娘達もこれに続いて、一斉に敬礼した。
「 おおーっ!」
艦娘達が港へと向かう中、彼は秘書艦の那智を連れて指揮所からそれを見おろしていた。
「 いよいよだな……我が艦隊の練度なら勝ちは
確定的か……貴様、本当はそうは思っていない
のだろう。いくらあちらが練度不足の民間提督で
あっても、六隻分の不利はなかなか埋まらない。」
那智はコーヒーを渡しながら言った。提督はそれを忌々しそうな顔で受け取ると、一気に飲みほした。テーブルに置いたカップが僅かに震えているから、提督もそれなりに緊張しているのだろう。
「 察しがいいな。その通りだ。本来六隻の差は
めったにうまることは無い。例え練度の優越が
あったとしても何の策もなしに突っ込んで勝てる
数ではない。今回の策もはっきり言ってこれしか
成功の見込みがないから選ばれただけだ。
もっとも相手がある程度兵法を知っていないと
この策は成功しないが……その点は大丈夫だろう。
相手もまさか正規の軍人がわざわざ挟撃されやすい
連合艦隊で来るとは考えないだろう。だがな……
兵法は戦場で活用するものだ。奇策は時によって
上策にも下策にもなりうる。呉のヤツに、
正規の軍人の覚悟を見せてやる!!!」
鎮守府の前では、審判の担当の鹿島や摩耶、救護担当の浜風たち、それと出撃する艦娘たち、提督と秘書艦の天津風が集まっていた。みなお互いに声をかけ合い、戦意を高めているのだ。
「 もうすぐ演習が始まるな……みんな緊張すると
思うけど、冷静に判断して行動してくれ。
勝負を分けるのはやはり偵察だ。先に見つけて
攻撃を有利に運んでほしい。」
「 司令官も結構手が震えているのです。」
「 っ提督〜、お前、ビビってんなあ〜」
電が提督に対して鋭い指摘。それを聞いた摩耶はニヤニヤしながら提督に絡んでいく。終いには軽いエルボを入れる始末。
「 痛い、痛いって……あぁ、摩耶か……いやさ、
実際に君たちが戦うのを見るのは初めてだし……
指揮も初めてだからな……でも、出来るだけの
ことをするつもりだ。みんな、頼むぞ!」
「 敬礼!」
天津風の可愛らしい号令の下、全艦娘が一斉に敬礼する。
「 みんな……頼んだぞ!!!」
「 オー!!」
そして、演習のサイレンの音が辺りに響き渡った。
演習の中身に入れませんでした……すみません。次回は本当に入ります。ご期待くださいませ。ご感想ご要望ありましたら、お願いします。